力学・材料・流体・波・熱の物理を、医療機器と生体に当てはめて問う章。毎回ほぼ同じ型で、流体(レイノルズ数・ハーゲン・ポアズイユ・ベルヌーイ)と血液の流れ、熱と気体、音とドプラ効果、応力とひずみがそれぞれ毎年1〜2問ずつ出る。計算問題は式を1本知っていれば解ける形がほとんどなので、各節の「解き方の手順」と例題をなぞり、単位をそろえてから代入する習慣をつける。
基本単位はkg・m・s(電気が絡めばA)。組立単位は定義式から自分で分解する。出発点はF=ma。
| 物理量 | 定義 | 単位 | SI基本単位 |
|---|---|---|---|
| 力 | 質量×加速度 | N | kg・m/s²(kg・m・s⁻²) |
| 圧力・応力 | 力÷面積 | Pa=N/m² | kg・m⁻¹・s⁻² |
| 仕事・エネルギー・熱量 | 力×距離 | J=N・m | kg・m²・s⁻² |
| 仕事率 | 仕事÷時間 | W=J/s | kg・m²・s⁻³ |
| 運動量・力積 | 質量×速度 | kg・m/s=N・s | kg・m・s⁻¹ |
| 電荷 | 電流×時間 | C | A・s(A/sではない) |
| 磁束 | 電圧×時間 | Wb | V・s |
| 吸収線量 | エネルギー÷質量 | Gy | J/kg |
手順:①定義式を書く ②各量をkg・m・sに直す ③約分する。例:ダンパ定数c=F/v =(kg・m・s⁻²)÷(m・s⁻¹)=kg・s⁻¹。ばね定数k=F/x=kg・s⁻²(1-3)。
| ベクトル量(大きさ+向き) | スカラー量(大きさだけ) |
|---|---|
| 力・変位・速度・加速度・運動量・力積・モーメント | 質量・時間・仕事(仕事量)・エネルギー・温度・速さ・距離 |
仕事は力と変位の内積なので、ベクトルどうしからできてもスカラー。運動量は質量(スカラー)×速度(ベクトル)なのでベクトル。
力の三要素は大きさ・向き・作用点。代表的な力は重力(W=mg、g=9.8 m/s²)、バネの力(F=kx)、摩擦力(F=μN、Nは垂直抗力)。摩擦係数は力÷力なので単位がない(「m/sである」は誤り)。作用反作用は、2つの物体の間で大きさが等しく向きが逆の力が同時に働くこと(同じ物体に働く2力のつり合いとは別)。
糸でつるしたおもりの張力:静止なら張力=重力。質量はkgに直す。例:500 g → 0.5 kg × 9.8 = 4.9 N。
M=F・r・sinθ(θは腕と力のなす角)。回転中心を通る力はモーメントを生まない。腕に平行な成分(cos側)は回転に効かない。静止なら時計回りのモーメントの和=反時計回りの和。
解き方の手順:①回転中心を決める ②各力の作用線を延ばし、中心からの垂直距離を出す(斜めなら sin か cos を掛ける) ③向き(時計・反時計)で符号を付けて和=0。
例題1:点滴スタンドの支柱から水平に10 cmの位置に500 gの輸液バッグ。支柱に働くモーメントは? → F=0.5×9.8=4.9 N、r=0.1 m。M=4.9×0.1=0.49 N・m(cmをmに直し忘れると49)。
例題2:長さ1.0 mの軽い棒の中点を支点にし、片端に100 gのおもり。棒を水平から60°傾けたときのモーメントは? → 重力0.98 N、支点からおもりまで0.5 m。重力は鉛直なので垂直距離は 0.5×cos60°=0.25 m。M=0.98×0.25≒0.25 N・m。棒を傾けると腕の水平成分が縮むので、モーメントは水平のときより小さい。
図の式を選ぶ問題では、支点を通る力(支点反力など)の項が入った式と、腕に平行な成分(cos)を使った式を切る。
速度は位置の時間変化、加速度は速度の時間変化。グラフではv-tグラフの面積が移動距離、a-tグラフの面積が速度の変化。
| 等加速度直線運動の3式 | 使う場面 |
|---|---|
| v=v₀+at | 時間がわかっている |
| x=v₀t+½at² | 時間と距離 |
| v²-v₀²=2ax | 時間が出てこない(止まるまでの距離など) |
加速度が区間ごとに変わるグラフ(a-t図)は、①区間ごとに速度の変化(a×t)を足してv-t図を描く ②v-t図の面積を区間ごとに足す、の2段で解く。
