第1章|医学的基礎

医学概論 第1章
収録 98問(第31〜39回)生化学・病理・免疫・薬理・医事法規・医療安全・公衆衛生

生化学・病理学・免疫・薬理・公衆衛生・医事法規・医療安全までを横断する「広く浅い」失点しやすいジャンル。臨床工学技士の業務範囲感染症法の類型代謝経路の局在細胞の適応と死の切り分けなど、暗記の「対」を作れば安定して取れる。

生化学 — 栄養素・代謝経路・酵素

三大栄養素とエネルギー

PFCバランス=タンパク質13〜15%・脂質20〜25%・炭水化物57〜61%。アトウォーター係数=糖質4・タンパク質4・脂質9kcal/g(アルコールは7)。単糖=グルコース・フルクトース・ガラクトース/二糖=マルトース・スクロース・ラクトース。

代謝経路局在・要点
解糖系細胞質。グルコース1分子→ピルビン酸2分子、正味+2ATP(前半2消費・後半4生成)
クエン酸回路(TCA)ミトコンドリア・マトリックス。CO2・NADH・FADH2を産生
電子伝達系ミトコンドリア内膜。ここでH2O生成、好気的に計約30〜38ATP
嫌気代謝解糖系のみ(+2ATP)。乳酸はピルビン酸から乳酸脱水素酵素で生成

β酸化=脂肪酸をミトコンドリアで炭素2個ずつ切り出しアセチルCoAを生成(「1個分短くなる」はひっかけ)。タンパク質の階層構造=一次(アミノ酸配列)・二次(αヘリックス/βシート)・三次(立体)・四次(会合)。ヘモグロビンはα2β2の四量体DNAの塩基=A・T・G・C(RNAはTの代わりにU)、プリン=A・G/ピリミジン=C・T・U。

ビタミン欠乏欠乏症
B1(チアミン)脚気・ウェルニッケ脳症
B12・葉酸巨赤芽球性貧血(B12吸収に胃の内因子が必要
Dくる病・骨軟化症(生成に紫外線が必要
C/K/A壊血病/出血傾向/夜盲。脂溶性はDAKE

酵素=タンパク質・基質特異性・至適温度約37℃・至適pHをもち、活性化エネルギーを低下させる触媒。

病理学 — 細胞の適応と死・炎症・腫瘍・循環障害

適応 vs 細胞死 — 最頻出の切り分け

適応(可逆的)=萎縮・肥大・過形成(増生)・化生の4つ。低形成・無形成は先天異常、異形成(dysplasia)は前癌病変で適応ではない。
細胞死=壊死(ネクローシス/受動的・炎症を伴う)とアポトーシス(プログラムされた能動的細胞死・炎症を伴わない)。凝固壊死はネクローシスの一型。

急性炎症=好中球主体・血管透過性亢進・滲出・浮腫。慢性炎症=リンパ球/マクロファージ/形質細胞浸潤・線維芽細胞の増殖・線維化(=慢性期移行のサイン)。炎症の5徴=発赤・熱感・腫脹・疼痛・機能障害(出血は含まない)。良性腫瘍=膨張性悪性腫瘍=浸潤・転移・異型性・多段階の遺伝子異常循環障害=血栓症(その場で形成)・塞栓症(遊離した塞栓子)・梗塞(血流途絶による壊死)。深部静脈血栓(DVT)→肺塞栓、動脈血栓は抗血小板薬・静脈血栓は抗凝固薬。

免疫

自然免疫=好中球・マクロファージ・NK細胞・樹状細胞(抗原提示)で非特異的・即時。獲得免疫=T細胞(細胞性免疫・TCR)+B細胞(液性免疫・抗体産生)。抗体産生の順=一次応答はIgM先行→二次応答でIgG。IgAは粘膜・分泌液に多い。液性免疫=B細胞、細胞性免疫=T細胞の対を必ず押さえる。

