第28回ST国試 振り返り
この記事の執筆者: 現役の言語聴覚士が、問題を実際に解析したうえで執筆・監修しています。
第28回言語聴覚士国家試験(2026年3月実施)の全体的な印象は「近年の傾向を踏襲しつつ、事例問題の比重がやや増加」というものだった。合格率は公式発表待ちだが、難易度は前年比でやや易化した科目と難化した科目が混在している。
1. 全体的な難易度
受験者の声を総合すると、午前が「例年並みかやや難しめ」、午後が「例年より解きやすかった」という評価が多かった。特に基礎医学(神経学・解剖)の記述が細かくなっており、「どこで見たか覚えていない」という問題が散見された。
| 科目 | 難易度(第28回) | 前年比 |
| 失語症・高次脳機能障害 | 標準 | やや易化 |
| 嚥下障害 | やや難 | 難化 |
| 聴覚障害 | 標準 | 変化なし |
| 言語発達障害 | やや易 | 易化 |
| 構音障害・音声障害 | 標準 | 変化なし |
| 基礎医学(神経・解剖) | 難 | 難化 |
| 音声・言語科学 | やや難 | 難化 |
| 関連法規・リハ概論 | 易 | 易化 |
2. 今年の注目テーマ
例年の頻出テーマに加えて、第28回では以下のテーマへの出題が目立った。
- VE(嚥下内視鏡)関連 — 所見の読み方・適応・手順に関する問題が複数出題。VFだけでなくVEの知識が求められる傾向が強まっている。
- ASD(自閉スペクトラム症)の評価・支援 — DSM-5の診断基準に加えて、ADOS-2やSCQなど評価ツールへの言及あり。
- 超高齢社会に対応した制度・法規 — 介護保険の改正事項、地域包括ケアシステム、リハビリテーション会議の役割など。
- AAC(拡大代替コミュニケーション) — 重度コミュニケーション障害への支援として、視線入力デバイスやVOCAの選定基準についての問題があった。
第29回を目指す方へ
第28回の「難化」科目(嚥下・基礎医学・音声言語科学)は、第29回でも引き続き難度が高まる可能性がある。この3科目は早めに対策を始めることを推奨する。
3. 受験者の声(まとめ)
SNSや勉強グループを通じて集まった第28回受験者の声を一部紹介する。
- 「嚥下の問題が今年は難しかった。VEの問題は想定外だった」
- 「言語発達障害は過去問を押さえていれば解ける問題が多かった」
- 「午後の後半は時間が余った。午前は少し時間が足りなくなった」
- 「神経解剖の細かい知識を問う問題があり、戸惑った」
- 「法規は一通り整理していたので落ち着いて解けた」
4. 第29回に向けた対策ポイント
| 対策すべき分野 | 具体的なポイント |
| 嚥下障害(強化推奨) | VFとVEの違い・所見・適応の整理。嚥下5期モデルに加えてプロセスモデルも押さえる。 |
| 基礎医学 | 脳血管の走行・ブロードマン野・神経伝導路の細かい部分まで教科書で確認する。 |
| ASD・発達障害 | DSM-5の診断基準、ADOS-2・CARS・M-CHATなどの評価ツールの特徴を整理する。 |
| 関連法規 | 介護保険・障害者総合支援法・学校教育法の改正点を定期的にチェックする。 |
💡 試験対策のヒント: 「新しいテーマ」に飛びつきすぎないことも大切。第28回で目立ったVEやAACも、基礎的な嚥下・発達の知識があってこそ解ける問題だった。土台を固めてから新テーマを上乗せする、という優先順位は変わらない。
⚠️ 情報収集の注意点
- SNSの「難しかった」「簡単だった」は個人差が大きい。参考程度にとどめる。
- 非公式の解答速報は誤りが含まれることがある。公式正答の発表まで確定的に判断しない。
- 「今年出たから来年は出ない」という考えは危険。繰り返し出るテーマが国試の本質。
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※ 本記事は現役の言語聴覚士が執筆・監修しています。難易度評価は主観的なもので、公式発表ではありません。
最終更新: 2026年5月