第1法則=慣性の法則、第2法則=運動方程式 ma=F、第3法則=作用反作用の法則。運動方程式のFは物体に働く力の合力(押す力から摩擦を引いた正味の力)。
例題1(摩擦のある床で並べた箱):質量4・6・10 kgの箱を並べ、60 Nで押す。動摩擦係数0.2。 → まとめて1つ(20 kg)とみる。摩擦=0.2×20×9.8≒39 N。正味の力≒21 N。a=21÷20≒1 m/s²。並べた箱はすべて同じ加速度で動くので、どの箱の加速度を聞かれても同じ。
例題2(制動力):50 kgの物体が10 m/sで動き、一定の力で25 m進んで止まった。 → v²-v₀²=2ax より 0-100=2a×25、a=-2 m/s²。F=50×2=100 N。
例題3(摩擦のない斜面):傾き30°の斜面を静止から滑る。3秒で進む距離は? → 斜面方向の加速度=g sin30°=4.9 m/s²。x=½×4.9×3²≒22 m。摩擦がなければ、斜面の加速度は質量によらない。
鉛直方向は重力で減速し、水平方向は速度が変わらない。
速さv=rω(ωは角速度 rad/s)。向心加速度は円の中心を向き、大きさは v²/r=rω²。
向心力 F=mv²/r=mrω²。比の問題は式に倍率を入れる。例:質量0.5倍・角速度2倍・半径0.5倍 → 0.5×0.5×2²=1倍。周速度vで書くか角速度ωで書くかで、半径の効き方が逆になるのに注意(mv²/rとmrω²)。
回転運動では、力に当たるのがトルク(力のモーメント)、質量に当たるのが慣性モーメント。トルクが角加速度を生む(並進のF=maに対応)。
| 量 | 式 |
|---|---|
| 仕事 | W=Fx(力の向きの移動距離) |
| 運動エネルギー | ½mv² |
| 位置エネルギー(重力) | mgh |
| 弾性エネルギー(バネ) | ½kx² |
| 仕事率 | P=W/t=Fv(単位W) |
摩擦がなければ力学的エネルギー(運動+位置)は保存される。例題:7 m/sで滑ってきた物体が摩擦のない斜面を登る最高点の高さは? → ½mv²=mgh より h=v²/2g=49÷19.6=2.5 m。質量も斜面の角度も答えに関係しない。
周期は質量が大きいほど長く、バネ定数が大きい(硬い)ほど短い。振幅には関係しない。振動数 f=1/T。単振り子は T=2π√(L/g)(おもりの質量に関係しない)。
解き方の手順:①単位をkg・N/mにそろえる ②√(m/k) を先に計算 ③2π(≒6.28)を掛ける。
例題1:k=400 N/m、m=1 kg。 → √(1/400)=1/20=0.05。T=6.28×0.05≒0.31 s。
例題2(逆算):k=400 N/m で T=0.3 s。質量は? → m=k(T/2π)²=400×(0.3/6.28)²=400×0.00228≒0.9 kg(約1 kg)。
例題3(比):周期を2倍にしたい。 → T∝√(m/k) なので m/k を4倍にする。質量2倍・バネ定数1/2なら 2÷(1/2)=4 で2倍になる。質量2倍だけでは√2倍。
運動方程式は m・x″+c・x′+k・x=F。質量は加速度に、ダンパ(ダッシュポット)は速度に、バネは変位に比例する力を出す。
| 要素 | 力が比例するもの | 係数の次元 |
|---|---|---|
| 質量 m | 加速度 | kg |
| ダンパ(ダッシュポット) c | 速度 | kg・s⁻¹(N・s/m) |
| バネ k | 変位 | kg・s⁻²(N/m) |
運動方程式の各項はすべて力(N=kg・m・s⁻²)なので、係数の次元は「力÷掛かっている量」で出る。ダンパ定数は力÷速度、バネ定数は力÷変位。質量×加速度、ダンパ定数×速度、バネ定数×変位のどれを計算してもkg・m・s⁻²にそろうことで検算できる。ダッシュポットは油の粘性抵抗で速度に比例した力を出す要素で、粘弾性のモデル(1-5)にも同じ記号で出てくる。バネはエネルギーをためて返し、ダンパはエネルギーを熱に変えて失わせるので、減衰の原因はダンパ側にある。
| 量 | 定義 | 単位 |
|---|---|---|
| 応力σ | 単位面積あたりの力(荷重) F/A | Pa(圧力と同じ) |
| ひずみε | 変形量÷元の長さ ΔL/L | 無次元 |
