生体を「物理的な物質」として捉える科目。電気(導電率・誘電分散)・熱(比熱・放熱)・光・音(超音波)・磁気・放射線・力学(粘弾性)の7分野からほぼ全域が毎年出る。数式より「大小関係・数値・単位・対比」を覚えるほど点になる暗記型の得点源。
導電率は水分・電解質(イオン)を多く含むほど高い。血液・体液 > 骨格筋・肝など実質臓器 > 脂肪・骨。
100 Hz では脂肪 < 骨格筋 < 血液、血液 > 肝臓、皮下脂肪 < 肝臓。「脂肪が高い」「皮下脂肪>肝臓」は誤りの定番。骨格筋は線維方向で導電率が変わる異方性を示す(脂肪より異方性が大きい)。
周波数依存性:周波数が上がると細胞膜の容量性リアクタンスが下がり電流が細胞内も流れるため、導電率は上昇・誘電率は低下・インピーダンスは低下する。「周波数増加で導電率が低下」は誤り。生体インピーダンスは非線形性をもつ。細胞膜の静電容量 ≒ 1 μF/cm²。高周波ほど電気的感受性が下がり興奮を起こしにくい(電気メスが数百kHz〜数MHzを使う理由)。抵抗は R=ρL/A(抵抗率 ρ=RA/L)。
| 分散 | 周波数帯 | 起源 |
|---|---|---|
| α分散 | 数Hz〜kHz | イオン雰囲気(対イオンの集散) |
| β分散 | kHz〜MHz | 細胞膜の界面分極(細胞構造・マクスウェル‐ワグナー効果) |
| γ分散 | 約20 GHz | 水分子の緩和現象 |
分散と起源の取り違えが頻出。「β分散=水分子」「α分散=水分子」「γ分散=イオン」はすべて誤り。水分子の緩和は必ずγ分散、イオン雰囲気は必ずα分散。
静止電位 −90〜−50 mV(細胞内外のイオン濃度差=主にK⁺勾配)→脱分極(Na⁺流入)→オーバーシュート 0〜+40 mV(膜電位が正に振れる頂点)→再分極相(K⁺流出=不応期)。跳躍伝導は有髄神経の特徴で、無髄神経は連続伝導(「無髄=跳躍伝導」は定番のひっかけ)。細胞膜=脂質二重膜の静電容量(コンデンサ)と抵抗の並列等価回路。
拡散=濃度(分圧)勾配(肺胞ガス交換・O₂/CO₂)/濾過=圧力勾配(糸球体・毛細血管の限外濾過)/浸透=半透膜を介した水の移動(毛細血管・腎での水の再吸収)/能動輸送=ATPで濃度勾配に逆行(Na⁺‐K⁺ポンプ、グルコースのNa⁺共輸送=二次性能動輸送)。O₂・CO₂・尿素は単純拡散(受動)。
比熱は Q=mcΔT で効き、含水率が高いほど比熱が大きい(水の比熱 ≒ 4.2 J/g·K)。比熱 大:水・血漿・血液・筋・細胞内液/小:脂肪・骨・金属(ステンレス ≒ 0.5)。同じ熱・同じ質量なら温度上昇は比熱に反比例し、脂肪が最も温まりやすく、水・血漿が最も温まりにくい。
体内の熱は血流(対流)で運ばれる(「熱伝導が主」は誤り)。体表からの熱放散4経路=放射・伝導・対流・蒸発(発汗)(「散乱」はダミー)。皮膚は放射率 ≒ 0.98 でほぼ黒体、約37℃の放射ピーク波長 ≒ 9〜10 μm(遠赤外)(ウィーンの変位則)→サーモグラフィ。放射エネルギーは絶対温度の4乗に比例(ステファン・ボルツマンの法則 E=σT⁴)で、これを用いるのが非接触・鼓膜(耳式)体温計。基礎代謝 ≒ 100 W。体温28℃以下で体温調節が破綻、寒冷→血管収縮・シバリング(産熱)、温熱→血管拡張・発汗(放熱)。
波長が長いほど深部に到達(UVC < UVB < UVA、可視 < 近赤外)。生体の窓(光学窓)=約600〜1300 nmで吸収が少なく深部到達(パルスオキシメータ・近赤外分光 NIRS の基礎)。
