第1章|電気工学

医用電気電子工学 第1章
収録 110問(第31〜39回)クーロンの法則・静電容量・電流と磁界・電磁誘導・電磁波・抵抗と電力・回路の定理・交流と複素数・共振・時定数・変圧器とモータ

医用電気電子工学でいちばん問題数の多い章。計算問題が多いが、使う式は限られている。式を覚える→比例・反比例で倍率を出す→単位をそろえて代入するの3段で解ける問題がほとんど。節の順は出題基準のとおり(電磁気学→電気回路→電力装置)。各節の例題は過去問と同じ型にしてある。

1-1 SI単位・電荷とクーロンの法則・電界と電位

SI単位(基本単位と組立単位)

SI基本単位は7つ=m(長さ)・kg(質量)・s(時間)・A(電流)・K(温度)・mol(物質量)・cd(光度)。電気の量で基本単位なのは電流のアンペアだけで、V・Ω・S・W・J・C・F・H・Wb・T はすべて組立単位。dB(デシベル)は比の対数でSIの単位ではない(無次元)。

量単位(記号)基本単位での形・関係
電気量(電荷)C(クーロン)A·s(Q=It)
電圧V(ボルト)W/A=J/C
抵抗Ω(オーム)V/A
コンダクタンスS(ジーメンス)1S=1A/V=1/Ω
静電容量F(ファラド)C/V=s⁴·A²/(m²·kg)
インダクタンスH(ヘンリー)m²·kg/(s²·A²)
磁束/磁束密度Wb(ウェーバ)/T(テスラ)T=Wb/m²
エネルギー/電力J/WJ=kg·m²/s²、W=J/s
光束(参考)lm(ルーメン)光度cdから組み立てる
例題:静電容量の単位を基本単位で表す

手順=①エネルギーの式を選ぶ(W=Q²/2C → C=Q²/W)②[C]=A·s、[J]=kg·m²/s² を代入 ③整理。→ (A·s)²÷(kg·m²/s²)=s⁴·A²/(m²·kg)。同じ手順で W=LI²/2 から H=J/A²=m²·kg/(s²·A²)。

クーロンの法則

クーロン力 F=q₁q₂/(4πε₀r²)は電荷の積に比例し、距離の2乗に反比例する。力は2つの電荷を結ぶ直線上に働き、同符号は斥力・異符号は引力。作用・反作用で、両方の電荷が受ける力の大きさは等しい(電荷量が違っても同じ)。

変えたもの力の倍率
片方の電荷を2倍2倍(両方の電荷が受ける力がともに2倍)
両方の電荷を2倍4倍
距離を2倍1/4
距離を1/24倍

力のつり合い:2つの同符号の電荷の間で第3の電荷がつり合う点は、電荷比の平方根で距離を内分する点(小さい電荷の側に寄る)。正方形の頂点に電荷が並ぶ型は、対角線方向の成分にそろえて足す(辺の2本の力は√2倍して対角線方向に合成、対角の電荷は距離が√2a)。糸でつるした帯電球の型は、重力・張力・クーロン力の3力のつり合いで、糸が45°ならクーロン力=重力。同じ点からつるした長さaの糸2本がそれぞれ鉛直から45°に開いたときは、糸どうしが直角になり、電荷間の距離は√2a(2×a·sin45°)。これをクーロンの法則に入れて F=Q²/(4πε₀·2a²)=Q²/(8πε₀a²)(距離をaのまま入れた式は誤り)。

例題:つり合いの位置

A点にQ、B点に4Q(AB=6cm)。Aからx cmで Q/x²=4Q/(6−x)² → 6−x=2x → x=2cm(Aから2cm・Bから4cm)。

正方形の4隅の電荷(力のベクトル和)

手順は3つ。①向き:同符号どうしは斥力で、相手から遠ざかる向きに押す。異符号どうしは引力で、相手に近づく向きに引く。②大きさ:辺の隣の電荷は距離a、対角の電荷は距離√2a なので、対角からの力は距離の2乗が2a²になり1/2倍。③合成:隣の2つの力は直角に交わるので、合成すると√2倍で対角線の向き。対角の電荷の力も同じ対角線上なので、あとは対角線方向の足し算・引き算になる。

例題:正方形の電荷

①一辺a、4隅すべてに同じ電荷Q。1つの電荷が受ける力は、隣の2つから kQ²/a² ずつ(直角に合成して×√2)と、対角から kQ²/(2a²)。どれも斥力で外向きにそろうので、合力=kQ²/a²×√2+kQ²/(2a²)(=(√2+1/2)kQ²/a²)で、対角線に沿って外向き。
②A点にQ、隣のB・Cに2Q、対角のX点にq。Aの力がつり合うqは? B・CはAと同符号なので、Aを外向き(Xと反対側)に押す。大きさは各 k·Q·2Q/a²=2kQ²/a²、合成して 2√2kQ²/a²。これを打ち消すには、XがAを内向きに引く=異符号(負)。kQ|q|/(2a²)=2√2kQ²/a² → |q|=4√2Q → q=−4√2Q。正のqや、√2a の2乗で1/2になる分を忘れた−2√2Qは誤り。

電界・電位・電界がする仕事

電界E=F/q[V/m または N/C]。点電荷の電界はE=Q/(4πε₀r²)で距離の2乗に反比例、電位はV=Q/(4πε₀r)で距離に反比例。電位はスカラーなので符号付きでそのまま足し、電界はベクトルなので向きを付けて足す。電位差(電圧)V[V]の2点間で電荷qを動かす仕事はW=qV(電荷が持つ位置エネルギー=ポテンシャルエネルギーの差)。一様電界ではW=qEd cosθ(θは電界と移動の向きのなす角。直交なら仕事0)。

例題:電位の比・電界の仕事

①+3Cが原点から4m、−1Cが2mのとき原点の電位∝3/4−1/2=0.25。点Pまでの距離がどちらも5mならP∝3/5−1/5=0.4。比=0.4/0.25=1.6(3・4・5の直角三角形で距離を出す。2乗で割ると電界の式になり誤る)。②E=2.0×10³V/m中で+1Cを1.0m、電界と60°の向きに動かす → W=1×2.0×10³×1.0×cos60°=1.0×10³J。

