第2章|電子工学

医用電気電子工学 第2章
収録 89問(第31〜39回)半導体・ダイオード・トランジスタ・センサ・オペアンプ・CMRR・論理回路・変調

半導体素子から電子回路・ディジタル回路・通信までを扱う章。出題の中心は理想演算増幅器(オペアンプ)の計算で、デシベル換算・仮想短絡・CMRRの3つで大半が解ける。素子とセンサは「何を検出し、何に変えるか」の対応表で覚え、論理回路はド・モルガンの定理で整理する。回路図の問題も、式と手順を持っていれば図を見てすぐ当てはめられる。

2-1 半導体とpn接合

真性半導体と不純物半導体

真性半導体は不純物をほとんど含まない半導体で、高純度のシリコン(Si)結晶は真性半導体。Siの結晶は隣り合う原子どうしが共有結合している(金属結合ではない)。最外殻電子は熱を与えられると共有結合から抜けて自由電子になり、抜けた跡が正孔(ホール)になる。したがって真性半導体でも温度が上がれば自由電子と正孔が対で生じる(「どんな温度でも自由電子が存在しない」は誤り)。

n形半導体p形半導体
加える不純物5価の原子(リン P・ヒ素 As など)3価の原子(ホウ素 B・アルミニウム Al など)
不純物の名前ドナー(電子を供給する)アクセプタ(電子を受け取る=正孔を供給する)
多数キャリア電子(自由電子)正孔(ホール)
少数キャリア正孔電子

p形・n形はどちらも不純物半導体。不純物半導体では多数キャリアと少数キャリアの数は等しくない(等しいのは真性半導体)。誤答肢は「ホールを供給する不純物をドナー」「5価の原子を入れたものをp形」「p形の多数キャリアは電子」のように、ドナー/アクセプタとn/pを入れ替えた形で出る。

覚え方

n=negative(負=電子)、p=positive(正=正孔)。ドナー(donor=与える人)は電子を与える=n形。

金属と半導体の温度特性

金属の導電率は温度が上がると低下する(格子振動で電子が散乱され、抵抗が増える)。半導体は温度が上がるとキャリアが増えて抵抗が下がる。この逆向きの性質が、白金測温抵抗体(正の温度係数)とサーミスタ(多くは負の温度係数)の違いになる(2-5)。

pn接合と空乏層

p形とn形を接合すると、境界でキャリアが拡散して打ち消し合い、キャリアのほとんどない空乏層ができる。空乏層はpn接合部に生じる。空乏層の両側にできる電位差が拡散電位(内蔵電位)で、拡散電位は材料とp側・n側の不純物濃度で決まり(温度でも変わる)、外から加える電圧を上げても高くならない。

バイアス電圧のかけ方空乏層電流
順方向バイアスp側(アノード)を高電位狭くなる流れる
逆方向バイアスn側(カソード)を高電位広がるほとんど流れない

逆方向電圧を上げていくと、ある電圧で急に大きな電流が流れる。これが降伏(ブレークダウン・降伏現象)で、逆方向電圧を高くするとある電圧で急激に電流が流れる。この性質を使うのがツェナーダイオード(定電圧ダイオード)。

図のpn接合で「多数キャリアに働く力の向き」を問う問題は、p側の多数キャリア=正孔、n側の多数キャリア=電子をまず図に書き込み、逆バイアスなら空乏層が広がる(キャリアが接合から離れる向きに引かれる)と考えて判定する。

pn接合で切る肢

「逆バイアスを強くすると空乏層が小さくなる」「電圧を上げると拡散電位が高くなる」はどちらも誤り。逆バイアスを強くすると空乏層は広がる。

2-2 ダイオードの特性とダイオード回路

ダイオードの基本

アノードにカソードより高い電圧を加えると順方向に電流が流れる。理想ダイオードは順方向の抵抗がゼロ、逆方向の抵抗が無限大のスイッチとして扱う(「理想ダイオードの逆方向抵抗はゼロ」「順方向抵抗は無限大」は逆)。実際のシリコンダイオードは順方向に約0.6V(0.6〜0.7V)を超えると急に電流が流れ始める。

折れ線近似(等価回路)の読み方

実際のダイオードは「電圧源VF(立ち上がり電圧)+抵抗rd(順方向抵抗)」の直列で近似する。

  1. 電流電圧特性のグラフで、電流が流れ始める電圧(直線部分を電流0へ延長した点)を読む → これがVF。
  2. 直線部分の傾きから rd=ΔV/ΔI を求める。

例題:直線部分で電圧が0.6Vから0.7Vに増えたとき電流が0mAから1mAに増えた。→ VF=0.6V、rd=0.1V/1mA=100Ω。

電流・電圧の向きを図で決めて特性グラフを選ぶ問題では、順方向は約+0.6Vで立ち上がり、逆方向は降伏電圧(例:−3.0V)で急に電流が流れる形を、決められた向きに合わせて描き直して選ぶ。向きの定義が逆なら、グラフも原点について反転する。

ツェナーダイオードと定電圧

ツェナーダイオードは一定の電圧を得るために用いる。逆方向に使い、降伏電圧(ツェナー電圧VZ)でそれ以上電圧が上がらなくなる。順方向に使えば普通のダイオードと同じく約0.6Vで導通する。

入力Viと出力Voの関係(伝達特性)のグラフを選ぶ問題の手順:

