第2章|人体の構造と機能

医学概論 第2章
収録 115問(第31〜39回)細胞・膜電位・筋と神経・呼吸・循環・血液・腎・消化・自律神経と内分泌・体温・免疫・生殖と老化

解剖学・生理学の章で、医学概論でいちばん問題が多い。聞かれ方は「どの構造が・何を・どこで」の対応と、膜電位・肺気量・血圧・クリアランス・熱量の数値と計算。否定設問が多く、誤答肢は「場所の取り違え」(ゴルジ体でATP、副腎から成長ホルモン)と「向きの取り違え」(右方移動・負のフィードバック・交感と副交感)でできている。各節の表で対になる語を一緒に覚える。

2-1 細胞の構造と機能・体液と膜輸送・膜電位・酵素

細胞小器官は「どこで何を作るか」の対応

小器官はたらきよく出る誤答肢
核DNA(染色体)を収め、RNAを合成する(転写)—
リボソーム(リボゾーム)タンパク質を合成する(翻訳)「リボソームで糖質が作られる」✕
粗面小胞体リボソームが付き、分泌タンパク質を合成—
滑面小胞体脂質・ステロイドの合成、解毒、Ca2+の貯蔵—
ゴルジ体(ゴルジ装置)タンパク質を修飾し、分泌物質(分泌顆粒)を作る「ゴルジ体はATPを産生」「脂質の分解や合成を担う」✕
リソソーム(ライソゾーム)加水分解酵素で不要な物質を分解する「リソソームは分泌を行う」「脂質が作られる」✕
ミトコンドリアATPを最も多く合成する(TCA回路・電子伝達系)。独自のDNAをもつ—
細胞膜リン脂質二重層と膜タンパク質でできる。イオンの偏りで電位勾配(膜電位)を作る「細胞膜は主にフィブリンで構成」✕

遺伝情報の流れは DNA →(転写・核)→ mRNA →(翻訳・リボソーム)→ タンパク質。ヒトの染色体は46本(23対)で、常染色体22対と性染色体1対。細胞の形を保つのは細胞骨格(微小管・アクチンフィラメントなど)。

DNAの塩基はA・T・G・Cの4種で、AとT、GとCが対になる。RNAではTの代わりにUを使う。3つの塩基の並び(コドン)が1つのアミノ酸を指定する。体細胞分裂では染色体数は変わらず、生殖細胞を作る減数分裂で半分になる(2-12)。

エネルギー産生:解糖系・TCA回路・電子伝達系

段階場所要点
解糖系細胞質酸素なしで進む。グルコース → ピルビン酸。正味2ATP
TCA回路(クエン酸回路)ミトコンドリアのマトリックス1周で二酸化炭素が2分子生じる。水素をNADH・FADH2として取り出す
電子伝達系ミトコンドリア内膜ここで酸素を消費し水ができる。ATPの大部分を作る

TCA回路の誤答肢の切り方:「水素を消費」✕(水素は取り出す側)、「酸素を消費」✕(酸素を使うのは電子伝達系)、「NAD+が生じる」✕(NAD+は水素を受け取ってNADHになる)、「ピルビン酸とクエン酸が反応してオキサロ酢酸」✕(アセチルCoAとオキサロ酢酸からクエン酸ができる)。

酵素の性質

正しい記述誤答肢
基本構造はタンパク質「ステロイドの酵素がある」✕
活性化エネルギーを小さくして反応を進める「活性化エネルギーを大きくする」✕
基質特異性:一つの酵素は決まった基質に作用し、反応は酵素分子の特定部位(活性部位)で起こる—
至適温度・至適pHがあり、山型の特性「温度が高いほど活性は高い」「温度と反応速度は正比例」✕(高温で失活)
基質濃度を上げると反応速度は頭打ちになる(飽和曲線)「基質濃度と反応速度は正比例」✕

触媒なので反応の前後で酵素自身は消費されない。

代謝経路の途中の酵素が欠けたら

X →(酵素A)→ Y →(酵素B)→ Z で酵素Bの活性が落ちると、手前のYはたまって増加し、先のZは減少する。先天性代謝異常(フェニルケトン尿症など)の基本の考え方。

体液とイオン:細胞の内と外

体液は体重の約60%で、細胞内液が約40%、細胞外液(間質液+血漿)が約20%。

主な陽イオン主な陰イオン
細胞内液K+リン酸(HPO42−)・タンパク質
細胞外液Na+Cl−・HCO3−

この濃度差を保つのがNa+-K+ポンプ(Na+-K+ ATPアーゼ)。ATPを使ってNa+を細胞外へ、K+を細胞内へ運ぶ。Na+・Ca2+・Cl−は細胞外に多く、K+は細胞内に多い。

膜輸送:勾配に逆らうか沿うか

輸送エネルギー代表例
単純拡散不要(勾配に沿う)肺胞から血液への酸素、血液から組織への酸素、CO2
促進拡散不要(担体を使うが勾配に沿う)細胞へのグルコースの取り込み(GLUTで細胞膜を通って細胞内へ)
能動輸送ATPを使い、濃度勾配に逆らって運ぶNa+-K+ポンプ(細胞内から外へのNa+の移動・静止膜電位の維持)
二次性能動輸送Na+の勾配を利用尿細管のグルコース再吸収、小腸のグルコース吸収(Na+との共輸送)

能動輸送を選ぶ問題では、ガスの移動(酸素・CO2)はすべて拡散なので切る。毛細血管から組織間質へのグルコースの移動は、毛細血管壁のすき間を通る拡散で、これも能動輸送ではない(GLUTが働くのは、そのあと細胞膜を越えて細胞内に入るとき)。

Fickの拡散法則:拡散量 ∝ 透過性(拡散係数)× 膜面積 × 濃度差 ÷ 膜厚。面積・濃度差・透過性に比例し、膜厚に反比例する。浸透圧差は水を動かす力で、溶質の拡散の式には入らないので、影響がいちばん小さい。

膜電位と興奮

用語中身
静止膜電位約 −70〜−90 mV。細胞内外のイオン濃度差(主にK+)で生じる
閾膜電位約 −55 mV。静止電位より高い(0 mVに近い)。「閾膜電位は静止電位よりも低い」✕
脱分極Na+が細胞内に流入する
再分極電位依存性K+チャネルが開きK+が流出し、静止膜電位へ戻る
過分極静止電位よりさらに低く(より負に)なる
興奮の持続時間神経の活動電位は約1ミリ秒。「1秒程度」✕
跳躍伝導有髄神経でランビエ絞輪を飛び飛びに伝わり、速い