静電気の基本と取り違えやすい点

静電気は物体にとどまって動かない電荷で、摩擦などで電子が移ると、電子を受け取った側が負、失った側が正に帯電する。電荷の単位はC(クーロン)で、電子1個の電荷は約1.6×10⁻¹⁹C。電荷の総量は、移動しても生まれたり消えたりしない(電荷保存)。

取り違えやすい対見分け
クーロン力・電界 / 電位力と電界は距離の2乗に反比例、電位は距離の1乗に反比例
電界 / 電位の足し方電界は向きを付けたベクトル和、電位は符号付きの数の和
仕事W=qV / 力F=qEエネルギー(J)は電位差を、力(N)は電界を掛ける

1-2 導体と静電誘導・シールド・誘電体とキャパシタ

導体・絶縁体と静電誘導

導体は自由電子を持ち電気を通す(金属)。絶縁体(誘電体)は自由電子がほとんどなく、電界をかけると分極する。電界中の導体では静電誘導が起こり、表面に電荷が現れて内部の電界を打ち消す。

静電平衡の導体(正しい)誤りとして出るもの(切る)
内部の電界は0内部に同心円状・放射状の電界(電気力線)がある
電荷は表面だけに分布する内部に一様な電荷がある
導体全体が等電位(表面は等電位面)帯電体を近づけると導体内部に電位差が生じる
電気力線は表面に垂直に出入りする—

帯電した導体球の電界は内部で0、表面で最大、外では距離の2乗に反比例して小さくなる(グラフの点を選ぶ型では「表面上の点」)。

シールド(遮蔽)の材料

遮るもの材料・しくみ誤りとして出るもの
静電シールド(電界)導体で囲んで接地する。同軸ケーブルの外部導体は静電シールド真空にすると電気力線は遮断される
磁気シールド(静磁界・低周波磁界)高透磁率の強磁性体=鉄・パーマロイ・フェライト。磁束を材料の中に通して内側に漏らさない磁力線を遮るには誘電体が適する/水・鉛・白金・石英ガラスで遮る
電磁シールド(電磁波・高周波)導電率の大きい導体(銅・アルミ)—
(参考)X線・γ線鉛鉛は磁気を遮らない

キャパシタ(コンデンサ)と静電容量

平行平板の静電容量はC=ε₀εᵣS/d:面積Sと誘電率に比例し、極板間隔dに反比例する。誘電率ε=ε₀εᵣ(ε₀=真空の誘電率、εᵣ=比誘電率、真空・空気で約1)。蓄える電荷 Q=CV、エネルギー W=CV²/2=Q²/(2C)。

つなぎ方合成容量覚える点
並列C=C₁+C₂電圧が共通。電荷は容量に比例
直列1/C=1/C₁+1/C₂電荷が共通で、電圧は容量に反比例して分かれる(抵抗と逆)

誘電体の入れ方で直列か並列かが決まる。誘電体を厚さ方向に重ねる(層にする)→直列、誘電体が極板の間を貫いて面を分ける→並列。厚さtの導体板を入れると、すき間がd−tになったのと同じ(C=εS/(d−t)、位置によらない)。

手順:容量の倍率を出す

①全体をC₀=ε₀S/dとおく ②部分ごとに「面積の割合×比誘電率÷厚さの割合」で倍率を出す ③層なら直列、貫くなら並列で合成。半径1/2なら面積は1/4。

例題

①εᵣ3と6を厚さ半分ずつ重ねる → 各層は 3/(1/2)=6C₀ と 6/(1/2)=12C₀ の直列 → 6×12/(6+12)=4倍。②半径R/2の円柱(面積1/4)にεᵣ7を貫通 → 7×1/4+3/4=5/2倍。③厚さd/4の導体板を入れる → すき間3d/4 → 4/3倍。④電荷±Qを与えた後(電源を外して電荷一定)、極板を10dずらして間隔をd→11dにする → V=Q/C∝d で11倍(ずらした量10dだけでなく元の間隔dも足す)。電源につないだまま(電圧一定)なら、間隔を広げると電荷が減る。

例題:直列キャパシタの分圧・はしご形の合成

直流電源に直列のキャパシタをつなぐと、充電後は電流0で、各キャパシタの電圧は容量に反比例する(小さいCほど大きい電圧を分担する。各電圧=全電圧×相手側の容量÷容量の和)。はしご形は端子から遠い側からまとめる:2μFと2μFの直列=1μF、それと1μFの並列=2μF、さらに2μFと直列=1μF。

受動素子としてのコンデンサ

電解コンデンサは金属箔(アルミ・タンタル)表面の極薄の酸化皮膜を誘電体にするので、小型で大容量。極性があり(有極性)、逆に接続すると壊れる。セラミックを使うのはセラミックコンデンサ(極性なし)。誘電体が薄い(間隔が狭い)ほど容量は大きい。コンデンサが利用するのは静電容量で、自己インダクタンスはコイルの性質。

キャパシタの問題で取り違えやすい点

状況一定に保たれるもの極板間隔を広げると
充電後に電源を外した電荷QCが減り、電位差は、間隔に比例して増える。蓄えたエネルギーも増える
電源につないだまま電圧VCが減り、電荷は、間隔に反比例して減る

分極:誘電体の中の正負の電荷がわずかにずれて表面に電荷が現れること。分極した電荷が電界を弱めるので、誘電体を挟むと同じ電圧でたまる電荷が比誘電率の分だけ増える。比誘電率は真空で1、ほかの物質は1より大きい(水は約80)。静電容量は、極板の形と誘電体で決まり、かける電圧やたまった電荷では変わらない。

直列キャパシタ(電荷共通)直列抵抗(電流共通)
容量の小さいほうに大きい電圧がかかる抵抗の大きいほうに大きい電圧がかかる
合成は逆数の和(並列抵抗と同じ形)合成は単純な和

