第3章|血液浄化療法装置

生体機能代行装置学 第3章
収録 96問(第31〜39回)透析の原理・HDFと希釈法・ダイアライザと計算・回路と警報・水処理と透析液・抗凝固薬・バスキュラーアクセス・合併症と食事・Kt/V・腹膜透析・アフェレシス

腎臓の働きのうち、老廃物と水の除去と電解質・酸塩基の是正を体外で代わりに行う装置の章。出題が多いのは回路構成と警報、ダイアライザの膜と性能指標(計算を含む)、透析中の合併症と食事、水処理と透析液。「どの原理で・何を・どこで」動かすかを軸にすると、組合せ問題の肢が切りやすくなる。

3-1 血液浄化の目的と原理

血液透析(HD)が代わりにできること・できないこと

血液透析(HD)の目的は3つ。体内不要物質・過剰水分の除去、体内欠乏物質の補充(重炭酸・カルシウムを透析液から入れる)、体液異常の是正(電解質・酸塩基)。腎臓の内分泌の働きは代わりにできない。この線引きが組合せ問題の答えになる。

HDで代わりにできる(正解側)HDではできない(切る肢)
尿素・クレアチニン(小分子量尿毒素)の除去
β2-ミクログロブリン(β2MG)の除去
リンの除去(高リン血症を改善)
カリウムの除去(高カリウム血症を改善)
酸の排泄(代謝性アシドーシスの是正)
過剰な体液の除去
透析される薬物の除去
エリスロポエチンの産生(腎性貧血)
ビタミンDの活性化
二次性副甲状腺機能亢進症(治療そのものでは直らない)
低栄養の改善
アミノ酸の再吸収
活性酸素の除去

「積極的に除去すべき物質」で正解になるのは尿素・クレアチニン・リン・β2MG。アルブミン・アミノ酸・ヘモグロビン・重炭酸は体に残したい物質なので除去の対象ではない(重炭酸はむしろ透析液から補充する)。

「治療自体で改善する病態」と「薬で治す長期合併症」を分ける

HDそのもので改善するのは高カリウム血症・高リン血症・代謝性アシドーシス。腎性貧血はエリスロポエチン製剤で治す。骨・ミネラル代謝異常は活性型ビタミンD製剤などで治す(3-9)。

「補充」の向きも拡散で起こる。透析液の重炭酸は血液より濃いので、血液側へ移ってアシドーシスを直す。カリウムは透析液のほうが薄いので、血液から透析液へ抜ける。つまり透析液の組成は、「血液をこの濃さに近づけたい」という目標値になっている(3-6)。腹膜透析・アフェレシスも目的は同じで、腹膜透析は腹膜を、アフェレシスは分離膜や吸着材を使う点が違う。

4つの原理:拡散・限外濾過・浸透・吸着

原理動かす力動くもの・使う場面
拡散濃度差溶質が濃い側から薄い側へ。小分子ほど速く動く。HDの主役(透析=拡散分離)
限外濾過(濾過)圧力差(膜間圧力差:TMP)水が溶質ごと押し出される(対流・溶媒牽引)。ふるい係数が1に近い範囲では、溶質が水とほぼ同じ濃度で運ばれる(大きい分子ほどふるい係数が下がる)。除水とHF・HDFの主役
浸透浸透圧差溶媒(水)が溶質の濃い側へ移動する。腹膜透析の除水(ブドウ糖)
吸着材料表面との親和性物質が膜や吸着材の表面に付着する。PMMA膜・吸着カラム

半透膜は孔の大きさで物質をふるい分ける膜(ふるい分け)。「浸透=溶質の移動」「拡散=圧力差」のように力と現象を入れ替えた肢が誤り。血液透析で起こらない現象は「分解」と「吸収」で、拡散・限外濾過・吸着は起こる。

拡散と限外濾過の効き方の違い

拡散で動く量は、濃度差・膜面積・分子の小ささで決まる。尿素(分子量60)・クレアチニン(113)のような小分子は拡散でよく抜けるが、β2MG(約11,800)のような低分子量蛋白(中分子)は拡散では抜けにくい。限外濾過では溶質が水と一緒に運ばれるので、ふるい係数が1に近い小分子は水とほぼ同じ濃度で抜ける。β2MGなど中分子はふるい係数が1より小さく、そのぶん抜ける割合は下がるが、拡散よりは効率よく運ばれる。分子が大きくなると、ふるい係数が1より下がり、抜ける割合も下がる(3-3)。アルブミン(約66,000)は通さないように膜が作られている。

除水量 = 限外濾過率(UFR)× 膜間圧力差(TMP)× 時間。例:4時間で3 L除水したい → 1時間あたり750 mL。UFRが25 mL/(h·mmHg)のダイアライザなら、TMPは750 ÷ 25 = 30 mmHg。UFRが大きい膜ほど、同じ除水を低い圧力差で行える。

3-2 治療法の分類と希釈法(HD・HF・HDF・ECUM)

4つの方法の違い

方法(国試の語形)主な原理透析液補充液(置換液)得意な物質
血液透析(HD)拡散+除水の限外濾過使う不要小分子(尿素・K)
血液濾過(HF)限外濾過(対流)使わない必要中〜大分子。小分子の効率はHDより低い
血液透析濾過(HDF)拡散+大量の限外濾過使う必要小分子から大分子(α1-ミクログロブリン)まで
体外限外濾過法(ECUM)限外濾過のみ使わない不要除水だけを行う

