本ジャンルは98問すべてが計算と数値・単位のひっかけ。物理の原理を「なんとなく」知っていても点にならず、公式を1本ずつ正確に覚え、単位換算を最初に済ませられるかで合否が分かれる。以下の8テーマを、公式・表・計算のコツで固める。
すべての計算の土台。力=質量×加速度(F=ma)から組立単位を自分で導けるようにする。単位を基本単位(kg・m・s)に分解する次元解析と、スカラー/ベクトルの区別が単独でも頻出。
| 物理量 | 単位 | 基本単位への分解 |
|---|---|---|
| 力 | N(ニュートン) | kg・m/s² |
| 圧力・応力 | Pa(パスカル) | N/m²=kg/(m・s²) |
| 仕事・エネルギー | J(ジュール) | N・m=kg・m²/s² |
| 仕事率(電力) | W(ワット) | J/s=kg・m²/s³ |
| 電荷 | C(クーロン) | A・s(A/sではない) |
| 磁束 | Wb(ウェーバ) | V・s |
| 吸収線量 | Gy(グレイ) | J/kg |
ベクトル量(大きさ+向き)=変位・速度・加速度・力・運動量・力積・電界・磁束密度。スカラー量(大きさのみ)=質量・時間・温度・エネルギー・仕事・電荷・体積・速さ。「速さ」はスカラー、「速度」はベクトルの区別も出る。仕事は力と変位の内積なのでスカラー。
機械要素の次元:ばね定数k=F/x=kg/s²(N/m)、ダンパ定数c=F/v=kg/s(N・s/m)。運動方程式 m・x″+c・x′+k・x=F の各係数の次元を押さえる。「毎秒(/s)」か「秒を掛ける(・s)」かで電荷(A・s)のような単位ひっかけが作られる。
モーメント(トルク)=力×腕の長さ(回転軸から作用線までの垂直距離)。静止(釣り合い)=Σモーメント=0(時計回り=反時計回り)。計算問題では単位換算(g→kg、cm→m)を最初に済ませるのが最大の失点対策。
力が腕に対して角度をもつときは、有効な腕=腕の長さ×(角度成分)。鉛直な重力に対しては水平距離=腕×cosθ(θは水平からの傾き)で効く(傾き0°で最大、鉛直90°で0)。
例:点滴スタンドで水平10 cm(0.10 m)に500 g(0.5 kg)→ M=mg×d=0.5×9.8×0.10=0.49 N・m。例:中点支持の棒の端に100 g(≒1 N)、水平から60°傾き、腕0.5 m→ M=1×0.5×cos60°=0.5×0.5=0.25 N・m。
糸で吊った静止物体の張力は重力と釣り合い、T=mg(500 g→0.5×9.8=4.9 N)。桁ミス・g/kg・cm/m の取り違えが定番のひっかけ。
運動方程式 F=maと等加速度直線運動の3式が基本。接して動く物体群は全体を一つの系として a=(駆動力−全摩擦)/全質量で解く。
| 運動 | 公式 |
|---|---|
| 等加速度(初速v₀) | v=v₀+at、x=v₀t+½at²、v²=v₀²+2ax |
| v-tグラフ | 下側の面積=移動距離(加速度の面積=速度、速度の面積=距離) |
| 摩擦のない斜面(角θ) | 加速度 a=g sinθ(質量に無関係) |
| 鉛直投げ上げ | 往復(同高さ復帰)=2v₀/g、最高点まで v₀/g、最高到達 v₀²/2g |
| 放物運動 | 水平成分 v cosθ は一定、最高点の速さ=水平成分(鉛直成分0) |
| 等速円運動の向心力 | F=mv²/r=mrω²(v=rω、中心向き) |
| 単振動(バネ振り子) | T=2π√(m/k)(単振り子は T=2π√(L/g)=質量に無関係) |
動摩擦力=μ×垂直抗力=μmg(g≒9.8、概算では10)。向心力は速度の2乗に比例・半径に反比例、mrω²の形では角速度が2乗で効く(質量0.5倍・角速度2倍・半径0.5倍→0.5×2²×0.5=1倍で不変)。バネ振り子の周期は質量の平方根に比例・バネ定数の平方根に反比例(周期を2倍にするにはm/kを4倍)。sin30°=0.5、sin45°=cos45°≒0.707、sin60°=cos30°≒0.866を暗記。
仕事とエネルギーの定理:外力のした仕事=運動エネルギーの変化 W=F・d=½mv²−½mv₀²。摩擦がなければ力学的エネルギー保存(運動エネルギー½mv² ⇔ 位置エネルギーmgh)。
斜面を登る/落下する到達高さ H=v²/2gは質量にも斜面角にも無関係(例:7 m/s→H=49/19.6=2.5 m)。制動距離の問題は ½mv²=F・dで解く(50 kg・10 m/s→2500 J、25 mで停止→F=100 N)。運動量=質量×速度=ベクトル量、仕事はスカラー。加速度を求める運動方程式でも同じ答えに至る(相互チェックに使える)。