  1. 出力端にツェナーが並列に入っているなら、Viがツェナー電圧を超えた所でVoはVZで頭打ちになる(ツェナー3Vなら3Vで水平)。
  2. それより低い範囲では Vo=Vi(または抵抗の分圧)で傾きのある直線。
  3. 反対の極性では順方向導通(約0.6V、理想なら0V)で頭打ちになる。

ツェナーを2本逆向きに直列(背中合わせ)にした回路は、正負どちらでも「一方が降伏・もう一方が順方向」になるので、出力は ±(VZ+VF) で制限される。

例題:VZ=3V、VF=0.6Vのダイオードを2本背中合わせに入れた。→ 出力の最大値=3+0.6=3.6V、最小値=−3.6V。

波形整形回路(クリッパ・リミッタ・クランプ)

回路働き見分け方
クリッパ(ピーククリッパ・ベースクリッパ)ある電圧より上(または下)を切り取るダイオード+基準電圧(電池)が出力に並列
リミッタ上下両方を切り、振幅を一定範囲に収める上下2組のクリッパ/ツェナー背中合わせ
スライサある幅の部分だけ切り出す上下の基準電圧が近い2組のクリッパ
クランプ回路(クランパ)波形の形は変えず、直流分を加えて上端または下端を基準電圧にそろえるコンデンサが直列、ダイオードが並列

入力波形から出力波形を選ぶ図の問題は、ダイオードがオンになる条件(アノード電位>カソード電位)を時刻ごとに判定し、オンなら出力はダイオード側の電圧(基準電圧±VF)に固定、オフなら入力がそのまま出る、と順に描く。理想ダイオードならVF=0として扱う。

ダイオードOR回路

複数の電圧源がそれぞれダイオードを通して1つの出力につながる回路では、いちばん高い入力のダイオードだけが導通し、出力はその電圧になる(理想ダイオードの場合)。他のダイオードは逆バイアスでオフになる。例:2Vと5Vの電源がダイオードを介して出力に並ぶ → 出力は5V。ディジタル回路のOR動作の原型。

クランプ回路の向き(ダイオードの向きで上下が決まる)

直列C+出力と接地の間にダイオードの回路に振幅Vmの正弦波を入れると:カソードが出力側(アノードが接地)なら下端が0Vにそろい、波形全体が上へVm移動して0〜2Vm。アノードが出力側(カソードが接地)なら上端が0Vにそろい、−2Vm〜0。理想ダイオードならちょうど0V。波形の形は欠けない(半周期が消える形は整流、一部が切れる形はクリッパ)。

2-3 トランジスタ・FET・集積回路

バイポーラトランジスタとFETの対比

バイポーラトランジスタ(BJT)電界効果トランジスタ(FET)
端子エミッタ(E)・ベース(B)・コレクタ(C)ソース(S)・ゲート(G)・ドレイン(D)の3端子
制御ベース電流でコレクタ電流を制御する=電流制御素子ゲート電圧でドレイン電流を制御する=電圧制御素子
キャリア電子と正孔の両方=バイポーラ1種類だけ=ユニポーラトランジスタ
入力インピーダンス低い高い(ゲートにほとんど電流が流れない)
種類npn形・pnp形接合形(J-FET)・MOS形(MOSFET)

FETではnチャネルの多数キャリアは電子、pチャネルは正孔。「n形チャネルのキャリアは正孔」「ゲート電流でドレイン電流を制御」「入力インピーダンスはバイポーラより低い(小さい)」「ユニポーラは電流制御」「バイポーラは電圧制御」はいずれも逆にした誤りの形。

MOSFETは金属(Metal)-酸化膜(Oxide)-半導体(Semiconductor)の構造をもつ。ゲートが酸化膜で絶縁されているので入力インピーダンスが特に高い。エンハンスメント型(ゲート電圧を加えて初めてチャネルができる)とデプレッション型(ゲート電圧0でもチャネルがある)はMOSFETの分類でバイポーラトランジスタにはない。

CMOS回路と集積回路

CMOS(C-MOS・相補型MOS)はpチャネルとnチャネルのMOSFETを組み合わせた回路で、バイポーラトランジスタで作るものではない。静止時にほとんど電流が流れないのでバイポーラトランジスタ回路より消費電力が少ない。マイコン・メモリ・CMOSイメージセンサの基本。

集積回路(IC)は多数のトランジスタ・抵抗などを1つのチップにまとめたもの。オペアンプは多数のトランジスタで構成された集積回路。集積度によりLSI・VLSIなどと呼ぶ。小型・高信頼・量産で安価になる。

トランジスタ回路の動作点(計算)

エミッタ接地回路のVCEを求める手順:

  1. ベース側:IB=(VB-VBE)/RB(VBEは通常0.6V)
  2. コレクタ電流:IC=hFE×IB(hFE=直流電流増幅率)
  3. コレクタ側:VCE=VCC-IC×RC

例題:VB=2.6V、RB=100kΩ、VBE=0.6V、hFE=100、RC=3kΩ、VCC=10V。→ IB=2.0V/100kΩ=20µA、IC=100×20µA=2mA、VCE=10-2mA×3kΩ=4V。

静特性(特性曲線)と負荷線の読み方

トランジスタの静特性は、直流で測った電圧・電流の関係を表すグラフで、エミッタ接地では次の3枚を使う。抵抗値が与えられず、グラフだけで動作点を求める問題はこの3枚を順にたどる。

特性曲線横軸 → 縦軸読むもの
入力特性VBE → IBダイオードと同じ形。VBEが0.5〜0.6V付近からIBが流れ始め、0.6〜0.7Vで急に増える
電流伝達特性IB → ICほぼ直線で、傾きがhFE(=IC/IB)
出力特性VCE → IC(IBごとの曲線群)IBを決めた1本の曲線の上で、ICとVCEの組を読む
3枚を順に読む手順