1-3 電流と磁界・磁性体・電磁力

磁界・磁束密度・透磁率

磁束密度B=μH(B[T]、磁界の強さH[A/m]、透磁率μ=μ₀μᵣ)。比透磁率μᵣは空気・生体・非磁性体で約1、強磁性体(鉄・フェライト・パーマロイ、永久磁石の材料)は数百〜数万と非常に大きい。磁束Φ[Wb]=B×面積。

電流がつくる磁界(3つの式)

形磁界の強さ覚える点
無限に長い直線電流H=I/(2πr)距離rの1乗に反比例、導線を中心とする同心円状(右ねじの法則)。放射状ではない
円形コイルの中心H=NI/(2r)半径の1乗に反比例、向きはコイル面に垂直(軸方向)。r は半径(直径なら半分にする)
無限に長いソレノイドの内部H=nI(n=1mあたりの巻数)内部は一様、外部はほぼ0。有限長だと外の磁界は一様でない

「距離(半径)の2乗に反比例」は磁界の式の誤りの肢として出る。2乗に反比例するのは点電荷のクーロン力・電界。

例題

①直線電流I=2πAから1m → H=2π/(2π×1)=1A/m。②直径10cm・100巻・20mAの円形コイルの中心 → H=100×0.02/(2×0.05)=20A/m。

ローレンツ力・電磁力・平行電流

ローレンツ力(磁界中を動く電荷が受ける力)はF=qvB sinθで、電荷・速さ・磁束密度に比例する。電流が磁界から受ける力(電磁力)はF=BILで、向きはフレミングの左手の法則(中指=電流、人差し指=磁界、親指=力)。モータの原理。

平行な2本の電流の間の力は1mあたりF=μ₀I₁I₂/(2πr)。同じ向きの電流は引き合い、逆向きは反発する(磁石と逆なので注意)。3本以上は1本ずつの力を向き付きで足す。

例題:3本の平行電流

Aと同じ向きのBが距離a、逆向きのCが距離2a(反対側)→ Bから引力 μ₀I²/(2πa)、Cから斥力 μ₀I²/(4πa) → 差=μ₀I²/(4πa)(Bの向き)。

磁化曲線(ヒステリシス)

縦軸B・横軸Hのヒステリシスループで、残留磁束密度(Br)はH=0に戻したときに残るB(縦軸との交点)、保磁力(Hc)はBを0にするのに要る逆向きの磁界(横軸との交点)。ループの面積がヒステリシス損。BrとHcが大きい材料=永久磁石向き、小さい材料=変圧器の鉄心向き。

磁界の問題で取り違えやすい対

対見分け
磁界の強さH / 磁束密度BHは電流だけで決まり[A/m]、Bは材料の透磁率を掛けたもの[T]
直線電流 / 円形コイル中心直線は2πで割り、円形は2で割る(どちらも距離・半径の1乗に反比例)
左手の法則 / 右手の法則左手=電流が受ける力(モータ)、右手=導体が動いて生じる起電力(発電機)
平行電流 / 磁石・電荷同じ向きの電流は引力、同極の磁石と同符号の電荷は斥力

ローレンツ力は、速度に垂直に働くので電荷の速さは変えず、向きだけを変える(一様磁界中では円運動)。磁界と平行に動く電荷は力を受けない(sin0°=0)。

磁石のN極から出てS極に入る線が磁力線で、磁石は、切ってもN極とS極が必ず対で現れる(単独の磁極は取り出せない)。透磁率の大きい材料ほど磁束を通しやすく、磁束を集める鉄心や磁気シールドに使う。

1-4 電磁誘導・インダクタ・自己誘導と相互誘導

ファラデーの法則とレンツの法則

ファラデーの法則:誘導起電力 e=−N·dΦ/dt は、磁束の変化の速さと巻数に比例する。磁束が一定なら、どれだけ大きくても起電力は0。レンツの法則:誘導電流は磁束の変化を妨げる向きに流れる(増えるときと減るときで向きが逆)。磁石が動いている間だけ電流が流れ、止まると流れない。導体が磁界を横切るときの起電力の向きはフレミングの右手の法則(発電機)。

状況起電力・電流
磁束が増えている流れる(増加を打ち消す向き)
磁束が一定(最大でも)0
磁束が減っている逆向きに流れる。ダイオードが逆向きなら流れない
振り子の磁石がコイルの上を通過近づくときと遠ざかるときで極性が反転し、真上(磁束最大=変化率0)で0になる
手順:起電力の計算

①グラフの傾き ΔΦ/Δt を出す(mWb/ms=Wb/s)②巻数Nを掛ける。例:20巻で磁束が3秒で0.5→2.0Wb → 20×1.5/3=10V。200巻で傾き1.5Wb/s → 300V。

回転するコイル(交流発電の原理)

磁束密度B中で面積Sのコイルが角速度ωで回ると、鎖交磁束は正弦波で変わり、起電力の振幅(最大値)はNBSω(=NΦω)。t=0でコイル面が磁束と平行(Φ=0)なら、変化率が最大なので起電力はcos形(e=BSω cos ωt)。ωは1乗で掛かる(ω²にはならない)。例:N=10、Φ=0.2Wb、ω=5rad/s → 10×0.2×5=10V。

インダクタ(コイル)とインダクタンス

自己誘導:コイル自身の電流が変化すると、変化を妨げる起電力 V=L·dI/dt が生じる。自己インダクタンスL[H]。相互誘導:一方のコイルの電流変化が他方に起電力を生む(相互インダクタンスM、変圧器の原理)。空心コイルのLは巻数の2乗に比例するので、巻数を増やすとLが増え、交流ではリアクタンスωLが増えて電流は減る。ソレノイド(細長いコイル)のインダクタンスはL=μN²S/l(N:巻数、S:断面積、l:長さ、μ:透磁率)。コイル径(断面積S)を大きくしても、鉄心を入れてμを大きくしても、Lは増えるので、交流の電流 I=V/(2πfL) は減る(「径を大きくすると電流が増える」「鉄心を入れると電流が増える」は誤り)。長さlを長くすると、Lは減る。コイルの蓄えるエネルギー W=LI²/2。

