ME機器と病院設備を「人に害を与えない状態」に保つための章。出題が多いのは漏れ電流の許容値と測定(MD・単一故障状態)、病院電気設備(非接地配線方式・非常電源)、医療ガス(塗色・識別色・残量計算)、信頼度の計算、電磁環境(EMC・医用テレメータ)。数値の表を丸ごと覚え、計算は手順で解く。
電流が体を通るときの反応は、流れた電流の大きさ・経路・周波数で決まる。体表から入って体表へ抜けるのがマクロショック、心臓に入れたカテーテルや電極から心臓に直接流れるのがミクロショック。
| 反応 | 電流値(代表値) | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 最小感知電流 | 1 mA | 小児では成人の約1/2。「ピリッと感じる」最小の値 |
| 離脱限界電流(可随意電流) | 10 mA | 筋肉が不随意に収縮し、握った電線から手を離せなくなる |
| マクロショックの心室細動電流 | 100 mA(0.1 A) | 最小感知電流の約100倍(✕1000倍) |
| ミクロショックの心室細動電流 | 0.1 mA(100 µA) | 最小感知電流の1/10(✕10 µA、✕1/100) |
マクロとミクロの比は100 mA:0.1 mA=1000倍。心臓に直接流れるとごく小さな電流でも心室細動が起こるので、CF形装着部の許容値(10 µA)はミクロショックの閾値(100 µA)の1/10に置かれている(安全率10)。
電撃の閾値は約1 kHzまではほぼ一定で、1 kHzを超えると周波数に比例して上昇する。たとえば最小感知電流は100 kHzで約100 mAになる。高い周波数の電流ほど神経・筋を刺激しにくいので、電気メスの高周波電流(数百kHz以上)は大電流でも電撃を起こさず、主な害は熱傷になる。誤答肢の形は「周波数が高いほど閾値が下がる」「50〜60 Hzを境に上がる」。境は1 kHz。
直流は、交流より電気分解で組織に化学的変化(損傷)を起こしやすい。患者漏れ電流に直流の許容値が別に決めてあるのはこのため。
低周波電流=電撃、高周波電流・電磁波=熱作用(加温・熱傷)、超音波=熱作用とキャビテーション、放射線=電離作用、温度=熱傷(低温熱傷を含む)。電磁波の人体ばく露は電波防護指針で目安が示され、吸収の指標はSAR(比吸収率)。
電気メスの熱傷事故は代表的な事例:対極板の接触面積が減ると電流密度が上がり、対極板の下で熱傷が起こる。対極板のコードが外れると高周波電流が心電図電極などの小さな接地点へ流れ、そこで熱傷が起こる(分流)。アルコール消毒の直後に使うと気化したアルコールに引火して火災になる。
1 mA(感知)→10 mA(離脱限界)→100 mA(マクロ心室細動)は10倍ずつ。ミクロだけ0.1 mAと桁が下がる。「ミクロは最小感知電流の1/10」「マクロは約100倍」の形で問われる。
1 kHzを超えた範囲では閾値 = 1 kHzでの閾値 ×(周波数 ÷ 1 kHz)と考える。1 kHzで最小感知電流が1 mAなら、10 kHzでは10 mA、100 kHzでは100 mA。「体表に100 kHzの電流を流したときの最小感知電流はおよそいくつか」と聞かれたら、100倍して約100 mAと答える。1 kHz以下では閾値はほぼ変わらないので、50 Hzと60 Hzで値を区別する必要はない。
・「ミクロショックの心室細動電流は10 µA」→ 正しくは100 µA(10 µAはCF形の許容値で、閾値と取り違えさせる肢)。
・「マクロショックの心室細動電流は最小感知電流の1000倍」→ 約100倍。
・「周波数が高くなると閾値は下がる」→ 1 kHzを超えると上がる。
・「離脱限界電流では筋は収縮しない」→ 筋が不随意に収縮するので離せなくなる。
・「直流は交流より危険が小さいので許容値は不要」→ 直流は電気分解の害があるので許容値が別にある。
電撃の害の大きさは電流で決まり、電圧そのものではない。同じ電圧でも、皮膚が濡れていたり傷があったりすると人体の抵抗が下がり、流れる電流が増える。心臓カテーテルやペーシングリードが入っている患者は、皮膚の抵抗を通らずに電流が心臓へ届くので、ミクロショックの対策が必要になる。
心臓内にカテーテルが入った患者で、別の機器の外装から漏れた電流が医療者の手を介してカテーテルに伝わり、心臓を通って大地へ抜けるのが典型。機器ごとの接地の電位がわずかに違うだけでも、心臓を通る電流になりうる。対策はCF形装着部の使用、等電位接地、保護接地の確実な接続、カテーテルの端子に素手で触れないこと。
高周波電流の害は熱。電気メスの電流が面積の小さい所に集まるほど、単位面積あたりの発熱が大きくなる。対極板は広い面で密着させ、骨の突出部や瘢痕を避けて貼る。
「1 kHzでの最小感知電流を1 mAとすると、100 kHzでの最小感知電流はいくつか」→ 周波数が100倍なので100 mA。「小児の最小感知電流はいくつか」→ 成人の約1/2なので約0.5 mA。「ミクロショックの心室細動電流は最小感知電流の何倍か」→ 0.1 mA÷1 mA=1/10。
国際規格はIEC(電気)とISO(電気以外)、日本はJIS。医用電気機器の安全はJIS T 0601-1(IEC 60601-1を基にする)で決まる。
| 規格番号 | 区分(国試の語形) | 中身 |
|---|---|---|
| JIS T 0601-1 | 通則(一般要求事項) | すべてのME機器に共通の基礎安全・基本性能 |
| JIS T 0601-1-X | 副通則 | 横断的な事項。-1-2=電磁両立性(EMC)など |
| JIS T 0601-2-X | 個別規格 | 機器ごとの規定(電気メス・除細動器など)。通則より優先する |
| JIS T 1022 | 病院電気設備の安全基準 | 医用接地・非接地配線・非常電源(1-6) |
| JIS T 7101 | 医療ガス配管設備 | 供給源・配管・端末器(1-9) |
| クラス | 基礎の保護 | 追加保護手段 | 押さえる点 |
|---|---|---|---|
| クラスⅠ | 基礎絶縁 | 保護接地 | 接地極付2極コンセント(3P)が必要。保護接地線が切れると保護が失われる |