①入力特性で、与えられたVBEからIBを読む ②電流伝達特性で、そのIBからICを読む ③出力特性で、①のIBの曲線を選び、ICが②の値になる点(または負荷線との交点)のVCEを読む。

例題(グラフを読む型):VBE=0.6V → 入力特性でIB=20µA → 電流伝達特性でIC=10mA(hFE=500) → 出力特性のIB=20µAの曲線上でIC=10mAとなる点を探し、VCE=4Vと読む。VCCそのもの(10V)を答えるのは、RCでの電圧降下を忘れた誤り。

負荷線(直流負荷線)は、出力特性の上に VCE=VCC-ICRC を引いた直線で、横軸との交点がVCC(IC=0)、縦軸との交点がVCC/RC(VCE=0)。負荷線と、そのときのIBの曲線の交点が動作点になる。入力信号でIBが増減すると動作点は負荷線の上を動き、その動きから出力電圧の振れ(動特性)を読む。動作点が負荷線の中央付近にあると、出力波形がひずみにくい(端に寄ると遮断や飽和で波形が切れる)。

2-4 光デバイスと表示器

受光素子

素子原理・出力要点
フォトダイオード光で電流が生じる(光起電力)逆方向電圧を加えて受光素子として使う(順方向ではない)。出力電流は入射光が強いほど増える(受光量に関係なく一定、ではない)。外部回路ではアノードから流出する向きに流れる
フォトトランジスタ光電流をトランジスタで増幅感度が高いが応答は遅め
光導電素子(CdSセル)光が当たると抵抗が下がるCdSは起電力を生じない(抵抗変化型)
太陽電池pn接合の光起電力エネルギー変換効率はおおむね15〜25%程度(75〜80%は誤り)
焦電素子温度変化で表面に電荷が生じる赤外線センサ(人感センサ・非接触温度計)。磁気計測には使わない

発光素子

LED(発光ダイオード)は順方向に電流を流すと光るpn接合。

  • 発光強度は流した電流に比例する(加えた電圧に比例、ではない)。
  • 発光波長(色)は使う半導体材料のバンドギャップで決まる(電流に比例して変わるのではない)。
  • 順方向電圧は整流用ダイオードより高い。
  • 電流と電圧の関係は指数関数にしたがう(ダイオードと同じ)。
  • アノードとカソードの極性がある。発光効率は白熱電球より高い。
  • LED光はコヒーレント光ではない。コヒーレント(位相のそろった)光を出すのはレーザダイオード。

EL素子(エレクトロルミネセンス)は電界で発光する素子で、有機材料を使うものが有機EL。

イメージング素子とフォトカプラ

CCDとCMOSイメージセンサは光を電荷に変えて画素ごとに読み出す撮像素子(受光側)。CCDは素子自体が発光しない。CMOSイメージセンサは低消費電力でカメラ・内視鏡に広く使う。

フォトカプラはLEDと受光素子を1つの容器に収め、光で信号を伝えて入力と出力を電気的に絶縁する素子。医用機器の患者側回路と装置側回路の絶縁(アイソレーション)に使う。パルスオキシメータ(SpO2)のセンサはフォトカプラではない(赤色光・赤外光のLEDと受光素子で指などを挟む透過光計測)。

サーモカメラ(サーモグラフィ)は体から出る赤外線を検出するので、撮影に外部の光源は不要。ファラデーの法則(電磁誘導)とは関係ない。

表示器

表示器発光の仕組み自ら発光するか
液晶ディスプレイ(LCD)液晶は光の通り方を変えるシャッター自発光しない(バックライトが要る)
有機ELディスプレイ有機材料に電流を流して発光する(バックライト不要)
プラズマディスプレイガス放電の紫外線で蛍光体を光らせるする
LED・7セグメントLEDLEDの発光(7本の棒で数字を表示)する
CRT(ブラウン管)電子ビームを蛍光面に当てるする
「発光しないのは?」「バックライトがあるのは?」

答えは液晶(と撮像素子のCCD)。有機EL・プラズマ・LED・CRTは自発光。

2-5 センサデバイス

出力のしかたで分ける

型素子(代表例)検出する量
起電力(電圧)を生じるホール素子(駆動電流を流して使う)磁界(磁束密度)をホール効果の起電力(ホール電圧)として検出
熱電対・サーモパイル(熱電対を多数直列)温度差(ゼーベック効果の熱起電力)
圧電素子(ピエゾ素子)・太陽電池・フォトダイオード力・圧力・振動(圧電効果)/光
抵抗が変わるサーミスタ・白金測温抵抗体(白金温度センサ)温度(半導体・金属の抵抗変化)
ひずみゲージ材料の変形を金属箔(または半導体)の抵抗変化で検出
CdS(光導電素子)光
静電容量が変わる静電容量形圧力センサ・静電容量方式タッチパネル変位・圧力・接触位置を静電容量の変化で検出

「起電力を生じるデバイスは?」→ 選択肢の中ではホール素子と熱電対(有機EL・CdS・サーミスタは起電力を生じない)。起電力型はこの2つだけではなく、上の表の圧電素子・太陽電池・フォトダイオードなども起電力を生じる。「抵抗変化を利用した温度センサは?」→ サーミスタと白金測温抵抗体(CdSは光、サーモパイルは起電力型)。