例題:インダクタンスを求める

電流が1.0秒で0.1A→0.2Aと一様に変わり、起電力1.0V → dI/dt=0.1A/s、L=V÷(dI/dt)=1.0÷0.1=10H(V×dI/dtと逆にしない)。

電磁誘導の問題の型

型解き方
磁束のグラフから起電力各区間の傾きΔΦ/Δt×N。グラフが平らな区間は、起電力0、傾きの符号が変わると起電力の向きも反転
電流のグラフからコイルの電圧V=L×(電流の傾き)。電流が一定の区間は0
磁石をコイルに出し入れ入れるときと出すときで電流の向きが逆。速く動かすほど、起電力が大きい
回転コイル振幅=NBSω。回転を速くすると振幅も周波数も上がる
ダイオード入りのコイル誘導電流の向きがダイオードの順方向のときだけ流れる

電流の向きの決め方:①磁束が増えるか減るかを見る ②増えるなら、逆向きの磁束をつくる向き、減るなら、同じ向きの磁束をつくる向きに誘導電流が流れる ③右ねじの法則でコイルの巻き方から電流の向きを出す。

インダクタンスの単位H=V·s/A=Wb/A。コイルの電流は、急に変えられないので、電流を急に切ると大きな逆起電力が出る(スイッチの火花・リレーの保護ダイオードの理由)。相互インダクタンスMの2つのコイルでは、一次の電流変化dI₁/dtに対して二次に M·dI₁/dt の起電力が出る。鉄心を入れると、透磁率が大きくなってLもMも大きくなる。

1-5 電磁波・アンテナ・医用テレメータ

電磁波の性質

正しい記述誤りとして出るもの(切る)
電磁波は電界と磁界が進行方向に垂直に振動する横波縦波である
真空中の速さは周波数によらず一定(c=3×10⁸m/s)質量をもつ
波長が短い(周波数が高い)ほど光子のエネルギーは大きい(E=hν)マイクロ波は赤外線より周波数が高い
c=1/√(ε₀μ₀):真空の誘電率と透磁率の積の平方根に反比例誘電率と透磁率の積に比例する
放射には電流(電荷)の時間変化が要る直流電流に比例した電力の電磁波が出る

周波数の低い順:電波(マイクロ波を含む)<赤外線<可視光<紫外線<X線・γ線(波長はこの逆で、電波が最も長い)。電磁波も反射・屈折・透過・回折する。媒質中の速さは v=c/√(εᵣμᵣ)で真空より遅くなり、周波数は変わらず、波長が短くなる。

手順:波長とアンテナの長さ

①λ=c/f(c=3×10⁸m/s)②アンテナは1/4波長(モノポール・ホイップ)か1/2波長(ダイポール)で共振して効率がよい。例:150MHz → λ=2m → 1/4波長=0.5m。3GHz → λ=10cm → 2.5cm。2.45GHz(電子レンジ・無線LAN)→ 約12cm。媒質(εᵣ=4、μᵣ=1)中の速さ → c/√4=1/2倍。

伝送線路とアンテナ

同軸ケーブルの特性インピーダンスは導体の寸法と誘電体で決まり、長さによらない(50Ω・75Ωなど)。アンテナは使う波長に合った長さで効率が最大になり、「長いほどよい」わけではない。

アンテナ正しい性質誤りとして出るもの
ダイポールアンテナ送信にも受信にも使う基本形送信専用
ロッドアンテナほぼ無指向性指向性がある
パターンアンテナ・チップアンテナ基板上につくれて小型。小型にすると利得(感度)は下がる小型化が困難/小型ほど高感度
ダイバーシティアンテナ複数のアンテナから良い信号を選び、フェージング対策に優れる—

フェージング=反射波などが重なって受信レベルが時間的に変わること。小電力医用テレメータは420〜450MHz帯を各メーカ共通で使い、送信出力は1mW以下の電池駆動の小型送信機。混信対策にゾーン配置(チャネル管理)、受信感度不足にはブースタを使う。電磁波障害(EMI)と雑音の対策は、発生源から離す・シールド・接地が基本。

電磁波が別の媒質に入ると、境界で反射と透過が起こり、斜めに入ると屈折する。障害物の裏側に回り込む回折は、波長が長いほど、起こりやすい。医療機関での電磁波障害(携帯電話・無線機器による医療機器の誤作動)は、機器との離隔距離を取ること、シールド、フィルタ、接地で防ぐ。

周波数を上げると変わること
波長短くなる(λ=c/f)
アンテナ短くてよい(小型化できる)
回折しにくくなる(直進性が増す)

放射はアンテナの電流の変化が電磁波として空間に出ていくこと、伝搬は電磁波が空間を伝わること。点状の波源から出た電磁波の強さは、距離の2乗に反比例して弱まる(距離2倍で1/4)。壁や人体で反射・吸収されると、届く強さはさらに変わる。

1-6 抵抗・抵抗率・電力とジュール熱・電池

抵抗と抵抗率

R=ρL/S:長さLに比例し、断面積Sに反比例する。抵抗率ρ[Ω·m]は物質で決まり、導電率σ=1/ρ も物質の定数(流れる電流の大小では変わらない)。電流密度J=σE(抵抗率に反比例)。金属は温度が上がると抵抗率が上がり、半導体は下がる。

抵抗率の小さい順(よく通す順・代表的な金属の例)覚える点
銀Ag<銅Cu<金Au<アルミAl<鉄Fe銀が最小。金は銅より大きい。配線は安くて低抵抗の銅
金属 ≪ 半導体(Si・Ge)≪ 絶縁体半導体は金属より桁違いに大きい。純水はイオンがほとんどなく絶縁体に近い
例題:形を変えたときの抵抗

