ST国試の効率的な勉強法

この記事の執筆者: 現役の言語聴覚士が、自身の受験経験と後輩の指導経験をもとに執筆・監修しています。

ST国試の合格率は例年60〜70%台。3人に1人は落ちる計算だ。ただ、落ちる人に共通しているのは「勉強量が足りない」ではなく「何を、どの順番でやるか」を間違えていること。

1. まず知っておくべき試験の構造

ST国試は200問、午前・午後各100問。合格基準は120点以上(60%)で、足切りはないが、特定科目で著しく低い点数だと補正される年もある。問題は5択が基本で、2択・3択が混在する年度もある。

科目は大きく「基礎」と「専門」に分かれる。基礎は解剖・生理・神経学・心理学・音声言語科学などで、専門は失語症・嚥下障害・聴覚障害・発達障害・高次脳機能障害など臨床直結の内容。試験では基礎と専門が混在して出題されるため、「基礎だけ先に全部やる」というアプローチは非効率になりやすい。

合格ラインの現実 120点がラインだが、安全圏は130点以上。過去問の正答率でいえば「直近5年分を75%以上取れる状態」が目安になる。

2. 科目別の優先度と特徴

200問を科目別に見ると、毎年出題数が多い分野がある。効率よく点を積み上げるには、出題数の多い科目から固めるのが基本だ。

科目出題数(目安)難易度優先度
失語症・高次脳機能障害25〜35問中〜高★★★
嚥下障害(摂食嚥下)20〜30問★★★
聴覚障害・聴力検査20〜28問★★★
言語発達障害(ASD・知的障害等)18〜25問★★☆
構音障害・音声障害15〜22問★★☆
基礎医学(解剖・生理・神経)20〜30問★★☆
音声・言語科学(音響学・音声学)15〜20問★☆☆
リハビリ概論・関連法規10〜15問★★☆

音響学・音声学は計算問題や専門用語が多く、苦手意識を持つ受験生が多い。ただ、ここで点を取ろうと深掘りするより、基本用語と頻出パターンだけ押さえてその分を失語や嚥下に使う方が合格への近道になることが多い。

3. 年間学習スケジュールの立て方

試験は毎年3月。4年生の4月から始めると約11か月ある。

時期やること
4〜6月(基礎固め期)教科書で各科目の骨格を作る。失語・嚥下・聴覚から優先的に。過去問には手をつけず「理解」に集中。
7〜9月(演習期)直近3年分の過去問を年度別に解く。間違えた問題の解説を読み込み、弱点を把握する。
10〜12月(強化期)弱点科目を重点的に。模試(予備校主催)を2〜3回受けて本番感覚をつかむ。
1〜2月(追い込み期)直近5年分を繰り返し解く。新出テーマの整理。関連法規・制度は直前に詰め込む。
試験前1週間新しい内容に手を出さない。ミスした問題の最終確認のみ。睡眠と体調管理を最優先に。
💡 経験からの一言: 実習が終わった直後の9月ごろ、燃え尽き感で勉強が止まるパターンが多い。実習中でも週1〜2時間は過去問に触れておくと、その後のリカバリーが格段に楽になる。

4. 過去問の正しい使い方

「過去問を解く」と「過去問で学ぶ」は全然違う。答えを出して正誤確認するだけでは力がつかない。

5. 予備校・参考書の選び方

予備校に通うかどうかは、自己管理できるかどうかで決まる。費用は20〜40万円程度が多く、決して安くはない。ただ、模試は予備校に行かなくても単体で申し込めるところもあるので、模試だけ活用するのも選択肢のひとつだ。

参考書は「ST国試必携」系のものが定番だが、厚みがある分、どこを優先するかを自分で判断しないと時間が足りなくなる。手を広げすぎず、1冊をしっかり使い倒す方がいい。

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※ 本記事は現役の言語聴覚士が執筆・監修しています。
最終更新: 2026年5月