| クラスⅡ | 基礎絶縁 | 補強絶縁(二重絶縁・強化絶縁) | 保護接地に頼らないので、接地設備のない在宅でも使いやすい |
| 内部電源ME機器 | 基礎絶縁 | (電源を内蔵) | 電源が大地から浮いている(フローティング)。外部電源につないでいる間はクラスⅠかⅡとして扱う |
誤答肢の形:「クラスⅡの追加保護手段は基礎絶縁」「内部電源機器の追加保護手段は補強絶縁」。追加保護手段を持つのはクラスⅠ(保護接地)とクラスⅡ(補強絶縁)。
| 形 | 図記号 | 装着部 | 保護の程度・用途 |
|---|---|---|---|
| B形 | 人型(四角なし) | 接地されうる(F形でない) | 外部からの電圧に対して保護されていない。体表に使う |
| BF形 | 四角で囲んだ人型 | F形装着部(フローティング) | マクロショック対策。体表・体腔内に使う |
| CF形 | 四角で囲んだハート | F形装着部(フローティング) | マクロショックとミクロショックの両方に対策してある。心臓に直接つなぐ機器にはCF形が必須 |
体表に付ける機器にCF形が必須なわけではない(使ってもよい)。耐除細動形の記号は、B・BF・CF形それぞれの記号の両脇に斜めの線(除細動のパドル)を付けたもの。四角で囲んだ記号はBF形・CF形の印で、耐除細動形の印ではない。
人型だけ=B形、人型を四角で囲む=BF形、ハートを四角で囲む=CF形。ハートの記号は心臓に直接使えるCF形と覚える。両脇に斜線(パドル)が付けば、その形の耐除細動形。記号から形を決めたら、1-3の許容値の表を引く。
MEシステムは、ME機器と他の機器(パソコンなど)を組み合わせたもの。組み合わせた全体としてME機器と同じ安全水準を保つ。
図記号の代表例:単回使用(再使用禁止)=数字の「2」に斜線、高周波非接地形患者回路=F形を示す記号、保護接地端子・等電位化端子・耐除細動形装着部の記号も出る。
| 表示光の色 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 赤 | 警報:直ちに対処が要る(高優先度) | 心電図モニタの心室細動で赤が点滅 |
| 黄 | 注意(中優先度) | 心電図の電極外れで黄が点灯 |
| 緑 | 使用準備完了 | 除細動器の充電完了は赤ではない |
色の問題では、保護接地線の被覆は緑/黄(✕黒)、非常電源コンセントの外郭は一般・特別=赤、無停電=緑(1-6)が一緒に出る。
ME機器の安全は、電気的安全だけでなく機械的(可動部・転倒・落下)、熱的(表面温度・熱傷)、化学的(材料の溶出・薬剤)、放射線的(X線など)、光学的(レーザ・強い光)、生物学的(感染・生体適合性)の各面から考える。規格は「基礎安全」(害を与えないこと)と「基本性能」(臨床で必要な性能を保つこと)の両方を求める。
・「B形装着部は外部電圧の印加に対して保護されている」→ B形は保護されていない。
・「CF形装着部は接地されている」→ CF形はフローティング(非接地)。
・「内部電源ME機器の追加保護手段は補強絶縁」→ 補強絶縁はクラスⅡの追加保護手段。
・「クラスⅡの追加保護手段は基礎絶縁」→ 基礎絶縁はどのクラスにもある基礎の保護で、追加保護手段ではない。
・「通則はJIS T 0601-2」→ 通則はJIS T 0601-1、-2-Xは個別規格。
表示光の色は規格で意味が決まっている。赤は操作者が直ちに対処しなければならない状態(高優先度の警報)、黄は注意が要る状態(中優先度)、緑は使用の準備ができた状態。白・青などはそれ以外の情報表示に使う。「使用の準備が完了を示す色はどれか」の答えは緑。「操作者による即時の対処が必要を示す色」は赤。
図記号の問題は、記号の形と意味の組合せで出る。高周波非接地形患者回路はF形を示す記号で表す、「2」に斜線は単回使用(再使用禁止)。保護接地端子は円で囲んだ接地記号、等電位化端子は別の記号なので、形を図で一度確かめておく。
漏れ電流(漏洩電流)は、ME機器の機能とは関係なく、絶縁を通して外装・装着部・保護接地線などへ流れ出る電流。
| 種類 | 流れる経路 |
|---|---|
| 接地漏れ電流 | 電源部から保護接地線を通って大地へ流れる電流 |
| 接触電流 | 外装(患者や操作者が触れる部分)から人体を通って大地へ流れる電流(旧称:外装漏れ電流) |
| 患者漏れ電流 | 装着部から患者を通って大地へ流れる電流。信号入出力部(SIP/SOP)や F形装着部に外部電圧が加わった場合も含む |
| 合計患者漏れ電流 | 同じ形の装着部が複数あるときの患者漏れ電流の合計 |
| 患者測定電流 | 機能として装着部の間に流す電流(インピーダンス呼吸計の電流など)。漏れ電流ではないが許容値は同じ表で決まる |
| 電流 | B形 | BF形 | CF形 |
|---|---|---|---|
| 接地漏れ電流 | 5000 / 10000(形によらない) | ||
| 接触電流 | 100 / 500(形によらない) | ||
| 患者漏れ電流(交流) | 100 / 500 | 10 / 50 | |
| 患者漏れ電流(直流) | 10 / 50(形によらない) | ||
| 合計患者漏れ電流(交流) | 500 / 1000 | 50 / 100 | |
| 患者測定電流(交流) | 100 / 500 | 10 / 50 | |
| 患者測定電流(直流) | 10 / 50 | ||
覚え方:SFCの値はNCの5倍(接地漏れ電流だけ2倍)。CF形はB・BF形の1/10。直流は形によらずCF形と同じ10/50。
SIP/SOPに外部電圧を加えたときの直流の患者漏れ電流も形によらず10/50 µA。したがって「形の異なる機器で許容値が等しいのはどれか」の答えは、接触電流・接地漏れ電流・直流の患者漏れ電流。
①形(B・BF・CF)②交流か直流か ③NCかSFCか、の3つで表の1マスを引き、値と比べる。例:B形・直流・NCで20 µA → 許容値10 µAを超える。B形・交流・NCで50 µA、BF形・交流・SFCで100 µA、BF形・直流・NCで10 µA、CF形・直流・SFCで40 µAは許容内。