「低い電位」は「より負」の意味。向きを取り違えない。

組織と細胞の再生能力

組織は上皮組織・筋組織・結合組織(支持組織)・神経組織の4つ。血管・リンパ管の壁もこれらでできる。

分類代表例再生
不安定細胞皮膚表皮細胞・消化管上皮細胞・骨髄造血細胞常に分裂していて再生能力が高い
安定細胞肝細胞・腎尿細管上皮ふだんは休むが傷害で再生する
永久細胞心筋細胞・中枢神経細胞ほとんど再生せず、瘢痕で置き換わる

2-2 筋・神経系・感覚(支持と運動/情報の受容と処理)

筋の3種類

骨格筋心筋平滑筋
横紋ありありなし
随意・不随意随意不随意不随意
支配神経体性神経(運動神経)自律神経自律神経が分布する
特徴不応期が短く強縮する介在板で細胞がつながる。骨格筋より不応期が長く、強縮しない血管・消化管・気管支・膀胱・子宮の壁

横紋筋=骨格筋+心筋。横紋筋が主体の臓器は心臓と横隔膜(横隔膜は骨格筋)。大動脈・気管支・大腸は平滑筋。どの筋もアクチンとミオシンで収縮する(「心筋にはミオシンがない」✕)。介在板は心筋の特徴で、平滑筋にはない。

骨・軟骨・関節:骨はカルシウム・リンを貯え、骨髄で造血する。骨は外側から骨膜・緻密骨・海綿骨で、内部の髄腔に骨髄がある。軟骨は血管をもたない。関節は骨と骨のつなぎ目で、可動関節は関節包と滑膜で包まれる。可動関節の代表例は球関節(肩・股関節)・蝶番関節(肘の腕尺関節)など。

反射と随意運動

伸張反射(腱反射)は筋紡錘 → Ia線維 → 脊髄 → α運動ニューロン → 筋収縮の単シナプス反射で、中枢は脊髄(橋・視床・小脳ではない)。

随意運動の指令は中心前回(一次運動野)から錐体路(皮質脊髄路)を下る。錐体路の大部分は延髄の錐体で交叉し(錐体交叉)、反対側の脊髄前角の運動ニューロンに伝わるので、右の大脳は左半身を動かす。小脳と大脳基底核は運動を調節する。深部感覚は運動を調節するための情報で、「運動は深部感覚によって支配される」は誤り。

中枢神経の区分

区分中身
大脳表層の大脳皮質は灰白質、深部の髄質は白質。「大脳皮質は白質」✕
間脳視床+視床下部。「視床は中脳」「間脳は中脳と橋」✕
脳幹中脳+橋+延髄
小脳運動の協調・平衡
脊髄中心が灰白質(H字)、外側が白質(大脳と逆)

脳・脊髄では灰白質に神経細胞が密集する(白質は神経線維)。大脳基底核は尾状核・被殻・淡蒼球など。

大脳皮質の場所はたらき
中心前回一次運動野
中心後回体性感覚の中枢。「中心前回は主に体性感覚を受ける」✕
連合野認知や行動判断などの高次機能を営む
海馬記憶
視床下部自律神経と内分泌の中枢(体温・摂食・ホルモン)

末梢神経

末梢神経は脳神経12対と脊髄神経31対(頸8・胸12・腰5・仙5・尾1)。「32対」✕。機能で分けると体性神経(運動・感覚)と自律神経(交感・副交感)。脳神経・脊髄神経は体性神経に分類される。交感神経は末梢神経に分類される。

外眼筋支配する脳神経
上斜筋滑車神経(Ⅳ)
外側直筋外転神経(Ⅵ)
上直筋・下直筋・内側直筋・下斜筋動眼神経(Ⅲ)

Ⅱ(視神経)は視覚を伝える感覚神経、Ⅶ(顔面神経)は表情筋を動かす。外眼筋を支配するのはⅢ・Ⅳ・Ⅵの3つ。

感覚

視覚は網膜の視細胞、聴覚は内耳の蝸牛、平衡覚は内耳の前庭と半規管、味覚は舌の味蕾、嗅覚は鼻腔の嗅上皮で受ける。皮膚や筋の感覚(体性感覚)は脊髄から視床を経て中心後回へ届く。嗅覚以外の感覚は視床で中継される。内臓感覚は空腹・尿意・内臓痛など。

感覚受容器中枢(大脳皮質)
視覚網膜の杆体(明暗・暗所)と錐体(色・明所)後頭葉
聴覚蝸牛のコルチ器の有毛細胞側頭葉
平衡覚前庭(直線加速度)・半規管(回転)—
体性感覚皮膚の触・圧・温・冷・痛の受容器、筋紡錘・腱器官(深部感覚)頭頂葉(中心後回)

網膜の視細胞から出た信号は視神経(Ⅱ)、蝸牛と前庭からの信号は内耳神経(Ⅷ)で運ばれる。内臓痛は皮膚の別の場所の痛みとして感じることがある(関連痛。心筋梗塞の左肩の痛みなど)。

2-3 呼吸器の構造・換気力学・肺気量分画

気道・肺・胸膜

上気道は鼻腔・咽頭・喉頭、下気道は気管から気管支・細気管支を経て肺胞まで。ガス交換は肺胞で行われる。嚥下のときは喉頭蓋が閉じて気道に食物が入らないようにする(「開く」✕)。

項目正しい形誤答肢
右主気管支左より太く短く、分岐角度が小さい(垂直に近い)。誤嚥や深すぎる挿管は右へ入る「分岐角度は右より左の方が小さい」✕
肺葉右肺3葉(上・中・下葉。水平裂と斜裂)、左肺2葉「右肺は2葉」✕
気管の位置気管は食道の前(腹側)を走る「気管は食道の背側」✕
気管の壁前と横はC字形の軟骨、後壁は平滑筋(膜性壁)—
胸膜肺側が臓側胸膜、胸壁側が壁側胸膜。間の胸膜腔は陰圧—
肋間の血管と神経肋骨の下縁を走る(胸腔穿刺は肋骨の上縁を狙う)「肋間動脈は肋骨上縁を走行」✕

縦隔は左右の肺にはさまれた部分で、心臓・大血管・気管・食道がある。

換気力学:吸気で起こること

自発呼吸の吸気では、横隔膜と外肋間筋が収縮する → 横隔膜が下がり胸郭が広がる → 胸腔内圧がさらに下がる → 肺胞が広がり肺胞内圧が陰圧になって空気が入る。胸腔内圧が下がると静脈還流量は増える(「減少」✕)。安静時の呼気は筋の弛緩と肺の弾性で起こる受動的な過程。陽圧換気(人工呼吸)では逆に胸腔内圧が上がり、静脈還流が減る。