| ヤング率(縦弾性係数・縦弾性率)E | 応力÷ひずみ(弾性域の傾き) | Pa |
| ポアソン比ν | 横ひずみ÷縦ひずみ(大きさの比) | 無次元 |
| せん断ひずみ・せん断応力 | ずれの角度/面に平行な力÷面積。比が横弾性係数 | 無次元/Pa |
切る肢:ひずみは「単位面積あたり」ではなく元の長さあたりの変形量。弾性率は応力をひずみで割ったもの(ひずみ÷応力は逆)。ポアソン比は「縦ひずみ/横ひずみ」ではない。せん断ひずみとせん断応力は等しくない(単位も違う)。応力は荷重に比例し、断面積に反比例する。
フックの法則:弾性域では応力とひずみが比例する(σ=Eε)。同じ棒なら荷重Fと伸びΔLが比例する。ヤング率は引張荷重か圧縮荷重をかけて求める(せん断・曲げ・ねじりは別の係数)。
手順:①断面積をm²に(1 mm²=10⁻⁶ m²) ②σ=F/A ③ε=ΔL/L(長さの単位をそろえる) ④E=σ/ε ⑤GPa=10⁹ Pa に直す。
例題:長さ1.2 m・断面積4.0 mm²の線を8.0 Nで引くと1.2 mm伸びた。 → σ=8.0÷(4.0×10⁻⁶)=2.0×10⁶ Pa。ε=1.2 mm÷1200 mm=1.0×10⁻³。E=2.0×10⁹ Pa=2.0 GPa。
引っ張ると長さ方向に伸び、直径方向に縮む(横ひずみ=(D₁-D₂)/D₁ のように元の直径で割る)。ポアソン比は材料に固有の値で、通常は0〜0.5の正の値。
変形しても体積が変わらない材料のポアソン比は0.5。生体軟組織はほぼ非圧縮なので約0.5、鉄鋼などの金属は約0.3。生体軟組織のほうが鉄鋼より大きい(「小さい」「約1.0」は誤り)。
例題:長さ10 cmの円柱を引くと1 cm伸びた。ポアソン比0.3。直径は何倍? → 縦ひずみ0.1、横ひずみ=0.3×0.1=0.03(縮む)。直径は 1-0.03=0.97倍。
ヤング率の大小(硬さの順):骨 > 腱・靱帯 > 筋・軟部組織。腱は筋より硬く、骨は筋より硬い。血管壁ではコラーゲンが硬く、エラスチンが軟らかい(エラスチンのヤング率はコラーゲンより小さい)。動脈の生理的な径変化(円周方向の変形)は数%〜約10%程度で、20%は過大。粘性率の単位はPa・s、ずり速度(せん断速度)の単位はs⁻¹(1-7)。
引張試験で応力-ひずみ線図が得られ、その弾性域の傾きからヤング率が出る。順序は比例限度 → 弾性限度 → 降伏点 → 引張強さ(最大応力) → 破断。
| 点・領域 | 中身 |
|---|---|
| 比例限度 | ここまで応力とひずみが比例する。比例限度の応力は弾性限度より小さい |
| 弾性限度 | ここまでなら荷重を除くと元の形に戻る |
| 降伏点 | 応力がほとんど増えないのにひずみが増え続ける(降伏)。軟鋼には上降伏点・下降伏点がある |
| 耐力(0.2%耐力) | 降伏点がはっきりしない材料(非鉄金属など)で、除荷後に0.2%の永久ひずみが残る応力。耐力相当の外力を与えると永久ひずみが残る |
| 引張強さ | 線図の最大応力。その後くびれて破断 |
非鉄金属(アルミ・銅など)ははっきりした上降伏点を示さないので、「非鉄金属で上降伏点が存在する」は誤り。
塑性変形は降伏をこえて起こり、荷重を除いても元に戻らない。残る変形が永久ひずみ(残留ひずみ)。
応力集中:穴・切欠き・断面の急な変化の周りで応力が局所的に大きくなる(破壊の起点)。安全率=基準となる強さ÷許容応力(1より大きくとる)。
例題(安全率):引張強さ400 MPaの材料を安全率4で使う。許容応力は? → 400÷4=100 MPa。安全率を大きくとるほど許容応力は小さくなり、設計は安全側になる。断面積10 mm²の部材なら、かけてよい荷重は 100×10⁶×10×10⁻⁶=1000 N。
粘弾性はバネ(弾性)とダッシュポット(粘性)の両方の性質をもつこと。生体組織は弾性要素と粘性要素の直並列モデルで表され、変形は非線形(「軟組織の変形は線形」は誤り)。
| モデル | つなぎ方 | 代表的な現象 | 応答 |
|---|---|---|---|
| マクスウェルモデル | バネとダッシュポットを直列 | 応力緩和 | ひずみを一定に保つと応力が時間とともに減っていく |