図記号から形を読ませる問題もある(読み方は1-2:四角で囲んだ人型=BF形、四角で囲んだハート=CF形、四角のない人型=B形)。BF形なら交流NCの患者測定電流は100 µA、合計患者漏れ電流は500 µA。CF形なら交流NCの患者漏れ電流は10 µA、合計なら50 µA。B・BF形の合計SFCは1000 µA。
許容値は電撃の閾値(1-1)から逆算されている。CF形の患者漏れ電流(NC)10 µAはミクロショックの閾値100 µAの1/10、B・BF形の100 µAは最小感知電流1 mAの1/10。接触電流が形によらず100 µAなのは、外装に触れる経路が体表(マクロショック)だから。接地漏れ電流は人体を通らない電流なので、5 mAと大きく許されている。
「単一故障状態」の値を使うのは、保護接地線を外したり電源導線を1本切ったりして、安全手段が1つ壊れてもまだ危険にならないことを確かめるため。SFCの値が大きく許されていても、NCで超えてはいけない。
①どの電流か(接地漏れ・接触・患者漏れ・合計患者漏れ)②交流か直流か ③装着部の形 ④NCかSFCか。とくに「直流」と書いてあれば形を見る前に10/50 µAに決まることを使うと速い。
CF形の心電計で、正常状態の患者漏れ電流(交流)を測ったらMDの読みが15 mVだった → 15 µA。CF形の許容値は10 µAなので不合格。同じ値がBF形なら許容値100 µAに収まる。
B形装着部を2つもつ機器で、正常状態の合計患者漏れ電流が600 µAなら、許容値500 µAを超える。単一故障状態なら許容値は1000 µAなので合格。「NCで超えたがSFCなら収まる」はNCで不合格と判定する。
許容値を超えた機器は使用を止め、原因(絶縁の劣化・コードの損傷・保護接地の不良など)を調べて修理し、もう一度測ってから戻す。複数の機器を同じ患者につなぐと、患者を通る漏れ電流は足し合わされるので、1台ずつは合格でも合計に注意する。
| 素子 | 値 | 役割 |
|---|---|---|
| R1 | 10 kΩ | R1とC1で遮断周波数約1 kHzの低域通過(=高域遮断・ローパス)フィルタを作る(✕高域通過) |
| C1 | 0.015 µF | |
| R2 | 1 kΩ | 人体の代表的な抵抗を模擬する。入力端子の間に入る |
回路のつながり:R1とC1の直列の枝が、R2に並列に入る。電圧計はC1の両端の電圧を読む(✕R2の両端)。C1の両端から取り出すので高い周波数ほど読みが小さくなる=低域通過。商用周波数ではC1の両端の電圧はR2の両端の電圧とほぼ等しいので、指示値をR2(1 kΩ)で割れば漏れ電流になる。
MDの合成インピーダンスは低い周波数で約1 kΩ(✕10 kΩ)。抵抗は無誘導抵抗器を使う。フィルタは1 kHz以上で閾値が上がる人体の周波数特性(1-1)を模擬しているので、高い周波数の電流ほど小さく読まれる。
漏れ電流 = 電圧計の指示値 ÷ R2(1 kΩ)。R1で割るのは誤り。
| 電圧計の指示 | 漏れ電流 |
|---|---|
| 1 mV | 1 µA |
| 50 mV | 50 µA |
| 100 mV | 100 µA |
| 1 V | 1 mA |
周波数が入る例題:10 kHzで1 mAが流れるとMDは1/10に重みづけし、0.1 mAと評価する。逆に100 kHzで読みが0.1 V(=評価値0.1 mA)なら、実際に流れた電流は100倍の10 mA。
入力抵抗1 MΩ以上(✕100 kΩ、✕10 kΩ)、入力容量150 pF以下(✕µF)、指示誤差±5%以内、周波数特性は直流から1 MHzまで(✕10 MHz)。真の実効値を読む。「出力抵抗」の規定は無い。
| MDの位置 | 測る電流 |
|---|---|
| 保護接地線の途中 | 接地漏れ電流 |
| 外装と大地(壁面の接地端子)の間 | 接触電流 |
| 装着部と大地の間 | 患者漏れ電流 |
接触電流をSFCで測るときは、保護接地線を外した状態で、外装と大地の間に入れる。
単一故障状態とは安全のための手段が1つだけ故障した状態。代表例を対比で押さえる。
| 単一故障状態に当たる(代表例) | 当たらない(誤答肢の常連) |
|---|---|
| 保護接地線の断線(3Pプラグの接地ピンの折損、機器内部の保護接地接続の開路も含む) | 強化絶縁の短絡(強化絶縁は壊れない前提) |
| 電源導線1本の断線 | 追加保護接地線の断線 |
| 絶縁のいずれか1つの短絡 | SIP/SOPやF形装着部への外部電圧の印加(これは「特別な試験条件」) |
| 沿面距離または空間距離のいずれか1つの短絡 | モータ用コンデンサの短絡、電源導線と金属筐体の接触 |
漏れ電流の測定用電源ボックスのスイッチ:S1=電源極性の切替、S2=電源導線1本の断線の模擬、S3=保護接地線の断線の模擬。S2とS3が単一故障状態をつくるスイッチ。
消費(供給)電流を測るときは電源導線の1本だけを挟む。2本まとめて挟むと往復の電流が打ち消し合い、差=漏れ電流を測ることになる。保護接地線を挟めば接地漏れ電流。
・「R1とC1で高域通過フィルタ」→ 低域通過(高い周波数を小さく評価する)。「R1とC1で高域遮断フィルタ」は正しい(高域遮断=低域通過=ローパス、同じ意味)。
・「R2は10 kΩ」「Zは10 kΩ」→ R2も合成インピーダンスも約1 kΩ。10 kΩはR1の値。
・「漏れ電流=指示値÷R1」→ R2(1 kΩ)で割る。50 mVなら50 µA。
・「電圧計の入力抵抗は100 kΩ以上」→ 1 MΩ以上。R2より十分大きくしないと読みが下がる。
・「強化絶縁の短絡は単一故障状態」→ 当たらない。「保護接地線の断線」「電源導線1本の断線」が当たる。
測定の順番の例:①電源ボックスにつなぎ、S1で極性を正・逆に切り替えて大きい方を採る ②S2・S3を閉じた正常状態でNCの値を読む ③S2またはS3を開いてSFCの値を読む。患者漏れ電流は、装着部(心電図なら全部の誘導コードをまとめた点)とMDの一端をつなぎ、MDの他端を大地につなぐ。
患者測定電流は、装着部のある電極と他の電極の間にMDを入れて測る。インピーダンス法の呼吸モニタのように、機能として微小な電流を流す機器で問題になる。漏れ電流と同じ許容値の表を使う(CF形で交流NC 10 µA)。
漏れ電流の測定は、機器を最大の定格電源電圧の110%で動かして行う、と規格で決まっている(電源電圧が高いほど漏れ電流は大きくなるため)。点検の現場では商用電源で測ることも多いが、その場合は余裕をもって判定する。
