第2章|各種治療機器

医用治療機器学 第2章
収録 96問(第31〜39回)電気メスと対極板・除細動器とICD・ペースメーカとNBGコード・アブレーション・輸液ポンプ・ESWL・PCI・レーザ・超音波手術器・内視鏡外科・ハイパーサーミア

出題基準の大項目(電気・機械・光・超音波・内視鏡・ロボット・熱)ごとに機器を並べた章。毎回ほぼ同じ機器が同じ角度で問われるので、機器ごとに原理(何のエネルギーをどう作用させるか)・数値(周波数・出力・圧)・事故と対策の3点を押さえる。除細動器の充電電圧は計算で出る。

2-1 電気メスの原理・構造・種類

治療エネルギーと周波数

低周波の電流は神経・筋を刺激する。周波数が高くなると刺激作用は消え、熱作用だけが残る。この境界が、刺激を使う機器と熱を使う機器の分かれ目になる。

帯域主な作用機器の例
低周波神経・筋の興奮(刺激作用)心臓ペースメーカ・筋刺激装置・脳深部刺激
高周波(数百kHz〜数MHz)電流のジュール熱電気メス・高周波カテーテルアブレーション・RFハイパーサーミア
マイクロ波(GHz帯の電磁波)水分子を揺さぶる誘電加熱マイクロ波手術装置・マイクロ波加温

「低周波電流を使う機器」の正答はペースメーカ。電気メスは高周波、レーザメスは光、サイクロトロンは荷電粒子の加速器、マイクロ波治療器は電磁波で、どれも低周波電流ではない。

正しい組合せ(過去問)誤りとして出た組合せ
ESWL―音波/除細動器―パルス波/電気メス―高周波/マイクロ波治療器―電磁波/高気圧酸素治療装置―陽圧/サイクロトロン―荷電粒子(粒子線)。過去問では「サイクロトロン―電子線」が正しい組合せとして出ている(荷電粒子線の意味)ガンマナイフはγ線=電磁波(粒子線ではない)/温熱治療器は紫外線ではない/電気焼灼器は極超短波ではない/IABPは超音波ではなく機械力

電気メスの原理

電気メスは高周波電流(およそ300kHz〜5MHz。過去問では「300〜500kHz帯」が正)を、細いメス先(アクティブ電極)から生体に流し、広い対極板で回収する。メス先では電流密度が高いのでジュール熱で組織が加熱される。対極板では面積が広く電流密度が低いので熱くならない。メス先と組織の間にはアーク放電(火花)が生じる。グロー放電ではない。

出力は数百Wまで(数十kWは誤り)。アクティブ電極と生体の接触部の負荷インピーダンスは400Ω前後で、出力の校正は300〜500Ωの負荷抵抗で行う(10Ωは誤り)。500MHz・10kHzといった値は電気メスの周波数ではない。

切開と凝固の波形

モード波形組織で起きること
切開(純切開)連続正弦波(連続波)細胞内の水が一気に沸騰・蒸発して組織が切れる
凝固断続波(バースト波)休み時間があるので加熱がゆっくりになり、タンパク質が凝固する
混合(ブレンド)切開と凝固の中間切りながら止血する

誤答肢は「切開に断続波(バースト波)」「凝固に連続正弦波」の入れ替えで出る。

出力回路と接地方式

出力回路にはコンデンサが直列に入っている(抵抗ではない)。コンデンサは高周波を通し、低周波や直流を通しにくいので、神経・筋を刺激する低周波成分が患者に流れるのを防ぐ。

方式対極板回路の扱い
高周波接地形対極板側をコンデンサを介して接地する(抵抗で接地、は誤り)
高周波非接地形(フローティング形)対極板回路を接地から絶縁する。接地点(心電図電極など)への分流が起きにくい

モノポーラとバイポーラ

モノポーラバイポーラ
電流の通り道メス先→体内→対極板ピンセット型の2本の先端の間だけ
対極板必要不要
使いみち切開・凝固挟んだ部位を凝固する(脳外科などの細かい止血)

対極板

対極板の必要面積は出力電力にほぼ比例して増える(反比例・減少は誤り)。成人用の接触面積はおよそ150cm²(10cm²前後は誤り)。対極板は電流を回収する電極で、アクティブ電極ではない。

種類中身接触インピーダンス
導電接触形(導電結合形)導電性ゲルなどで皮膚に直接つながる。ゲルパッド型はこちら小さい
静電接触形(静電結合形・容量結合形)絶縁層をはさみ、コンデンサとして高周波を通す大きい
電気メスの数値は誤答肢と対で覚える
項目正しい値誤答肢に出た値
周波数300kHz〜5MHz(300〜500kHz帯)500MHz/10kHz
出力数百W数十kW
対極板の面積(成人)約150cm²10cm²前後
出力校正の負荷300〜500Ω10Ω
高周波漏れ電流150mA以下(200Ωで測定)500mA