| フォークトモデル(ケルビン・フォークト) | バネとダッシュポットを並列 | クリープ | 一定の応力を加えるとひずみは瞬時には生じず、指数関数的に増えて一定値に近づく。応力を除くと指数関数的に0へ戻る |
粘弾性が原因で生じる現象は応力緩和とクリープ(ヒステリシスも)。降伏・破断・応力集中は粘弾性ではなく材料の強さや形の話。
血液は非ニュートン流体(ずり速度で粘性率が変わる。「血液はニュートン流体」は誤り・1-9)。生体軟組織の変形は非線形(伸ばすほど硬くなる)。音響インピーダンス(密度×音速)は骨>筋肉(「筋肉が骨より大きい」は誤り・1-10)。ヤング率はコラーゲン>エラスチン(エラスチンは軟らかい。「エラスチンのほうが大きい」は誤り・1-4)。生体組織は弾性と粘性を両方もつ粘弾性体で、弾性要素(ばね)と粘性要素(ダッシュポット)を直列・並列に組み合わせたモデル(マクスウェル・フォークトなど)で表される。
圧力は単位面積あたりの力(Pa)。液体の深さhでの水圧はρgh。換算:1気圧=1013 hPa=760 mmHg、1 mmHg≒133 Pa、水銀は水の約13.6倍重いので、同じ圧力の水柱は水銀柱の13.6倍の高さ(10 cmH₂O≒7.4 mmHg)。
例題1(水銀柱):気圧が1013 hPaから934 hPaに下がった。水銀柱の変化は? → 79 hPa÷1.33≒59 mmHg。約-6 cm(下がるので負)。
例題2(観血式血圧のトランスデューサの高さ):トランスデューサが心臓より30 cm低い位置で133/93 mmHg。心臓の高さでは? → 30 cmH₂O≒30÷1.36≒22 mmHg。トランスデューサが低いと液柱の分だけ高く表示されるので両方から引く。133-22=111、93-22=71 → 約110/70 mmHg。収縮期・拡張期の両方が同じ量だけずれる(脈圧は変わらない)。
浮力は物体が押しのけた液体の重さに等しい。物体が水から受ける浮力の反作用で、容器(台ばかり)は同じ大きさだけ重くなる。例:500 gの物体を水に沈めてばねばかりが350 g → 浮力150 g分 → 台ばかりは150 g増える。
密閉した液体の一部に加えた圧力は、液体のすべての部分に同じ大きさで伝わる。F₁/A₁=F₂/A₂(力の比=面積の比)。油圧ジャッキ。
例題1:断面積10 cm²のピストンに10 N。50 cm²のピストンを止める力は? → 10×(50/10)=50 N。
例題2:細いピストンA(100 cm²)で、太いピストンB(400 cm²)に載せた10 kgの物体を持ち上げる最小の力は? → Bの荷重 10×9.8=98 N。F=98×(100/400)≒25 N。面積の比を逆にすると400 Nを選んでしまう。
| 分け方 | 中身 |
|---|---|
| 定常流/非定常流 | 定常流は各点の流速・圧力が時間で変わらない流れ。血流(拍動流)は非定常流 |
| 非圧縮性流体/圧縮性流体 | 液体はほぼ非圧縮性、気体は圧縮性(流速が遅ければ気体も非圧縮で扱える) |
連続の式:非圧縮性流体では流量Q=断面積A×流速vが流れのどこでも一定(A₁v₁=A₂v₂)。細い所ほど流速が速い。分岐では入る流量=出る流量の和(Q₁=Q₂+Q₃)。断面積がすべて等しければ流速も v₁=v₂+v₃。圧力や流速の2乗が足し算になるわけではない。
表面張力は分子の凝集力によって生じ、液面の面積を小さくする向きに働く(「表面積を大きくするように働く」は誤り)。単位はN/m(=J/m²)。温度が高くなると小さくなる。毛管現象の原因。
ラプラスの式:球形の膜(泡・肺胞)の内外の圧力差ΔP=2T/r(Tは表面張力、rは半径)。円筒(血管)では ΔP=T/r。半径が小さいほど内圧が大きく要るので、肺胞では肺サーファクタントが表面張力を下げてつぶれるのを防ぐ。
Pa・hPa・kPa・mmHg・cmH₂Oの換算を先に決めておく。1 hPa=100 Pa、1 kPa≒7.5 mmHg、1 mmHg≒1.36 cmH₂O。水柱をmmHgにするには13.6で割り、mmHgを水柱にするには13.6を掛ける。液面より深い所ほど圧力が高く、同じ深さなら容器の形によらない。
せん断応力τはせん断速度(ずり速度=速度勾配 du/dy)に比例し、その比例定数が粘性率μ(τ=μ・du/dy)。単位は粘性率Pa・s、ずり速度s⁻¹、動粘度(動粘性係数)ν=μ/ρ は m²/s。