大分子の除去はHDよりHDFが優れる(「HDがHDFより大分子除去に優れる」は誤り)。ECUMは透析液を流さないので血漿浸透圧が下がりにくく、血圧が下がりにくい。透析中の血圧低下で「ECUMに切り替える」が正解側に入るのはこのため。Kt/Vが低い患者をHFに変えるのは誤り(HFは小分子の除去が弱い)。

前希釈と後希釈

前希釈後希釈
補充液を入れる位置ダイアライザ(フィルタ)の前ダイアライザの後
濾過量あたりの除去効率低い(入る前に血液が薄まる)高い
置換できる量大量に置換できる血液が濃縮されるので大量置換はできない
補充液流量を決めるもの血流量の制約が小さい血流量(QB)に依存し、その一部(目安で3割前後)までに制限される

後希釈では濾過した分だけフィルタ内の血液が濃くなり、濃くなりすぎると膜が詰まって凝固する。そのため後希釈の補充液流量(=濾過流量)は血流量(QB)で上限が決まる。「後希釈法の補充液流量は血流量に依存する」は正しい肢。

大きい分子は拡散では動きにくく、対流(限外濾過)で運ばれる。HDは拡散が主なので、β2MGなど中〜大分子の除去ではHF・HDFに劣る。小分子の除去はHDが得意。

誤りの肢として繰り返し出るのは「後希釈で大量置換できる」と「前希釈のほうが濾過量あたりの効率が高い」。どちらも表の逆。

オンラインHDF(オンライン血液透析濾過)

透析液の一部を高度に清浄化してそのまま置換液として使う方法。正しいとして出るものをまとめる。

  • わが国では前希釈法が主流(大量置換のため)
  • 置換液は超純粋透析液を使う(標準透析液ではない)。バッグ入りの置換液は不要
  • エンドトキシン捕捉フィルタ(ETRF)が必要(「不要」は誤り)
  • 置換液(透析液)の清浄度はエンドトキシン濃度と生菌数(細菌数)の両方で規定される(基準値は3-6)
  • 浄化器はヘモダイアフィルタ(血液透析濾過器)。「HDと同じダイアライザ」は誤り
  • 承認を受けた多用途透析装置を使う。β2MG以上(α1MGまで)の物質を除去できる
  • 透析液の一部を置換液に回すので、ダイアライザを流れる透析液流量はHDより減る
  • 保険の適応を「透析困難症とアミロイドーシスに限る」は誤りとして出る
選び方の考え方

小分子とKを確実に抜きたいときはHD、β2MGなど大きめの物質も抜きたいときはHDF、水だけ抜きたく血圧が不安定なときはECUM。HFとECUMの違いは補充液を入れるかどうか(HFは大量に濾過して補充液で戻す、ECUMは濾過した分を戻さない)。

ひっかけ・混同注意(補充液の要否)

体外限外濾過法(ECUM)は透析液も補充液も使わず、水を抜くだけなので液の補充は要らない。一方、血漿交換系も捨てた血漿の分を補う液が必要:単純血漿交換(PE・Pex)は新鮮凍結血漿(FFP)かアルブミン液で補充し、二重濾過血漿分離交換法(DFPP)は2つめの膜で捨てる分で失うアルブミンをアルブミン液で補充する(詳しくはアフェレシスの節)。

補充液の出どころ

清浄化した透析液をそのまま置換補充液に使うのはオンラインHDF(オンライン血液透析濾過)。通常の血液濾過(HF)・オフラインHDFの補充液は市販のバッグ製剤(HFは透析液を使わない)。持続的血液透析濾過(CHDF)は透析液・補充液とも市販のバッグ製剤を使う。血液透析(HD)は補充液を使わず、持続的腹膜透析は体外循環も置換補充液もない(腹腔に入れた腹膜透析液で交換する)。

3-3 ダイアライザ:膜・構造・性能指標と計算

構造

現在の主流は中空糸型(ホローファイバ型)。積層型は今は広く使われていない。血液は中空糸の内側、透析液は外側を流れる。血液と透析液は反対向き(向流)に流す。向流にすると膜の全長で濃度差が保たれ、拡散の効率が上がるので、「並流(同じ向き)にした」は回路構成の誤りとして出る。中空糸型では、透析液はハウジング(外筒)の近くほど流れやすい(中心部まで行き渡りにくい)。

成人用の代表的な仕様:膜面積 1.0〜2.5 m²程度(1.8 m²など)、中空糸内径 約200 μm、膜厚 数十μm、本数 約1万本、血液側プライミングボリューム 約70〜120 mL。「内径300 μm」「本数1,500本」「膜厚150 μm」「プライミング300 mL」は誤り。