本ジャンル最多の出題帯。応力・ひずみ・ヤング率・ポアソン比の定義と単位、応力ひずみ線図、弾性/塑性の区別、そして粘弾性(応力緩和・クリープ)が繰り返し問われる。
| 量 | 定義 | 単位 |
|---|---|---|
| 応力 σ | 力/断面積(F/A) | Pa(圧力と同じ) |
| ひずみ ε | 変形量/元の長さ(ΔL/L) | 無次元(単位面積あたりではない) |
| ヤング率 E(縦弾性係数) | 応力/ひずみ(σ/ε) | Pa |
| 剛性率 G(横弾性係数) | せん断応力/せん断ひずみ | Pa(せん断・ねじりで求める) |
| ポアソン比 ν | 横ひずみ/縦ひずみ(絶対値) | 無次元(理論上限0.5) |
| ずり速度 | 速度勾配 | s⁻¹(1/s) |
| 粘性率 η | ずり応力/ずり速度 | Pa・s |
順序:比例限度 → 弾性限度 → 降伏点(応力ほぼ一定でひずみ増大)→ 引張強さ(最大応力)→ 破断。弾性域はフックの法則 σ=Eε(F∝ΔL)で傾きがヤング率。降伏点を超えると塑性変形=永久ひずみが残る(除荷しても戻らない、弾性分だけ回復)。応力の大小は比例限度<弾性限度。明瞭な上降伏点は軟鋼に特有で、非鉄金属は0.2%耐力で代用。
ヤング率を求める負荷=引張・圧縮(垂直応力)(せん断・ねじりは剛性率G、曲げは複合)。ヤング率計算例:応力2.0 MPa÷ひずみ0.001=2.0 GPa。ポアソン比は横ひずみ/縦ひずみで、体積不変(非圧縮)=0.5、金属≒0.3、コルク≒0。生体軟組織は水分主体でほぼ非圧縮=約0.5で鉄鋼より大きい(「小さい」はひっかけ)。ν0.3の材料を縦に10%伸ばすと直径は0.3×0.1=3%縮み0.97倍。
生体組織は粘弾性体で、ばね(弾性)+ダッシュポット(粘性)の直並列モデルで表す。マクスウェル模型(直列)=応力緩和(一定ひずみで応力が指数的に減衰)。フォークト/ケルビン模型(並列)=クリープ(遅延弾性)(一定応力でひずみが指数的に増加・漸近、除荷で漸減)。粘弾性由来の現象=応力緩和・クリープ・ヒステリシス(降伏・破断・応力集中は塑性・破壊・形状に起因し粘弾性特有ではない)。機械要素の対応=ばね:変位に比例 F=kx/ダッシュポット:速度に比例 F=cv/質量:加速度に比例 F=ma。硬さ(ヤング率)順=骨>腱>筋、コラーゲン>エラスチン。音響インピーダンス(密度×音速)=骨>筋>脂肪。
材料力学と並ぶ主戦場。静止流体(パスカル)・理想流体(連続の式・ベルヌーイ)・粘性流体(レイノルズ数・ハーゲンポアズイユ)を、成立条件ごとに整理する。
| 法則 | 式・内容 | 成立条件 |
|---|---|---|
| パスカルの原理 | 密閉流体の圧力は各点で等しい → F₁/A₁=F₂/A₂ | 静止流体(完全流体でも成立) |
| 連続の式(質量保存) | Q=A・v が一定、分岐で Q₁=Q₂+Q₃ | 非圧縮・定常(粘性の有無に無関係) |
| ベルヌーイの定理 | P+½ρv²+ρgh=一定(静圧+動圧+位置圧) | 完全流体・非粘性・非圧縮・定常・同一流線上 |
| レイノルズ数(無次元) | Re=ρvD/μ=vD/ν(慣性力/粘性力) | 約2000超で乱流。管長は無関係・圧力は含まない |
| ハーゲン・ポアズイユ | Q=πΔP r⁴/(8ηL)、抵抗 R=8ηL/(πr⁴) | 粘性流体・層流・円管(完全流体では不成立) |
Re=ρvD/μ=vD/ν(ν=μ/ρ=動粘度)。含む4要素=密度・流速・内径・粘性、管長と圧力は含まない。計算例:内径0.01 m・流速1 m/s・動粘度4×10⁻⁶→Re=0.01/4×10⁻⁶=2500。Reを一定に保つ組合せ問題は各因子を掛け合わせて元に戻す(流速0.25倍×内径4倍=1倍)。生体で乱流を生じうるのは上行大動脈(径最大・流速大でRe最大)、毛細血管は完全な層流(Re≪1)。
ハーゲン・ポアズイユは流量が半径の4乗に比例(内径が半分で流量1/16)が最重要。圧力差ΔP・粘性η・長さLに比例/反比例の関係を押さえる。ベルヌーイでは絞り(狭窄)で流速が上がり圧力が下がる(ベンチュリ効果)。動圧=½ρv²(血液ρ≒1050、流速1 m/s→約525 Pa≒4 mmHg)。表面張力は単位N/m、分子間凝集力に由来し表面積を最小化(液滴が球になる、温度上昇で低下)。
