| 項目 | 要点 |
|---|---|
| 本態 | 滑膜炎。滑膜細胞が増殖してパンヌスを作り、軟骨・骨を侵食して関節を壊す自己免疫疾患 |
| 好発 | 女性に多い(男性の3〜4倍程度)。中年期の発症が多い |
| 初発部位 | 手指・足趾などの小関節から対称性に始まる。大関節初発・非対称性は典型ではない |
| 症状 | 朝のこわばり、腫脹・熱感・圧痛。疲労感・微熱などの全身症状 |
| 関節外症状 | 間質性肺炎(予後に関わる重要な合併症)、リウマトイド結節(一部の患者にみられる。半数以上ではない)、血管炎、続発性骨粗鬆症(ステロイド・炎症・不動が重なる) |
| 頸椎 | 環軸椎亜脱臼。後頸部痛・歩きにくさ・上肢のしびれが新たに出たら疑う(1-4) |
| 薬 | メトトレキサート(MTX)が中心となる抗リウマチ薬(DMARDs)。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は疼痛を軽減する |
| 変形 | 形 | 備考 |
|---|---|---|
| 尺側偏位 | MP関節で指が尺側へ傾く | RAの代表的変形。強い握り・ひねり・指を屈曲したまま押す動作で進む |
| スワンネック変形 | PIP過伸展・DIP屈曲 | リングスプリントの適応になりうる |
| ボタン穴変形(Boutonnière変形) | PIP屈曲・DIP過伸展 | スワンネックと逆の形 |
| 母指Z変形 | 母指 MP屈曲・IP過伸展 | RAの母指に特徴的 |
| ダックネック変形 | 母指 MP過伸展・IP屈曲 | Z変形と逆の形 |
| 槌指(マレット指) | DIP屈曲(自動伸展不能) | RAでは手指にも足趾にもみられる |
| オペラグラス変形(ムチランス変形) | 骨吸収で指が短縮し、皮膚がたるんで引くと伸びる | 重症RA |
RAの変形ではないもの:Heberden結節(DIP)・Bouchard結節(PIP)=変形性関節症の骨性隆起。フォーク状変形(銀フォーク変形)=Colles骨折後。Charcot関節=神経障害性関節症。
スワンネックとボタン穴は「PIPがどちらに曲がるか」で覚える。PIPが反る=スワンネック、PIPが曲がる=ボタン穴。
Steinbrockerの分類は2本立て。ステージ(stage)=X線像などでみた関節破壊の進行度、クラス(class)=日常生活の機能的能力。事例問題では「ステージⅢ、クラス2」のように両方が示される。
| ステージ | 主な所見 |
|---|---|
| Ⅰ(初期) | X線上の骨破壊はない(骨萎縮はあってよい) |
| Ⅱ(中等期) | 骨萎縮(骨粗鬆症)。軽度の軟骨・軟骨下骨の破壊はあってよいが関節変形はない。関節周囲の筋萎縮。腱鞘炎・結節などの関節外軟部組織の病変はあってよい |
| Ⅲ(高度進行期) | 軟骨・軟骨下骨の破壊、亜脱臼・尺側偏位などの関節変形 |
| Ⅳ(末期) | 線維性または骨性の関節強直 |
| クラス | 日常生活の状態 |
|---|---|
| 1 | 身体機能は完全で、普通の仕事は不自由なくできる |
| 2 | 1か所以上の関節に苦痛や運動制限があっても、普通の活動ならなんとかできる |
| 3 | 普通の仕事や身の回りのことがわずかしかできない、またはほとんどできない |
| 4 | 寝たきりまたは車椅子に座ったきりで、身の回りのこともほとんど・まったくできない |
| 指標 | 何を測るか |
|---|---|
| Steinbrockerのクラス分類(class分類) | 日常生活の機能的能力(ADL) |
| Steinbrockerのステージ分類 | 関節破壊の進行度 |
| DAS28(disease activity score 28) | 疾患活動性。28関節の腫脹・圧痛、赤沈またはCRP、患者の全般評価から算出 |
| Lansbury指数(Lansbury活動性指数) | 炎症の活動性 |
| Larsen分類 | X線像による関節破壊の程度 |
| AIMS(Arthritis Impact Measurement Scale) | 身体機能・痛み・心理状態などを含む健康状態・QOLの包括的評価(自己記入式) |
「日常生活の評価」を問われたらSteinbrockerのクラス分類。DAS28・Lansbury指数は活動性、Larsen分類はX線。ステージとクラスを取り違えない。