肺コンプライアンス=容量の変化 ÷ 圧の変化(ΔV/ΔP)。大きいほど肺は膨らみやすい。「小さいと膨らみやすい」✕。肺線維症では小さく(硬く)、肺気腫では大きくなる。

肺気量分画

量中身スパイロメータ
1回換気量安静時の1回の呼吸量(約500 mL)測れる
予備吸気量・予備呼気量安静吸気・安静呼気からさらに吸える/吐ける量測れる
肺活量予備吸気量+1回換気量+予備呼気量。最大吸気位から最大呼気位までの幅測れる
残気量最大に吐いても肺に残る量スパイロメータでは測れない(ガス希釈法・体プレチスモグラフで測る)
機能的残気量予備呼気量+残気量(安静呼気位で肺に残る量)測れない
全肺気量肺活量+残気量測れない
スパイロで測れるのは「吐き出せる量」だけ

残気量を含む量(残気量・機能的残気量・全肺気量)はスパイロメータで測れない。ガス希釈法(ヘリウム閉鎖回路法・窒素洗い出し法)や体プレチスモグラフで求める。スパイログラムで肺活量を選ぶときは、いちばん上(最大吸気位)からいちばん下(最大呼気位)までの幅を選ぶ。

死腔と肺胞換気量(計算)

手順:①分時換気量=1回換気量 × 呼吸数 ②分時死腔換気量=死腔量 × 呼吸数 ③分時肺胞換気量=(1回換気量 − 死腔量)× 呼吸数。ガス交換に効くのは③。

例題:解剖学的死腔150 mLの人が次の換気をした。

換気1回換気量×回数分時換気量分時死腔換気量分時肺胞換気量
A500 mL×12回60001800350×12=4200
B400 mL×12回48001800250×12=3000
C400 mL×20回80003000250×20=5000
D300 mL×20回60003000150×20=3000
E400 mL×24回96003600250×24=6000(最大)

AとDは分時換気量が同じ6000 mLでも、肺胞換気量はA(4200)がD(3000)より多い。浅く速い呼吸は死腔の割合が増えて、ガス交換の効率が落ちる。CとDの分時肺胞換気量は5000と3000で等しくない。1回肺胞換気量(1回換気量−死腔)はAの350 mLが最大。

ガス交換の向き(詳しくは2-4):肺動脈には静脈血が流れるので、肺動脈血のCO2分圧は肺静脈血より高い。拡散のしやすさはCO2がO2の約20倍=酸素は二酸化炭素より肺胞での拡散能が小さい。

2-4 ガス交換・ガスの運搬・肺循環

外呼吸と内呼吸・肺循環

外呼吸は肺胞と血液の間のガス交換、内呼吸は血液と組織の細胞の間のガス交換。どちらも分圧差による拡散。肺循環は右心室 → 肺動脈 → 肺 → 肺静脈 → 左心房の低圧の回路で、肺動脈には静脈血、肺静脈には動脈血が流れる。だから肺動脈血のCO2分圧は肺静脈血より高い。

拡散のしやすさはCO2がO2の約20倍。言い換えると酸素はCO2より肺胞での拡散能が小さい。拡散障害ではまず低酸素血症が出る。

呼吸の調節:呼吸中枢は延髄。中枢化学受容器は主にCO2(H+)の上昇を、末梢化学受容器(頸動脈小体・大動脈小体)は主に低酸素を感じて換気を増やす。

吸入気酸素分圧(PIO2)の計算

手順:大気圧から飽和水蒸気圧(37℃で47 mmHg)を先に引き、そのあと酸素濃度を掛ける。PIO2=(大気圧 − 47)× 0.21

  • 平地:(760 − 47)× 0.21 = 713 × 0.21 ≒ 150 mmHg
  • 例題(大気圧480 mmHgの高地):(480 − 47)× 0.21 = 433 × 0.21 ≒ 91 mmHg(選択肢では「91」や「90」)

罠の数値:433は水蒸気圧を引いただけ(酸素濃度を掛け忘れ)、150・160は平地の値(160は水蒸気圧を引かない760×0.21)、100は平地の肺胞気酸素分圧の目安。

肺拡散能の計算

手順:①酸素摂取量=分時換気量 ×(吸気の酸素濃度 − 呼気の酸素濃度) ②肺拡散能=酸素摂取量 ÷(肺胞の酸素分圧 − 肺毛細血管の平均酸素分圧)。単位は mL/(mmHg・分)。

例題:分時換気量6000 mL、吸気21%、呼気16%、肺胞100 mmHg、毛細血管平均85 mmHg。①6000 × 0.05 = 300 mL/分 ②300 ÷(100 − 85)= 300 ÷ 15 = 20 mL/(mmHg・分)。臨床では一酸化炭素を使って測る(DLCO)。

ヘモグロビン酸素解離曲線

横軸が酸素分圧、縦軸が酸素飽和度(SO2)のS字の曲線(「酸素含量と酸素分圧の関係」✕)。

右方移動(酸素を離しやすい)左方移動(酸素を離しにくい)
アシドーシス(pH低下)アルカローシス(pH上昇)
PCO2上昇(高二酸化炭素血症)PCO2低下(低二酸化炭素血症)
体温上昇低体温
2,3-DPG増加2,3-DPG低下、一酸化炭素、胎児ヘモグロビン

運動している筋(酸性・高温・高CO2)では右へずれて、組織に酸素を渡しやすくなる、と理屈で覚える。P50(飽和度50%のときの酸素分圧)は約27 mmHgで、右方移動で大きくなる。

CO2の運び方と酸塩基の代償

形割合の目安
HCO3−(重炭酸イオン)約70%で最も多い(「半分程度」✕)
ヘモグロビンと結合(カルバミノ化合物)約20%。ヘモグロビンと結合しているCO2がある
溶解約7%

過換気を続けると血液のCO2分圧は下がる。代償の向き:代謝性アシドーシスは過換気でPaCO2を下げる、代謝性アルカローシスは換気を抑えてPaCO2を上げる(「下がる」✕)。

チアノーゼ

チアノーゼは還元ヘモグロビンが約5 g/dL以上になると皮膚や粘膜が青紫色になること。判定は口唇や爪床で見る。見る場所の使い分け:口唇・爪床=チアノーゼ/眼瞼結膜=貧血/眼球結膜=黄疸。重い貧血では還元ヘモグロビンの量が足りず出にくい。