| 流体 | 性質 |
|---|---|
| 理想流体(完全流体) | 粘性がなく、圧縮もしない仮想の流体。ベルヌーイの定理の前提 |
| ニュートン流体 | 粘性率がずり速度によらず一定(水・血漿など) |
| 非ニュートン流体 | 粘性率がずり速度で変わる(血液。1-9) |
レイノルズ数は慣性力と粘性力の比。含まれるのは密度・流速・内径・粘性率(動粘度)で、圧力・管の長さ・温度は入らない。小さいと層流、大きいと乱流。円管では約2000〜2300が境目。
粘性流体の流れは、レイノルズ数が同じなら相似になる(模型実験の根拠)。これは完全流体では成り立たない。
解き方の手順:①式を Vd/ν か ρVd/μ で書く ②単位をm・sにそろえる(mm→m、cm/s→m/s) ③代入。比の問題は「どの量が何倍か」を式に入れ、分子と分母が打ち消すかを見る。
例題1:内径10 mm、動粘度4×10⁻⁶ m²/s、流速1 m/s。 → Re=1×0.01÷(4×10⁻⁶)=2500。
例題2(同じReになる条件):粘性率4×10⁻³ Pa・s、内径3 mm、12 cm/s の流れと同じReで、粘性率1×10⁻³ Pa・s・内径9 mm に流すと流速は?(密度は同じ) → vd/μ が等しい。12×3÷4=9。v×9÷1=9 → v=1 cm/s。
例題3(倍率):流速0.25倍・内径4倍、粘性率2倍・内径2倍はどちらもReが変わらない。管の長さを変えてもReは変わらないので、長さの倍率は無視してよい。
血管でReが最も大きいのは、内径も流速も大きい上行大動脈。毛細血管は最も小さい。
適用条件:粘性流体(ニュートン流体)が円管を定常な層流で流れるとき(理想流体や乱流では成り立たない)。流量は半径の4乗と圧力差に比例し、粘性率と管の長さに反比例する。
式を選ぶ問題は次元で確かめられる:πr⁴ΔP/(8μL) の単位は m⁴・Pa÷(Pa・s・m)=m³/s(流量)。
完全流体(粘性なし・非圧縮)の定常流で、ひとつの流線上の力学的エネルギーが保存される。式に含まれるのは静圧p・流速v・高さh(と密度)。
| 正しい | 誤りとして出るもの |
|---|---|
| 完全流体に適用される 力学的エネルギー保存則が適用される ひとつの流線上で成立する | 粘性流体に適用される 重力とは無関係(ρghの項がある) 温度・粘性率をパラメータとして含む レイノルズ数・連続の式を導ける |
静圧=流れに垂直な面が受ける圧力(血圧として測るもの)、動圧=½ρv²、全圧=静圧+動圧、水圧=ρgh(1-6)。
例題(血流の動圧):流速1 m/s、血液の密度約1.05×10³ kg/m³。 → ½×1050×1²≒525 Pa。÷133≒4 mmHg。
大動脈の動圧は数mmHg、静圧(血圧)は約100 mmHgなので、大動脈における静圧の値は動圧よりも大きい。「動圧と静圧はほぼ等しい」「動圧は静圧より大きい」は誤り。
ベンチュリ管は管を絞り、流速が上がって静圧が下がる圧力差から流量を求める。ピトー管は先端で流れを止めて全圧を、側面の孔で静圧を測り、差の動圧から流速を求める。
解き方の手順(絞りの前後の圧力差):①連続の式で v₂=v₁A₁/A₂ ②ベルヌーイで P₁-P₂=½ρ(v₂²-v₁²) ③代入して P₁-P₂=½ρv₁²(A₁²/A₂²-1)。面積比は2乗で効き、絞りの前のほうが圧力は高い(正の値になる形を選ぶ)。
| 容積型ポンプ | 非容積型ポンプ | |
|---|---|---|
| 代表例 | ローラポンプ・シリンジポンプ・ピストン型 | 遠心ポンプ・軸流ポンプ |
| しくみ | 一定の容積を押し出す(チューブをしごく・押し子を押す) | 羽根車の回転で流体に運動エネルギーを与え、圧力に変える |
| 流量 | 流量は回転数(送り速度)でほぼ決まり、出口側の抵抗の影響を受けにくい | 流量は回転数だけでなく出口側の抵抗(後負荷)や前負荷で変わるので流量計が要る |
| 注意点 | 出口が閉塞すると圧が上がり続け、回路が破れる危険 | 回転が下がると逆流しうる。出口が閉塞しても圧は一定以上に上がりにくい |