RAの作業療法の中心は関節保護(joint protection)とエネルギー節約(エネルギー保存)。患者が「手をしっかり使わないと変形が進む」と思い込んでいる場合、過用が関節破壊を進めるので、関節保護指導を最優先する(スプリント製作や筋力訓練より先に、誤った認識を正す)。
| 場面 | 指導が必要な動作 | 望ましい方法 |
|---|---|---|
| 椅子からの立ち上がり | 手指を屈曲したまま(握りこぶし・指の背)で体重を支える | 手掌全体または前腕・肘掛けで支える。座面を高くする |
| 鍋・フライパン | 片手で柄を握って持つ | 両手で持つ、下から前腕・手掌で支える、軽量のものにする |
| ポット・やかん | 片手で取っ手を握って傾ける | 両手で支える、置いたまま注げるものを使う |
| カップ・茶碗・椀 | 指でつまんで持つ | 両手で包む、手掌に載せて支える |
| 荷物 | 指に掛けて提げる | 前腕・肘に掛ける、肩掛け・リュック、カートを使う |
| テーブル拭き・かき混ぜ | 指先で押し付ける | 手掌全体・前腕を使う |
| 瓶の蓋・雑巾 | 手指で強く握ってひねる・絞る | オープナーを使う、雑巾は絞らず押して水を切る |
図や写真の動作を選ぶ問題は「指の小関節に体重や重さが集中しているか」「強い握り・ひねりがあるか」で判断する。両手で包む・手掌に載せる・前腕に掛ける動作は保護的。
| 項目 | 勧める | 避ける |
|---|---|---|
| マットレス | 硬め(沈み込まず寝返り・起き上がりがしやすい) | 柔らかいマットレス(沈み込みで肢位が崩れ、起き上がりが困難) |
| 枕 | 低め(頸椎を屈曲させない) | 高い枕(頸椎屈曲を強め、環軸椎亜脱臼を悪化させうる) |
| 椅子・便座 | 座面の高い椅子、補高便座(股・膝関節の屈曲を減らし立ち上がりを楽にする) | 低い椅子・床座 |
| 読書・作業 | 本や作業面を眼の高さに近づける(頸部の持続屈曲を避ける) | 下を向き続ける姿勢 |
| 手関節の肢位 | 軽度背屈(機能肢位) | 掌屈位で力を入れる |
意欲の高い趣味活動(料理・手芸・絵画など)は中止させず、関節保護の方法や道具を工夫して続けられるよう支援する。
後頸部痛・歩きにくさ・上肢のしびれが新たに出たら環軸椎亜脱臼を疑う。頸部の可動域運動は行わない(脊髄圧迫を招く)。高い枕を避け、転倒予防を指導する。
| 目的になる | 目的にならない |
|---|---|
| 疼痛の軽減・炎症の改善(局所の安静)/変形の予防・関節アライメントの矯正/動作の補助(関節の支持) | 筋力増強(スプリントは関節を固定・支持するもの。筋力は運動療法で) |
| 装具 | 用途 |
|---|---|
| 安静用スプリント | 炎症のある手関節・手指を良肢位で保持(夜間など) |
| 手関節軟性装具(PEライトなど) | 手関節を支持して疼痛を軽くし、作業中も使える。変形・不安定性の強い重症例にも使いやすい |
| 尺側偏位防止スプリント | MP関節の尺側偏位の進行予防 |
| リングスプリント | スワンネック変形・ボタン穴変形の指に使う指装具 |
Oppenheimer型装具は橈骨神経麻痺用。ナックルベンダーのような動的に矯正する装具は関節への負荷が大きく、RAの重症例には選ばない。
| 動作 | RAに合う用具(代表例) |
|---|---|
| ドアの開閉 | ドアノブレバー(レバーハンドル):握って回さず、前腕・肘で押し下げて開けられる |
| 瓶の蓋 | オープナー(蓋開け) |
| 靴下をはく | ソックスエイド(はくための道具。脱ぐためではない) |
| 床の物を拾う・遠くの物を取る | リーチャー(マジックハンド) |
| 整髪・洗体 | 長柄ブラシ(肩・肘の可動域制限を補う) |
| 爪切り | 台付き爪切り(把持力が要らない) |
| 調理・食事 | グリップ包丁(握りやすい柄の包丁)、太柄スプーン・フォーク |
| 歩行 | プラットフォーム杖(前腕で体重を受け、手関節・手指に荷重しない) |
他の障害向けの用具と取り違えない:ループ付きタオル=片麻痺の片手動作用、キーボードカバー=不随意運動・失調で隣のキーを押してしまう人用、マウススティック=頸髄損傷など上肢が使えない人用(口にくわえる)。