膜の素材と生体適合性

系統素材(国試の語形)押さえる点
セルロース系セルローストリアセテート(CTA)対称構造。現役の膜
再生セルロース(銅アンモニアレーヨン/キュプロアンモニウムレーヨン)補体活性化が強く、現在はほとんど使われない
合成高分子系ポリスルフォン(PS)親水化剤ポリビニルピロリドン(PVP)を含み、非対称構造(薄い緻密層+支持層)。PSを「対称構造」とする肢は誤り
ポリエーテルスルフォン(PES)
ポリエステル系ポリマーアロイ(PEPA)
ポリメチルメタクリレート(PMMA)対称構造で、β2MGなどを吸着する能力をもつ

ポリエチレンはダイアライザの膜素材としては出ない(誤りの肢)。生体適合性が低い膜では補体の活性化が多い(「少ない」は誤り)。

細孔の大きさの順(小→大):逆浸透膜 < 透析膜 < 限外濾過膜 < 血漿成分分画膜 < 血漿分離膜。血漿分離膜は血球だけを止めて血漿を通すので、いちばん孔が大きい。

性能指標と単位

指標式・意味単位
クリアランス(CL)血液の何mL分が1分間で完全に浄化されたかに相当する量mL/min
総括物質移動面積係数(KoA)膜そのものの拡散性能(膜の物質移動のしやすさ×面積)mL/min
ふるい係数(SC)SC=2CF/(CBi+CBo)。濾液側へどれだけ通るか無次元(0〜1)
除去率(治療前濃度−治療後濃度)÷治療前濃度無次元
限外濾過率(UFR)(濾過係数)膜間圧力差1 mmHgあたりの濾過量。UFRも濾過係数も圧力あたりの量で、mL/minのような流量の単位ではないmL/(h·mmHg) など(圧力あたり)
クリアスペース除去量÷濃度=何L分の体液が浄化されたか容積(L)

GFR(mL/min)と同じ単位をもつのはクリアランス・KoA・透析液流量。ふるい係数・除去率・Kt/V(3-10)は無次元。

ふるい係数で切る肢

分子量が大きいものほど、ふるい係数は小さい。負の値にはならない。使ううちに膜に蛋白が付くので、経時的に低下する。β2MGなど小分子量蛋白のふるい係数は、水系(水溶液で測る)のほうが血液系より大きい(血液では膜面に蛋白の層ができて通りにくくなる)。

計算の手順と例題

① クリアランス(濾過0のとき):CL = QB ×(CBi − CBo)÷ CBi(QB=血流量、CBi・CBo=入口・出口の血中濃度)。

例題:入口クレアチニン10.0 mg/dL、出口1.0 mg/dL、血流量250 mL/min、濾過0。→ CL = 250 ×(10 − 1)÷ 10 = 225 mL/min。クリアランスは血流量を超えないので、250や500はまず切れる。

② 物質収支(透析液入口の濃度が0、濾過0):血液から抜けた量は透析液に移った量と等しい。QB ×(CBi − CBo)= QD × CDo。

例題:血流量200 mL/min、血液入口12・出口2 mg/dL、透析液流量400 mL/min。→ 200 × 10 = 400 × CDo、CDo = 5 mg/dL。

③ 中空糸の容積(プライミングボリューム):V = π × r² × 長さ × 本数。単位をcmにそろえると答えがmLで出る(1 cm³=1 mL)。

例題:内径200 μm(半径0.01 cm)、長さ22 cm、15,000本。→ 3.14 × 0.0001 × 22 × 15,000 ≒ 約100 mL。直径のままで計算すると4倍になるので半径に直すのを忘れない。

④ 平均通過時間:時間 = 容積 ÷ 流量。例題:中空糸内容量70 mL、血流量200 mL/min → 70 ÷ 200 = 0.35分 = 約21秒(選択肢では20秒)。

3-4 血液回路の構成と透析装置(除水制御・透析液供給)

標準的な回路の並び(脱血から返血まで)

順部品押さえる点
1脱血側(動脈側)穿刺針ここから血液ポンプまでは陰圧
2生理食塩液(補液)ライン血液ポンプの上流側に置く(「下流側に置いた」は誤り)
3血液ポンプ(ローラポンプ)ここから先は陽圧
4抗凝固薬注入ライン血液ポンプの後、ダイアライザの前に置く(図の問題でもこの位置を選ぶ)
5動脈側ドリップチャンバ動脈側圧(ダイアライザ入口圧)を測る
6ダイアライザ血液と透析液を向流にする
7静脈側(返血側)ドリップチャンバ上部から圧ラインを引き、静脈圧を測る。液面で空気を分ける
8気泡検知器(気泡センサ)静脈側チャンバの下流、患者に返す直前に置く
9静脈側クランプ → 返血側穿刺針気泡を検知したらクランプで止める

図の問題は「ポンプの前か後か」「チャンバの前か後か」で選ぶ。気泡センサは返血側で患者にいちばん近い位置、抗凝固薬はポンプとダイアライザの間。

透析液の原液(A剤とB剤)

重炭酸透析液はA剤(電解質・ブドウ糖・少量の酸)とB剤(重炭酸ナトリウム)を別々に用意し、透析用水で薄めて直前に混ぜる。分けておくのは、カルシウムと重炭酸が一緒にあると炭酸カルシウムが沈殿するから。混ぜた濃度が正しいかは電導度で確かめる(3-5)。

開始前の準備(プライミング)