吸収体:核酸(DNA)=260 nm・タンパク質=280 nm・メラニン=紫外を強吸収/水=赤外を強吸収/ヘモグロビン=可視光を吸収(赤色光の吸収は小さく血液は赤く見える)。酸素化Hbと脱酸素化Hbの吸収差がパルスオキシメータ(赤 660 nm/赤外 940 nm)の原理。ビリルビンは青色光(≒450 nm)を吸収(新生児黄疸の光線療法)。
光は波動性と粒子性を併せもつ(光子の静止質量はゼロ)。真空中の光速は一定(c ≒ 3×10⁸ m/s)、エネルギーは周波数に比例(E=hν)。蛍光=励起光を吸収しより長波長で発光(ストークスシフト)し、励起状態→基底状態への遷移でエネルギーを放出する。
超音波=20 kHz 以上(2000 Hz は可聴音)。音響インピーダンス Z=ρc(密度×音速)。音速は軟部組織 ≒ 1500 m/s、骨 ≒ 3000〜4000 m/s(骨 > 筋)。境界面での振幅反射係数 R=(Z₂−Z₁)/(Z₂+Z₁)、エネルギー反射率は R²。Z の差が大きいほど強く反射し、空気‐組織の界面はほぼ全反射(超音波検査でゼリーを使い空気層を排除する理由)。皮膚を通した物理的エネルギーで不可逆的障害が生じる下限 ≒ 100 mW/cm²。
生体の比透磁率 ≒ 1(「5000 程度」は鉄など強磁性体の値=定番のひっかけ)。水素原子核(プロトン)は磁気モーメントをもつ→MRI の信号源。神経・心筋の電流で微弱な磁界が発生→脳磁図・心磁図(fT〜pT と極微弱→SQUID + 磁気シールド)。酸素化Hb=反磁性/脱酸素化Hb=常磁性(fMRI の BOLD 効果)。
| 量 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|
| 放射能 | Bq | 毎秒の崩壊数(1/s) |
| 照射線量 | C/kg | 空気の電離量 |
| 吸収線量 | Gy(J/kg) | 物質1 kg あたりの吸収エネルギー |
| 等価・実効線量 | Sv(J/kg) | 生物影響を加味(Gy×放射線加重係数) |
「生物への影響を考慮=Sv」が定番の問われ方。Gy と Sv は同じ J/kg だが、Sv は放射線の種類・組織感受性で重みづけした人体影響の指標。エネルギーは eV。電離作用(LET)=α > β > γ・X、透過力=α < β < γ・X < 中性子(電荷が小さいほど透過力大で、両者は逆順)。放射線感受性(ベルゴニー・トリボンドーの法則)=分裂が盛んで未分化な組織ほど高い。高=骨髄・生殖腺・腸上皮・リンパ組織・皮膚基底層/低=神経・筋・骨・脂肪。
生体軟組織は粘弾性体で、クリープ(一定応力→ひずみ増)・応力緩和(一定ひずみ→応力減)・ヒステリシスを示し、非線形・異方性。ポアソン比 ≒ 0.5(ほぼ非圧縮)、ヤング率が大きいほど硬くひずみは小さい。粘弾性モデルはマックスウェル=直列(応力緩和)/フォークト(ケルビン)=並列(クリープ)。血漿=ニュートン流体/全血=非ニュートン流体(赤血球のため)。
| 構成線維 | 性質・分布 |
|---|---|
| コラーゲン(膠原線維) | 引張強度・硬い(弾性率大)。骨基質(I型)・関節軟骨(II型)・腱・靱帯・血管外膜 |
| エラスチン(弾性線維) | 弾性・軟らかい(弾性率小)。血管中膜・肺・皮膚(大動脈の弾性) |
| ケラチン | 表皮・毛髪・爪 |
| アクチン・ミオシン | 筋収縮 |
「弾性線維=コラーゲン」は誤り(弾性線維=エラスチン、膠原線維=コラーゲン)が最頻出のひっかけ。参考:酸化=電子を失う/還元=電子を受け取る、イオン化傾向が大きい金属ほど陽イオンになりやすい(電子を失う)。