体内・血液に触れる材料の科目。生体反応(急性/慢性)・血液適合性(抗血栓性)・滅菌法・生物学的安全性試験・材料の分類と用途が5本柱。「材料名⇄用途⇄性質」の対応表と反応の時間軸(急性か慢性か)で取り切れる。
急性反応=血栓形成・血液凝固・補体活性化・炎症・アナフィラキシー/ショック・溶血。
慢性反応=カプセル化(線維性被包)・石灰化・肉芽形成・器質化・発癌。
「カプセル化・石灰化・肉芽形成」は必ず慢性、「補体活性化・血栓・溶血」は必ず急性。
反応と関連物質の組合せ:カプセル化=コラーゲン、補体活性化=アナフィラトキシン(C3a・C5a)、石灰化=リン酸カルシウム、炎症=ヒスタミン・マクロファージ。血栓形成=フィブリン・血小板(「血栓形成=エラスチン」は誤り)。人工心肺による体外循環では溶血・補体活性化が起こる。人工腎臓(ダイアライザ)は拡散+限外濾過で除去のみ・再吸収機能はない。
①タンパク質吸着(数秒・最初)→②血小板の粘着・活性化→③血小板凝集→④凝固系活性化(トロンビン生成→フィブリン形成)→血栓。
材料表面では内因系(接触相・第XII因子)が活性化し、第Xa→プロトロンビン活性化→トロンビンへ進む。Ca²⁺は凝固に必須。
抗血栓性材料=リン脂質ポリマー(MPC)・セグメント化ポリウレタン・ヘパリン固定化表面・フッ素系。逆にコラーゲンは血小板を活性化して止血に働く(抗血栓性なし)。ヘパリン(アンチトロンビン増強)・クエン酸/EDTA(Ca²⁺キレート)は抗凝固側、プラスミンは線溶(血栓を溶かす)で形成側ではない。Na⁺放出は凝固と無関係(ひっかけ)。材料の劣化因子=加水分解(水)・酸化(活性酸素)・酵素分解・機械的疲労で、フィブリノーゲンは劣化に無関係(血液適合性の問題)。
| 滅菌法 | 条件 | 対象・特徴 |
|---|---|---|
| 高圧蒸気(オートクレーブ) | 121℃前後・約20分 | 耐熱・耐湿物。タンパク質を変性させる(血清・血液は不可) |
| EOG(酸化エチレンガス) | 低温 約40〜60℃ | 熱に弱い高分子。残留ガスのエアレーション必要 |
| 乾熱 | 160〜250℃ | ガラス・金属。エンドトキシンを無毒化(高分子は不可) |
| 放射線(γ線・電子線) | 常温・短時間 | ディスポ製品の工業滅菌。透過性は γ線 > 電子線 |
| 濾過 | 常温・0.22 μm | 加熱できない液体・気体。細菌は除去・ウイルスは通過 |
ひっかけ:EOG は室温でなく40〜60℃/高圧蒸気は血清・血液に使えない/濾過はウイルスを除去できない/電子線は γ線より透過性が低い/乾熱は高分子に不可。過酸化水素ガスプラズマも低温滅菌の一つ。
基本3項目=細胞毒性・感作性・刺激性(皮内反応)は接触形態によらず全機器で考慮する。
試験は接触部位(体表/粘膜/血液・体内組織)×接触期間(一時的 ≦24h/短中期/長期 >30日)で選定する。「接触面積で分類」は誤り(定番のひっかけ)。
追加項目:血液接触→血液適合性、埋植→埋植試験・慢性毒性・発がん性、遺伝毒性(染色体変異)・発熱性など。感作性=遅延型アレルギー(皮膚)、刺激性=眼・皮膚、遺伝毒性=染色体変異(慢性毒性との取り違えに注意)。溶出物(抽出液)で評価し、破壊・溶出を伴うため抜き取り検査(全製品の個々評価ではない)。規制は医薬品医療機器等法(薬機法)。無菌試験は生物学的安全性評価に含まれない(滅菌・品質管理の領域)。医療機器安全管理責任者は院内保守の管理者で、安全性試験の実施者ではない。
不動態=金属表面の緻密な酸化被膜で耐食性を担う(傷ついても酸素があれば自己修復)。ステンレス鋼(Fe‐Cr‐Ni、SUS316L)=酸化クロム(Cr₂O₃)、チタン・チタン合金=酸化チタン(TiO₂)の不動態皮膜。Ni‐Ti合金(ニチノール)=形状記憶・超弾性でステント・ガイドワイヤ・矯正ワイヤに使う。金属の用途:チタン=人工歯根・骨接合、Ti‐6Al‐4V=人工関節、Co‐Cr=ステント・人工関節、パイロライトカーボン=機械弁の弁葉(抗血栓性)。
共有結合 ≒ イオン結合 ≒ 金属結合(一次結合・強)> 水素結合 > ファンデルワールス力(二次結合・弱)。分子間力=ファンデルワールス力・水素結合、分子内の化学結合=共有・イオン・金属。
| 材料 | 主な用途 |
|---|---|
| ポリスルホン/セルロース系 | 透析膜(再生セルロースは水酸基で補体活性化=生体適合性低) |
| ePTFE・ポリエステル(ダクロン/PET) | 人工血管 |
| ポリ塩化ビニル(PVC) | 血液回路・カテーテル・血液バッグ |
| シリコーン(Si‐O主鎖) | カテーテル・チューブ・ドレーン・人工肺膜・眼内レンズ |
| ポリカーボネート | 透明・硬質のハウジング(人工肺の外筒・コネクタ) |
| ポリプロピレン/ポリメチルペンテン | 人工肺のガス交換膜 |
| 超高分子量ポリエチレン | 人工関節の摺動面 |
| ポリ乳酸(PLA)・ポリグリコール酸 | 生体吸収性の縫合糸・スキャフォールド |
| PMMA・アクリル | 眼内レンズ・骨セメント |
結合様式:エステル結合=ポリエステル(PLA・PET・PGA)/アミド結合(C‐N)=ナイロン/ウレタン結合=ポリウレタン/シロキサン結合(Si‐O)=シリコーン/C‐C=ポリエチレン・PP。ポリエチレンはポリオレフィン・熱可塑性でゴム弾性なし、ビニル化合物ではない。シリコーンは疎水性・耐熱・ガス透過性が高く、オイル状とゴム状があり加水分解されにくい。
生体活性(骨と化学的に結合)=ハイドロキシアパタイト・リン酸三カルシウム(β‐TCP)・バイオガラス。生体不活性(バイオイナート)=アルミナ・ジルコニア・カーボン・チタン。生体吸収性=ポリ乳酸・PGA・β‐TCP。天然高分子は、タンパク質系=コラーゲン(足場・人工皮膚・止血材)・ゼラチン(コラーゲンの変性物)・エラスチン(弾性線維)・シルク(縫合糸)、多糖類系=キチン/キトサン(創傷被覆)・セルロース(透析膜)・アルギン酸・ヒアルロン酸。「エラスチン=膠原線維」は誤り(エラスチンは弾性線維)。