取り違えやすい対応

正しい対応誤りとして出る形
ホール素子は磁気を検出する(ホール効果が大きい半導体は磁気センサに使う)ホール素子が圧力を起電力として検出
圧電素子(ピエゾ素子)は力・圧力・振動を電荷(電圧)に変える。超音波探触子にも使うピエゾ素子が磁束密度を検出/ピエゾ効果が大きい半導体を磁気センサに使う
ひずみゲージは抵抗変化(半導体ではピエゾ抵抗効果)を利用するひずみゲージは圧電効果を利用
焦電素子は赤外線(温度変化)を検出する焦電素子は磁気計測に利用
サーミスタは接触して温度を測る(非接触の体温計は赤外線式)サーミスタで非接触に体温計測
SQUID(超伝導量子干渉素子)=超伝導現象を利用して微弱な磁気を検出(脳磁図・心磁図)—

「ピエゾ」は圧電効果(力→電荷)とピエゾ抵抗効果(力→抵抗変化)の両方に使われる語なので、どちらの意味かを文脈で見る。どちらも磁気とは無関係。

温度・化学・その他のセンサ(代表例)

白金測温抵抗体は温度が上がると抵抗が増える(金属)。サーミスタは半導体で、一般に使われるNTC形は温度が上がると抵抗が下がる。熱電対は2種類の金属の接点の温度差で起電力を生じる。

化学センサの代表例はイオン選択電極(pH電極など)、ISFET(イオン感応性電界効果トランジスタ)、酸素電極、酵素を使うグルコースセンサ。機械量のセンサにはひずみゲージ形圧力センサ・加速度センサなどがある。

タッチパネル

抵抗膜方式は2枚の膜が押されて接触した位置を抵抗で検出するので、手袋をしていても押せば動作する。静電容量方式は指との間の静電容量の変化で位置を検出するので、絶縁性の手袋では反応しにくい。

ひっかけ・混同注意

ひずみゲージは圧電効果ではない(正しくは抵抗変化。半導体形はピエゾ抵抗効果。力で電圧を生じる圧電効果は圧電素子)。サーモグラフィはファラデーの法則(電磁誘導)を利用する装置ではない(正しくは体から放射される赤外線の量を検出する)。

センサと一緒に問われる電子部品(正本は2-2〜2-4)
  • フォトダイオードの出力電流は受光量にほぼ比例して増える(「受光量に関係なく一定電流」は誤り)
  • オペアンプ(演算増幅器)は多数のトランジスタで構成された集積回路
  • ツェナーダイオードは一定の電圧を得るために用いる(定電圧回路・基準電圧)

2-6 電源装置と電池

整流回路と実効値

波形(最大値Vp)実効値平均値
正弦波そのものVp/√20
全波整流(ブリッジ・ダイオード4個)Vp/√22Vp/π
半波整流(ダイオード1個)Vp/2Vp/π

全波整流波形は2乗すると元の正弦波と同じなので実効値も同じ。周波数は実効値に関係しない。例題:Vi=100 sin(10πt)〔V〕をブリッジ整流(理想ダイオード)→ 出力の実効値=100/√2≒70.7V。

ブリッジ整流回路(全波整流回路)が正しく動くかを図で判定するには、入力の正の半周期と負の半周期それぞれで電流の通り道をたどり、どちらでも負荷に同じ向きに流れ、電源が短絡する経路がないかを確かめる。ダイオード4個がひし形に並び、交流入力が対角の一組、負荷がもう一組の対角につながるのが正しい形。

平滑回路と安定化電源

整流しただけの脈流を平滑回路(コンデンサ・コイル)でならし、残った揺れ(リプル)を安定化回路で除いて一定の直流にする。平滑コンデンサの容量が大きいほど、リプルは小さくなる。

安定化電源特徴
シリーズレギュレータ(リニア方式)トランジスタで余分な電圧を熱として捨てる。雑音が少ないが効率が低く発熱が多い
スイッチングレギュレータ(スイッチング電源)高速でオンオフして電圧を変える。効率が高く小型だがスイッチング雑音が出る

DC-DCコンバータとAC-DCコンバータの構成

ブロック図の空欄を埋める問題は「直流→交流にする部品=インバータ」「電圧を変える=変圧器(トランス)」「交流→直流=整流回路」「ならす=平滑回路」の4つを順に並べる。

方式並び順
DC-DCコンバータ直流入力 → インバータ → 変圧器 → 整流回路 → 平滑回路 → 直流出力
AC-DCコンバータ(スイッチング電源)交流入力 → 整流回路 → 平滑回路 → インバータ → 変圧器 → 整流回路 → 平滑回路 → 直流出力

変圧器は交流でしか働かないので、変圧器の前には必ず交流(インバータの出力)がある、と覚えると並びを再現できる。高い周波数に変えてから変圧するので、変圧器を小さくできる。

電池

一次電池(使い切り)二次電池(充電して繰り返し使う=蓄電池)
代表例マンガン乾電池・アルカリ乾電池・リチウム電池・空気亜鉛電池鉛蓄電池・ニッケルカドミウム電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池

医用機器の内部バッテリには主に二次電池を使う。ニッケルカドミウム電池などは継ぎ足し充電で容量が減ったように見えるメモリー効果がある。

電池の容量〔Ah〕=電流〔A〕×時間〔h〕。連続稼働時間は容量÷平均電流で求め、電圧は使わない。例題:1Ahの電池で平均10µAの回路を動かす → 1Ah÷10×10−6A=105h。1年≒8,760hなので約11年。