電源ボックスは、商用電源と被測定機器の間に入れる箱で、内部にS1・S2・S3のスイッチとMDの接続端子がある。図の問題では、電源の2本の線を入れ替えているスイッチがS1、電源線の片方に直列に入っているスイッチがS2、保護接地線に直列に入っているスイッチがS3と読む。
図でMDが保護接地線の途中なら接地漏れ電流、外装と壁の接地端子の間なら接触電流、患者の電極と大地の間なら患者漏れ電流、電極と電極の間なら患者測定電流。接触電流のSFCを測る図では、S3が開いて(保護接地線が外れて)いるかを見る。
①MDの電圧計が80 mVを示した → 80 µA。B形の接触電流(NC 100 µA)なら合格。
②CF形の装着部で、単一故障状態の患者漏れ電流を測ったら0.06 Vを示した → 60 µA。許容値50 µAを超えるので不合格。
③1 kHzを大きく超える周波数の漏れ電流では、MDの読みは実際に流れた電流より小さくなる。読みから実際の電流を問われたら、周波数÷1 kHzの倍率をかけて戻す。
クラスⅠ機器の保護接地が働くには、保護接地線抵抗(保護接地線のインピーダンス・保護接地回路抵抗)が十分に低い必要がある。
| 測る区間 | 許容値 |
|---|---|
| 着脱できる電源コード(インレット)の機器:インレットの保護接地ピン〜外装の保護接地された部分 | 0.1 Ω |
| 着脱できない電源コードの機器:電源プラグの接地ピン〜外装の保護接地された部分 | 0.2 Ω |
試験電流は25 Aか定格電流の1.5倍の大きい方、通電時間5〜10秒、電源の無負荷電圧6 V以下、周波数50/60 Hz。温度は規定されていない。抵抗は電圧降下÷試験電流で出す。
①定格電流×1.5と25 Aの大きい方を試験電流にする ②抵抗=電圧降下÷試験電流 ③許容値(0.1 Ωまたは0.2 Ω)と比べる。
例:消費電力500 W・100 Vの機器 → 定格5 A×1.5=7.5 A<25 A → 試験電流25 A。定格12 Aなら12×1.5=18 A<25 Aなので、やはり25 A。
例:着脱式電源コードで定格10 A → 25 A×0.1 Ω=2.5 Vを超えなければ合格。電圧降下1.5 Vなら 1.5÷25=60 mΩで合格。
保護接地線抵抗の試験では、大電流を流すのは接地線の細い部分や接触の悪い部分を見つけるため。テスタのような小さな電流では、接触不良があっても低い抵抗に見えてしまう。日常の点検では、電源コードの被覆の傷・プラグの接地ピンの曲がりや折損も目で確かめる。
・「試験電流は10 A」→ 25 Aか定格の1.5倍の大きい方。
・「試験は周囲温度を規定して行う」→ 温度の規定は無い。
・「着脱式電源コードでは0.2 Ω以下」→ 着脱式(インレット)は0.1 Ω、着脱できないコードはプラグまで含めて0.2 Ω。
例題:着脱できない電源コードの機器で、25 Aを流したときプラグの接地ピンと外装の間の電圧降下が4 Vだった → 4÷25=0.16 Ω。許容値0.2 Ω以下なので合格。同じ値でも着脱式(0.1 Ω)なら不合格。
すべての医用室に保護接地が必要。等電位接地は、患者の周りの露出した金属部分の電位差をなくす接地で、ミクロショックの対策が要る部屋(心臓カテーテル室・手術室など)に置く。
数値:壁面の接地端子から医用接地センタまでの抵抗は0.1 Ω以下(✕1 Ω)。接地幹線に建物の鉄骨(構造体)を使ってよい。等電位接地を行わない場合の接地極の接地抵抗は10 Ω以下。
目的は1線が地絡しても電源の供給を続けること(✕停電時の電源確保)。手術室・ICUなど、電源が切れると生命に関わる部屋で使う。
| 要素 | 規定(国試の語形) |
|---|---|
| 絶縁変圧器 | 容量7.5 kVA以下(✕30・50 kVA)。二次側から一次側への漏れ電流は0.1 mA以下(✕10 µA)。二次側は非接地(✕片側接地)。設備(分電盤)側に置く |
| 絶縁監視装置(アイソレーションモニタ) | 対地インピーダンスが50 kΩ以下に下がったとき、または地絡電流2 mA相当で警報(✕1 MΩ、✕1 mA) |
| そのほかの構成 | 電流監視装置・過電流警報装置は含まれる。漏電遮断器は含まれない(地絡で電源を切ってしまうため) |
絶縁監視装置が警報を出す場面:地絡が起きた、多数のME機器を使っている(漏れ電流が合算される)。鳴らない場面:絶縁抵抗が100 kΩ以上ある、負荷電流の合計が20 Aを超えた(過電流は別の装置の役目)、接地分岐線が断線した。非接地配線方式でも機器の保護接地は別に必要。全館停電のときの電源は非常電源が受け持つ(非接地配線ではできない)。
| 種類 | 立上り時間(代表値) | コンセント外郭の色 |
|---|---|---|
| 一般非常電源 | 40秒以内 | 赤 |
| 特別非常電源 | 10秒以内 | 赤 |
| 瞬時特別非常電源(蓄電池・UPSなどで構成) | 0.5秒以内 | 緑 |
誤答肢の形は「特別非常電源の外郭が緑」。緑は無停電(瞬時特別)だけ。
医用コンセント(ホスピタルグレード、15 A)の保持力は15 N以上60 N以下(JIS T 1021。選択肢では50 Nが当てはまる。1 N・5 N・10 Nは弱すぎ、75 Nは強すぎ)。医用室の電源回路は保護接地・非接地配線方式・非常電源の組合せで決まり、組合せは部屋の用途(医用室のカテゴリ)で変わる。例:MRI室(カテゴリC)や一般の透析室で必須なのは保護接地と一般または特別非常電源。
「停電対策」「漏電遮断器を置く」「二次側を片側接地」「保護接地は不要」「1 MΩで警報」「30 kVA」——どれも誤り。非接地配線方式は地絡しても止まらないことが目的と覚えれば切れる。
| 設備 | 防ぐもの |
|---|---|
| 保護接地 | マクロショック(機器の外装に漏れた電流を大地へ逃がす) |
| 等電位接地 | ミクロショック(患者の周りの金属の電位差をなくす) |
| 非接地配線方式 | 1線地絡による停電(電源を止めずに警報だけ出す) |
| 非常電源 | 商用電源の停電(発電機・蓄電池で供給する) |