治療の前に、生理食塩液で血液回路とダイアライザを満たして空気を追い出す(プライミング)。中空糸の中に空気が残ると、その部分は膜として働かず凝固もしやすい。プライミングボリュームは回路とダイアライザの中を満たす液の量で、これが体外に出ている血液の量の目安になる(ダイアライザだけで約70〜120 mL)。

除水制御方式と透析液の作り方

除水量を正確に決めるために、ダイアライザに入る透析液と出る透析液の量を等しく保ち、差を除水ポンプで抜く(容量制御)。

除水制御方式(正解側)透析液の作製方式(取り違えの肢)
ダブルチャンバ方式
複式ポンプ方式
ビスカスコントロール方式
容量比例方式・定量ポンプ方式(原液と水を混ぜる比率を決める方式)

「容量比例方式」は除水制御ではなく透析液を作る方式。ベンチュリー方式は除水制御として出ない。

透析液を配る仕組みは2つ。多人数用透析液供給装置(セントラル方式:1台で作って各ベッドの患者監視装置へ送る)と、個人用透析装置(1台で透析液の作製から監視まで行う)。個人用透析装置には電導度計・気泡検出器・透析液温度計・除水制御装置が組み込まれている。透析液浸透圧計は組み込まれていない(濃度は電導度で見る)。

3-5 監視項目と警報の原因

常時監視するもの・しないもの

常時(連続)監視する項目常時監視しない(切る肢)
気泡(気泡混入)・漏血・静脈圧(静脈側回路内圧)・動脈側圧・透析液圧・透析液温度・透析液電導度(電気伝導度)・除水量血漿浸透圧・透析液浸透圧・透析液エンドトキシン濃度(定期に検査する)・透析液Na濃度(電導度で代わりに見る)

透析液圧を監視するのは、膜間圧力差(TMP)と除水の状態を知るため。TMPが急に上がるときは、膜の目詰まりやダイアライザ内の凝固を疑う。電導度を監視するのは、透析液の濃度異常(薄すぎ・濃すぎ)をすぐ見つけるためで、薄すぎれば溶血、濃すぎれば高Na血症や口渇につながる。温度を監視するのは、過加温による溶血や低温による悪寒を防ぐため。

センサの原理

監視センサの原理
漏血検知器透過光(透析液に血液が混じると光が減る)
気泡検知器超音波
濃度計電導度(電気伝導度)。浸透圧ではない
温度計サーミスタ
圧力計ストレインゲージ(ひずみゲージ)

静脈圧の警報:詰まりが測る点の前か後かで決まる

静脈圧は静脈側チャンバで測る。測る点より下流(患者側)が詰まると静脈圧は上がる。測る点より上流で血液が来なくなったときや、回路が外れたときは下がる。

静脈圧が上がる(上限警報)静脈圧が下がる(下限警報)
静脈側ドリップチャンバ内の凝固
静脈側回路の折れ曲がり
静脈側穿刺針の穿刺不良
脱血不良
ダイアライザ内の凝固
動脈側回路の折れ曲がり
静脈側穿刺針の脱落(抜針)

脱血不良とダイアライザ内凝固は「上限警報の原因」として出たら切る。静脈側チャンバ内の凝固は「下限警報の原因」として出たら切る。

警報(正しい組合せ)原因
動脈側圧の上昇ダイアライザ内の血液凝固(入口の手前で圧がたまる)
漏血膜の破損
回路内の凝血抗凝固薬の不足

誤った組合せとして出るもの:静脈圧上昇と脱血不良(脱血不良なら下がる)、透析液圧上昇と給水圧低下、気泡混入と返血針の脱落。

警報が鳴ったときの最初の動き

気泡を検知すると、血液ポンプが止まり静脈側クランプが閉じる(空気を患者に送らない)。漏血警報では、透析液側に血液が出ていないか目で確かめ、膜破損ならダイアライザを交換する。静脈圧下限警報では、まず返血側の針が抜けていないかを確かめる(抜針は大出血につながる)。

空気誤入(空気混入)は陰圧の部分で起こる

血液ポンプより上流(脱血側)は陰圧なので、すき間があると空気を吸い込む。ポンプより下流は陽圧なので、すき間からは血液が漏れ出る。

空気誤入の原因になる原因にならない
脱血側穿刺針と回路の接続不良・離断
脱血側サンプリングポートへの刺入ミス
生理食塩液(補液)ラインの閉鎖忘れ
ポンプセグメント部の回路の破損
エアードリップチャンバの液面調整不良
返血側(静脈側)穿刺針の抜針(血液が外へ出る=出血)
抗凝固薬注入ラインとシリンジの接続不良(陽圧側)
ダイアライザ入口部の接続不良(陽圧側)

3-6 水処理システムと透析液

水処理の流れ(原水 → 透析用水)

装置主に除くもの
プレフィルタ砂・さびなどの粒子
軟水化装置(軟水装置)カルシウム・マグネシウム(硬度)をイオン交換樹脂で除く
活性炭濾過装置残留塩素(遊離塩素・クロラミン)と有機物を吸着して除く
逆浸透装置(RO装置)イオン・細菌・エンドトキシンなどをまとめて除く。水処理の中心
限外濾過フィルタ・エンドトキシン捕捉フィルタ(ETRF)細菌・エンドトキシンの仕上げ