なぜ高周波を使うのか:周波数が高いほど、神経・筋は反応しにくくなる(刺激の閾値が上がる)。100kHzを超えると感電のような刺激がほぼ起きず、熱だけを取り出せる。切開に連続波を使うのは、休みなく熱を入れて水を一気に蒸発させるため。凝固に断続波を使うのは、同じ平均出力でも瞬間の電圧を高くして、組織を蒸発させずに表面を焼き固めるため(休み時間があるので平均の熱量は少なく、加熱がゆっくりになる)。

2-2 電気メスの安全管理・マイクロ波手術装置

熱傷が起きる仕組み

熱傷は電流が狭い面積に集まったところで起きる。対極板が剥がれて接触面積が減ると電流密度が上がり、対極板の下が熱傷になる(「接触面積の増加が熱傷の原因」は逆)。

熱傷の原因になる原因にならない(防ぐ側)
対極板の接触不良(剥がれ・面積不足)
消毒液(アルコール)の貯留:火花で引火
身体の部分同士の接触:接触点に電流が集まる(分流熱傷)
心電図電極など接地点への高周波分流
高周波非接地(フローティング)形の使用
ディスポーザブル対極板の使用
対極板の接触面積を広くとること

安全回路(モニタ)

モニタ見張るもの
対極板接触モニタ2分割(スプリット型)の対極板で、2片の間のインピーダンスを測り接触不良を検出する
患者回路連続性モニタ対極板回路がつながっているか
対極板コード断線モニタ対極板コードの断線
高周波分流モニタ対極板以外の経路へ流れる高周波電流

対極板が2つに分かれている理由は接触不良のモニタ(分流・連続性・断線・コネクタではない)。商用交流漏れ電流モニタは感電(マクロショック・ミクロショック)の対策で、電気メスの熱傷対策ではない。

電気メスの高周波漏れ電流は150mA以下に決められていて(500mAは誤り)、測定には200Ωの無誘導抵抗を使う。電気メスの高周波はペースメーカの誤作動(ペースメーカ障害)の原因になる。

マイクロ波手術装置(極超短波手術装置)

項目内容誤答肢
周波数ISM周波数の2450MHz(2.45GHz)—
伝送同軸ケーブルで針状の電極へ送る—
発熱電極のまわりの組織を誘電加熱で温める渦電流損で発熱する
対極板不要対極板を使用する
用途組織の凝固(肝臓の止血・腫瘍の凝固など)—

機器と有害事象の組合せ

電気メス―熱傷、レーザメス―眼の傷害、熱希釈式心拍出量計―不整脈(カテーテルが心臓を刺激)、経皮的酸素分圧モニタ(TcPO₂)―水疱(センサの加温による低温熱傷)は正しい組合せ。キャビテーションは超音波で起こる現象で、マイクロ波加温装置の有害事象ではない。

対極板の貼り方と引火

対極板は、血流のよい筋肉の多い平らな部位に、しわなく全面を密着させる(大腿・上腕・殿部など)。骨の突出部・瘢痕・体毛の多い所・金属インプラントの真上は避ける。術野に近い所に貼ると、体内を流れる経路が短くなり、心臓を横切りにくい。

高周波接地形では、心電図電極など別の接地点へ電流が逃げて、小さい電極の下で熱傷が起こりうる(分流熱傷)。フローティング形はこの経路を断つ方式なので、熱傷の原因ではなく対策の側に入る。火花は可燃物に引火するので、アルコール消毒液の溜まりや高濃度の酸素の近くでは特に注意する(腸管内ガスへの引火も知られている)。

原理の決め手(詳しくは2-1)

切開は連続正弦波、凝固は断続波(バースト波)。出力回路に入るのはコンデンサ(結合コンデンサ)で、高周波は通し、電撃の原因になる低周波を阻止する(「出力回路に抵抗が挿入されている」は誤り)。バイポーラ電極は挟んだ組織だけを凝固し、対極板は要らない。

2-3 除細動器(AED・ICD)

原理と出力

除細動器はコンデンサに充電した電気を短時間に放電し、心筋全体を一斉に脱分極させて細動を止める。通電は直流(交流除細動は誤り)で、波形は二相性が主流(単相性が一般的、は誤り)。二相性波形の極性の反転は半導体スイッチで行う(コイルではない)。パルス幅は数msで、2〜5μsは誤り。

通電の種類エネルギーの目安
体外通電(成人)単相性で最大360J、二相性は120〜200J程度(4000Jは誤り)
体内通電(開胸して心臓に直接)20〜60J程度=体外通電の10〜20%程度
ICD(植込み型)数十J程度(360Jは誤り)

除細動の効果は通電エネルギーに依存する(少なすぎると止まらない)。出力端子は接地から浮いている(フローティング)。「一方が接地されている」は誤り。通電テスト(出力点検)には50Ωの無誘導抵抗を使う(5Ω・500Ωは誤り)。50Ωは人体の胸郭のインピーダンスに近い値。

計算:コンデンサの充電電圧

手順:①蓄積エネルギーの式 E=½CV² を立てる ②Vについて解く V=√(2E/C) ③μF=10⁻⁶Fに直して代入する。
例題:静電容量150μF、設定エネルギー300Jのとき充電電圧は?
V=√(2×300÷(150×10⁻⁶))=√(4×10⁶)=2,000V。
½を落とすと√(2×10⁶)≒1,414Vになり、誤答肢に入っている。
例題2:同じ150μFで200Jなら、V=√(2×200÷(150×10⁻⁶))=√(2.67×10⁶)≒1,630V。