2-5 心臓・血管の構造、心臓の興奮と心周期、血圧と微小循環

心臓の弁と内腔

血液の流れ:右心房 → 三尖弁 → 右心室 → 肺動脈弁 → 肺 → 左心房 → 僧帽弁 → 左心室 → 大動脈弁 → 大動脈。

弁位置尖の数腱索・乳頭筋
三尖弁右の房室弁3尖あり
僧帽弁左の房室弁2尖(二尖弁)あり
肺動脈弁右心室の出口半月弁3枚なし
大動脈弁左心室の出口半月弁3枚なし

誤答肢:「僧帽弁は三尖」「肺動脈弁は二尖」✕。房室弁は腱索で乳頭筋につながり、心室の収縮で弁が心房側へ反転するのを防ぐ。腱索は心室にある(「心房に認められる」✕)。

そのほかの構造:左室壁は右室壁より厚い(全身へ送るため)。冠状静脈洞は右心房に開口する(「右心室」✕)。洞結節は右心房の上大静脈の入口近くにある。右総頸動脈は腕頭動脈から分かれる(左総頸動脈・左鎖骨下動脈は大動脈弓から直接)。右肺動脈は上行大動脈の背側を通る。

血管:動脈の壁は内膜・中膜・外膜の3層。動脈は中膜(平滑筋・弾性線維)が厚く、静脈は壁が薄く弁をもつ。毛細血管は内皮1層。

冠循環

左冠動脈は前下行枝と回旋枝の2本に分かれる。右冠動脈と合わせて心筋に酸素と栄養を送る。

正しい記述誤答肢
主に拡張期に流れる(収縮期は心筋が血管を押しつぶす。左室で特に目立つ)「主に収縮期に血流がある」✕
安静時に心拍出量の約5%—
運動時に増える。狭窄すると狭心症—

頻脈では拡張期が短くなり冠血流が減る。大動脈内バルーンパンピング(IABP)が拡張期にバルーンを膨らませて冠血流を増やすのはこのため。

刺激伝導系と心電図

順序:洞結節(洞房結節) → 心房 → 房室結節 → ヒス束 → 左右の脚 → プルキンエ線維 → 心室筋。ペースメーカは洞結節(「ヒス束がペースメーカ」✕)。ヒス束は房室結節より先にある(「洞房結節と房室結節の間にヒス束」✕)。プルキンエ線維は心室筋に興奮を広げ、心室の収縮を担う。

波形意味
P波心房筋の興奮。P波に続いて心房が収縮する
QRS波心室筋の興奮。ここから収縮期が始まる(「QRS波とともに拡張期が始まる」✕)
T波心室の再分極
ST部分変化は心筋虚血の指標(狭心症・心筋梗塞)

心房細動ではP波がなくなり、細かい揺れ(f波)とRR間隔の不整が出る。

心周期と心音

心音原因時期
Ⅰ音房室弁(僧帽弁・三尖弁)が閉じる音Ⅰ音とともに収縮期が始まる
Ⅱ音動脈弁(大動脈弁・肺動脈弁)の閉鎖音拡張期の始まり。QRS波と同時ではない

拡張期は収縮期より長い。拡張期は左心房圧が左心室圧より高いので僧帽弁が開いて血液が流れ込み、大動脈圧が左心室圧より高いので大動脈弁は閉じている。

心拍出量=1回拍出量 × 心拍数。フランク・スターリングの法則:拡張期の心室容積(前負荷)が大きいほど拍出量は増える(「小さいほど増加」✕)。

血圧とその調節

血圧=心拍出量 × 末梢血管抵抗。

血圧を上げる血圧を下げる
交感神経の緊張、心拍出量の増加、細動脈の血管抵抗の増加、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系、Na+と体液の貯留、遺伝的素因血管拡張、腎臓からのNa+排泄の増加、副交感神経の優位

降圧薬はこの式で整理できる:利尿薬(Na+排泄を増やす)、Ca拮抗薬・ACE阻害薬・ARB(血管を広げる)、β遮断薬(心拍出量を下げる)。

脈拍と血圧の測定

  • 脈圧=収縮期血圧 − 拡張期血圧(「平均値」✕)
  • 平均血圧≒拡張期血圧 + 脈圧 ÷ 3(「収縮期と拡張期の加算平均」✕)。例:120/80なら脈圧40、平均血圧≒93 mmHg
  • 聴診法で聞くのはコロトコフ音(「クスマウル音」✕。クスマウルは深く大きい呼吸の名前)
  • 非観血式はカフを心臓と同じ高さにする。観血式は動脈内にカテーテルを留置する
  • 前腕の脈拍は橈骨動脈で触れる。脈拍・血圧の左右差は動脈閉塞性疾患や大動脈解離でみられる

微小循環とリンパ(スターリングの式)

毛細血管で水を外へ押し出すのは静水圧の差、引き戻すのは膠質浸透圧の差。

濾過圧=(毛細血管内静水圧 − 間質の静水圧)−(血漿膠質浸透圧 − 間質の膠質浸透圧)

例題:毛細血管内静水圧30、間質静水圧 −5、血漿膠質浸透圧28、間質膠質浸透圧6(mmHg)。(30 −(−5))−(28 − 6)= 35 − 22 = 13 mmHg(正なので濾過)。間質の静水圧がマイナスのときは引き算で足し算になる点に注意。動脈端では濾過、静水圧が下がる静脈端では再吸収になる。

再吸収されなかった間質液はリンパ管に入り、リンパ節を通って最後は静脈に戻る。下半身と左上半身のリンパは胸管を通って左の静脈角(左内頸静脈と左鎖骨下静脈の合流部)で静脈に入る。右上半身(右の頭頸部・右上肢・右胸部)のリンパは右リンパ本幹から右の静脈角に入る。リンパ節は異物をこし取り、リンパ球が免疫反応を起こす場所になる。リンパの流れが滞ると浮腫(リンパ浮腫)になる。

2-6 血液:組成・血球と造血・止血と凝固・血液型

血漿・血清・血餅・ヘマトクリット

用語定義誤答肢
血漿血液から細胞成分を除いたもの「血液から細胞成分を取り除いたものを血清」✕
血清血漿から凝固因子(フィブリノゲン)を除いたもの「血漿から凝固に関わる物質を除いたものを血餅」✕
血餅血液が固まってできた塊—
ヘマトクリット全血液に対する赤血球の容積比(男約45%・女約40%)「血漿の容積比」「全血球の体積比」✕