何を防ぐ設備かを取り違えると誤る。停電に備えるのは非常電源、地絡しても止めないのは非接地配線方式。「1線地絡時にも電力の供給を継続するのはどれか」の答えは非接地配線方式で、無停電非常電源ではない。
非接地配線方式の回路では、二次側の電路が大地から絶縁されているので、1線が大地に触れても電流の帰り道ができず、大きな地絡電流は流れない。そのため遮断器は働かず、電源は止まらない。ただし2線目が地絡すると短絡になるので、1線目の地絡を絶縁監視装置で知らせて早く直す。
医用室の接地は、各部屋の医用接地センタに集め、そこから接地幹線で接地極へつなぐ。壁面の医用コンセントの接地極と壁面接地端子も医用接地センタへつなぐ。等電位接地では患者の周りの金属(ベッド・水道管・金属の窓枠など)を医用接地センタにつなぎ、互いの電位差を小さくする。
医用コンセントは抜けにくさ(保持力)と耐久性が一般のコンセントより高く作られている。非常電源につながるコンセントは外郭の色で見分けられるようにして、生命維持装置は非常電源のコンセントにつなぐ。
・「壁面接地端子と医用接地センタの間は1 Ω以下」→ 0.1 Ω以下。
・「等電位接地のない医用室の接地極は1 Ω以下」→ 10 Ω以下。
・「医用コンセント15 Aの保持力は75 N」→ 規定は15〜60 N(JIS T 1021)で75 Nは上限超え。選択肢なら50 N。
・「MRI室(カテゴリC)には等電位接地・非接地配線方式・無停電非常電源が必須」→ 必須なのは保護接地と一般または特別非常電源。
手術室で絶縁監視装置が警報を出した。考えるべき原因は、どれかの機器や配線で地絡が起きたこと、またはたくさんの機器を同時につないで漏れ電流の合計が増えたこと。警報が鳴っても電源は切れないので、手術は続けながら、最後につないだ機器から順に外して原因の機器を探す。
購入(機種選定)→受入試験→使用・教育→保守点検→廃棄・更新、の順に管理する。業務と評価の対応の代表例:機種選定=経済的評価、受入試験=臨床的評価、保守点検=稼働率、廃棄=MTBF。教育・訓練をベンチテストで評価するのは誤り。機器はバーコード・RFIDを使う機器管理データベースで管理し、点検・修理の履歴を残す。
| 点検の種類 | 正しい記述 | 誤答肢の形 |
|---|---|---|
| 外観点検 | 目視に加え、手で触れて緩み・破損を確かめる | 手を触れずに目視だけ |
| 作動点検 | 正しく動くかを確かめる | 使用前だけの点検 |
| 安全性点検 | 漏れ電流・保護接地線抵抗など | オーバーホールを含む |
| 性能点検 | 測定器で定量的に確かめる | 定性的試験 |
| 故障点検 | 故障の原因究明が目的 | — |
清拭・流量精度の測定・フィルタ交換・標準ガスでの校正は保守点検に含まれる。劣化した部品の修理は保守点検に含まれない。
インシデント=患者に実害が無かったもの、アクシデント=実害があったもの。1件のアクシデントの背景には多数のインシデントがある(ハインリッヒの法則)ので、怪我がなくても報告する。報告は個人の責任追及でなく、仕組みの改善に使う。患者確認は毎回、本人にフルネームを名乗ってもらう。
| 機器・状況 | 起こりうる害 |
|---|---|
| 電気メス | 熱傷、アルコール消毒の直後は火災 |
| レーザメス | 眼の傷害 |
| 経皮的血液ガス(tcPO2)電極の長時間装着 | 水疱・熱傷(電極を加温するため) |
| 熱希釈式心拍出量計(カテーテル) | 不整脈 |
| 空調管理の不備 | 感染 |
| 酸素ボンベのバルブの急な開放 | 発火(圧力調整器内の気体の断熱圧縮で高温になる。バルブはゆっくり開ける) |
キャビテーションは超音波の作用なので、マイクロ波加温装置と組み合わせる肢は誤り。100 V側の電源導線が開路しても電流が流れないので感電は考えにくい。
事故が起きたら、①状況の把握 ②原因の分析 ③再発防止策の立案 ④対処策の事後評価、の順に進める。個人の責任の追及はリスクマネジメントのあり方として適切でない(報告が出なくなるため)。
医療機器の安全管理の土台は、病院の機器を中央管理して、どの機器がいつ点検されたかを一元的に追えるようにすること。機器を貸し出し・回収する方式にすると、点検の済んだ機器だけが使われる。
清拭(血液浄化装置の外装)・精度の測定(輸液ポンプの流量)・消耗品の交換(人工呼吸器のバクテリアフィルタ)・校正(カプノメータを標準ガスで)は含まれる。劣化した電源プラグの修理は含まれない(修理は点検で見つけた不具合への是正)。
購入評価:性能・安全性・操作性・保守のしやすさ・費用を比べて機種を選ぶ。受入試験:納入された機器が仕様どおり動き、安全基準(漏れ電流・保護接地線抵抗など)を満たすかを使う前に確かめる。安全教育・訓練:使う職員に操作と異常時の対応を教える。廃棄・更新:故障の増え方(摩耗故障期間に入ったか)・修理費・部品の供給終了から判断する。
臨床工学技士は、こうした機器管理を病院の中で担う職種で、生命維持管理装置の操作と保守点検を医師の指示の下で行う。
| ガス | 押さえる性質 |
|---|---|
| 酸素 O2 | 比重(空気=1)約1.1(✕1.5)。支燃性で、自分は燃えないが他の物の燃焼を助ける |
| 亜酸化窒素 N2O(一酸化二窒素・笑気) | 支燃性。20℃・15 MPa程度の圧力で液化する |
| 二酸化炭素 CO2 | 臨界温度 約31℃。室温で圧縮すると液化する |
| 窒素 N2 | 沸点 約−196℃。不活性 |
| ヘリウム He | 軽く、ヘリウム中の音速は空気中の約3倍 |
| 空気 | 酸素を約21%含むので支燃性をもつ |
「支燃性があるのはどれか」で答えになるのは酸素・空気・亜酸化窒素(一酸化二窒素)。「20℃で圧縮すると液化するのはどれか」の答えはCO2とN2O(臨界温度が室温より高い)。液化ガスは圧力でなく重量で残量を管理する。
| ガス | 容器の塗色 |
|---|---|
| 酸素 | 黒 |
| 二酸化炭素 | 緑 |
| それ以外(空気・亜酸化窒素・窒素・ヘリウム) | ねずみ色 |
配管の識別色(1-9)と逆転しているのが最大の落とし穴。酸素は容器が黒・配管が緑、二酸化炭素は容器が緑・配管がだいだい。「N2Oの容器は青」「空気の容器は黄」は配管の色との取り違え。