同期と非同期

不整脈通電のしかた理由
心房細動・心房粗動R波同期(カルディオバージョン)T波の上で通電すると心室細動を誘発するので、R波に合わせる
心室細動非同期R波が無いので同期できない(R波同期スイッチをオンにする、は誤り)

取扱いと安全

  • 電極ペースト(導電性ゼリー)やパッドを使わないと接触抵抗が上がり、除細動効果が下がる。ゼリーの塗布不良は皮膚熱傷の原因になる。
  • パドルは皮膚に強く押し付けて密着させる。強く押し付けると熱傷が生じる、は誤り(熱傷は密着不良で起きる)。
  • 通電時は介助者も含め全員が患者から離れる(患者を保持する、は誤り)。
  • パドルの通電ボタンは左右を同時に押す(片方だけ、は誤り)。
  • 内蔵バッテリーの充電を保つため、電源コードをコンセントにつないで保管する。

AEDとICD

AED(自動体外式除細動器)は心電図を自動で解析し、心室細動・無脈性心室頻拍のときだけ通電する。オートショックAEDは解析後に自動で通電するので、ショックボタンが無い。

ICD(植込み型除細動器)は、リードを経静脈的に右室へ留置する(左室・開胸手術は誤り)。ICDは頻拍停止機能(抗頻拍ペーシングとショック)を持つ。徐脈に対するペースメーカ機能も持つ。心室細動・突然死の予防が目的なので、Brugada症候群はICDの適応(禁忌でもペースメーカの適応でもない)。

AEDの使い方の要点

パッドは右前胸部(鎖骨の下)と左側胸部(脇の下)に貼り、心臓をはさむ。植込み型デバイスの膨らみがあれば、その真上を避けて少し離して貼る。胸が濡れていれば拭き、貼付薬ははがす。小児には小児用パッドや小児モードでエネルギーを下げる。解析中と通電中は患者に触れない。通電の後はすぐに胸骨圧迫を再開する。

除細動器の数値の対比

パルス幅:数ms(2〜5μsは誤り)/通電テスト:50Ω(5Ω・500Ωは誤り)/体外:最大360J(4000Jは誤り)/体内:20〜60J(体外の10〜20%)。「同期」が付くのはR波がある不整脈(心房細動・心房粗動、心室頻拍の一部)、R波の無い心室細動は非同期、と覚える。

ICDの段階的な治療

ICDは心室頻拍に対して、まず速いペーシング(抗頻拍ペーシング)で止めにいき、止まらなければ電気ショックを出す。心室細動にはすぐにショックを出す。心房細動の速い脈などを心室頻拍と誤って判定すると、意識のある患者に不適切なショックが入るので、設定の調整が要る。ICDの患者に手術で電気メスを使うときは、頻拍の検出を一時的に切っておく(雑音を細動と誤認してショックを出さないため)。着用型除細動器(ベスト型)は、ICDを植え込むまでの間に一時的に使う。

2-4 心臓ペースメーカ(体外式・CRT・リードレス)

NBG(ICHD)コード

文字の位置意味記号
1文字目ペーシングする部位A=心房、V=心室、D=両方、O=なし
2文字目センシングする部位A・V・D・O
3文字目感知したときの応答I=抑制、T=同期(トリガ)、D=両方、O=なし
4文字目レート調節R=心拍応答機能(体動などでレートを変える)
モード動きリード
AAI心房だけをペーシング(心室は刺激しない)1本(心房)
VVI心室で感知・心室をペーシング。心房には同期しない1本(心室)
VDD心房と心室で感知し、ペーシングは心室だけ1本(心房感知用の電極つきシングルリード)
DDD心房と心室の両方でペーシング・センシング。AVディレイの設定が必要2本(心房・心室)
VOO感知せず固定レートでペーシング1本
CRT(心臓再同期療法)左室と右室を同期して刺激する(両心室ペーシング)3本(右房・右室・左室)

DDDRはDDDに心拍応答機能(R)を加えたもので、リードは2本(3本は誤り)。VVIなどの単純なモードに設定を変えられる。心房の後、AVディレイの間に自己の心室波がなければ、心室をペーシングする。自己の心房波を感知したら、心房ペーシングは抑制される(心房波が多ければ心房ペーシングする、は誤り)。デュアルチャンバのAVディレイは120〜250ms程度。

デマンド機構

デマンド機構は自己心拍を感知したら刺激を止める仕組み。T波の上(受攻期)に刺激が入ると心室細動を起こしうる(spike on T、pulse on T)。デマンド機構はこれを防ぐのに有効(無効、は誤り)。

構造と植込み

項目正しい誤答肢
電源リチウム・ヨウ素電池リチウムイオン電池・ニッケル水素電池・アルカリ電池
ケースチタン合金で密封—
ジェネレータ前胸部の皮下に植え込む心房内に留置する
電極(リード)右房・右室。X線透視下で留置左房に留置/体外式超音波で誘導
出力パルス振幅は数V、パルス幅は0.5ms前後パルス振幅3mV(mVは感度の単位)
単極電極カテーテル先端がマイナス極(陰極)—
電極の位置自己心拍の心内波高値が大きい所に置く1mV以下の箇所に留置する
刺激閾値植込み後に変化する不変である