「残留塩素を主として除く装置」は必ず活性炭濾過装置。軟水化装置(硬度)やRO装置と取り違えない。クロラミンなどの塩素化合物が透析液に混じると溶血を起こす。

溶血の原因として出るもの

塩素化合物(クロラミン)の混入、低張の透析液(濃度異常)、透析液の過加温(高温)、血液ポンプでの機械的な損傷。膜破損は漏血、空気誤入は空気塞栓の原因であって溶血ではない。選択肢の「透析液の温度低下」「高濃度の透析液」は溶血の原因として選ばない(溶血は低張・高温の側で起こる)。

活性炭をRO装置より前に置くのは、残留塩素でRO膜が傷むのを防ぐため。軟水化装置は硬度成分でRO膜が詰まるのを防ぐ。RO装置は水処理の中心で、イオン・細菌・エンドトキシンをまとめて減らす。原水に含まれるアルミニウムは、たまると透析脳症や骨障害の原因になるので水処理で除く。

透析液水質基準(日本透析医学会)

  • 生物学的汚染はエンドトキシン濃度と生菌数の両方で判定する(エンドトキシン単独ではない)
  • オンラインHDFの置換液には超純粋透析液を使う(標準透析液ではない)
  • 透析用水の化学的汚染の検査はRO装置を通した後の水で行う(設置前ではない)
  • 残留塩素の測定は総塩素(クロラミン+遊離塩素)の測定が推奨される
  • 硝酸塩はRO膜でも完全には阻止できない

清浄度の目安(代表値):標準透析液はエンドトキシン0.050 EU/mL未満・生菌数100 CFU/mL未満、超純粋透析液はエンドトキシン0.001 EU/mL未満・生菌数0.1 CFU/mL未満。

透析液と補充液の種類

血液透析用の透析液は、緩衝剤で重炭酸透析液(今の主流)と酢酸透析液(昔の方式)に分かれる。重炭酸透析液でも、A剤を安定させるために少量の酢酸やクエン酸を含む。補充液(置換液)には、バッグに入った市販の補充液(HF・HDF・CHDF用)と、オンラインで作る超純粋透析液(オンラインHDF:3-2)がある。補充液は血管に直接入るので、無菌でエンドトキシンを含まないことが条件。

血液透析用透析液の組成

成分代表的な濃度切る肢
Na135〜140 mEq/L154(生理食塩液の濃度)
K2.0(〜2.5) mEq/L6.0(高Kを直せない)
Ca2.5〜3.5 mEq/L(3.0など)
Mg約1.0 mEq/L0
重炭酸(HCO3)25〜35 mEq/L(30など)
ブドウ糖100〜150 mg/dL
リン含まない(0)リンを含む

血液透析用の透析液に含まれるのは電解質(Na・K・Ca・Mg・Cl)と重炭酸・ブドウ糖。アルブミン・リン・イコデキストリンは含まれない(イコデキストリンは腹膜透析液:3-11)。血液透析液のKは2 mEq/L前後、腹膜透析液のKは0と対で覚える。

3-7 抗凝固薬

凝固のしくみとヘパリンの作用点

凝固は内因系(第Ⅻ因子から)と外因系(組織因子から)が第Ⅹ因子で合流し、第Xa因子がプロトロンビンをトロンビン(第Ⅱa因子)に変え、トロンビンがフィブリノゲンをフィブリンに変えて固まる。未分画ヘパリンはアンチトロンビン(ATⅢ)と結合し、トロンビン(Ⅱa)とXaを阻害する。「フィブリン」「第Ⅲ因子」「第XIII因子」は答えにならない。

種類と使い分け

抗凝固薬作用モニタ使う場面
未分画ヘパリン(非分画ヘパリン)AT経由でⅡa・Xa阻害ACT(活性化凝固時間)通常の維持透析。出血性病変には使わない
低分子量ヘパリン(低分子ヘパリン)主にXa阻害抗Xa活性(ACTはほとんど延びない)出血の危険がある患者に使える
ナファモスタットメシル酸塩(メシル酸ナファモスタット)蛋白分解酵素阻害。半減期が非常に短いACT重症の出血性病変ではこれを選ぶ
アルガトロバン抗トロンビン薬HITのとき
クエン酸(ACD液=アデニン加クエン酸ブドウ糖液)Caをキレートして凝固を止める遠心法のアフェレシス(3-12)
ワルファリン内服。ビタミンK依存因子を抑えるPT-INR回路の抗凝固には使わない

「出血性病変にも使える」はナファモスタットと低分子量ヘパリン、「重症の出血性病変」と1つ選ばせる問題ではナファモスタット。ACTで管理できるのは未分画ヘパリンとナファモスタット。低分子量ヘパリン・ワルファリン・アスピリンは切る。

投与のしかたと拮抗

未分画ヘパリンは開始時に初回量を入れ、その後シリンジポンプで持続注入する。効きすぎたときの拮抗薬はプロタミン硫酸塩。ナファモスタットは回路の中では効き、体内に入るとすぐ分解されるので、出血を増やしにくい。低分子量ヘパリンはXaを主に抑え、トロンビンへの作用が弱いので出血が起こりにくい。

ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)