2-7 理想演算増幅器と反転・非反転増幅回路

理想演算増幅器の条件

項目理想値誤りとして出る形
開ループ利得(増幅度)無限大—
入力インピーダンス無限大(入力端子に流れ込む電流はゼロ)—
出力インピーダンスゼロ出力インピーダンスは無限大
周波数帯域幅無限大—
同相除去比(CMRR)無限大CMRRはゼロ
スルーレート無限大—

負帰還をかけた理想オペアンプでは、+入力と-入力は同じ電位になる。これを仮想短絡(バーチャルショート・イマジナリショート)といい、+入力が接地されていれば-入力も0Vになる(仮想接地)。

オペアンプの問題を解く2原則

①+入力と-入力は同電位(まず+入力の電位を確定する) ②入力端子には電流が流れ込まない(入力抵抗の電流はすべて帰還抵抗へ流れる)

基本の増幅回路

回路増幅度入力インピーダンス位相
反転増幅回路-Rf/RiRi(入力抵抗そのもの)反転(極性が反対)
非反転増幅回路1+Rf/Ri無限大同相
ボルテージフォロワ1無限大同相

反転増幅回路では、RiとRfが等しいとき、増幅度の絶対値は1、Riに流れる電流とRfに流れる電流は等しい、反転入力(p点)の電位は0V。入力インピーダンスは無限大ではなくRi(入力信号から見ると、Riの先が仮想接地されている)。

ボルテージフォロワは出力を-入力にそのまま戻した非反転回路。入力抵抗は無限大・出力抵抗はゼロで仮想短絡が成り立つ。利得は1(無限大ではない)で、反転増幅回路ではなく非反転。信号源に負担をかけずに次の回路へ渡すバッファ(インピーダンス変換)に使う。

入力側に抵抗とコンデンサが直列に入った反転回路では、入力インピーダンスは仮想接地までの直列素子の和になる。例:R1とCが直列なら Zin=R1+1/(jωC)。

電流・電位を求める手順

  1. +入力の電位を決める(接地なら0V、抵抗で分圧されていれば分圧の式)。
  2. -入力を同じ電位に置く。
  3. 入力抵抗の電流 I=(Vi-V-)/Ri。この電流がそのまま帰還抵抗へ流れる。
  4. Vo=V--I×Rf。

例題1:反転増幅回路、Ri=1kΩ、Rf=10kΩ、Vi=2V。→ I=2V/1kΩ=2mA。10kΩにも同じ2mAが流れ、Vo=-20V(電源電圧を超えれば飽和)。

例題2:Ri=10kΩ、Rf=100kΩ、Vi=1V → I=1V/10kΩ=0.1mA(100kΩで割るのは取り違え)。

例題3:+入力に4Vを1kΩ:1kΩで分圧して入れた → +入力=4×1/(1+1)=2V。仮想短絡で-入力も2V。

デシベル(dB)換算

電圧利得〔dB〕=20 log10(Vo/Vi)、電力比なら10 log10。log102=0.3を使う。倍率の積はdBの和になる(多段増幅器の全体利得=各段のdBの和)。

電圧の倍率241020501004001000105
dB612202634405260100

20=10×2 → 20+6=26dB、50=100÷2 → 40-6=34dB、400=100×4 → 40+12=52dB のように、10の累乗と2の組合せに分けて足し引きする。

例題4:反転増幅回路の利得を20dBにしたい。帰還抵抗50kΩ → 20dB=10倍なので入力抵抗R=50kΩ/10=5kΩ。

例題5:全体で26dB=20倍。1段目が反転で10kΩ/1kΩ=10倍なら、2段目(反転、入力抵抗10kΩ、帰還R)に必要なのは20÷10=2倍 → R/10kΩ=2 → R=20kΩ。

例題6:出力1Vの2段目の増幅度が34dB(50倍)→ 2段目の入力(1段目の出力)=1V÷50=20mV。

例題7:Vi=1.0Vで抵抗に流れる電流から出力を求めたら2.0V → 増幅度(大きさ)2倍=20 log 2=6dB。反転なら帰還抵抗が入力抵抗の2倍、非反転なら帰還抵抗=入力抵抗で2倍になる(形を図で確かめる)。

SN比(信号対雑音比)も同じ式で、実効値10Vの信号に実効値1Vの雑音 → 20 log10(10/1)=20dB。加算平均をn回行うと、信号はそのまま・ランダム雑音は1/√nになるので、SN比は√n倍に改善する。

多段回路と基準電圧つき回路

非反転増幅(1+R2/R1)の後に反転増幅(-R4/R3)をつないだ回路は、各段の増幅度の積で Vo/Vi=-(1+R2/R1)×(R4/R3)。

+入力にVi、-入力側の抵抗の根元に基準電圧Vrefがある回路は重ね合わせで解く:Vo=(1+Rf/Ri)Vi-(Rf/Ri)Vref。例題8:Rf/Ri=2、Vi=3V、Vref=1V → Vo=3×3-2×1=7V。逆に出力から入力を求める問題も、同じ式を立ててViについて解く。

ボルテージフォロワでは仮想短絡によりvo=vi。出力波形は入力と同じ形・同じ振幅・同じ位相(同じ時刻)になり、反転・増幅・整流(折り返し)・遅れは生じない。

2-8 加算回路・差動増幅回路とCMRR

加算回路

反転加算回路:Vo=-Rf(V1/R1+V2/R2+…)。各入力はその入力抵抗ごとの重み(Rf/Rn)をかけて足される。仮想接地点に集まる電流の和が帰還抵抗に流れる、と考えると覚えなくても立てられる。