血液は血球約45%、血漿約55%。血漿タンパク質で最も多いのはアルブミンで、アルブミン濃度はグロブリン濃度より高い(A/G比>1)。血漿の浸透圧は0.9%食塩水(生理食塩水)とほぼ等しい(「9%」✕)。

血球の種類

血球要点
赤血球直径約7〜8 μm、約450〜500万個/μL、寿命は約120日、主に脾臓で壊される。産生には葉酸・ビタミンB12・鉄が必要。「直径100 μm」「20〜30万個」「腎臓で破壊」「寿命1週間」✕
顆粒球好中球(最も多い・貪食)、好酸球(寄生虫・アレルギー)、好塩基球(ヒスタミン)
単球組織に出てマクロファージに分化する。貪食能をもつ
リンパ球T細胞(細胞性免疫に関与)・B細胞・NK細胞
血小板止血(一次止血)

顆粒球=好中球・好酸球・好塩基球の3つ。単球とリンパ球は顆粒球ではない。即時型アレルギーを起こすのは肥満細胞・好塩基球(ヒスタミン)で、「好酸球が即時型アレルギーを起こす」は誤りとして扱われる。

造血

血球は骨髄で作られる。多能性造血幹細胞はすべての血球(白血球も)に分化できる。網赤血球は骨髄から出たばかりの若い赤血球で、赤血球造血の指標になる(出血・溶血で増え、造血が落ちると減る)。

造血因子増やす血球
エリスロポエチン(腎臓で産生)赤血球。低酸素で増える。腎不全では減って腎性貧血になる
G-CSF好中球
トロンボポエチン血小板

止血・凝固・線溶

一次止血は血小板の凝集、二次止血は凝固系でフィブリノゲンがトロンビンでフィブリンになる。

経路因子検査
外因系組織因子+第Ⅶ因子(第Ⅶ因子は外因系凝固に関与)PT
内因系第Ⅻ・Ⅺ・Ⅸ・Ⅷ因子APTT
共通路第Ⅹ因子 → トロンビン → フィブリン—

ビタミンKは肝臓での凝固因子(Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ)の合成に必要。血液凝固に関与するビタミンはK(A・B1・B12・Dではない)。Ca2+も凝固に必要(第Ⅳ因子)。

物質はたらき
プラスミンフィブリンを分解する(線溶)。プラスミノゲンがt-PAで活性化してできる。分解産物はFDP・Dダイマー
トロンビンフィブリノゲンをフィブリンにする(凝固側)
ヘパリンアンチトロンビンを強めて凝固を抑える(溶かすのではない)
ワルファリンビタミンKのはたらきを妨げて凝固因子を作らせない

血液型(ABO・Rh)

血液型赤血球の抗原血清の抗体
A型A抗B
B型B抗A
O型なし抗A・抗B
AB型AとBなし

凝集は「血球の抗原」と「血清の抗体」が出会ったときに起こる。AB型の血清は抗体をもたないので、どの血球とも凝集しない。AB型の血球はA型・B型・O型の血清と凝集する。表の問題は、行ごとに「この血球の抗原」と「この血清の抗体」を書き込んでから判定する。Rh式はD抗原の有無で決まる。

2-7 腎・泌尿器と体液・電解質の調節

ネフロンと原尿の通り道

ネフロン=腎小体(糸球体+ボーマン囊)+尿細管。原尿の経路はボーマン囊 → 近位尿細管 → ヘンレ係蹄 → 遠位尿細管 → 集合管。その先は腎盂 → 尿管 → 膀胱 → 尿道。図の問題では、糸球体のすぐ後の曲がりくねった部分が近位尿細管。

尿細管で何がどこで再吸収されるか

部位はたらき
近位尿細管ブドウ糖とアミノ酸のほとんどを再吸収する。Na+の再吸収率も最も高い(約2/3)。水・Cl−・HCO3−も大量に再吸収。H+・アンモニア・薬物は分泌される
ヘンレ係蹄髄質の濃度勾配を作る
遠位尿細管・集合管ホルモンによる微調整(アルドステロン・バソプレシン)

糸球体は濾過する場所で、再吸収はしない。近位尿細管で「再吸収されないのは」と来たら、分泌される側のアンモニアを選ぶ。血糖が再吸収の限界(約170〜180 mg/dL)を超えると尿糖が出る。

糸球体濾過量(GFR)とクリアランス

GFRは約100〜120 mL/分、1日に約160 L(原尿)。その約99%が再吸収され、尿は1日約1.5 L。GFRの推定に使うのはクレアチニン(日常の指標。クレアチニンクリアランス)で、最も正確なのはイヌリンクリアランス。ブドウ糖・アミノ酸・Na+はほぼ再吸収されるので指標にならない。

クリアランスの式

C = U × V ÷ P(U=尿中濃度、V=1分あたりの尿量、P=血漿中濃度)。尿量は必ず mL/分 に直してから入れる。

例題1:血漿クレアチニン2.0 mg/dL、尿中60 mg/dL、1時間尿量120 mL。V = 120 ÷ 60 = 2 mL/分。C = 60 × 2 ÷ 2.0 = 60 mL/分。

例題2(濾過されたうち何%が排泄されるか):血漿濃度30 mg/dL、尿中排泄11 mg/分、GFR 120 mL/分。①濃度を mg/mL に直す:30 mg/dL = 0.3 mg/mL(mg/dL → mg/mL は100で割る) ②濾過量=0.3 × 120 = 36 mg/分 ③11 ÷ 36 ≒ 0.31 → 約30%。残り約70%は尿細管で再吸収された。

体液調節にかかわるホルモン

物質出どころはたらき
レニン腎臓(傍糸球体細胞)アンギオテンシンを作らせて血中で増やす(「減少させる」✕)
アンギオテンシンⅡ(アンジオテンシンⅡ)血中で生成細動脈を収縮させ、アルドステロンを出させる(「拡張」✕)
アルドステロン副腎皮質(球状帯)集合管などでNa+の再吸収を促し、K+を排泄する
バソプレシン(バソプレッシン・ADH・抗利尿ホルモン)下垂体後葉主に集合管で水の再吸収を促す
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)心房Na+を出させ、水の再吸収を抑え、血管を広げる(降圧側)
エリスロポエチン腎臓赤血球の産生を促す(集合管には作用しない)

集合管に作用するのはアルドステロンとバソプレシン。腎臓が出すホルモンはレニン・エリスロポエチン・活性型ビタミンD。酸塩基の調節では、腎臓がH+を分泌しHCO3−を再吸収し、肺がCO2を出す。