ローラポンプはチューブをローラでしごいて送るので、圧閉度(ローラとチューブの締め具合)が流量の正確さを左右する。シリンジポンプは押し子を一定速度で押すので微量の持続注入に向く。遠心ポンプは回転する羽根やコーンで流体を外へ押し出すので、空気を大量に吸い込むと送れなくなる(空回り)。軸流ポンプは回転軸の方向に流体を押し出す(補助人工心臓の一部)。容積型か非容積型かは「一定量を押し出すか、回転で勢いをつけるか」で見分ける。
血液は血球を含むので非ニュートン流体(「血液はニュートン流体」は誤り)。血球を除いた血漿はニュートン流体とみなせる。粘性率は水の数倍。
| 血液の粘性率が上がる | 血液の粘性率が下がる |
|---|---|
| ヘマトクリット値の上昇 連銭形成(ルーロー形成):ずり速度が低いと赤血球が硬貨を積み重ねたように連なる タンパク質(フィブリノゲン・グロブリン)濃度の上昇 温度の低下 | 温度の上昇 ずり速度(せん断速度)の増加:速く流れると連銭がほどけ、赤血球が変形して流れの向きにそろう(ずり流動化) 集軸効果(細い管) |
切る肢:「ずり速度は粘性係数に比例する」(比例定数が粘性率で、ずり速度の大きさは流れが決める)。「ヘマトクリットが上がると粘度が下がる」。「電解質濃度で粘性率が下がる」も正解側に入れない。
集軸効果:細い血管では赤血球が管の中心(軸)に集まり、壁の近くは血漿の層になる。壁際の粘性の低い層ですべるので、見かけの粘性率は低下する(増加は誤り)。細動脈や細い管で血球が壁部に集まるわけではない。集軸効果は連銭形成が原因ではない(ずれによって血球が軸へ寄る現象)。
シグマ効果:細い管では血流を連続体でなく有限個の層の和として扱うことになり、見かけの粘性率が下がる。集軸効果とともに、内径およそ0.3 mm以下の細い管で見かけの粘性率が下がる現象(ファーレウス・リンドクビスト効果)を説明する。毛細血管を通るとき赤血球は変形する(毛細血管の内径は赤血球とほぼ同じか小さい)。毛細血管はReがきわめて小さいので、分岐部でも渦は生じにくい。
血流は心拍に合わせた拍動流(非定常流)。脈波(圧の波)は血流そのものより速く末梢へ伝わる。
動脈血圧のピーク値は体の部位によって異なり、末梢の動脈ほど収縮期圧が高い(反射波が重なる=末梢での増幅)。脈圧は大きく、立ち上がりは急になる。重複切痕(ディクロティックノッチ)は浅く・遅れる。平均動脈圧・拡張期圧は末梢でわずかに下がる。1心拍の周期は変わらない。
立位では重力の分だけ足の血圧が高く頭が低いので、「安静立位で平均動脈圧は測定部位によらず同じ」は誤り(1-6の水圧)。
弾性管の脈波伝搬速度はモーエンス・コルテベークの式 c=√(Eh/ρD)(E:壁のヤング率、h:壁の厚さ、D:内径、ρ:血液の密度)。
| PWVが増加する(速くなる) | PWVが減少する(遅くなる) |
|---|---|
| 壁が硬い(ヤング率↑):石灰化・動脈硬化・加齢・コラーゲンの増加 壁が厚い 内径が小さい(細い動脈・末梢ほど速い) 血圧が高い | エラスチンの割合が多い(軟らかい) 内径が大きい |
血管壁中のエラスチンの割合はPWVと負の方向に効く(「正の相関」は誤り)。「動脈径が大きいほどPWVが増加」は誤り。脈波伝播速度は血管の種類で違う。弾性管の非線形性:血管は圧が高くなるほど伸びにくく(硬く)なるので、高血圧ではPWVが増える。値が「小さく」なるとPWVが増えるのは血管の内径。
大動脈では静圧(血圧・約100 mmHg)が動圧(½ρv²・数mmHg)よりずっと大きい(「動圧は静圧より大きい」は誤り・1-8)。血管内径が小さくなると血管抵抗は上昇する(R=8μL/πr⁴=半径の4乗に反比例。「低下する」は誤り・1-7)。
v=fλ=λ/T(波の速さ=振動数×波長)。定常波は逆向きに進む同じ波が重なってでき、節と節の間隔は半波長。
| 縦波(疎密波) | 横波 |
|---|---|
| 振動の向きと進む向きが同じ。音波は縦波。固体・液体・気体を伝わる | 振動の向きと進む向きが垂直。ずれに抵抗する固体だけを伝わり、液体・気体は伝わらない |
弾性波速度:媒質が硬いほど速く、密度が大きいほど遅い(棒の縦波 c=√(E/ρ))。音速の目安:空気 約340 m/s、水 約1500 m/s、生体軟部組織 約1540 m/s、骨はさらに速い。