例題1:Rf=20kΩ、R1=10kΩ、R2=20kΩ → Vo=-(2V1+V2)。V1=2V、V2=3Vなら-7V。同じ出力になる組は 2V1+V2=7 を満たすもの(例:V1=4V・V2=-1V、V1=3V・V2=1V)。

例題2:未知の抵抗や起電力は、Vo=-RfΣ(Vn/Rn)に数値を入れて1元1次方程式として解く。例:Rf=4kΩ、入力1が2V・2kΩ、入力2が1V・R、Vo=-6V → 6=4(2/2+1/R)→ 1/R=0.5 → R=2kΩ。

差動増幅回路

入力抵抗Ri・帰還抵抗Rfがそろった差動増幅回路は Vo=(Rf/Ri)(V+側-V-側)。2つの入力に共通に含まれる成分(同相成分)は打ち消されて出力に出ない。

例題3:Rf/Ri=10、V1(+側)=Vmsinωt+0.5、V2(-側)=-Vmsinωt+0.5 → 差は 2Vmsinωt、直流0.5Vは同相なので消える → Vo=20Vmsinωt(どちらを+側につないだかで符号が変わる)。

例題4:Vo=10(Vi-2)の回路でVo=10V → Vi=3V。波形を選ぶ問題は「差をとってRf/Ri倍」した波形を、時刻ごとに数点計算して選ぶ。

差動利得・同相利得とCMRR

用語意味
差動利得Ad2入力の差(逆相信号=心電図などの生体信号)に対する増幅度
同相利得Ac2入力に同時に入る成分(同相信号=ハム・電源雑音)に対する増幅度
同相除去比CMRRCMRR=Ad/Ac。dBでは CMRR〔dB〕=Ad〔dB〕-Ac〔dB〕

生体用増幅器のCMRRは大きいほどよい(商用交流雑音などの同相雑音を除き、生体信号だけを増幅できる)。

計算の手順:①差動入力と出力からAd=出力/差動入力 ②同相入力と出力からAc=出力/同相入力 ③割る(またはdBで引く)。入力端子を短絡して同相電圧を加えれば、そのときの出力からAcが分かる。

例題5:差動入力0.5mVで出力1V、同相入力1Vで出力10mV → Ad=2000、Ac=0.01、CMRR=2×105 → 20 log(2×105)=100+6=106dB。

例題6:同相利得-20dB、CMRR 100dB → 差動利得=100+(-20)=80dB。

例題7:差動入力2mVで出力4V(Ad=2000)、入力端子を短絡して同相1Vで出力0.2V(Ac=0.2)→ CMRR=104=80dB。

例題8:CMRR 100dB(105)、差動入力1mVで出力1V(Ad=1000)→ Ac=1000/105=0.01。同相1Vを入れたときの出力=0.01V。

計測回路(電流電圧変換・計装増幅器)

電流電圧変換回路(トランスインピーダンス増幅器)は、入力電流Iを帰還抵抗Rfに流しVo=-I×Rfの電圧に変える。フォトダイオードの光電流を電圧に変えるのに使う。

計装増幅器(計装増幅回路・インスツルメンテーションアンプ)は、ボルテージフォロワ型の入力段2つと差動増幅段を組み合わせた回路(オペアンプ3個構成が代表例)。入力インピーダンスが高く、CMRRが大きいので、電極接触抵抗の大きい生体信号の差動増幅に向く。利得は1本の抵抗で調整できる。

2-9 積分・微分回路とフィルタ・コンパレータ

積分回路と微分回路

積分回路微分回路
構成(反転形)入力R・帰還C入力C・帰還R
出力vo=-(1/RC)∫vidtvo=-RC(dvi/dt)
周波数特性低い周波数ほど利得が大きい(低域通過的)高い周波数ほど利得が大きい(高域通過的)
波形方形波を入れると三角波が出る三角波を入れると方形波が出る

入出力波形を選ぶ問題は、回路を「入力側にCがあるか・帰還にCがあるか」で積分か微分かを判定し、反転形なので出力の極性が逆になることも確かめる(入力が正の一定値の間、積分回路の出力は負の向きに直線的に変化する)。

実用の積分・微分回路(フィルタとして読む)

回路遮断周波数より十分低い帯域遮断周波数より十分高い帯域遮断周波数
帰還がRfとCfの並列(入力Ri)=低域通過フィルタ(LPF)Vo=-(Rf/Ri)Viの反転増幅(直流も通る)遮断周波数より高い帯域では積分特性になるfc=1/(2πRfCf)(帰還側のRとC)
入力がR1とC1の直列(帰還R2)=高域通過フィルタ(HPF)遮断周波数より低い帯域では微分特性になる(直流は通らない)-(R2/R1)倍の反転増幅fc=1/(2πR1C1)(入力側のRとC)

どちらの回路でも、入力側の素子と帰還側の素子には同じ電流が流れる(例:入力C1と帰還R2の電流は等しい)。入力インピーダンスは入力側の素子だけで決まり、無限大ではない。出力インピーダンスはゼロ。入力にコンデンサが直列に入る回路は直流を通さない(増幅できない)。誤答肢は「低い帯域で積分・高い帯域で微分」のように低域と高域を入れ替えた形と、fcの式のRとCを入力側・帰還側で混ぜた形(例:1/(2πRiCf))で出る。

時定数・遮断周波数の計算

時定数τ=RC、遮断周波数fc=1/(2πRC)(1/(2π)≒0.16)。遮断周波数では利得が通過域より3dB下がり、位相は45°ずれる(位相差ゼロではない)。