尿管・膀胱・尿道と排尿

項目正しい形
尿の運搬腎盂から膀胱へは尿管の蠕動運動で送る
尿意膀胱壁の伸展で生じる
排尿(膀胱の収縮)副交感神経(骨盤神経)の興奮で膀胱が収縮する
蓄尿交感神経(下腹神経)で膀胱がゆるみ括約筋が締まる
内尿道括約筋平滑筋で不随意(「随意筋」✕)
外尿道括約筋横紋筋で随意(陰部神経)
前立腺膀胱の下で尿道を取り囲む

2-8 消化器の構造と消化・吸収、肝臓と膵臓

消化管の順番

口腔 → 咽頭 → 食道 → 胃(噴門 → 胃体 → 幽門)→ 十二指腸 → 空腸 → 回腸 → 盲腸 → 上行結腸 → 横行結腸 → 下行結腸 → S状結腸 → 直腸 → 肛門管。噴門は胃の入口で食道とつながり、幽門は出口で十二指腸とつながる(「噴門は十二指腸に連続」✕)。

腹膜と腹腔

腹膜腔の中にある(代表例)腹膜腔の外にある(後腹膜臓器など・代表例)
胃・空腸・回腸・横行結腸・S状結腸・肝臓・脾臓膵臓・腎臓・副腎・尿管・十二指腸の大部分・上行結腸・下行結腸・腹大動脈・下大静脈、膀胱

「膵臓は腹膜腔の中にある」✕。小網は肝臓と胃をつなぎ、肝臓に付着する。大網は胃の大弯から前掛けのように垂れ下がり、胃の尾側にある。腸間膜は2枚の腹膜でできる。

胃

細胞分泌物
主細胞ペプシノゲン(「壁細胞から」✕)
壁細胞塩酸(胃酸)・内因子(ビタミンB12の吸収に必要)
副細胞粘液
G細胞ガストリン:胃酸の分泌を促進する(「抑制」✕)

胃の粘膜上皮は単層円柱上皮(重層扁平上皮は口腔・食道)。胃は漿膜をもつ。はっきりした括約筋があるのは幽門(幽門括約筋)で、「噴門には括約筋がある」は誤りとして扱われる。消化管の筋層(輪走筋・縦走筋)はどちらも平滑筋で、副交感神経が運動を促し、交感神経が抑える。食道の上部だけは横紋筋。食物は蠕動運動で口側から肛門側へ送られる。水分の大部分は小腸で吸収され、大腸は残りの水分と電解質を吸収する。

消化酵素と消化液

消化液主な酵素分解するもの
唾液唾液アミラーゼデンプン
胃液ペプシンタンパク質
膵液トリプシン・膵アミラーゼ・リパーゼタンパク質・デンプン・脂肪
胆汁消化酵素を含まない脂肪を乳化して消化を助ける
小腸の粘膜(刷子縁)マルターゼ・スクラーゼ・ラクターゼ二糖類

誤答肢:「アミラーゼ―胆汁」「スクラーゼ―唾液」「ラクターゼは膵臓から分泌」✕。αアミラーゼはデンプンをマルトースに分解する。スクロースを分解するとグルコースとフルクトース、マルトースはグルコース2つ、ラクトースはグルコースとガラクトース。グルコースはNa+との共輸送で小腸上皮細胞に取り込まれる。

肝臓と膵臓のはたらき

肝臓のはたらき(代表例)肝臓でないもの
糖質・脂質・タンパク質の代謝、アルブミンや凝固因子の合成、薬物の代謝と解毒(アンモニア → 尿素)、胆汁の産生、グリコーゲン・鉄・ビタミンの貯蔵、血液を貯めて循環血液量を調節、安静時の熱産生消化酵素の生成と分泌は膵臓(肝臓と取り違えさせる定番の肢)

膵臓は外分泌(膵液=消化酵素とHCO3−)と内分泌(膵島のインスリン・グルカゴン)の両方をもつ。膵液はHCO3−を多く含みアルカリ性で、胃から来た酸を中和する。膵液の分泌はセクレチン(HCO3−)とコレシストキニン(酵素・胆囊の収縮)で促される。胆汁は肝臓で作られ胆囊で濃縮される。

2-9 自律神経と内分泌(内臓機能の調節)

交感神経と副交感神経

器官交感神経(闘争・逃走)副交感神経(休息・消化)
瞳孔散大(散瞳)縮小(縮瞳)
心拍・血圧増加・上昇減少・低下
気管支平滑筋が弛緩して拡張収縮
消化管蠕動運動を抑える、分泌も抑える蠕動亢進・胃酸分泌亢進
唾液少量で粘りけ多量でさらさら
膀胱括約筋を収縮させて蓄尿排尿筋を収縮させて排尿
汗腺発汗—

交感神経の緊張時の所見を選ぶ問題では、縮瞳・血圧低下・唾液増加・心拍数減少・腸蠕動亢進・胃酸分泌亢進・膀胱括約筋弛緩は副交感側なので切る。

受容体と自律神経作用薬

受容体主な作用薬
α1血管収縮α遮断薬は血管を広げて血圧を下げる(「上げる」✕)
β1心拍数・心収縮力の増加β遮断薬は心拍数を下げる
β2気管支拡張β作動薬は気管支拡張に使う(「止血に用いる」✕)
ムスカリン(副交感)消化管運動↑・排尿↑・徐脈コリン作動薬は排尿を促す。抗コリン薬は便秘・口渇・尿閉・散瞳を起こす

内分泌器官とホルモン

器官ホルモン
視床下部TRH・CRH・GnRHなど(下垂体を動かす)
下垂体前葉成長ホルモン・TSH・ACTH・LH・FSH・プロラクチン
下垂体後葉バソプレシン・オキシトシン
甲状腺サイロキシン(T4)・トリヨードサイロニン(T3)、カルシトニン(血中Ca2+を下げる)
副甲状腺(上皮小体)PTH:血中カルシウム濃度を上げる
副腎皮質球状帯=アルドステロン、束状帯=コルチゾール(糖質コルチコイド)、網状帯=アンドロゲン
副腎髄質アドレナリン・ノルアドレナリン(カテコラミン)
膵島α細胞=グルカゴン、β細胞=インスリン、δ細胞=ソマトスタチン
腎臓エリスロポエチン・レニン・活性型ビタミンD
精巣・卵巣アンドロゲン/エストロゲン・プロゲステロン