リードレスペースメーカは、大腿静脈からカテーテルで右心室内に留置する。留置はX線透視下で行う。胸部切開もジェネレータのポケットも不要。X線CTや電気メスはペースメーカの誤作動を起こしうる。

体外式ペースメーカは、一時的な徐脈(心臓手術後・急性心筋梗塞など)に、体外のジェネレータとリードで行う一時ペーシング。

適応

ペースメーカの適応(症状のある徐脈)適応でない/別の機器
洞不全症候群(SSS)
完全房室ブロック(心室ペーシングが要る)
モービッツⅡ型第2度房室ブロック
徐脈性の慢性心房細動→VVI
心不全→CRT
慢性心房細動にDDDは使わない(心房を感知・刺激しても意味がない)
完全房室ブロックに心房ペーシングは効かない(心室へ伝わらない)
Brugada症候群はICDの適応

ペースメーカの不具合(ペーシング不全とセンシング不全)

不具合何が起きるか
ペーシング不全刺激(スパイク)は出ているのに、心筋が反応しない(閾値の上昇・リードの位置ずれ)
オーバーセンシング筋電図や外来の雑音を自己心拍と誤って感知し、ペーシングが止まる(徐脈・心停止)
アンダーセンシング自己心拍を見落とし、不要な刺激がT波に乗りうる(spike on T)

電気メス・MRI・強い電磁波はオーバーセンシングや設定の書き換えの原因になる。手術では、必要に応じて、固定レート(VOOなど)に設定を変えておく。

2-5 カテーテルアブレーション・その他の電気的治療機器

高周波カテーテルアブレーション

カテーテル先端の電極から、高周波電流を流し、心筋をジュール熱で焼灼して異常な伝導路や興奮の発生源を断つ。低周波電流ではない。多くは単極通電なので、電気メスと同じく対極板が必要(不要、は誤り)。

項目正しい誤答肢
先端の温度50〜60℃程度に制御90〜100℃/300℃以上
画像X線透視が必要X線透視装置は不要
操作先端を目的部位に接触させて焼灼。コンタクトフォース(接触圧)を見ながら行う—
冷却イリゲーションカテーテルは先端から生理食塩液を流して冷やす—
インピーダンス先端に血栓がつくとインピーダンスは上昇する低下する
影響ペースメーカの誤作動を起こしうる。術後に心機能は低下しない術後心機能が低下する

適応は頻脈性不整脈:心室頻拍・WPW症候群・心房粗動・心房細動など。洞不全症候群やWenckebach型房室ブロックは徐脈性なので適応でない(徐脈はペースメーカ)。

その他の電気的治療機器

出題基準には、電気刺激で神経の働きを調整する植込み機器も入っている(過去問はまだ少ない)。代表例:脳深部刺激装置(DBS)は脳の深部に電極を置き、パーキンソン病などの運動症状を和らげる。仙骨神経刺激装置は排尿・排便の障害に、脊髄刺激装置は難治性の痛みに使う。刺激する場所は、DBSが視床下核・淡蒼球内節など脳の深部、仙骨神経刺激が仙骨神経(S3)、脊髄刺激が硬膜外腔から脊髄の後索。どれも低周波の電気パルスで神経を刺激する点はペースメーカと同じで、MRIや電気メスによる誤作動・体内の電池の寿命に注意する。

アブレーションの流れと合併症

まず電気生理検査で不整脈の発生源や回路を探し、3次元マッピングで位置を確かめてから焼灼する。心房細動では、肺静脈の入口を一周焼いて肺静脈を電気的に隔離する(高周波のほか、バルーンで冷やす冷凍アブレーションもある)。合併症の代表例は心タンポナーデ(心筋の穿孔)・血栓塞栓症・房室ブロック。高周波と冷凍は「温める」と「冷やす」で正反対なので、温度の数値を混同しない。

2-6 吸引器・輸液ポンプ・シリンジポンプ・その他の注入ポンプ

吸引器(低圧持続吸引)

胸腔ドレナージの持続吸引は−5〜−20cmH₂Oの低い陰圧で行う。単位はcmH₂O(kPa・atm・psi・kgf/cm²ではない)。

低圧持続吸引器は、排液ボトル・水封(ウォーターシール)ボトル・吸引圧制御ボトルの3つの部屋からなる。吸引圧は吸引源の強さではなく、吸引圧制御ボトルの水面下に入っている管の深さ(水柱の高さ)で決まる。吸引源をそれ以上強くしても、余った分は制御ボトルの管から空気が泡として吸い込まれるだけで、胸腔にかかる陰圧は水柱の高さで頭打ちになる。図で問われたら、制御ボトルの水面から管の先までの長さを選ぶ。