容器は換気の良い場所(✕気密の部屋)に置き、40℃以下に保ち、転倒しないよう固定する。充塡容器と残ガス容器は区別して置く。可燃性ガスの容器は区分して置く。酸素ボンベのバルブを急に開けると、断熱圧縮で温度が上がり発火することがあるので、ゆっくり開ける。小型ボンベの接続はヨーク形(ピン方式で誤接続を防ぐ)、40 Lの大型ボンベはねじ(おねじ)で接続する。
大気圧でのガス量(L)= 内容積(L)× 圧力(MPa)÷ 0.1(0.1 MPa≒大気圧として、圧力を何気圧分かに直す)。使用可能時間=ガス量÷流量。
①内容積10 L・5 MPa → 10×5÷0.1=500 L。
②内容積3.5 L・10 MPa → 350 L。5 L/minで使うと350÷5=70分。
③2 L/minで600分使う → 1200 L必要。内容積40 Lなら 1200÷40×0.1=3 MPa以上残っていればよい。
④4 L/minで600分 → 2400 L必要。内容積3.5 L・15 MPaのボンベ1本は525 L → 2400÷525≒4.6 → 5本。
⑤液化CO2 2.5 kg → 2500 g÷44 g/mol≒56.8 mol、×22.4 L/mol≒1270 L → 約1200 L。
単位をそろえる。圧力がkPaで書いてあれば1000で割ってMPaにする(14.7 MPa=14700 kPa)。「何分使えるか」は、計算したガス量(L)を流量(L/min)で割る。「何MPa必要か」は、必要量(L)÷内容積(L)×0.1で戻す。ボンベの本数は割り切れなければ切り上げる。
液化ガス(CO2・N2O)は、容器の中で液体と気体が共存し、液体が残っている間は圧力がほぼ一定なので、圧力計の値で残量は分からない。重量を量り、モル数×22.4 Lで気体の量に直す。
・「酸素の比重は約1.5」→ 約1.1。
・「二酸化炭素・ヘリウム・窒素には支燃性がある」→ 支燃性があるのは酸素・空気・亜酸化窒素。
・「窒素や空気は20℃・15 MPaで液化する」→ 液化するのはCO2とN2O。
・「ボンベは気密性の高い部屋に保管する」→ 換気の良い場所。
移動するときは容器を転がしたり投げたりせず、キャップを付けて台車で運ぶ。消費するときはバルブをゆっくり開ける。酸素の容器やバルブに油脂を付けない(酸素中で油脂は激しく燃える)。容器の近くで火気を使わない。使い終わった容器は残ガス容器として区別して返す。
医療ガスの危険性は、物理的(高圧・低温による凍傷・容器の転倒)、化学的(支燃性による火災・爆発、窒素などによる酸素欠乏)、生物学的(配管や空気の汚染による感染)の面から考える。
搬送に酸素を3 L/minで60分使う。必要量は180 L。内容積2 Lのボンベなら、180÷2×0.1=9 MPa以上残っていれば足りる。実際には余裕をみて、計算値より多めに残っているボンベを選ぶ。
供給源の代表例:マニフォールド(ボンベを複数つないで自動で切り替える)、CE(定置式超低温液化ガス貯槽)(液体酸素を蒸発させて送る)、空気はエアコンプレッサか、酸素と窒素を混ぜてつくる合成空気、吸引は吸引ポンプ。
| ガス | 配管・端末器の識別色 | 標準送気圧力(代表値) |
|---|---|---|
| 酸素 | 緑 | 約400 kPa |
| 亜酸化窒素 | 青 | 約400 kPa |
| 治療用空気 | 黄 | 約400 kPa |
| 二酸化炭素 | だいだい | 約400 kPa |
| 手術機器駆動用窒素(空気) | 灰(窒素) | 約900 kPa(最も高い) |
| 吸引 | 黒 | 大気圧より低い(陰圧) |
配管端末器(アウトレット)はガスごとに形を変えて、他のガスのアダプタが入らないようにする。方式の代表例:ピン方式(ピンの位置・角度がガスごとに違う)、シュレーダ方式(径の違い)、DISS、カプラK方式。「おねじ」はガス別特定の方式に当たらない。ホースアセンブリ・遮断弁(区域別遮断弁)・警報設備も配管設備の一部。
ピン方式の端末器は、中央のガスの出口の周りに2〜3本のピンがあり、ピンの数と、上のピンから測った次のピンまでの角度がガスごとに違う。図から選ぶ問題で確かめられている対応は次の2つ。
| ピン配置 | ガス | 見分け方 |
|---|---|---|
| 2本・45° | 二酸化炭素 | 2本が隣り合う、いちばん狭い角度 |
| 2本・180°(中央を挟んで向かい合う) | 手術機器駆動用窒素 | 標準送気圧力が最も高い(約900 kPa)端末器を選ぶ問題の答え |
選択肢の図には、ほかに2本・135°、2本・90°、3本・120°ずつの配置が並ぶ(酸素・亜酸化窒素・治療用空気・吸引などの配置)。「二酸化炭素はどれか」なら45°、「送気圧力が最も高いのはどれか」なら180°の対向2本を選ぶ。
警報設備は、送気圧力の異常(上昇・低下)や供給源の切替を知らせる。区域別遮断弁は火災など緊急時にその区域の供給を止めるためのもの。
病院には医療ガス安全管理委員会を置き、医療ガス設備の保守点検・工事の監督・事故時の対応を担う。配管設備は日常点検と定期点検を行い、工事の後は誤接続がないかガス種の確認試験をする。
容器(ボンベ):酸素=黒、CO2=緑、ほか=ねずみ色。
配管・端末器:酸素=緑、N2O=青、治療用空気=黄、CO2=だいだい、吸引=黒。
「二酸化炭素のアウトレットの識別色はどれか」ならだいだい。「標準送気圧力が最も高いのは」なら手術機器駆動用窒素。
ガス別特定の使われ方の代表例:配管端末器にはピン方式・シュレーダ方式、麻酔器などの機器側の接続にはDISS、小型ボンベにはヨーク形(ピン方式)、大型ボンベにはおねじ。「配管端末器のガス別特定コネクタでないのはどれか」で答えになるのはおねじ。
供給源から出たガスは主遮断弁を通り、病棟ごと・区域ごとの区域別遮断弁(シャットオフバルブ)を経て配管端末器に届く。警報設備は送気圧力の上昇・低下や、供給源の切替・残量低下を知らせる。工事の後にはガス種が正しい端末器から出るかを確かめる試験を行い、誤接続を防ぐ。
ボンベのガス別特定は大きさで違う:40 Lの大型ボンベは容器弁出口のねじの形で区別する(二酸化炭素の大型ボンベはおねじ)。ヨーク形(+ピン方式)は小型ボンベ用で、大型ボンベには使わない。DISS・NISTはどちらもホースアセンブリと機器(麻酔器・人工呼吸器など)をつなぐねじ式の接続方式で、ボンベには使わない。