血液は非ニュートン流体で、ずり速度が高いほど見かけ粘性が下がる(ずり流動化)。血漿(血球を除く)はほぼニュートン流体。血管抵抗 R∝1/r⁴(内径が小さいほど急増)。脈波伝搬速度PWV∝√(Eh/ρD)(Moens-Korteweg)=血管が硬い(石灰化・コラーゲン増でE大)・厚い・細いほど速く、動脈硬化の指標。動脈圧波形は末梢ほど収縮期ピークが増高(末梢性増幅)し立ち上がりが急峻に、切痕は浅く遅れる。大動脈でも静圧≫動圧。観血式血圧はトランスデューサが右心房より低いと高く表示(1 cmH₂O≒0.74 mmHg、30 cm低い→約22 mmHg高い)。
| 血液粘性を上げる因子 | 下げる因子 |
|---|---|
| ヘマトクリット上昇 | 温度上昇 |
| 連銭形成(ルロー・低ずり速度での凝集) | ずり速度の上昇 |
| 血漿タンパク(フィブリノゲン等)上昇・低温 | 集軸効果(細管で中心軸に集まり壁側が血漿層=Fåhraeus-Lindqvist効果) |
音の基本量とドップラー効果が中心。ドップラーは符号(近づく/遠ざかる)を正確に。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 音の3要素 | 高さ(周波数)・強さ(振幅/音圧)・音色(波形)。速さ・方向は含まない |
| 波長 | λ=音速v÷周波数f=v×周期T。時間波形の縦軸=音圧 |
| 音速の目安 | 空気中≒340、水中≒1500、生体軟部組織≒1540 m/s |
| 音の強さレベル | dB(デシベル)=基準との比の対数(無次元)。強さ10log、音圧20log |
一般式 f′=f(c±v₀)/(c∓v_s)(v₀=観測者速度は分子、v_s=音源速度は分母)。近づくと高音(振動数↑)、遠ざかると低音(↓)。互いに近づく=分子+v₀・分母−v_s → f₀(c+v₁)/(c−v₂)。
計算例:静止音源に観測者20 m/sで接近→ f′=1000×(340+20)/340=1060 Hz。音源が10%高く聞こえる接近→ 1.1=340/(340−v)→ v≒30.9 m/s≒111 km/h(m/s×3.6)。
ひっかけ:ドップラーは周波数(波長)の現象で振幅には無関係/音速には依存する(Δf∝v/c)/媒質を問わず水中でも生じる/山びこ(反射・エコー)・うなり(2音の干渉)はドップラーではない。超音波ドプラ血流計はcosθ補正が要る(θ=90°で検出不能)。
熱量 Q=mcΔTと伝熱の3形態、気体の状態変化が3本柱。水の比熱4.2 J/(g・K)=4.2 kJ/(kg・K)は暗記必須。
Q=mcΔT(m質量・c比熱・ΔT温度差)。加熱時間はt=Q/P(P仕事率)。例:100 g・20→60℃→Q=100×4.2×40=16800 J、500 Wで t=33.6≒34 s。比熱の逆算 c=Q/(mΔT)(体積10 L=0.01 m³の換算に注意)。混合温度=質量による加重平均(40℃1 kg+10℃2 kg→(40+20)/3=20℃)。熱効率 η=有効な仕事/供給熱量(320 kJ/s=320 kW供給・96 kW出力→30%、残り70%は排熱)。
伝導(固体内)・対流(流体の移動)・放射(電磁波・真空でも伝わる)の3つ(干渉・発振・回折は伝熱ではない)。フーリエの熱伝導:Q=k・A・(θ₁−θ₂)・t/L=熱伝導率k・断面積A・温度差・時間に比例、厚さ(長さ)Lに反比例。単位換算(mm→cm、分→秒)を先に処理。放射はステファン・ボルツマンの法則で絶対温度の4乗に比例、ピーク波長はウィーンの変位則で低温ほど長波長=体温付近(37℃)の物体は主に赤外線を放射(サーモグラフィの原理、紫外線ではない)。
| 気体の状態変化(必ず絶対温度K=℃+273) | 一定 | 関係 |
|---|---|---|
| ボイルの法則 | 温度T | PV=一定(P₁V₁=P₂V₂) |
| シャルルの法則 | 圧力P | V/T=一定 |
| ゲイ・リュサックの法則 | 体積V | P/T=一定(定積で圧力∝絶対温度) |
| ボイル・シャルルの法則 | 物質量 | PV/T=一定 |
「150 mmHg上昇」は760+150=910 mmHgと絶対圧で扱う(加算の見落としが誤答源)。定積加熱は摂氏でなく絶対温度の比(27→57℃なら330/300=1.1倍、57/27で計算するのはひっかけ)。体膨張 V=V₀(1+βΔT)で「変化量」と「変化後の総量」を取り違えない(β≒3α、線膨張係数の3倍)。温度差ΔTは摂氏差でも絶対温度差でも同じ値。