輸液ポンプの方式

滴数制御型(滴下制御方式)流量制御型(容積制御方式・ペリスタルティック方式)
しくみ点滴筒の滴を滴下センサで数えて流量を決めるフィンガやローラでチューブをしごいて一定量ずつ送る
輸液セット汎用のセットが使える専用のセットが必要
滴下センサ必要(赤外線)不要
精度液の粘度や表面張力で1滴の大きさが変わり、誤差が出る(高濃度ブドウ糖液など)精度が高く、輸液の成分による誤差は生じない。ただし圧閉される部分のチューブ内径の変化で誤差が出る

誤答肢は「滴数制御型は専用セットが必要」「流量制御型は汎用セットが使える」「流量制御型は滴数制御型よりばらつきが大きい」の入れ替え。滴数制御型も空液(滴下が止まる)やフリーフロー(滴下が多すぎる)を検出して警報を出す。ペリスタルティック方式にも気泡アラームがある。クレンメはポンプ本体より下(患者側)につける(上は誤り)。JISの精度は設定値の±10%以内(±15%は誤り)。

検出のしくみとアラーム

異常検出に使うもの
気泡混入超音波センサ
回路閉塞圧力センサ
滴下異常・フリーフロー赤外線の滴下センサ
ドア開放機械的なスイッチ
アラーム輸液ポンプシリンジポンプ
閉塞ありあり
バッテリーありあり
気泡混入あり通常なし
流量異常(滴下)ありなし
押し子(外れ)なしあり

シリンジポンプ

シリンジポンプは押し子でシリンジを押して、微量の薬剤を精密に注入する。心臓血管作動薬の持続投与にはシリンジポンプを使う(ローラ型・フィンガ型・ボルメトリック型・自然滴下より推奨)。自然滴下方式ではなく、大量急速注入には向かない。気泡検出は通常ない。

サイフォニング:ポンプが患者より高い所にあり、押し子がはずれていると、落差で薬液が一気に患者へ流れ込む(過剰投与)。「シリンジへ逆流する」は誤り。微量注入なので閉塞してもアラームが鳴るまで時間がかかり、解除したときに溜まった薬液がまとめて入る(ボーラス)点も事故の典型。

その他の注入ポンプ・機械力の機器

携帯型ポンプには与圧注入方式(バルーンなどの圧で押し出す)があり、小型軽量。経腸栄養用注入ポンプは経管栄養を一定速度で送る。経腸栄養のラインは静脈ラインとつながらない専用のコネクタにして、誤接続を防ぐ。

機械力を使う治療機器の代表例は、輸液ポンプ・人工呼吸器・吸引器(送液・送気・陰圧)。除細動器は電気、保育器は熱(温度・湿度の制御)。

輸液ポンプの事故事例と安全対策

事故の型対策の例
流量の桁の設定間違い(10mL/hを100mL/h)ダブルチェック、薬剤ごとの上限を持つポンプ(スマートポンプ)
フリーフロー(ドアを開けたときに一気に流れる)クレンメを閉めてから、ドアを開ける。アンチフリーフロー機構のあるセット
専用でない輸液セットの使用(流量制御型)指定のセットを使う
シリンジの固定不良・押し子の外れ(シリンジポンプ)セット後の確認、押し子アラーム
閉塞を解除したときのボーラス注入解除の前にラインの圧を抜く

シリンジポンプは患者と同じ高さに置き、交換時には落差が生じないようにする(サイフォニング対策)。

2-7 体外衝撃波結石破砕装置(ESWL)

原理と衝撃波の発生方式

体外で作った衝撃波を水を介して体内に伝え、結石に集めて砕く(水中を伝播させる)。結石の位置に焦点を合わせることが基本。ESWLは機械的エネルギー(衝撃波)による治療機器で、出題基準でも機械的治療機器に入る。

方式しくみ
水中放電方式(電極放電方式)回転楕円体の反射鏡の第1焦点で放電し、第2焦点(結石)に集める(「球の中心に集束」は誤り)
電磁板方式電磁力で金属板を振動させ、凸音響レンズで集束する
圧電方式(圧電素子方式)球面に並べた多数の圧電素子の焦点に結石の位置を合わせる

レーザ方式・圧縮空気方式はESWLの衝撃波発生方式ではない(レーザは内視鏡で結石に当てる別の治療)。

照準・同期

照準にはX線と超音波がある。X線照準は腸管ガスの影響を受けない。骨盤に近い尿管結石は超音波では見えにくいのでX線照準が向く(「尿管結石には超音波照準が適する」は誤り)。衝撃波で不整脈を起こさないよう、心電図のR波に同期して衝撃波を出す(心電図同期装置が必要)。

合併症・禁忌・適応

項目内容
損傷しやすい組織空気を含む、肺と腸(腸管損傷の危険はない、は誤り)
禁忌妊婦、衝撃波の通り道の動脈瘤(腹部大動脈瘤)
適応腎結石・上部〜中部尿管結石
過去問で「適応でない」側下部尿管結石(骨盤内)・膀胱結石・尿道結石。膀胱結石治療の第一選択ではない

