心臓と肺の機能を体外で代行する。人工心肺の回路構成・送血/脱血・充填・抗凝固(ヘパリン・ACT)・灌流量と温度・心筋保護・ポンプと人工肺・補助循環(IABP・PCPS・IMPELLA)が主戦場。数値と「どの順で操作するか」を固める。
基本構成=血液ポンプ・人工肺(膜型)・熱交換器・貯血槽(リザーバ)・回路・各種モニタ。脱血は重力(落差)で右房/大静脈から、送血はポンプで上行大動脈へ返す。回路内で酸素化・除炭酸・温度調節・吸引した術野血の回収を行う。
復温時など送血温と脱血(体温)の較差は10℃以内に抑える。急な温度差は溶存ガスが気泡化して微小気泡塞栓の原因になる。熱交換器の水温は42℃を超えない。
回路は充填液で満たしてから開始(プライミング)。血液希釈でヘマトクリット(Ht)は約20〜25%に低下する。希釈で血液粘度が下がり微小循環は改善するが、酸素運搬能・膠質浸透圧は低下する。無血充填が基本。
体外循環中は未分画ヘパリンで全身抗凝固。ACT(活性化凝固時間)≧400秒を維持する。
ヘパリンはカニュレーション(送脱血管挿入)の前に投与、離脱後にプロタミンで中和する(順序を逆にしない)。ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)ではヘパリンを避けアルガトロバンを用いる。
| 指標 | 目安 |
|---|---|
| 灌流量 | 約2.2〜2.5 L/min/m²(≒60〜80mL/kg/min) |
| 平均動脈圧 | 約50〜80mmHg |
| 混合静脈血酸素飽和度(SvO₂) | 70%以上を維持(酸素需給の指標) |
| 中心静脈圧(CVP) | 脱血良好なら低値。上昇は脱血不良を疑う |
| 体温 | 低体温(20〜32℃)で酸素消費を抑制。低温で酸素解離曲線は左方移動 |
SvO₂低下=灌流量不足・貧血・酸素化不良・代謝亢進を示す。低体温は臓器保護に働くが、復温は緩徐に行う。
高カリウムで拡張期に心停止させ、心筋の酸素消費を最小化する。
投与経路=順行性(大動脈基部・冠動脈口から)/逆行性(冠静脈洞から)。細胞内液型(低Na)・低温で心筋を保護する。大動脈遮断中は定期的に再灌流する。
| 要素 | 特徴 |
|---|---|
| ローラポンプ | チューブをしごく容積型・定量拍出。流量計不要。過度な陰圧・チューブ摩耗に注意 |
| 遠心ポンプ | 非閉塞型・後負荷依存で流量は変動→流量計が必須。停止時は逆流するため鉗子で遮断。空気は送りにくい(安全側) |
| 膜型人工肺 | 中空糸外部灌流型が主流。血液は中空糸の外、ガスは内側。長時間灌流で血漿漏出(ウェットラング) |
拡張期に膨張→冠血流を増やす/収縮期直前に収縮→後負荷を軽減(ダイアストリック・オグメンテーション+アフターロード減)。駆動ガスはヘリウム(低粘度で応答が速い)。心電図R波・動脈圧でトリガ。禁忌=大動脈弁閉鎖不全・大動脈解離・大動脈瘤。自己心拍が必要。