半径k倍→断面積k²倍→抵抗1/k²倍。①直径を1/2 → 断面積1/4 → 4倍。②半径1/2・長さ2倍 → 4×2=8倍。

抵抗変化を使う素子(センサ):サーミスタ(温度で抵抗が変わる)、CdS(光で抵抗が変わる)、ひずみゲージ。これに対しホール素子(磁界→電圧)・熱電対(温度差→起電力)・圧電素子(力→電荷)は抵抗変化ではない。抵抗器のつなぎ方は1-7。

電力・電力量・ジュール熱

電力P=VI=I²R=V²/R[W]、電力量・熱量 W=Pt[J=W·s](ジュールの法則)。直列は電流が共通なので抵抗が大きいほど消費が大きく、並列は電圧が共通なので抵抗が大きいほど消費が小さい。

手順:ジュール熱で水を温める

①Q=I²Rt ②ΔT=Q/(m·c)(水の比熱c=4.2J/(g·K))③初めの温度に足す。例:1A・42Ω・10秒・水100g → 420J÷420=1℃上昇。1A・42Ω・100秒・20℃の水100g → 4200J → 10K上昇 → 30℃。

例題:定格から抵抗を出してから使う

①100V・5Wの抵抗 → R=V²/P=2000Ω → 0.2A流すと P=I²R=0.04×2000=80W。②20V・0.1Aを10分 → 20×0.1×600=1200J。③2Ωと4Ωの並列で2Ωが2W → V²=4 → 4Ωは4/4=1.0W。

電池(起電力・内部抵抗)と最大電力

電池は起電力E+内部抵抗rの直列で表す。端子電圧V=E−Ir=E·R/(R+r)で、負荷電流が大きい(Rが小さい)ほど端子電圧は下がる。n個直列で起電力nE・内部抵抗nr。

最大電力供給:負荷抵抗Rが内部抵抗rと等しいとき負荷の電力が最大で、Pmax=E²/(4r)、このとき負荷の電圧は起電力の半分。

例題

①E=50V・r=5Ω → Pmax=2500/20=125W。②電池2個直列(2E・2r)→ R=2r、I=2E/4r=E/(2r)(R=0の短絡電流E/rは電力0)。③9Vの電池に48Ωをつないで端子電圧8V → I=8/48=1/6A、r=(9−8)÷(1/6)=6Ω。④10Ωで1.2V、20Ωで1.6V → 1.2=10E/(10+r)、1.6=20E/(20+r) を連立 → r=10Ω、E=2.4V。

直流と交流・電流と電流密度・電圧降下

直流は向きと大きさが一定の電流・電圧、交流は向きが周期的に入れ替わるもの。電流I=Q/t[A]は1秒間に流れる電荷の量、電流密度J=I/S[A/m²]は単位断面積あたりの電流。同じ電流でも、細い導線ほど電流密度が大きく、発熱しやすい。抵抗に電流が流れると両端に電圧降下(電位差)V=IRが生じる。電流の流れる向きに、電位は抵抗の分だけ下がる。

オームの法則の3つの形使う場面
V=IR抵抗に電流が流れたときの電圧降下
I=V/R電圧をかけたときの電流(電圧が2倍なら電流も2倍)
R=V/I測った電圧と電流から抵抗を出す
電力の式の選び方例
電流が分かっている(直列・電流共通)→ P=I²R2Aを10Ωに流す → 40W
電圧が分かっている(並列・電圧共通)→ P=V²/R100Vを50Ωにかける → 200W
両方分かっている → P=VI20V・0.1A → 2W

電力量の単位:1Wh=3600J、1kWh=3.6×10⁶J。同じ定格電圧の電球を直列にすると、定格電力の小さいほう(抵抗の大きいほう)が明るい。並列なら定格電力の大きいほうが明るい。

電池の内部抵抗の問題は、①外部抵抗の電圧と電流を出す ②起電力との差が内部抵抗の電圧降下 ③それを電流で割る、の順で解く。電池を並列にすると、起電力は変わらず内部抵抗が小さくなる(同じ電池n個でr/n)。

1-7 直流回路の解き方(オーム・キルヒホッフ・回路の定理)

合成抵抗と分圧・分流

つなぎ方抵抗コンダクタンス G=1/R[S]
直列(電流共通)R=R₁+R₂1/G=1/G₁+1/G₂
並列(電圧共通)R=R₁R₂/(R₁+R₂)G=G₁+G₂

抵抗とコンダクタンスは直列と並列の合成則が入れ替わる。分圧:直列の各抵抗の電圧は抵抗に比例(V₁=V·R₁/(R₁+R₂))。分流:並列の各枝の電流は相手側の抵抗に比例する(I₁=I·R₂/(R₁+R₂))。

手順:図の合成抵抗・電流

①端子から遠い側からまとめる ②同じ値の抵抗の並列は1本の値÷本数 ③対称な回路はブリッジの平衡(向かい合う辺の積が等しい R₁R₄=R₂R₃ → 中央の枝に電流が流れない)で中央を外す ④全電流→分流。例:Rと1Ωの直列で、Rを短絡すると電流が2倍 → E/1=2E/(R+1) → R=1Ω。

キルヒホッフの法則

電流則(第1法則・KCL):節点に流れ込む電流の和=流れ出す電流の和。電圧則(第2法則・KVL):1つの閉回路を一周したとき、起電力の和=電圧降下の和。式を立てるときは、閉路をたどる向きと電流の向きが逆の抵抗は電圧降下の符号を負にする。起電力の符号は電池の極性とたどる向きで決まり、仮に置いた電流の向きでは変わらない。2電源3抵抗の回路には閉回路が3つ(内側2つ+外周1つ)とれる。ある点の電位は回路全体の電流が決まってから求まる。

ミルマン・重ねの理・テブナン

定理使い方
ミルマンの定理1つの節点に電源つきの枝が並列に集まるとき、節点の電位=Σ(Eᵢ/Rᵢ)÷Σ(1/Rᵢ)(電源のない枝はE=0)
重ねの理(重ね合わせの理)電源を1つずつ残し、ほかの電圧源は短絡(電流源は開放)して求めた電流を足す
テブナンの定理任意の2端子から見た回路は、開放電圧の電圧源と、電源を取り除いて見た抵抗の直列に置き換えられる
電圧源と電流源理想電圧源は内部抵抗0(短絡で置き換え)、理想電流源は内部抵抗∞(開放で置き換え)
例題