薬理学 — 薬物動態

薬物動態=ADME

吸収(A)・分布(D)・代謝(M=主に肝CYP)・排泄(E=主に腎)の4過程。「合成」は含まれない。初回通過効果=経口薬が門脈→肝で代謝され効果減弱。回避経路=舌下・直腸・吸入・注射・経皮

効果発現の速さ=静注>筋注>皮下>経口(静注は生体利用率100%・速効で持続は短い)。血中濃度は半減期n個で(1/2)ⁿ(4半減期で1/16)。治療係数=LD50/ED50(大きいほど安全)。LD50=動物の半数が死亡する用量。TDM(血中濃度モニタリング)の対象=安全域の狭い薬(ジゴキシン・テオフィリン・バンコマイシン)

臨床工学技士法・医事法規

臨床工学技士(CE)業務の核

免許は厚生労働大臣(内閣総理大臣は誤り)、名称独占(業務独占ではない)。業務=生命維持管理装置の操作および保守点検保守点検は医師の指示不要/操作(人体への接続・薬剤注入・穿刺・喀痰吸引等)は医師の具体的指示下
できない=気管挿管・カニューレ挿入・血管への直接穿刺による輸血。できる=留置カテーテルからの採血・人工呼吸器使用時の喀痰吸引(2021年改正で動脈ライン採血・静脈路からの薬剤投与等を追加)。

法律所管(何を定めるか)
医療法施設基準・医療安全。医療機器安全管理責任者の配置義務(安全管理の4本柱=医療安全/院内感染/医薬品/医療機器)
医師法医師の身分・応召義務
医薬品医療機器等法(薬機法)医薬品・医療機器・再生医療等製品の品質有効性安全性+指定薬物規制
感染症法/廃棄物処理法感染症対策/感染性廃棄物の処理(感染症法ではない点に注意)

感染症法の類型・滅菌消毒・医療安全

類型代表例
一類エボラ出血熱・ペスト・痘そう・ラッサ熱・マールブルグ病
二類結核・急性灰白髄炎(ポリオ)・ジフテリア・SARS/MERS・鳥インフル(H5N1)
三類コレラ・細菌性赤痢・腸チフス・腸管出血性大腸菌
四類狂犬病・マラリア・デング熱・E型/A型肝炎
五類新型コロナ(2類相当から移行)・インフルエンザ・麻疹・梅毒

スポルディング分類=クリティカル(体内・血管内)→滅菌/セミクリティカル(粘膜接触)→高水準消毒/ノンクリティカル(皮膚)→低水準消毒。滅菌法=高圧蒸気(耐熱器具・鋼製小物)/EOG・過酸化水素低温プラズマ(内視鏡など熱に弱い器具)。粘膜消毒=逆性石けん(ベンザルコニウム)・ポビドンヨード。感染性廃棄物のバイオハザードマーク=赤(液状・泥状)・橙(固形)・黄(注射針など鋭利物)。医療安全=PDCAサイクルハインリッヒの法則(1:29:300)・インシデント(実害なし)/アクシデント(実害あり)・スイスチーズモデル。情報共有・標準化・チーム医療はエラーの「防止側」。

公衆衛生・医の倫理

主要死因(令和4年)=悪性新生物>心疾患>老衰>脳血管疾患>肺炎(がん死亡の1位は肺癌)。疾病予防の三段階=一次(予防接種・生活指導)/二次(検診・早期発見)/三次(リハビリ・再発防止)。医の倫理は宣言の区別が頻出:ヘルシンキ宣言=人を対象とする医学研究の倫理/リスボン宣言=患者の権利/ジュネーブ宣言=医師の職業倫理治験=GCP遵守・IRB(治験審査委員会)承認・文書によるインフォームドコンセント・自由意思(拒否や撤回で不利益を受けない)。開発相=第Ⅰ〜Ⅲ相→承認→第Ⅳ相=市販後調査(PMS)