治療の流れと副作用

治療中は、照準で結石の位置を確かめながら衝撃波を数千発打つ。砕けた結石は尿と一緒に自然に排出されるので、結石が大きすぎる場合は他の治療(内視鏡とレーザなど)を選ぶ。治療後の血尿はほぼ必ず出る副作用で、まれに腎周囲の血腫が起こる。衝撃波は骨や空気の境界で強く反射するので、肺や腸の損傷、骨盤内の結石の狙いにくさにつながる。

2-8 血管内治療・インターベンション(PCI・IVR)

PCI(経皮的冠動脈インターベンション)の流れ

動脈(大腿・橈骨など)から、カテーテルを入れる(上腕静脈は誤り)。冠動脈造影とX線透視で見ながら、ガイドワイヤを病変の先まで通す(体外式超音波・X線CTで誘導、X線装置は不要、は誤り)。その上をバルーンやステントを運ぶ。

項目正しい誤答肢
バルーン拡張圧10気圧程度(数〜20気圧の範囲)0.2MPa程度/50・60・100気圧程度
拡張中の冠血流バルーンが血管をふさぐので減少する増加する
ステント再狭窄予防のために留置する。それでも再狭窄は起こりうるステント留置は禁忌/再狭窄はない
薬剤溶出ステント(DES)金属ステント(BMS)より、再狭窄率が低い。コーティングには免疫抑制薬(シロリムスなど)を使うDESの再狭窄率が高い
術後抗血小板療法(2剤=DAPT)が必須抗血小板療法は不要/抗凝固療法は禁忌
画像術前は冠動脈CTが有用。術中はIVUS(血管内超音波)も使えるIVUSは禁忌/経胸壁心エコーが必要
準備急変に備え補助循環(IABP・PCPS)を待機させる補助循環の準備は不要

アテレクトミー(削る・切る道具)

ロータブレータは、ダイヤモンド粒子のついた先端(バー)を高速回転させて、硬い石灰化病変を削る。衝撃波やレーザではなく、先端はチタンのコーティングでもない。削りかすが流れて、冠血流が一時的に減る。方向性アテレクトミー(DCA)は、切り取ったアテロームをカテーテル先端に回収して体外へ出す。

IVR(画像下治療)

IVR=interventional radiology。X線透視などの画像で見ながら、カテーテルや針で治療する。血管系(PCI・塞栓術・動脈瘤の治療・ステントグラフト・TAVI)と非血管系(胆管や消化管のステント・ドレナージ)がある。

  • TAVIは経カテーテル的大動脈弁植込み術(置換術)。人工弁が刺激伝導系を圧迫して、完全房室ブロックを起こすことがある。
  • 大動脈ステントグラフト内挿術では、肋間動脈などがふさがれて脊髄虚血(対麻痺)を起こすことがある。
  • ステントは血管以外(胆管・消化管など)にも使う。ロータブレータは冠動脈の器材で、消化管狭窄には使わない。

カテーテル治療の安全管理

造影剤は腎機能を悪化させること(造影剤腎症)やアレルギーがあるので、事前に腎機能とアレルギー歴を確かめる。穿刺部では出血・血腫が起こりやすい(橈骨動脈からの穿刺は出血が少ない)。X線透視が長くなると患者の皮膚障害と術者の被ばくが問題になるので、防護具・距離・時間で被ばくを減らす。冠動脈が急に閉塞したときに備えて、補助循環(IABP・PCPS)と外科手術を待機させる。

2-9 レーザ手術装置・光線治療器

レーザの種類と用途

レーザ波長過去問で正しい用途
ArFエキシマ193nm(紫外)近視矯正・角膜形成術
XeClエキシマ308nm(紫外)冠動脈形成術
Ar(アルゴン)青〜緑の可視光網膜光凝固
Dye(色素)585〜630nmあざ治療・光線力学的療法(PDT)
半導体630〜680nmなどPDT・疼痛治療
Nd:YAG1.064μm(近赤外)凝固止血・内視鏡的癌治療(がん治療)
Ho:YAG近赤外尿路結石破砕
CO₂10.6μm(遠赤外)切開・蒸散

過去問で誤りとされた組合せ:Ar―近視治療/Ar―角膜形成術/Ar―内視鏡的癌治療/Ar―あざ治療/ArF―網膜光凝固/ArF―冠動脈形成術(これはXeCl)/CO₂―尿管結石破砕/CO₂―鎮痛治療/CO₂―網膜光凝固/Nd:YAG―疼痛治療/Nd:YAG―角膜形成術/Dye―疼痛治療/Ruby―網膜凝固。エキシマの2種はArF=角膜、XeCl=冠動脈と対で覚える。

波長と吸収・伝送

CO₂レーザは水によく吸収されるので組織の表面で熱になり、切開・蒸散に向く。Nd:YAGレーザは水に吸収されにくく深くまで届くので、凝固・止血に向く。

CO₂レーザの10.6μmは石英光ファイバに吸収されて伝送できない。そこで関節に反射鏡を組み込んだ多関節マニピュレータで光を導く。CO₂レーザ装置の構成要素は発振装置・マニピュレータ・ハンドピース・フットスイッチで、石英光ファイバは構成要素ではない。Nd:YAG・半導体・Arなどは石英ファイバで伝送でき、内視鏡でも使える。