| 期間 | 故障率 | 原因と対策 |
|---|---|---|
| 初期故障期間 | 時間とともに減少 | 製造時の不備などが早いうちに表に出る。受入試験・エージングで取り除く |
| 偶発故障期間 | 低く一定 | 偶然の故障。MTBFで表す期間 |
| 摩耗故障期間 | 時間とともに増加 | 劣化による。予防保全・部品交換・更新で対処する |
信頼度Rは「決められた期間、故障せずに働く確率」。
直列系:R = R1 × R2 × …(つなぐほど信頼度は下がる)
並列系:R = 1 −(1 − R1)×(1 − R2)× …(1つでも動けばよい)
信頼度0.3の要素を4個並列 → 1−0.7^4=1−0.2401≒0.76。
アベイラビリティ(定常アベイラビリティ・固有アベイラビリティ・稼働率) A = MTBF ÷(MTBF + MTTR)。MTBF 180時間・MTTR 10時間 → 180/190=18/19。A=0.9・MTTR 20時間 → 0.9=MTBF/(MTBF+20) → MTBF=180時間。
| 指標 | 意味(国試の語形) | 誤答肢の形 |
|---|---|---|
| MTBF | 平均故障間隔(故障から次の故障までの平均動作時間) | 平均動作不能時間、修理時間の平均 |
| MTTR | 平均修復時間。保守点検の体制を整えると短縮できる | 保守点検で延長する |
| 故障率 λ | 1/MTBF(偶発故障期間) | — |
| アベイラビリティ(定常・固有) | 機器が使える状態にある時間の割合 | — |
FMEA(故障モード影響解析)=部品の故障の仕方からシステム全体への影響を下から上へ調べる。FTA(故障の木解析)=起きてほしくない事象から原因を上から下へ木の形でたどる。
| 考え方 | 意味 | 代表例 |
|---|---|---|
| フェイルセーフ | 故障や異常が起きても安全な側に止まる | 電気メスの対極板コード断線の検知で出力停止、麻酔器で酸素の供給が止まると亜酸化窒素も遮断 |
| フールプルーフ | 誤った操作そのものをできなくする | 配管端末器のピン方式、ボンベのヨーク形バルブ(ピン方式)、体外式ペースメーカの電源スイッチ(不用意に切れない構造) |
| 多重系(冗長系) | 同じ働きを複数持たせる | バッテリの搭載(停電時のバックアップ) |
| 警報システム | 異常を知らせる | 各種アラーム・酸素供給圧警報 |
| デッドマンシステム | 操作者が手を離すと止まる | 押している間だけ動くスイッチ |
フェイルセーフは異常が起きた後に安全側へ動く、フールプルーフは誤りを起こす前に物理的に防ぐ。全身麻酔の場面で「フールプルーフはどれか」と聞かれたら配管端末器のピン方式。マンマシンインタフェースでは、操作と機能の対応が直感的に分かる配置・表示にする。
フェイルセーフ:電気メスの対極板コード断線検知機構、麻酔器の酸素供給停止時の亜酸化窒素ガス遮断装置、医療ガス流量計の低酸素防止装置。
フールプルーフ:医療ガス配管端末器のピン方式、医療ガスボンベのヨーク形バルブ、体外式ペースメーカの電源スイッチ。
どちらでもない:IABP装置や除細動器のバッテリ搭載は多重系、心電図モニタの不整脈アラームやIABPのガスリークアラームは警報システム。
直列と並列の考え方は、ME機器の安全設計にも出てくる。要素を直列につなぐと1つの故障で全体が止まるので信頼度はどの要素よりも低くなる。並列(冗長)にすると全部が壊れない限り動くので信頼度は上がる。例:信頼度0.9の要素を2個直列なら0.81、2個並列なら1−0.01=0.99。
偶発故障期間では故障率λが一定で、λ = 1 ÷ MTBF。例:MTBF 1000時間 → λ=0.001/時間。MTBF = 総動作時間 ÷ 故障回数、MTTR = 総修復時間 ÷ 修復回数。例:1000時間の運用中に故障が4回、修理に合計20時間かかった → MTBF=(1000−20)÷4=245時間、MTTR=20÷4=5時間。
アベイラビリティを上げるには、MTBFを延ばす(壊れにくくする)か、MTTRを縮める(早く直す)。予備機を用意する・部品を院内に置く・点検の手順を決めておくことはMTTRを縮める。
システム安全の考え方では、①危険(ハザード)を洗い出す ②起こりやすさと重大さからリスクを見積もる ③設計で取り除く→保護装置を付ける→警告・教育で補う、の順に対策する。人の注意に頼る対策は最後の手段で、まず設計で誤りが起きない・起きても害にならない形にする。フールプルーフ・フェイルセーフ・多重系はこの「設計で防ぐ」手段にあたる。
FMEAとFTAの使い分け:部品の一つ一つについて「こう壊れたら何が起こるか」を表にするのがFMEA、「患者に過量投与される」のような結果から原因の組合せ(ANDとOR)をたどるのがFTA。
麻酔器で複数の流量計のうち酸素流量計を最右端(ガスの合流部に最も近い下流側)に置くのは、他のガスの流量計が破損して漏れても酸素が失われにくくする配置上の安全策で、フールプルーフではない(誤接続・誤操作を物理的にできなくする機構ではない)。同じく、ガス遮断装置・低酸素防止装置は異常時に安全側へ働くフェイルセーフ側、酸素供給圧警報装置は警報システムで、どれもフールプルーフではない。
| 略語 | 国試の語形 | 意味 |
|---|---|---|
| EMC | 電磁両立性 | エミッションとイミュニティの両方を満たし、周りと共存できること |
| エミッション | 電磁妨害の放出 | 機器が周りに妨害を出すこと |
| イミュニティ | 妨害排除能力(耐性) | 外からの妨害に耐えて正常に動く能力 |
| EMI | 電磁妨害 | 電磁気による妨害 |
| ESD | 静電気放電 | — |
| SAR | 比吸収率 | 電磁波の人体への吸収量 |
ME機器のEMCはJIS T 0601-1-2。イミュニティ試験は静電気放電・放射無線周波電磁界(無線の電波)・ファストトランジェント(火花放電)・雷サージ(雷誘導電圧)などを想定する。電離放射線は想定していない。植込み型医療機器のEMC(イミュニティ)は、ISOの個別の規格(ISO 14117など)で定められている。ISM装置(高周波を使う産業・科学・医療用装置)は電波法で、一定以上の出力のものは高周波利用設備として届け出が要る。