①ミルマン:6V・9V・0Vが各2Ωで節点Aへ → (6/2+9/2+0)÷(3×1/2)=7.5÷1.5=5V。②重ねの理:電源Aだけで中央2Ωに1/3A(1Aが2Ωと1Ωに分かれ、中央は1×1/(2+1))、電源Bだけで1A(2Aが2Ωと2Ωに等分)→ 同じ向きなので4/3A。各電源の全電流をそのまま足さない。

計器と入力抵抗(負荷効果)

電流計は内部抵抗が小さいほど、電圧計は内部抵抗が大きいほど測定への影響が小さい。例:E=10V、R=100kΩ、電流計10Ω、電圧計10MΩ → 影響は小さく I≒10V/100kΩ=0.1mA。信号源(内部抵抗R_b)をリード線(R_e)で増幅器につなぐとき、出力≒K×信号電圧となる条件は、入力抵抗R_inが(R_b+R_e)よりずっと大きいこと(R_in ≫ R_b+R_e)。入力抵抗が小さいと信号が分圧されて小さくなる。

直流回路の問題で取り違えやすい点

よくある誤り正しくは
並列の合成抵抗が一番小さい抵抗より大きくなる並列の合成抵抗は、どの1本よりも小さい
分流の電流が自分の抵抗に比例する相手側の抵抗に比例(抵抗の小さい枝に多く流れる)
ブリッジの中央の抵抗も合成に入れる平衡していれば中央には電流が流れないので外してよい
重ねの理で電源をすべて残す1つずつ残し、外した電圧源は短絡にする

はしご形(梯子形)の回路は、端子から最も遠い段から、直列・並列を交互にまとめる。抵抗の値が全部同じなら、同じ値の並列は「値÷本数」で一気にまとめられる。電流の向きを仮に決めて式を立て、答えが負なら実際の向きは逆。ノートンの定理はテブナンの定理の電流源版(短絡電流の電流源と並列抵抗)。

1-8 正弦波交流・複素数・素子の位相

正弦波交流の量

v=Vm sin(ωt+θ):Vm=振幅(最大値)、ω=2πf=角周波数[rad/s]、f=周波数、T=1/f=周期、θ=位相。周期は50Hzで20ms、60Hzで約16.7ms。

波形平均値実効値
正弦波・全波整流2Vm/π(≒0.637Vm)Vm/√2(≒0.707Vm)
半波整流Vm/π(≒0.318Vm)Vm/2

実効値は同じ抵抗で同じ電力を出す直流の値で、電力の計算は実効値で行う。最大値=実効値×√2。家庭用100Vは実効値。

例題

①Vm=100Vの半波整流の平均値=100/π≒31.8V、全波整流の実効値=100/√2≒70.7V。②100Ωに60Hz・実効値√2Aを流す → 電流の最大値2A、電圧の実効値141V、電圧の最大値=200V、電力 I²R=200W、周期16.7ms、抵抗では電圧と電流は同相。

素子ごとの電圧と電流の位相

素子リアクタンス位相
抵抗RR(周波数によらない)同相
インダクタLX_L=ωL(周波数が高いほど大きい)電流は電圧よりπ/2遅れる
キャパシタCX_C=1/(ωC)(周波数が高いほど小さい)電流は電圧よりπ/2進む(電圧は電流より遅れる)

直流ではキャパシタは開放(電流0)、インダクタは短絡と同じ。

複素数の計算

j²=−1、1/j=−j。a+jb の大きさ√(a²+b²)、偏角 tan⁻¹(b/a)。掛け算は大きさの積・偏角の和、割り算は大きさの商・偏角の差、n乗は大きさn乗・偏角n倍。偏角±π/4は実部と虚部の大きさが等しい(1±j)、虚部が負なら偏角は負。

例題

①|(1+j)(√3−j)|=√2×2=2√2。②(1−j)²=−2j → (1−j)⁴=(−2j)²=−4(大きさ4・偏角−π)。③偏角−π/4 → 1−j。④(−√3−j)/(2j):分子分母に−jを掛ける → (−1+√3j)/2 → 第2象限で偏角2π/3。

位相の比較は、同じ周波数の波どうしで行う。sin(ωt+θ)は、θ>0なら基準より進み、θ<0なら遅れ。cosωt=sin(ωt+π/2)なので、cos波は、sin波よりπ/2進んでいる。度とラジアンの換算は π rad=180°(π/3=60°、π/4=45°、2π/3=120°)。

複素数で取り違えやすい点正しくは
j で割る1/j=−j(分母のjを払うと符号が変わる)
偏角の象限実部が負なら第2・第3象限(tan⁻¹の値に180°を足す)
大きさの計算積は大きさの積なので、展開する前に1つずつ大きさを出すと速い
手順:式から量を読む

v=141 sin(100πt+π/6)[V]なら、①最大値141V→実効値は141÷√2≒100V ②ω=100π→f=ω/2π=50Hz、周期20ms ③位相π/6=30°進み。平均値は、正弦波1周期では0になるので、半周期(または全波整流)で定義する。実効値と平均値の比(波形率)は正弦波で約1.11。

1-9 インピーダンス・RLC回路・共振・交流電力

インピーダンスとアドミタンス

インピーダンスZ=R+jX[Ω]、アドミタンスY=1/Z[S]。直列RLCは|Z|=√{R²+(X_L−X_C)²}(リアクタンスは差で効く)。直列は電圧を、並列は電流を直角三角形で合成する。3:4:5の組合せが頻出。

例題

①R=80Ω・X=60Ωの直列に100V → Z=100Ω、I=1A、皮相電力100VA(有効80W・無効60var)。②X_L=7Ω・X_C=4Ωで|Z|=5Ω → R²+3²=25 → R=4Ω。③CR並列で全電流1.0A・抵抗電流0.6A → I_C=√(1.0²−0.6²)=0.8A。④0.1μFに振幅Vm・周波数fの電圧 → Im=Vm×2πfC(グラフから振幅と周期を読む。答えは約31mA)。