例題(波長):水中に周期0.1 ms(振動数10 kHz)の音波。 → λ=1500×1×10⁻⁴=0.15 m=15 cm。図の波形から周期を読み、媒質の音速を掛ける。
| 音の三要素 | 物理量 |
|---|---|
| 高さ | 振動数(Hz) |
| 強さ(大きさ) | 振幅・音圧(dB) |
| 音色 | 波形 |
「速さ」「方向」は三要素ではない。音波の波形の縦軸は音圧(横軸が時間)。音の強さのレベルの単位はdB(デシベル):10 log₁₀(I/I₀)(I₀=10⁻¹² W/m²)、音圧レベルは20 log₁₀(p/p₀)(p₀=20 µPa)。強さが10倍で+10 dB、音圧が10倍で+20 dB。W・J・Pa・Hzはレベルの単位ではない。
例題(dBの足し算):音の強さが100倍になると 10 log₁₀100=+20 dB。同じ強さの音源が2つ重なると強さは2倍なので約+3 dB(6 dBではない)。dBは比の対数なので、掛け算が足し算になる。
可聴周波数は約20 Hz〜20 kHz。超音波はそれより高い(20 kHzをこえる)音。診断用はMHz帯。
音響インピーダンス Z=ρc(密度×音速)。境界での反射はインピーダンスの差が大きいほど強い。大きさの順は骨 > 筋・軟部組織 > 脂肪 ≫ 空気(「筋が骨より大きい」は誤り)。空気と組織の差が大きすぎるので、プローブと皮膚の間にゼリーを塗る。
減衰は周波数が高いほど大きく、高周波は深部に届きにくいが分解能はよい。指向性は周波数が高い(波長が短い)ほど鋭い。
キャビテーション:強い超音波の負圧で液体中に気泡ができてはじける(超音波洗浄・超音波手術器に利用、組織障害の原因)。衝撃波:急激な圧力の変化が伝わる強い波(体外衝撃波結石破砕装置)。
観測者と音源の相対運動で振動数が変わる現象。近づくと高く、遠ざかると低く聞こえる。音だけでなく光や水中の超音波でも起こる。
| 影響する因子 | 影響しない(切る肢) |
|---|---|
| 音源の速さ・観測者の速さ・両者の速度の向き(なす角)・音速(風・媒質) | 音波の振幅(強さ) 山びこ(反射)・うなり(2音の干渉)はドプラ効果ではない |
解き方の手順:①分子に観測者、分母に音源 ②近づく向きなら観測者は「c+」、音源は「c-」 ③比を作って速度を解く。
例題1(観測者が近づく):1000 Hzの静止音源に近づくと1060 Hz。音速340 m/s。 → 1060=1000×(340+v)/340、v=340×0.06≒20 m/s。
例題2(音源が近づく):10%高く聞こえた。 → 1.1=340/(340-v)、v=340×(1-1/1.1)≒31 m/s。×3.6≒110 km/h(m/s→km/hは3.6倍)。
例題3(通り過ぎる前後):観測者が静止音源の横を通過し、前後で10%下がった。 → 後/前=(c-v)/(c+v)=0.9 → v=c/19≒0.05c。
互いに近づく観測者v₁と音源v₂:f₀(C+v₁)/(C-v₂)。ドプラシフトは音速に依存する(「依存しない」は誤り)。超音波ドプラ血流計では反射で2回効くので Δf=2f v cosθ/c。
絶対温度 T[K]=t[℃]+273。絶対零度=0 K=-273℃(それより低い温度はない)。温度差は℃でもKでも同じ数値。
熱膨張:長さ L=L₀(1+αΔT)、体積 V=V₀(1+βΔT)(体膨張係数βは線膨張係数αの約3倍)。例題:1000 L、β=0.0036 K⁻¹、20→75℃。 → 増加分=1000×0.0036×55=198 L。V≒1200 L。増えた量(約200 L)と膨張後の体積を取り違えない。
比熱=1 kg(1 g)を1 K上げる熱量、熱容量=その物体全体を1 K上げる熱量(=mc)。水の比熱は4.2 J/(g・K)=4.2×10³ J/(kg・K)。仕事率(W)はJ/sなので、熱量÷時間で出る。
解き方の手順:①質量の単位を比熱に合わせる(gかkgか) ②Q=mcΔT ③時間や出力を聞かれたら W=J/s で割る。
例題1(加熱時間):500 Wの電熱器で水100 gを20→60℃。 → Q=100×4.2×40=16800 J。t=16800÷500≒34 s。