ヘパリンと血小板第4因子(PF4)の複合体に対する抗体ができ、血小板が減るのに血栓症を起こす。対応はヘパリンをすべてやめ、アルガトロバンに替える。誤りの肢:血小板輸血は行わない(血栓を増やす)、ヘパリンコーティング回路も使わない。

3-8 バスキュラーアクセス

緊急用と維持用

緊急時(急性期)維持透析(慢性期)
カテーテル法(非カフ型カテーテル:内頸静脈・大腿静脈など)=緊急透析で最も使われる
動脈直接穿刺法
自己血管内シャント(AVF:第一選択)
人工血管内シャント(AVG)
動脈表在化
カフ型(長期留置)カテーテル

内シャント・人工血管・動脈表在化は作るのに手術が要り、使えるまで日数がかかるので緊急には向かない。外科手術が要らないのは非カフ型カテーテル(穿刺で入れる)。動脈直接穿刺は維持透析には向かない(繰り返すと動脈を傷める)。

緊急用カテーテルは内頸静脈や大腿静脈に入れる。カテーテルは感染(カテーテル関連血流感染)と血栓による閉塞が主な問題で、長く使う場合は皮下トンネルとカフをもつカフ型カテーテルにする。自己血管内シャントは動脈と静脈をつなぎ、太くなった静脈を穿刺する。動脈表在化は心機能が低くシャントの負担に耐えられない患者などで選ぶ。

内シャントの合併症

合併症中身
スチール症候群本来末梢へ流れるべき血液がシャント側に盗られ、指先が虚血になる
静脈高血圧症中枢側の静脈が狭くなり、シャント肢がむくむ。手に起こるものをソアサム症候群(sore thumb症候群)と呼ぶ
瘤形成(静脈瘤・仮性動脈瘤)同じ部位の繰り返し穿刺などで生じる
狭窄・閉塞・感染人工血管では感染や血清腫も起こる

不均衡症候群は透析そのものの合併症(3-9)、手根管症候群・透析アミロイドーシスはβ2MGがたまる長期合併症で、シャントの合併症ではない。

穿刺とシャントの日常管理

シャントは毎回、シャント音(聴診)とスリル(触診)で開存を確かめる。シャント側の腕では血圧測定や採血、きつい圧迫をしない。穿刺部位を少しずつ変えるのは、同じ所を刺し続けると瘤や狭窄ができるから。

3-9 患者管理:透析中の合併症・長期合併症・食事

透析中の血圧低下

除水で血管内の水が減り、組織から血管内への水の戻り(プラズマリフィリング)が追いつかないと血圧が下がる。糖尿病の患者や除水量の多い患者で起こりやすい。

正しい対応誤りの肢(逆効果)
下肢挙上(頭を下げ足を上げる)
除水速度を下げる・除水を止める
生理食塩液の投与(補充)
昇圧薬の投与
マンニトールなどの高張液の投与
ECUMへの切り替え
頭部挙上
除水速度の増加
降圧薬の内服
透析液温度を上げる(加温すると血管が広がりさらに下がる。下げるのが正しい)
血流量の増加
透析時間の短縮(同じ除水量なら除水速度が上がる)
低Na透析液の使用

症例の形でも同じ。ドライウェイト60 kgで4時間に4 Lの除水、途中で血圧80/50 mmHgなら、選ぶのは生理食塩液の投与。

透析患者の各種検査

透析の前後で尿素窒素(BUN)・クレアチニン・カリウム・リン・カルシウム、定期にヘモグロビン・β2MG・副甲状腺ホルモン(PTH)を測る。体液量の目安はドライウェイト(透析後の適正体重)と、胸部X線の心胸比で判断する。透析前後の尿素の値でKt/Vや除去率を計算する(3-10)。

不均衡症候群

透析で血液の尿素が急に下がると、脳の中との間に浸透圧差ができて脳浮腫になる。導入期に多く、頭痛・吐き気・意識障害が出る。対策は透析をゆっくり・こまめに行い、血漿浸透圧を保つこと。

対処法(正しい)誤り
血流量を低く設定する
小面積のダイアライザを使う
短時間頻回透析
マンニトールの点滴(浸透圧を保つ)
低ナトリウム透析液の使用(血漿浸透圧がさらに下がる)

透析中のトラブルと原因

トラブル原因(正しい組合せ)
漏血膜破損
回路内凝血抗凝固薬の不足
空気誤入穿刺針と回路の接続不良
自己抜針認知症
口渇高Na(高濃度)透析液の使用と除水過多。「低濃度透析液の使用」は誤り

長期合併症:CKD-MBD・腎性貧血・透析アミロイドーシス

CKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常)は、リンがたまりビタミンDが活性化されないため、副甲状腺ホルモンが増えて骨や血管が傷む病態(二次性副甲状腺機能亢進症)。

CKD-MBDの治療(正しい)誤り
活性型ビタミンD製剤の投与
カルシウム受容体作動薬の内服
リン吸着薬(炭酸カルシウムなど)の内服
副甲状腺摘除術
透析時間の延長(リンの除去が増える)
リン含有食品を積極的にとる/リン摂取量の増加
透析時間の短縮
低血流量透析
リン高値に血流量を下げる