ベクトル軌跡

RC並列はZ=R/(1+jωCR)で、ωを0→∞にすると実軸上のR(ω=0)から原点へ向かう半円(中心R/2、下半分)になる。ωCR=1で偏角−45°、Z=R/2−jR/2で半円の最下点。直列RCは実部Rが一定の直線になるので混同しない。

共振

共振周波数は直列でも並列でもf₀=1/(2π√(LC))(Rによらない)。変形すると C=1/(4π²f²L)。

直列共振並列共振
インピーダンス最小でZ=R最大でZ=R(アドミタンス最小=1/R)
電流最大電源電流最小
条件ωL=1/(ωC)。LかCを4倍→f₀は1/2。力率1

並列共振でRを2倍すると共振時の全インピーダンスは2倍(4倍ではない)。共振からずれると並列回路のアドミタンスは増える。

交流の電力

電力式単位
皮相電力SV×I(実効値×実効値)VA
有効電力PVI cosθ=電圧の実効値×電流の実効値×力率W
無効電力QVI sinθvar

S²=P²+Q²、力率cosθ=P/S=R/Z。振幅どうしを掛けると実効値の積の2倍になるので、振幅÷√2で実効値にしてから掛ける。例:電圧振幅10V・電流振幅5A・位相差π/3 → (10/√2)(5/√2)×0.5=12.5W(25は皮相電力)。

交流回路の解き方の手順

手順

①周波数からリアクタンスを出す(X_L=2πfL、X_C=1/(2πfC))②直列はZ=R+j(X_L−X_C)、並列はアドミタンスY=1/R+j(ωC−1/(ωL))で合成 ③大きさは三平方の定理 ④電流=電圧÷|Z| ⑤電力は実効値で P=I²R(有効電力を消費するのは、抵抗だけ。LとCは電力を消費しない)。

周波数を上げるとRC直列RL直列
リアクタンスX_Cは小さくなるX_Lは大きくなる
電流増える減る
電流の位相電圧より進む(進みは小さくなる)電圧より遅れる(遅れは大きくなる)

共振の判定:共振周波数では、LとCのリアクタンスが打ち消し合い、回路は抵抗だけと同じになる。直列共振では、LとCのそれぞれの電圧が電源電圧より大きくなることがある(ただし逆位相で打ち消し合う)。共振周波数より低い周波数では、直列RLCは容量性(電流が進む)、高い周波数では誘導性(電流が遅れる)。

力率が1になるのは抵抗だけの回路と共振時。力率0.8なら P=0.8S、Q=0.6S(3:4:5)。

1-10 過渡現象・時定数・フィルタと波形

時定数と充放電

時定数:RC回路はτ=RC、RL回路はτ=L/R(掛けるか割るかを取り違えない)。1τで最終値の約63%まで変化し、放電なら初期値の約37%(1/e)まで下がる。十分時間(5τ程度)でほぼ定常。τが大きいほど応答は遅い。Ω×F=秒、kΩ×μF=ms、Ω×μF=μs。

キャパシタCインダクタL
スイッチを入れた瞬間電圧は急に変わらない(初期0Vなら短絡と同じ)電流は急に変わらない(初期0なら開放と同じ)
十分時間後開放(電流0)短絡
RC充電V_C=E(1−e^(−t/τ))、V_R=E·e^(−t/τ)、電流は E/R から0へ
RL電流は0から指数関数で立ち上がり、V_L は E から0へ減る
手順:初期値・最終値の問題

①t=0:Cを短絡、Lを開放に置き換えて直流回路を解く ②t=∞:Cを開放、Lを短絡に置き換えて解く ③途中は τ を使う。例:9.0V、10Ω+20Ωの枝2本が並列で、十分時間後Cは開放 → 30∥30=15Ω → 0.6A。100Ω・50μFに10V → τ=5ms、入れた瞬間 V_C=0・I=100mA、5ms後 V_R≒10×0.37=3.7V、十分後は電流0。

例題:時定数を出す・使う

①RL:1.5V・1kΩ・1H → τ=1ms、t=1msで V_L=1.5/e=1.5÷2.7≒0.56V(選択肢では最も近い0.6V)。②RL:R=2Ω・L=5H → τ=2.5s。③片対数グラフ(縦軸が対数)の放電は直線になり、電圧が初期値の1/e(10V→約3.7V)になる時刻が時定数。τ=4s・R=100Ω → C=τ/R=0.04F。④波形からτ=0.01s・C=1μF → R=10kΩ。

CRフィルタ・積分回路と微分回路

RCローパスフィルタの遮断周波数はfc=1/(2πRC)で、出力が1/√2(約0.707倍・−3dB)になる周波数(電力は半分)。位相差は周波数によって変わり、fcで45°。周波数特性のグラフでは、平らな部分から3dB下がった点を選ぶ。例:R=10kΩ・C=0.1μF → τ=1ms、fc≒160Hz。

回路出力をとる素子方形波を入れたとき
積分回路(ローパス)キャパシタなまった波形。τがパルス幅と同程度以上なら三角波に近づく
微分回路(ハイパス)抵抗変わり目で鋭いスパイクが出て、τで減衰する。Rが大きい(τが大きい)ほど減衰がゆるやか

オペアンプの反転積分回路(向きが逆になる)

オペアンプの反転入力(−)に抵抗R、出力から反転入力への帰還にキャパシタCをつなぎ、+入力を接地した回路は反転積分回路(ミラー積分回路)。出力はv_o=−(1/CR)∫v_i dt。上のRC積分回路(受動)と違い、出力は入力の積分を符号反転したものになる。方形波を入れると、入力が負の区間では、出力は一定の傾きで上がり、正の区間では下がる=入力と逆向きの三角波。

