音声障害 国試対策ガイド

この記事の執筆者: 現役の言語聴覚士が、臨床経験と国家試験の出題傾向をもとに執筆・監修しています。

音声障害は出題数こそ多くはないが、毎年安定して出題される。GRBAS評価・疾患分類・訓練法の3点を軸に整理すれば、確実に得点できる科目だ。

1. 音声障害とは

音声障害とは、声の質(音質)・高さ(音高)・大きさ(音量)・持続(持続時間)のいずれかに異常を来した状態をいう。原因は器質的(声帯に形態異常がある)・機能的(形態異常はないが機能に問題がある)・神経性(神経支配の問題)に大別される。

2. 主な疾患の分類と特徴

カテゴリ疾患名特徴
器質性声帯ポリープ一側性が多い。声の酷使や喫煙が誘因。嗄声・努力性発声。
声帯結節両側性(前1/3部)が特徴。教師・歌手など声を使う職業に多い。
喉頭がん持続する嗄声が主症状。早期発見が重要。喉頭全摘後は発声法の習得が必要。
機能性機能性発声障害(過緊張性)形態異常なし。過度の筋緊張が原因。心理的背景を伴うことも。
心因性失声(転換性障害)急激な失声。囁き声は出る。ストレス・心理的負荷が誘因。
神経性声帯麻痺(一側)反回神経麻痺が多い。甲状腺・肺・大動脈疾患でも起こる。気息性嗄声が特徴。
痙攣性発声障害不随意な声帯筋の痙攣。内転型(詰まる声)と外転型(途切れる声)がある。
国試頻出ポイント 声帯結節は「両側前1/3」が定番の選択肢。声帯ポリープは「一側性が多く、出血性変化を伴う」。この2つの違いは繰り返し問われる。

3. 音声の評価法

3-1. GRBAS評価(聴覚心理評価)

声の質を5つの側面から0〜3の4段階で評価する方法。耳鼻咽喉科・STが共通の言語として使用する。

項目意味英語表記
G(Grade)嗄声の総合的な重症度Grade
R(Roughness)粗糙性(ざらつき、不規則な声)Roughness
B(Breathiness)気息性(息が漏れる感じ)Breathiness
A(Asthenia)無力性(力のない、弱い声)Asthenia
S(Strain)努力性(絞り出すような声)Strain

3-2. 音響分析

コンピュータを用いた客観的評価。主な指標:

3-3. 喉頭内視鏡検査

硬性鏡(口腔から)または軟性鏡(鼻腔から)で声帯を直視する。ストロボスコピーと組み合わせると声帯振動の粘膜波動の様子が評価できる。

4. 訓練法

5. 喉頭摘出後の音声代替手段

喉頭全摘後は通常の発声が不可能になる。STが関わる代替手段は3種類ある。

手段特徴
食道発声空気を食道に取り込み、食道壁を振動させて発声する。習得に数か月かかるが機器不要で自然な声に近い。
電気式人工喉頭(電喉)電動振動体を顎に当てて発声する。すぐに使えるが機械的な声質。
気管食道シャント(シャント発声)外科的にシャントを作成。習得しやすく音量も得られる。シャントの維持管理が必要。
💡 臨床メモ: 心因性失声では「囁き声は出る」という点が重要な鑑別ポイント。器質性の失声では囁き声も困難になりやすい。また、治療に心理的アプローチが必要になるケースも多く、STとして患者との信頼関係が特に重要な領域だ。

⚠️ よくある誤解

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※ 本記事は現役の言語聴覚士が執筆・監修しています。
最終更新: 2026年5月