例題2(仕事率):水100 gを1分で20→30℃にする。 → Q=100×4.2×10=4200 J。P=4200÷60=70 W。
例題3(比熱を求める):密度2500 kg/m³・体積10 Lの物体に100 kJで10℃上昇。 → 質量=2500×0.01=25 kg。c=100000÷(25×10)=400 J/(kg・K)。体積はm³に直してから密度を掛ける(10 L=0.01 m³)。
例題4(混合):40℃の水1 kgに10℃の水2 kg。 → 失う熱=得る熱、1×(40-t)=2×(t-10)、t=20℃。同じ物質なら質量で重みをつけた平均((40×1+10×2)÷3)。
| 法則 | 中身 |
|---|---|
| 第0法則 | 熱平衡(温度計の原理) |
| 第1法則 | エネルギー保存:加えた熱=内部エネルギーの増加+外にした仕事 |
| 第2法則 | 熱は自然には低温から高温へ移らない。熱を100%仕事に変える熱機関はない |
| 第3法則 | 絶対零度でエントロピーが0に近づく |
可逆変化は元に戻せる理想的な変化、不可逆変化は自然に起こる一方向の変化(熱の移動・摩擦・拡散)。孤立系では不可逆変化でエントロピーが増える。
熱効率=取り出した仕事(出力)÷加えた熱量。例:毎秒320 kJの熱で96 kW → 96÷320=30%(kW=kJ/s)。理想的な熱機関(カルノーサイクル)の効率は 1-T低/T高(絶対温度)。
相変化と潜熱:融解・蒸発の間は熱を加えても温度が上がらず、その熱(潜熱)は状態の変化に使われる。汗の蒸発は気化熱を奪って体を冷やす。
ボイルの法則:温度一定で PV=一定。シャルルの法則:圧力一定で V/T=一定。体積一定なら P/T=一定。温度は必ずKに直す。ゲージ圧(大気圧からの上乗せ)は大気圧を足して絶対圧にする。
例題1(注射器):12 mLの空気を閉じ込め、圧力を150 mmHg上昇させた(大気圧760 mmHg)。 → 760×12=(760+150)×V、V=9120÷910≒10 mL。
例題2(定積加熱):密閉容器を27→57℃。 → P₂/P₁=330/300=1.1倍(57/27≒2.1は℃で割った誤り)。
例題3(両方変わる):0.3 m³・100 kPa・300 K → 300 kPa・600 K。 → V₂=0.3×(100/300)×(600/300)=0.2 m³。
| 変化 | 一定のもの | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 等温変化 | 温度 | PV=一定 |
| 等圧変化 | 圧力 | 加えた熱の一部が膨張の仕事に使われる |
| 等積変化 | 体積 | 仕事をしないので、加えた熱はすべて内部エネルギーに |
| 断熱変化 | 熱の出入りなし | 断熱圧縮で温度が上がり、断熱膨張で下がる(ボンベのガスを急に放出すると冷える) |
熱の伝わり方は伝導・対流・放射(ふく射)の3つ。干渉・発振は熱の伝わり方ではない。
| 種類 | 中身 |
|---|---|
| 伝導 | 物質の中を、物質が動かずに熱が伝わる |
| 対流 | 液体や気体そのものが流れて熱を運ぶ |
| 放射(ふく射) | 電磁波で熱が伝わるので、真空中でも水中でも伝わる。0℃の物体も絶対零度でない限り放射する。放射エネルギーは絶対温度の4乗に比例する(シュテファン・ボルツマンの法則)。37℃の物体からは主に赤外線が出る(紫外線ではない=サーモグラフィの原理) |
体温の調節で見ると、皮膚から空気へは主に放射と対流、汗では蒸発(潜熱)で熱が逃げる。保育器や加温ブランケットは伝導・対流で温め、赤外線ヒータは放射で温める。熱伝導率は金属で大きく、空気で非常に小さいので、空気の層は断熱材として働く。
移動する熱量は熱伝導率k・断面積A・温度差・時間tに比例し、長さ(厚さ)Lに反比例する。「長さLに比例」は誤り。
解き方の手順:①熱伝導率の単位(J/(cm・s・℃) など)に長さ・時間の単位を合わせる ②代入。
例題:断面積10 cm²・厚さ1 mmの組織、温度差5℃、熱伝導率5×10⁻³ J/(cm・s・℃)、1分間。 → 厚さ0.1 cm、時間60 s。Q=5×10⁻³×10×5×60÷0.1=150 J。厚さをmmのまま入れると1桁ずれる。