例題1:帰還にRf=10kΩとCf=1µFの並列、入力Ri=5kΩ → τ=10kΩ×1µF=10ms、通過域(低域)の増幅度=2倍≒6dB(20dBではない)、高域では積分特性。

例題2:R=1kΩ、C=1µF → fc=1/(2π×103×10-6)=1000/6.28≒160Hz。

フィルタの種類

低域通過フィルタ(LPF・ローパス)は高周波雑音の除去や標本化前のエイリアシング防止に、高域通過フィルタ(HPF・ハイパス)は基線の揺れ(直流・低周波の変動)の除去に使う。帯域通過フィルタ(BPF)は必要な帯域だけ通し、帯域阻止フィルタ(BEF・ノッチフィルタ)は商用交流雑音などの特定周波数だけを除く。

コンパレータ

コンパレータ(比較器)は負帰還をかけずに2つの入力電圧を比べ、どちらが大きいかで出力が正または負の飽和電圧に切り替わる。正帰還を加えて切り替え電圧に幅(ヒステリシス)を持たせたものがシュミットトリガで、雑音によるばたつきを防ぐ。負帰還がないので仮想短絡は成り立たない。

複素数と位相

インピーダンスや信号の位相は複素数で扱う。複素数の積の偏角はそれぞれの偏角の和、大きさは積。例題3:Z(√3+j)の偏角をπ/2にしたい。√3+jの偏角はπ/6なので、Zの偏角はπ/2-π/6=π/3 → Z=1+j√3(偏角π/3)。

2-10 ディジタル回路とAD・DA変換

→ 正本:医用電気電子工学ノート 3-3 AD変換・DA変換とディジタル信号処理(この節は本科目の観点だけ。用語・分類・数字は正本で覚える)

基本論理ゲート

ゲート論理式出力が1になる条件
AND(論理積)X=A・B全入力が1のときだけ
OR(論理和)X=A+Bどれか1つでも1
NOT(否定)X=Ā入力が0
NANDX=¬(A・B)全入力が1のときだけ0(それ以外1)
NORX=¬(A+B)全入力が0のときだけ1
XOR(排他的論理和)X=A・B̄+Ā・B入力が異なるとき

真理値表から論理を当てる問題は、出力が1になる行(または0になる行)がいくつあるかで見分けるのが速い。NANDとNORは単独ですべての論理回路を構成できる万能ゲート。

ド・モルガンの定理と回路の読み替え

¬(A・B)=Ā+B̄、¬(A+B)=Ā・B̄。ここから:

  • 入力をそれぞれ否定してNANDに入れるとOR(¬(Ā・B̄)=A+B)
  • 入力をそれぞれ否定してNORに入れるとAND(¬(Ā+B̄)=A・B)
  • 入力を結線した(同じ信号を入れた)NAND・NORはNOTとして働く

論理式の変形には分配則も使う:A・B+A・C=A・(B+C)(BとCのORをとってからAとAND)。

回路から論理式を出す手順:①入力側のゲートから順に、各ゲートの出力を式で書く ②次のゲートにその式を入れる ③最後にド・モルガンで簡単にする ④迷ったら入力に0/1を入れて真理値表で選択肢と照合する。例題:A・Bを NAND に通した ¬(A・B)と、C を AND → X=¬(A・B)・C=(Ā+B̄)・C。3入力 NAND なら X=¬(A・B・C)。

トランジスタとダイオード・抵抗で作られた回路の真理値表を問う問題は、入力がH(5V)のトランジスタはオン=出力をL(0V)に引き下げると考え、各入力の組で出力を判定する(トランジスタが並列でどれか1つでもオンならL=NOR形、直列で全部オンのときだけL=NAND形)。

フリップフロップ・カウンタ

フリップフロップ(FF)は1ビットを記憶する回路。出力を入力に戻すフィードバック構成をもつ双安定回路(安定状態が2つ)。

SRRS-FFの出力Q
00前の状態を保持する
10Q=1(セット)
01Q=0(リセット)
11禁止(入力してはいけない)

SがSet(1にする)、RがReset(0にする)と読めば表は再現できる。JK-FFはS=R=1に当たる入力で出力が反転し、T-FFは入力のたびに反転する。T-FFをn段つなぐと2n進のカウンタ(分周回路)になる。

AD変換(標本化・量子化・符号化)

AD変換は標本化(サンプリング)→量子化→符号化の順。標本化定理:信号の最高周波数の2倍以上の周波数で標本化しないとエイリアシング(折り返し雑音)が起きる(fs≧2fmax)。標本化の前にはアンチエイリアシングフィルタ(LPF)で高い周波数を除く。

例題1:帯域1〜200Hzの信号 → 標本化周波数は400Hz以上 → 標本化間隔は最大2.5ms(1/400Hz)。

量子化ビット数nなら段階数は2n。分解能は入力範囲÷2n。例題2:入力範囲10Vを10ビットで変換 → 210=1024段階、1段階≒約10mV。ビット数を増やすと量子化誤差(量子化雑音)が小さくなる。

DA変換

DA変換器はディジタル値の各ビットに重みをつけて足し合わせる加算回路。重み付き抵抗形は、ビットごとにR・2R・4R…の入力抵抗を反転加算回路につなぐ(抵抗値の種類が多い)。R-2Rラダー形はRと2Rの2種類だけで作れるので精度を出しやすい。