取扱いと安全管理

有害事象の原因になる原因でない(安全対策)
出射方向の確認不良(誤照射)
被覆のない金属鉗子は反射で意図しない部位に当たる
照射部を複数のスタッフが操作する(責任があいまい)
保護メガネの着用(波長に合ったもの)
発生ガス(サージカルスモーク)の除去

眼の傷害・熱傷・引火(酸素や可燃物)が代表的な事故。管理区域を決め、反射しにくい器具を使う。

光線治療器

レーザ以外の光で治療する機器の代表例:新生児黄疸光線治療器は青〜緑色の光でビリルビンを水に溶けやすい形に変え、排泄させる。赤外線治療器は温熱、紫外線治療器は皮膚疾患(乾癬など)に使う。光線療法では目の保護と、皮膚の熱傷・脱水に注意する。

安全管理の要点

医療用レーザの多くは危険度の最も高いクラス4。保護メガネは使うレーザの波長に合ったものでないと役に立たない(別の波長用は防げない)。管理区域の入口には警告表示を出し、窓をふさぐ。気道の手術では、気管チューブへの引火に注意する(酸素濃度を下げる・レーザ用チューブを使う)。器具は反射を抑えたつや消しのものを使う。

ひっかけ・混同注意

多関節マニピュレータ(ミラーアーム)で伝送するのは石英ファイバを通らないCO₂レーザ(10.6μm・遠赤外)。XeClエキシマ(約308nm・紫外)、Ruby(694nm・赤色の可視光)、Nd:YAG(1064nm・近赤外)、半導体レーザ(可視〜近赤外)は石英ファイバを透過する波長で、伝送路が多関節マニピュレータに限られるレーザではない。

2-10 超音波治療機器(超音波吸引・凝固切開・集束超音波)

2つの超音波手術器の比較

超音波吸引手術器(CUSA)超音波凝固切開装置
周波数20〜30kHz(25kHz前後)約55kHz(45〜55kHz)
振幅μmの単位(5〜10mmは誤り)数十〜100μm程度(10〜20mmは誤り)
作用振動で組織を砕き(乳化し)、吸引するアクティブブレードの振動の摩擦熱でタンパク質を凝固し、把持して切離する
生理食塩液洗浄に使う(必要)不要
対極板不要不要
止血止血作用は電気メスより弱い細い血管の止血ができ、止血能に優れる
主な用途肝実質の破砕(血管・胆管は残る)、脳腫瘍、白内障(超音波乳化吸引術)内視鏡外科手術

超音波凝固切開装置の凝固温度は70〜100℃(100℃前後)で、電気メスやレーザメスより低い。低温なので煙はほとんど出ず、主にミスト(水蒸気)が出る(「煙が発生しやすい」は誤り)。電気メスより、凝固切開に時間がかかる(短時間で可能、は誤り)。超音波吸引手術器は骨の切開には使わない。

超音波の医療応用

超音波振動子の治療への応用の代表例は、肝実質の破砕(CUSA)、水晶体の破砕(白内障)、尿管結石の破砕(接触式)、がんの温熱療法。歯科の超音波スケーラーは歯石を取る道具で、歯牙そのものは破砕しない(「歯牙の破砕」は誤り)。

集束超音波治療装置(HIFU)

体外から超音波を1点に集め、焦点の組織だけを加熱・凝固する(前立腺がんや子宮筋腫などの治療)。超音波は空気(ガス)や骨で強く反射するので、肺やガスの多い臓器を通る経路は使えない。焦点以外の皮膚の熱傷に注意する。

超音波の集め方で作用が変わる

ESWLは短いパルスの衝撃波を集めて、硬い結石を砕く。HIFUは連続的な超音波を集めて、焦点を加熱・凝固する。超音波吸引手術器は接触した先端の振動で、水分の多い柔らかい組織を砕く(血管や神経のように弾性線維の多い組織は残りやすい)。キャビテーションは液体中に気泡ができてはじける現象で、超音波吸引手術器の破砕にも関わる。

2-11 内視鏡・内視鏡外科手術・手術支援ロボット

気腹

項目正しい誤答肢
ガス二酸化炭素(CO₂)酸素・窒素・亜酸化窒素
気腹圧10mmHg前後100mmHg程度
圧の維持気腹装置が自動で保つ手動で維持する

CO₂は燃えにくく血液に溶けやすいので、電気メスを使っても引火しにくく、ガス塞栓が起きても吸収されやすい。

気腹で体に起きること

腹腔内圧が上がると下大静脈が圧迫され、下半身からの静脈還流は減る(増加は誤り)。その結果、心拍出量が減り、血圧は下がる(上昇は誤り)。横隔膜が押し上げられ、胸腔内圧は上がる。下肢の静脈がうっ滞するので、深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症の対策が必要(対策は不要、は誤り)。

器具と内視鏡

トロッカ(トロカール)は体腔へのアクセスに使う筒で、ここから硬性鏡や鉗子を入れる(硬性鏡は使えない、は誤り)。電気メス・超音波凝固切開装置・超音波吸引手術装置・自動吻合器も使える(気腹中の電気メスは禁忌・困難、は誤り)。胸腔鏡手術もあり、胸腔内手術も対象になる。