指針の目安:植込み型医療機器からは15 cm程度離す、植込み型でない医療機器からは1 m程度離す(代表値)。電波の状況が悪いと携帯電話の送信出力は大きくなる。着信のときも電波を出す。無線LANの電波で影響を受けるME機器もあるので、病院として周波数・機器を管理する。
送信出力は規定で上げられないので、受信範囲を広げるには受信アンテナの増設とブースタを使う。チャネルは無線チャネル管理者が一元管理し、ゾーン(色)で区分して運用規定を作る。
| 混信の原因になる(代表例) | 原因にならない |
|---|---|
| 隣接(近接)チャネルの送信機 | ゾーン表示色が異なる送信機 |
| メーカが違っても同じチャネルの送信機 | 同一ゾーン・同一バンドで別チャネルの送信機 |
| テレコントロールと共用する帯域(バンド3) | 携帯電話 |
| 近隣の病院のテレメータ、工事用クレーンのリモコン | — |
2つの物を摩擦すると両方に逆符号の電荷が帯電する。絶縁抵抗の大きい物体ほど電荷が逃げず帯電量が大きい。湿度が高いと帯電しにくい。接地は静電気の除去に有効。導体・液体の電荷は表面に分布する。静電シールドは、対象を接地した導体ですき間なく包む方法(絶縁体や接地しない導体では効かない)。
「妨害に耐える能力(妨害排除能力)」=immunity、「妨害を出すこと」=emission、「妨害抑制能力と妨害排除能力の両立」=EMC。EMIは妨害そのもの、ESDは静電気放電、SARは吸収の指標で、能力を表す語ではない。
携帯電話の肢:「電波状況が悪いと出力が小さくなる」は誤り(悪いと大きくなる)。受信状態がよいと送信出力は小さくなる。
テレメータの肢:「受信範囲を広げるには送信出力を上げる」「携帯電話の電波がテレメータの受信に影響する」は誤り。工事用クレーンのリモコンは同じ周波数帯を使うことがあり、受信に影響しうる。
電磁妨害の対策は、出す側(エミッションを減らす)、伝わる経路(離す・シールドする・接地する)、受ける側(イミュニティを上げる)の3か所で考える。病院では、機器の配置と使ってよい無線機器・場所のルールを決め、職員に周知する。
医用テレメータは特定小電力無線局の一種で、免許は要らないが、使える周波数帯(バンド)とチャネルが決まっている。同じ病院の中で同じチャネルを重複して使わないよう、無線チャネル管理者が台帳で管理する。病棟ごとにゾーン(色で表示)を割り当て、送信機にはゾーンの色のラベルを付けて取り違えを防ぐ。
受信の不良は、電池切れ・送信機の故障・アンテナの断線・混信・送信機が受信範囲の外に出たこと、などで起こる。受信範囲を広げたいときは受信アンテナを増やす。
乾燥した冬の手術室・ICUでは、人や寝具が帯電しやすい。静電気放電はME機器の誤作動や電子部品の破壊の原因になり、可燃性の麻酔ガスや高濃度酸素の下では着火源にもなる。対策は、加湿(湿度を保つ)、導電性の床や靴、機器や人の接地。
電波を出す設備は電波法で管理される。通信を目的とせず高周波エネルギーを使う装置(ISM装置。医療では電気メス・マイクロ波治療器・ハイパーサーミア装置など)は、一定以上の出力なら高周波利用設備として許可や届け出が要る。漏れ出た高周波は通信や他のME機器への妨害源になるので、設置場所と運用を管理する。
| 法律・通知 | 押さえる中身 |
|---|---|
| 臨床工学技士法 | 業務は医師の指示の下での生命維持管理装置の操作と保守点検。具体的な範囲は臨床工学技士基本業務指針で示される |
| 医療法 | 医療機器安全管理責任者の配置を義務づけるのは医療法(改正医療法)。医薬品安全管理責任者の配置・院内感染対策委員会の設置も医療安全管理体制として求められる |
| 医薬品医療機器等法(薬機法) | 医療機器の定義、危険度によるクラス分類(一般・管理・高度管理)、再評価制度 |
| 製造物責任法(PL法) | 製品の欠陥による損害は製造業者が過失の有無を問わず賠償する(無過失責任) |
| 立会いに関する基準 | 医療機器の販売業者などが医療現場に立ち会うときの範囲を定めた業界の基準 |
特に安全使用の研修(年2回程度)が求められる機器の代表例:人工心肺装置・補助循環装置(PCPSなど)、人工呼吸器、血液浄化装置、除細動装置(AEDを除く)、閉鎖式保育器、診療用高エネルギー放射線発生装置、診療用粒子線照射装置。電気メス・内視鏡・AEDはこの対象に入らない。
高度管理医療機器(クラスⅢ・Ⅳ)の代表例:輸液ポンプ、除細動器、人工呼吸器。MR装置・X線CT・電子内視鏡・血液加温器・電動式低圧吸引器は高度管理医療機器ではない(管理医療機器など)。
「医療機器安全管理責任者を置く」=医療法、「医療機器のクラス分類・再評価」=医薬品医療機器等法、「欠陥製品の賠償」=PL法(責任を負うのは製造業者)、「臨床工学技士の業務」=臨床工学技士法。
答えになるのは経皮的心肺補助装置(PCPS)や閉鎖式保育器のような、生命維持に直結し操作を誤ると重大な結果になる機器。電気メス・消化管内視鏡・AEDはここでは誤答肢。「医療安全管理体制として求められる」配置・設置は、医療機器安全管理責任者・医薬品安全管理責任者・院内感染防止対策委員会。健康増進事業実施者や地域医療連携体制整備責任者は誤答肢。
医療機器安全管理責任者の業務の代表例:職員への医療機器の安全使用のための研修、保守点検に関する計画の策定と適切な実施、安全使用に必要な情報の収集と改善のための方策の実施。医師・歯科医師・薬剤師・看護師・臨床工学技士などの常勤職員が就く。
PL法の要点:賠償責任を問われるのは製造業者(輸入業者・表示をした者を含む)で、医療機器安全管理責任者・病院管理者・販売業者ではない。欠陥とは、通常あるべき安全性を欠いていること。
医療機器は、人や動物の病気の診断・治療・予防に使うこと、または体の構造・機能に影響を与えることを目的とする機械器具などで、政令で定めるもの。人体へのリスクの大きさで一般医療機器(クラスⅠ)・管理医療機器(クラスⅡ)・高度管理医療機器(クラスⅢ・Ⅳ)に分ける。再評価制度は、承認後の機器について、その時点の知見で有効性・安全性を見直す仕組み。