補聴器・人工内耳の基礎知識

この記事の執筆者: 現役の言語聴覚士が、臨床経験と国家試験の出題傾向をもとに執筆・監修しています。

補聴器と人工内耳は聴覚障害の代表的な支援機器です。それぞれの仕組み・適応・限界をしっかり理解しましょう。

1. 補聴器の種類

種類特徴適応
耳かけ型(BTE)耳介にかけるタイプ。最も汎用的。パワー型も対応可。中等度〜重度難聴
耳穴型(ITE)外耳道に収まるカスタムメイド型。小型で目立ちにくい。軽度〜中等度難聴
耳あな型(CIC)完全に外耳道内に入る最小型。電話での使用に適。軽度〜中等度難聴
骨導補聴器振動子で頭蓋骨を振動させ内耳に伝える。伝音性・混合性難聴、外耳道閉鎖
BAHA(骨固定型補聴器)チタンスクリューを乳突部に埋め込み骨振動を利用。伝音性難聴・片側聾
ポケット型本体を胸ポケットに入れイヤホン型で使用。操作しやすい。高齢者・重度難聴

2. 補聴器の適応基準

補聴器の適応は平均聴力レベル(4分法)を基準とします。

平均聴力補聴器の必要性
25dB未満通常不要
25〜40dB(軽度)職業・生活環境によって適応を検討
40〜70dB(中等度)補聴器が有効・推奨
70〜90dB(高度)強力補聴器が必要
90dB以上(重度)補聴器の効果に限界→人工内耳を検討
補聴器適合検査:FN法(フィッティング) 補聴器装用後の快適レベル(MCL)と不快レベル(UCL)の間に言語明瞭度が最大になるように調整する。装用後の語音明瞭度の確認も重要。

3. 人工内耳(CI: Cochlear Implant)

人工内耳は補聴器では効果が不十分な重度感音性難聴者に対して行う外科的治療です。

構造

手術適応(日本)

対象基準
小児(1歳以上)両側90dB以上の高度難聴 / 補聴器3〜6か月装用でも効果不十分
成人両側70dB以上の高度難聴 / 最高語音明瞭度50%以下 / 補聴器効果不十分

マッピング(プログラミング)

術後に電極の刺激パラメーター(T-level:最小反応閾値、C-level:快適レベル)を個別に設定する作業をマッピング(MAP設定)といいます。定期的な調整が必要です。

4. 補聴器と人工内耳の比較

補聴器人工内耳
原理音を増幅(音響的)蝸牛神経を電気刺激
適応軽度〜高度難聴重度感音性難聴(補聴器効果不十分)
手術不要全身麻酔による外科手術
効果の条件残存内耳機能が必要蝸牛神経が機能していること
MRI通常影響なし種類によってはMRI制限あり
メンテナンス定期的な電池交換・調整スピーチプロセッサのバッテリー交換・マッピング

5. 聴覚補償後のリハビリテーション

💡 臨床メモ: 人工内耳装用者のリハビリは術後の聴覚学習が鍵です。「聞こえるようになった」だけでなく「言葉として理解できる」ようになるまで、継続的な聴覚リハビリが必要です。

⚠️ よくある誤解

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※ 本記事は現役の言語聴覚士が執筆・監修しています。
最終更新: 2026年5月