内視鏡には、曲がらない硬性鏡と、曲がる軟性鏡(ファイバスコープ・先端に撮像素子のある電子スコープ)がある。軟性鏡は消化管の観察や内視鏡的治療(ポリープ切除など)に使い、使用後は洗浄と高水準消毒を行う。

手術支援ロボット

術者がコンソールで操作し、ロボットのアームがその動きを再現する(マスタースレーブ方式)。プログラムに基づく自律的な手術・無人手術ではない。

  • 全身麻酔・気腹下で、手術器具を腹腔内に入れて行う。
  • 操作用コンソールは患者のそばのカートと分かれていて、原理上は別の部屋にも置ける。
  • 出血などに備えて、開腹手術の準備は必要(不要、は誤り)。
  • 多関節の鉗子・3D内視鏡・手ぶれ補正・モーションスケーリング(動きの縮小)が特徴。

気腹の合併症

CO₂は血液に吸収されるので、高二酸化炭素血症(アシドーシス)を起こしうる。皮下にもれると皮下気腫、血管に入るとガス塞栓になる。気腹圧を上げすぎるとこれらの合併症と循環の抑制が強くなるので、必要最小限の圧に保つ。

手術支援ロボットと従来の内視鏡外科の比較

従来の内視鏡外科手術手術支援ロボット
操作術者が鉗子を直接持つ術者はコンソールで操作し、アームが動く
鉗子まっすぐで関節が少ない多関節で、手首のように曲がる
視野2Dの画面が多い3Dの立体視
共通点どちらもトロッカから器具を入れ、気腹して行う。開腹への切り替えに備える

ロボットは術者の手の震えを取り除き、動きを縮小してアームに伝える。一方で、触った感覚(力の手ごたえ)が術者に伝わりにくいので、組織を引っぱりすぎないよう画面で確認する。

2-12 熱治療機器(冷凍手術器・ハイパーサーミア)と高気圧酸素

冷凍手術器

組織を凍結させて壊死させる。

方式冷却剤冷やすしくみ
低温常圧型液体窒素(−196℃)極低温の液体をそのまま使う
高圧型アルゴン・亜酸化窒素(笑気)・液化二酸化炭素高圧ガスを細い孔から膨張させて冷やす(ジュール・トムソン効果)

液体ヘリウムはMRIの超電導磁石の冷却に使うもので、冷凍手術の冷却剤ではない。対象は皮膚の腫瘍・前立腺がんなど。心臓の冷凍アブレーションも同じ原理。

ハイパーサーミア(温熱療法)

腫瘍を42℃以上(42〜43℃程度)に加温して、がん細胞を傷害する(60℃以上は誤り)。正常組織は温まると血流が増えて熱が逃げるが、腫瘍は血流が増えにくいので熱がこもる(「腫瘍の血流量は温度に比例して増える」は誤り)。化学療法(抗癌剤)や放射線と併用し、抗癌剤の作用を強める。

連日加温すると熱耐性(熱に強くなる性質)が生じる。熱耐性は24時間では消えないので、治療の間隔をあける(「24時間ごとに治療」「24時間で消失」は誤り)。

加温法特徴誤答肢
RF容量結合型(RF誘電型)8MHz程度(13.56MHzなど)。2枚の電極で体をはさみ、深部病変まで加温できる。電流が通る脂肪層の発熱が大きいので、ボーラス(水バッグ)や電極パッドへの冷却水の灌流で表面を冷やす。電極が小さいほど、電極の近くが強く加温される100MHz以上/2.45GHz/300MHz〜30GHz
電気抵抗の低い組織ほど加温されやすい
マイクロ波加温アンテナから照射し、表在の病変を加温する深部加温に適する/2枚の電極を使う/脂肪層の発熱が大きい
超音波加温集束させれば深部も狙えるガスの多い臓器・肺深部に適する
全身加温体外循環で血液を温める—

RF容量結合型の発熱は、過去問では電流によるジュール熱(抵抗損)として扱われ、「誘電損で発熱する」は誤りとされた。抵抗の高い脂肪に電流が流れると発熱が大きくなる、と理解しておくと「脂肪層の発熱が大きい」とつながる。名前は「誘電型」でも、発熱は電流によるジュール熱と覚える。

高気圧酸素治療

大気圧より高い圧(陽圧)の装置の中で酸素を吸わせる。ヘモグロビンはふつうの気圧でもほぼ飽和しているので、結合型酸素は増えない。増えるのは血漿に溶ける溶解型酸素。

正しい作用誤り
溶解型酸素の増加/一酸化炭素の排出促進(CO中毒の治療)/不活性ガス(窒素)の排出促進(減圧症の治療)/酸素毒性の発現(副作用)結合型酸素の増加

高気圧酸素治療の適応と安全

代表的な適応は一酸化炭素中毒・減圧症・空気塞栓症・ガス壊疽など。高い酸素分圧の中では物が燃えやすいので、火災が最大の危険で、発火物や静電気を起こす衣類の持ち込みを禁じる。加圧・減圧のときは中耳や副鼻腔の圧外傷(耳の痛み)に注意する。