組合せの誤答肢:「成長ホルモンは副腎から」「プロラクチン―副甲状腺」「副甲状腺―エストロゲン」「副甲状腺―カルシトニン」✕。副腎皮質ホルモンはステロイド(アルドステロン・コルチゾール)、副腎髄質はカテコラミン、の対比が最頻出。

分泌調節:負のフィードバック

視床下部(TRH)→ 下垂体前葉(TSH)→ 甲状腺(T3・T4)。T3・T4が増えると上の2つを抑える(負のフィードバック)。このフィードバック制御を行うのは視床下部と下垂体(視床・松果体・副腎ではない)。同じ形の軸にCRH → ACTH → コルチゾール、GnRH → LH・FSH → 性ホルモンがある。ACTHは糖質コルチコイドの分泌を高める。

状況上位ホルモン下位ホルモン
原発性甲状腺機能亢進症(バセドウ病)TSHは低下(「亢進」✕)T3・T4高値
原発性甲状腺機能低下症TSHは上昇T3・T4低値
下垂体の病気でTSHの分泌が低下TRHは増加T3・T4は減少

考え方:下位のホルモンが減ると、上位は「もっと出せ」と増える。腺そのものの病気(原発性)では、上位の刺激ホルモンは下位と逆向きに動く。

血糖の調節

血糖を下げるホルモンはインスリンだけ。上げるのはグルカゴン・アドレナリン・コルチゾール・成長ホルモンなど。

ホルモン正しい作用誤答肢
インスリン(膵島β細胞)筋細胞でのグルコースの取り込みを促す。肝臓でグリコーゲン合成を促し、糖新生と脂肪分解を抑える「肝臓での糖新生を促進」「肝臓で脂肪分解を促進」「α細胞から分泌」✕
グルカゴン(α細胞)肝臓でのグリコーゲン合成を抑え、分解を促す—
アドレナリン筋肉や肝臓でのグリコーゲン分解を促す—
コルチゾール糖新生を促し、末梢組織でのグルコースの利用(分解)を抑える—

1型糖尿病ではインスリンの分泌が低下する。肥満ではインスリン感受性が低下する(インスリン抵抗性・2型糖尿病)。

2-10 皮膚・体温・エネルギー代謝

皮膚の構造と機能

皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層。表皮には血管がない(栄養は真皮から)。血管・感覚の受容器・汗腺は主に真皮にある。

正しい記述誤答肢
水溶性物質は皮膚をほとんど透過しない(脂溶性物質は通りやすい)—
ケラチンは角質の主成分で、乾燥や物理的刺激から守る「ケラチンは紫外線による細胞傷害を抑制」✕(紫外線を防ぐのはメラニン)
紫外線を浴びるとビタミンD前駆体が活性化する「赤外線を浴びると」✕
表皮は無血管「表皮に血管が存在」✕

熱傷の広さは9の法則(成人)で見る。

部位割合
頭頸部9%
片腕(上肢全体)9%
体幹前面/体幹後面18%/18%
片脚(下肢全体)18%
陰部1%

小児は頭が大きいので5の法則で見る。手のひら(指を含む)が約1%。

熱産生と熱放散・体温調節

体温調節の中枢は視床下部。熱を作るのは主に骨格筋と肝臓。熱を逃がす経路は輻射・伝導・対流・蒸発(発汗)。

寒冷に曝されたとき中身
熱産生を増やすふるえ(骨格筋の不随意的な収縮・shivering)、褐色脂肪組織での脂質代謝の増加
放熱を減らす交感神経で皮膚の血管が収縮し、皮膚血流が減る。交感神経による立毛筋の収縮
セットポイント寒冷曝露では体温のセットポイントは上がらない。上がるのは発熱のとき(そこへ向かって悪寒・ふるえが起こる)

サーカディアンリズム(約24時間の日内リズム)の代表例は体温・血圧・ホルモン分泌。体温は早朝に低く夕方に高い。コルチゾールは早朝に高く、メラトニンは夜に高い。中枢時計は視交叉上核。筋力・視力は日内リズムの代表としては扱われない。

エネルギーの単位換算(計算)

使う3つの換算

1 cal = 約4.2 J、1 W = 1 J/s、1日 = 86,400秒(1時間 = 3,600秒)。J と s にそろえてから割る。

例題1(1日の消費エネルギーを仕事率に):2500 kcal/日。2500 × 1000 × 4.2 = 10,500,000 J。÷ 86,400 s ≒ 121 W → 約120 W。成人の熱産生はおよそ100 W前後、という桁を検算に使う。

例題2(発汗による熱放散):1時間で3.0 Lの汗がすべて気化。水の気化熱2400 kJ/kg、汗の密度1.0 g/mL。3.0 L = 3.0 kg。3.0 × 2400 = 7200 kJ = 7,200,000 J。÷ 3600 s = 2000 W。

食品のカロリー・基礎代謝・呼吸商

栄養素1 gあたり
糖質(炭水化物)4 kcal
タンパク質4 kcal
脂質(脂肪)9 kcal

例題3(輸液の熱量):5%ブドウ糖注射液500 mL。%(w/v)は100 mLあたりのg数なので、5 g/100 mL × 500 mL = 25 g。25 × 4 = 100 kcal。

基礎代謝は覚醒・安静・空腹で生命を保つのに要る最小のエネルギー。呼吸商=CO2排出量 ÷ O2消費量で、糖質1.0、脂質約0.7、タンパク質約0.8。栄養投与の方法は経口・経腸(経管)・経静脈(輸液)。

ひっかけ・混同注意

触覚・圧覚などの受容器(マイスネル小体・パチニ小体など)と感覚神経の本体は主に真皮・皮下組織に分布する。「表皮に感覚神経が分布している」は誤りとして出る(自由神経終末の細い枝の一部は表皮内まで入り込むが、分布の中心は真皮)。表皮の代表的な特徴は、血管がないこと・角質層のバリア・メラノサイト(メラニン)。

2-11 免疫・アレルギー、炎症と創傷治癒

自然免疫と獲得免疫

自然免疫獲得免疫
担い手好中球・マクロファージ(食細胞)、樹状細胞、NK細胞、補体T細胞(細胞性免疫)、B細胞→形質細胞→抗体(液性免疫)
性質すぐ働く・相手を選ばない・記憶なし特異的・記憶あり
正しい記述誤答肢
貪食するのは好中球とマクロファージ「リンパ球が細菌を貪食」✕
マクロファージ(樹状細胞・B細胞も)は抗原情報を提示する「好中球は抗原を取り込み情報を提示」✕
活性化したB細胞は抗体(免疫グロブリン)を産生する—
T細胞は細胞表面のT細胞レセプタで抗原を認識する—
キラーT細胞(細胞傷害性T細胞)はウイルス感染細胞を破壊する—
がん細胞への自然免疫を担うのはNK細胞B細胞・形質細胞・ヘルパーT・細胞傷害性Tは獲得免疫側
肥満細胞はヒスタミンを放出して炎症を起こす—
自然免疫の主体は好中球・マクロファージ・NK細胞「自然免疫の主体はリンパ球」✕