腎性貧血にはエリスロポエチン(ESA)を使う。長期合併症の治療に使うのはエリスロポエチンと活性型ビタミンDで、ナファモスタット(抗凝固薬)・免疫抑制薬・副腎皮質ステロイドは切る。β2MGがたまると透析アミロイドーシス(手根管症候群など)を起こす。治療前のカリウムが高いままのときは透析時間を延ばす。

食事療法(体重60 kg・残腎機能なし・無尿の例)

項目適切な量(代表値)誤りの肢
エネルギー約2000 kcal/日(30〜35 kcal/kg)1000 kcal
たんぱく質約70 g/日(0.9〜1.2 g/kg)
リンたんぱく質(g)×15 mg以下(たんぱく質60〜70 gなら約900〜1,000 mg/日以下)
食塩6 g/日未満12 g・15 g
カリウム2000 mg/日以下3000 mg・4000 mg
水分できるだけ少なく2 L

摂取制限で特に気をつけるのはリン・塩分・カリウム。エネルギー(炭水化物・脂質)は不足させない(低栄養を防ぐ)。

3-10 適正透析(Kt/V)と安全管理

Kt/V(尿素)

Kt/V = K(尿素クリアランス)× t(透析時間)÷ V(尿素の分布容積=体液量)。1回の透析で体液量の何倍が浄化されたかを表す。

  • 透析量を表す指標(「透析量を表す尿素の指標」と聞かれたらKt/V)
  • 1.2以上が推奨される
  • 生命予後を決める因子
  • 無次元数(mL/min × min ÷ mL で単位が消える)
  • 蛋白異化率(PCR)とは別の指標(PCRは栄養の指標)。「蛋白異化率に比例する」は誤り

例題:尿素クリアランス200 mL/min、透析時間4時間(240分)、体液量40 L(40,000 mL)。→ Kt/V = 200 × 240 ÷ 40,000 = 1.2。時間を延ばすか、クリアランス(血流量・膜面積)を上げるとKt/Vは大きくなる。体の大きい人(Vが大きい)は同じ条件でもKt/Vが小さくなる。

ほかの指標との区別:除去率(無次元)、除去量(g など)、クリアスペース(容積)、週平均濃度(TAC)、腎相当クリアランス(mL/min)。「無次元数はどれか」の答えはKt/V。

治療スケジュールの基本は週3回・1回4時間程度。在宅血液透析(HHD)は自宅で回数や時間を増やしやすい。

保守点検・感染対策・災害対策

装置は始業点検・定期点検で警報が働くことを確かめる。感染対策では皮膚の消毒と装置の消毒で使う薬が違う。

穿刺部位(皮膚)の消毒に使う皮膚に使わない
ポビドンヨード
クロルヘキシジングルコン酸塩含有アルコール
エタノール
イソプロパノール
過酢酸(透析装置や器材の消毒用。刺激が強い)

事故対策の代表例:抜針事故はテープ固定の工夫と静脈圧下限警報の設定で防ぐ。空気誤入は脱血側の接続と補液ラインのクランプを確かめて防ぐ(3-5)。感染対策ではB型・C型肝炎などの血液を介する感染を標準予防策で防ぐ。透析装置の内部は次亜塩素酸ナトリウムや過酢酸、熱水で消毒する。

災害時は、回路を切って、すばやく患者を離脱させる手順を決めておき、装置・ベッドの固定や給水・電源の確保を備える。

3-11 腹膜透析(PD)

原理と透析液

腹膜を半透膜として使う。溶質は拡散で、水は浸透圧差による濾過(除水)で動く。除水のために透析液に入れるのはブドウ糖とイコデキストリン(カリウム・アルブミン・クレアチニンは除水に関係しない)。

成分代表的な濃度
Na約132〜135 mEq/L
K0(含まない)
Ca2.5 mEq/Lなど
緩衝剤乳酸 35〜40 mEq/L(重炭酸のものもある)
ブドウ糖1.36〜3.86%(濃いほど除水が多い)

ブドウ糖は腹膜から少しずつ吸収されて浸透圧差が減るので、ブドウ糖透析液には除水量が最大になる貯留時間がある。イコデキストリンは吸収されにくく、長時間の貯留でも除水が続く。

方法と特徴

CAPD(持続携行式腹膜透析。連続携行式・連続的腹膜透析とも書かれる:1日数回の手動交換)とAPD(自動腹膜透析:夜間に機械で交換)がある。腹膜透析は血液透析と併用できる。

HDと比べたPD・CAPDの特徴(正しい)誤り
バスキュラーアクセスが不要(腹腔カテーテルを使う)
心血管系・循環動態への影響が少ない
残存腎機能を保ちやすい
不均衡症状が起きにくい
小分子溶質の除去に優れる(効率はHDが上)
長期(20年以上)の透析が可能(腹膜が傷むので長期は難しい)
糖負荷が少ない(ブドウ糖が吸収されるので多い)
バスキュラーアクセスが必要
透析液にカリウムが含まれる

手技と管理

腹壁から腹腔に腹膜透析カテーテルを留置し、透析液を注液し、数時間貯めてから排液する(これを1日に数回繰り返す)。排液が濁ったときはまず腹膜炎を疑う。腹膜の性能(溶質の通りやすさ)は腹膜平衡試験(PET)で評価する。腹膜炎を防ぐには交換時の清潔操作と出口部のケアが要になる。