例題3:反転加算形DA(重み付き抵抗形)。帰還抵抗Rf=20kΩ、b1のスイッチは20kΩ、b0のスイッチは10kΩを通して、1のとき基準電圧Vrにつながる。重みは抵抗値から読む:b1はRf/20kΩ=1、b0はRf/10kΩ=2(抵抗が小さい入力ほど、重みが大きい)。b0=1・b1=1 → Vo=-(1+2)Vr=-3Vr。ビットの名前(上位・下位)でなく、図の抵抗値で重みを決める。

ダイオードでまとめてトランジスタ1個に入れる回路

入力A・Bがそれぞれダイオード(入力側がアノード)を通ってエミッタ接地トランジスタ1個のベースにまとまり、コレクタから出力をとる回路は、ダイオード部分がOR、トランジスタ部分がNOT(反転)で、全体はNOR。どちらか1つでもHならベース電流が流れてトランジスタがオン→出力L、両方Lのときだけトランジスタがオフ→出力H(コレクタ抵抗で5Vに引き上げ)。「片方だけHなら出力H」(NAND)は誤り。

2-11 通信

情報量と符号化

生起確率pの事象の情報量はI=log2(1/p)〔ビット〕。起こりにくい事象ほど、情報量が大きい。例:8通りが等確率なら log28=3ビット。情報量の平均をエントロピー(平均情報量)という。符号化は情報を0と1の並びに置き換えることで、出現しやすい記号を短い符号にする方法(ハフマン符号など)でデータ量を減らせる(情報源符号化・圧縮)。

アナログ通信とディジタル通信・伝送路

正しい記述誤りとして出る形
無線通信は主に電波を用いる—
アナログ通信は伝送路で信号が減衰し雑音が加わる—
ディジタル通信はアナログ通信に比べて雑音に強い(中継で波形を作り直せる・誤り訂正ができる)—
光ファイバは屈折率の高いコアと低いクラッドで構成される(全反射で光を閉じ込める)—
同軸ケーブルは中心導体を絶縁体と網状の外部導体で同心円状に包んだケーブル同軸ケーブルを「電線を2本対で撚り合わせたケーブル」とする(それはツイストペアケーブル)

シリアル通信とパラレル通信

シリアル通信は1本の信号線で1ビットずつ順に送る方式(USB・RS-232Cなどが代表例)。配線が少なく長距離に向く。パラレル通信は複数の信号線で複数ビットを同時に送る方式で、短距離では速いが線間のずれ(スキュー)や配線数が問題になる。

変調方式

搬送波変えるものアナログ変調ディジタル変調
正弦波振幅AM(振幅変調)ASK
周波数FM(周波数変調)FSK
位相PM(位相変調)PSK
パルス変調変えるもの
PAMパルスの振幅(Amplitude)
PWMパルスの幅(Width)
PPMパルスの位置(Position)
PFMパルスの周波数(Frequency)
PNMパルスの数(Number)
PCM標本化・量子化した値を符号(0と1のパルス列)にする

略語の2文字目以降の英語で覚えると取り違えない(「PNMは周波数」「PAMは位置」は誤り)。変調波形の図を見て方式を当てる問題は、振幅が一定で波の詰まり具合(周波数)だけが0と1で変わっていればFSK、振幅だけ変わればASK、波の途中で急に位相が反転していればPSK。

AM変調の性質と側波帯

周波数fcの搬送波を周波数fsの正弦波でAM変調(DSB=両側波帯)すると、スペクトルはfc、fc+fs(上側波)、fc-fs(下側波)の3本になる。占有帯域幅は変調信号の周波数成分で決まり 2fs。

例題1:信号 v(t)=10 sin(4000πt)で1000kHzの搬送波をAM変調 → ω=2πf=4000π より fs=2kHz。上側波=1000+2=1002kHz、下側波=998kHz。

AMの性質:搬送波には正弦波が用いられる。変調度は1以下に設定する(1を超えると過変調でひずむ)。ダイオードの半波整流回路(包絡線検波)で復調できる。雑音は振幅に重なるので、AMはFMより雑音の影響を受けやすい(FMは振幅の乱れを除けるので雑音に強い)。

伝送誤り・誤り検出・誤り訂正

伝送中の雑音でビットが反転するのが伝送誤り。パリティチェック(1の数が偶数/奇数になるよう1ビット足す)は1ビットの誤りを検出できるが訂正はできない。CRC(巡回冗長検査)はまとまったデータの誤り検出に、ハミング符号は誤りの検出と1ビットの訂正に使う代表例。誤りを見つけたら再送を求める方式もある。

多重化方式

1本の伝送路で複数の信号を送る方式。時分割多重(TDM)は時間を区切って順番に、周波数分割多重(FDM)は周波数帯を分けて、符号分割多重(CDM/CDMA)は符号で区別して送る。

例題2:19200bpsの伝送路で4チャネルをTDM → 1チャネル=19200÷4=4800bps。1byte=8bitなので4800÷8=600byte/s。

アンテナと移動通信システム

アンテナ特徴
ロッドアンテナ1本の棒状
ダイポールアンテナ2本の導線を左右に開いた基本形
八木アンテナ導波器・放射器・反射器を並べた魚の骨形。指向性が強い(テレビ受信など)
パラボラアンテナ放物面の反射鏡で電波を集める(衛星通信など)
アダプティブアレイアンテナ多数の素子を並べ、各素子の信号を制御して指向性を自動的に変える(移動通信の基地局など)

移動通信システム(携帯電話)は、地域を基地局ごとの区画(セル)に分けて周波数を繰り返し使い、移動中は通信先の基地局を切り替える(ハンドオーバ)。医療機関では無線LANや携帯電話の電波が医用機器に与える影響に配慮して使う。