抗体・補体・サイトカイン

抗体特徴
IgM一次免疫応答で最初に作られる(五量体)。「一次応答はIgAが主体」✕
IgG血中で最も多い。二次応答の主体。胎盤を通る
IgA分泌型で粘膜を守る(唾液・母乳)
IgEⅠ型アレルギー・寄生虫

補体は抗体のはたらきを助け、細菌を溶かしたり食細胞に食べられやすくしたりする。サイトカインは免疫細胞どうしの情報伝達物質(インターロイキン・インターフェロン・TNFなど)。インターロイキン1やTNFは視床下部に働いて発熱を起こし、インターフェロンはウイルスの増殖を抑える。

アレルギーの4つの型

型しくみ代表例
Ⅰ型(即時型)IgEと肥満細胞・ヒスタミンアナフィラキシー・花粉症・気管支喘息
Ⅱ型(細胞傷害型)IgG・IgMが細胞を攻撃不適合輸血・自己免疫性溶血性貧血
Ⅲ型(免疫複合体型)抗原抗体複合体が沈着全身性エリテマトーデス・糸球体腎炎
Ⅳ型(遅延型)T細胞によるツベルクリン反応・接触皮膚炎

炎症

炎症の4主徴は発赤・腫脹・発熱・疼痛(機能障害を加えて5徴)。急性炎症ではまず血管が広がり、血管透過性が亢進して血漿が漏れ出し(浮腫)、好中球が集まる。ケミカルメディエータの代表例はヒスタミン・セロトニン・ブラジキニン・プロスタグランジン。肉芽腫は慢性炎症で生じる(結核・サルコイドーシス)。マクロファージは単球に由来する血球系の細胞(「間葉系細胞」✕)。

創傷治癒の順序

止血(血小板・血栓形成)→ 炎症期(血管透過性の亢進、好中球とマクロファージの動員)→ 増殖期(線維芽細胞の増殖、肉芽組織の形成、血管新生、上皮化)→ 成熟期(瘢痕形成)。最も遅く起こるのは瘢痕形成。

正しい記述誤答肢(担い手の取り違え)
炎症反応が始まると毛細血管の透過性が亢進する「好中球が凝集して止血」✕(止血は血小板)
肉芽は線維芽細胞と新生血管でできる「赤血球が肉芽を形成」✕
壊死組織を貪食するのはマクロファージ「血管内皮細胞が壊死組織を貪食」✕
上皮は時間をかけて創を覆う「上皮細胞は受傷直後に創部を覆いつくす」✕
一次治癒二次治癒
縫合して創の縁が密着(きれいな手術創)。組織修復が速く、肉芽も瘢痕も少ない開いたまま肉芽組織で埋まって治る。治りが遅く瘢痕が大きい。汚染の激しい感染創や組織欠損の大きい創

2-12 生殖・発生・成長と老化

生殖器と月経周期

女性生殖器は卵巣・卵管・子宮・腟、男性生殖器は精巣・精巣上体・精管・前立腺など。減数分裂で染色体数が半分(23本)の卵子・精子ができ、受精で46本に戻る。

月経周期の調節:視床下部(GnRH)→ 下垂体前葉(FSH・LH)→ 卵巣(エストロゲン・プロゲステロン) → 子宮内膜が増殖・分泌期・剥離をくり返す。LHサージで排卵が起こる。排卵の前(卵胞期)はエストロゲンが子宮内膜を厚くし、排卵の後(黄体期)は黄体から出るプロゲステロンが内膜を分泌期に変え、基礎体温を上げる。妊娠が成立しなければ黄体が退縮し、ホルモンが下がって月経になる。月経周期の調節ホルモンを出す器官は視床下部・下垂体前葉・卵巣。下垂体後葉(バソプレシン・オキシトシン)と子宮はこの調節ホルモンを出す器官ではない。

受精・着床・妊娠

項目正しい形誤答肢
受精精子と卵子が融合して1個の細胞(受精卵)になる。場所は卵管(膨大部)「受精は卵巣で行われる」✕
着床受精卵は子宮内膜に着床する(受精後約1週間)「受精卵は卵管に着床する」✕(卵管に着床するのは子宮外妊娠)
酸素と二酸化炭素の交換胎盤を介して行う「羊水を介してO2の供給とCO2の排出」✕
妊娠期間最終月経の初日から数えて約40週(280日)—

羊水は胎児を衝撃から守り、体温を保ち、肺の発達を助けるが、ガス交換はしない。

分娩は、子宮の規則的な収縮(陣痛)で胎児と胎盤を外へ出すこと。開口期(第1期)・娩出期(第2期)・後産期(第3期)に分ける。子宮を収縮させるのは下垂体後葉のオキシトシンで、授乳時の射乳も起こす。

成長と老化

子どもの成長は身長・体重と臓器の成熟で見る。出生時は体重約3 kg・身長約50 cm。スキャモンの発育曲線では、神経型(脳)は乳幼児期に早く成人に近づき、生殖型は思春期に急に伸びる。思春期には性ホルモンが増えて第二次性徴が現れる。老化では予備能と恒常性を保つ力が落ちる。

加齢で起こる変化(代表例)誤答肢(加齢の向きと逆)
糸球体濾過量(クレアチニンクリアランス)が低下する「胃酸の分泌が増える」✕
胃酸の分泌が低下する「蝸牛の有毛細胞が増える」✕
血圧の調節機能が落ち、起立性低血圧が増える—
高い音が聞こえにくくなる(蝸牛の有毛細胞が減る)—
染色体の末端(テロメア)が短くなる—

加齢の問題では「増える」「亢進する」と書かれた肢がまず疑わしい。

ほかに、加齢では筋量(サルコペニア)と骨量が減り、肺の弾性が落ちて残気量が増え、肺活量は減る。最大心拍数は下がり、収縮期血圧は上がりやすい(動脈が硬くなるため)。体の水分量は減るので、薬は効きすぎやすい(腎と肝の処理能力も落ちる)。