合併症

代表例は腹膜炎、カテーテル出口部感染・トンネル感染、被嚢性腹膜硬化症(EPS)(長期の腹膜透析で腹膜が厚く硬くなり腸を包み込む)、糖負荷による高血糖・脂質異常。スチール症候群・ソアサム症候群はシャントの合併症、血圧の急激な低下はHDの合併症なので切る。

3-12 アフェレシス療法と持続的血液浄化

目的と原理

アフェレシスの目的は病因物質・病因関連物質の除去(自己抗体・免疫複合体・LDL・エンドトキシンなど)と体内欠乏物質の補充(血漿交換でFFPを入れて凝固因子などを補う)。原理は拡散・限外濾過(CHDF)、精密濾過(血漿分離膜で血球と血漿を分ける)、吸着(吸着カラム)の3つ。血漿成分分画器は孔の大きさでアルブミンを通し、それより大きい免疫グロブリンなどを止める。

持続的血液浄化(CRRT)

持続的血液透析濾過(CHDF)は、集中治療室で循環が不安定な患者に、少ない流量で長時間(24時間など)続けて行う急性血液浄化。CHDFのバスキュラーアクセスは、主に太い静脈(内頸静脈・大腿静脈など)に入れた非カフ型のダブルルーメンカテーテルで、維持透析中の患者なら内シャントを使うこともある。アフェレシスは、急性期の血漿交換ではカテーテル、GCAP・LCAPや定期のLDL吸着では末梢静脈や内シャントの穿刺を使うことが多い。持続的血液透析(CHD)・持続的血液濾過(CHF)もある。CHDFは透析液と補充液の両方を使う。CART・DFPP・在宅血液透析(HHD)・オンラインHDFは持続的には行わない。

血漿分離の方法

方法押さえる点
遠心分離法比重の差で分ける。抗凝固薬にACD液(アデニン加クエン酸ブドウ糖液=クエン酸)を使う。ACD液は遠心分離法で使い、膜型血漿分離では使わない
膜分離法(膜型血漿分離)血漿分離膜で分ける。抗凝固薬はヘパリンやナファモスタット。血小板は血漿分離膜を通らない。血漿を冷やしても濾過率は上がらない

アフェレシスの種類(分離器の数と置換液)

種類(国試の語形)使う器材置換(補充)液
単純血漿交換(PE/Pex)血漿分離器 1つ必要:新鮮凍結血漿(FFP)かアルブミン液(リンゲル液ではない)
二重濾過血漿分離交換(DFPP)血漿分離器+血漿成分分画器の2つ必要:アルブミン液
血漿吸着(PA)血漿分離器+吸着器の2つ不要
直接血液灌流(DHP)/血液吸着吸着カラム 1つ(血液を直接通す)不要
血球成分除去(CAP):GCAP・LCAPビーズカラムやフィルタ 1つ不要
腹水濾過濃縮再静注(CART)濾過器+濃縮器不要(腹水を濃縮して戻す)

「2つの分離器を使う」のは血漿吸着とDFPP。「置換補充液が要る」のはCHDFとDFPP(単純血漿交換も要る)。

吸着材と除去する物質(直接法か血漿法か)

血液を直接カラムに流す(血液吸着・直接血液灌流)血漿にしてから吸着する(血漿吸着)
活性炭(石油ピッチ系)→ 薬物中毒
ポリミキシンB(PMX) → エンドトキシン(敗血症)
β2MG吸着カラム → 透析アミロイドーシス
酢酸セルロースビーズ → 顆粒球除去(GCAP)
デキストラン硫酸(直接法) → LDL
トリプトファン → 抗アセチルコリンレセプタ抗体(重症筋無力症)
デキストラン硫酸(血漿法) → LDL・抗DNA抗体
リウマトイド因子・抗DNA抗体などの免疫吸着

エンドトキシン吸着(PMX)は直接血液灌流で、血漿吸着ではない。LDL吸着には直接法と血漿法の両方があるので、直接灌流の問題でLDLを含む組合せも正答になりうる。血液吸着で除けるのはエンドトキシン・LDL・β2MG、リウマトイド因子・抗DNA抗体は血漿吸着側。

適応(代表例)

治療代表的な適応(代表例)
単純血漿交換(PE)劇症肝炎・肝不全、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群
DFPP重症筋無力症、マクログロブリン血症、家族性高コレステロール血症
血漿吸着(PA)重症筋無力症(トリプトファン)、ギラン・バレー症候群、家族性高コレステロール血症(LDL)、SLE
直接血液灌流(DHP)薬物中毒(活性炭)、敗血症(PMX)、透析アミロイドーシス(β2MG吸着)
血球成分除去(CAP)潰瘍性大腸炎・関節リウマチなど
CHDF急性腎障害、多臓器不全、循環が不安定な患者の体液管理

血漿交換は自己免疫疾患(重症筋無力症・ギラン・バレー症候群など)や肝不全に使う。LDLアフェレシスは家族性高コレステロール血症に適応がある。PMXはエンドトキシン血症(敗血症)、GCAP・LCAPは潰瘍性大腸炎などに使う。