図の選び方:方形波→反転積分

入力が前半(0〜T/2)負・後半(T/2〜T)正の方形波なら、出力は前半で直線的に上昇し、T/2で頂点、後半で下降する三角波。前半で下がる三角波は符号の反転を忘れた形、方形波のままの波形は増幅回路の形なので切る。入力と帰還を入れ替えた(入力C・帰還R)回路は反転微分回路で v_o=−CR·dv_i/dt。

τがパルス幅よりずっと小さいとV_Cはほぼ方形波になる。例:C=4.7μF・R=10Ω → τ=47μs、パルス幅50μsと同程度なので V_C はほぼ三角波(入力=R·i+V_C で、V_Cは無視できない)。

時定数の数値の読み方

経過時間充電(最終値に対する割合)放電(初期値に対する割合)
1τ約63%約37%
2τ約86%約14%
3τ約95%約5%
5τほぼ100%ほぼ0%

グラフから時定数を読む方法は2つ。①放電なら、初期値の約37%になる時刻(充電なら最終値の約63%) ②t=0での接線が、最終値(放電なら0)と交わる時刻。片対数グラフでは放電が直線になるので、傾きから読める。

RC回路とRL回路の対比RCRL
時定数τ=RC(Rを大きくすると遅くなる)τ=L/R(Rを大きくすると速くなる)
急に変わらない量キャパシタの電圧コイルの電流
スイッチを入れた直後の電流E/R(最大)0
十分時間後の電流0E/R

スイッチを切り替えた直後の問題は、直前のキャパシタの電圧(コイルの電流)をそのまま引き継いで解く。初期電荷0のキャパシタは直後は短絡(導線)とみなす。その回路を合成抵抗で解き、求める電流が流れる枝まで電流を分ける。キャパシタの両端を直接つなぐ抵抗だけが短絡で迂回されて流れなくなるのであって、キャパシタと直列の抵抗がある枝は電流が流れる。例:9.0V・15Ωの電源に、30Ωの枝と「C+30Ω」の枝が並列。直後はCを短絡 → 30∥30=15Ω、全体15+15=30Ω → 電源電流9.0÷30=0.3A → 同じ抵抗の2枝に等分して、Cの枝の電流は0.15A(9.0÷15=0.60Aは誤り)。

フィルタの種類:ローパス(低域通過)はRの後ろのCから出力(積分回路)、ハイパス(高域通過)はCの後ろのRから出力(微分回路)。遮断周波数は、どちらも1/(2πRC)で同じ式。生体信号の雑音除去では、ローパスで高周波の雑音を、ハイパスで基線の揺れ(低周波)を除く。遮断周波数から十分離れると、1段のRCフィルタの減衰は周波数が10倍で20dB(−20dB/dec)。

デシベルの換算:電圧比1/√2=−3dB、1/2≒−6dB、1/10=−20dB。電力比では、1/2が−3dB。

1-11 変圧器・電動機・発電機・電源

変圧器(トランス)

相互誘導を使って交流の電圧を変える。理想変圧器(巻数比a=N₁/N₂)では

量関係
電圧V₁/V₂=N₁/N₂(巻数に比例)
電流I₁/I₂=N₂/N₁(巻数の逆比)
電力V₁I₁=V₂I₂(入力=出力)
インピーダンスZ₁=a²Z₂(巻数比の2乗で変換)
周波数変わらない
例題

①1:2で10V・50Hz → 20V・50Hz。②2:1、二次に10Ω、一次電流2A → 二次電流4A → V₂=40V → E=80V。③1:10で一次1.0V・二次100Ω → V₂=10V、I₂=0.1A、I₁=1.0A。④2:1・二次100Ω → 一次から見て400Ω。⑤一次450V・1A、二次2Ω → 450=I₂²×2 → I₂=15A → I₂/I₁=15。

直流と交流の変換・電池・電源

正しい記述誤りとして出るもの
インバータ:直流→交流インバータは交流を直流にする
コンバータ(整流回路):交流→直流—
安定化電源は負荷抵抗が変わっても一定の電圧を出す—
一次電池(使い切り)=マンガン・アルカリ・リチウム/二次電池(充電式)=鉛蓄電池・ニッケル水素・リチウムイオンマンガン乾電池は二次電池
電池の出力は直流でリプルが小さい。放電容量の単位はAh電池はリプルが大きい/放電容量の単位はF

電動機(モータ)と発電機

ブラシ付きDCモータブラシレスDCモータ
回転子コイル(電機子巻線)永久磁石
固定子永久磁石(または界磁巻線)コイル
電流の切り替えブラシと整流子で機械的に切り替える→火花・摩耗・電気的ノイズ専用の駆動回路で電子的に切り替え、回転子の位置検出(ホール素子など)が必要
特徴電流を反転すると回転も反転、トルクは電流にほぼ比例、外から回すと発電機になる耐久性・静音性に優れる

ブラシ付きとブラシレスで回転子と固定子が逆になる点が両方向から問われる。交流電動機(誘導電動機・同期電動機)は交流で回る。発電機は電磁誘導で起電力をつくり(1-4の回転コイル)、向きはフレミングの右手の法則。病院の非常電源は停電時に自家発電設備や無停電電源装置(UPS)から給電する(詳しくは安全管理の章)。

変圧器の計算の手順:①巻数比から二次電圧を出す ②二次側の負荷から二次電流 ③電力が等しいことから一次電流。変圧器は、直流を変圧できない(磁束が変化しないので二次に起電力が出ない)。巻数を増やした側は、電圧が上がり電流が下がる。医療機器では絶縁変圧器(絶縁トランス)で電源と機器を電気的に分ける(詳しくは安全管理の章)。

変換装置
交流→交流(電圧を変える)変圧器
交流→直流コンバータ(整流回路+平滑回路)
直流→交流インバータ

交流電動機の代表は誘導電動機(回転磁界で回り、回転速度は同期速度よりわずかに遅い)と同期電動機(電源周波数に同期した速度で回る)。直流発電機は整流子で直流を取り出し、交流発電機は回転するコイル(または磁石)からそのまま交流を取り出す。