高次脳機能障害 OT国試対策ガイド

この記事の執筆者: 現役の作業療法士が、臨床経験と国家試験の出題傾向をもとに執筆・監修しています。

高次脳機能障害はOT国試で最も出題比率が高い分野の一つ。半側空間無視・注意障害・記憶障害・遂行機能障害という4大症状と、それぞれに対する評価・介入・代償手段を体系的に整理することが合格への近道だ。

1. 高次脳機能障害とは

後天的な脳損傷(脳卒中・外傷性脳損傷・脳炎等)による認知・行動・情動の障害の総称。日本の行政的定義(2004年厚労省)では、記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害を主な対象とする。

OTが関わる場面は主に「ADLへの影響の評価」と「日常生活での代償手段の指導」。機能回復に加えて、残存機能を使いながら生活を再建する視点が重要だ。

2. 主な症状と評価法

2-1. 半側空間無視(USN)

損傷側と反対側の空間情報を認識・反応できない症状。右脳損傷後の左無視が最も多い。食事で左側の料理を残す・歩行で左側の物に衝突するなど、日常生活に直結した問題を引き起こす。

評価法内容
BIT(行動性無視検査)通常検査(線分二等分・線の抹消・コピーなど)と行動検査の2種類。日本語版あり。最も広く使用される半側空間無視の評価。
線分二等分試験線の中点を示す。左無視があると中点を右にずらしてしまう。スクリーニングとして使いやすい。
コピー・描画課題図形を模写させる。左半分を省略するパターンが特徴的。
国試頻出ポイント 半側空間無視の介入として「頭部を無視側に回転させる」「プリズム適応療法」「環境調整(無視側から声をかけない)」が問われる。プリズム適応療法は最近の出題で増えているので要チェック。

2-2. 注意障害

注意には持続性・選択性・転換性・分配性の4種類がある。国試では「どの注意の問題があるか」を事例から判断する問題が出る。

注意の種類障害例評価法
持続性注意長時間集中できない。途中で課題をやめてしまう。TMT(Trail Making Test)・CPT
選択性注意必要な情報だけに焦点を当てられない。雑音で混乱する。ストループ課題・TMT
転換性注意課題の切り替えができない。保続が生じる。TMT-B(数字と文字の切り替え)
分配性注意2つのことを同時にできない。二重課題(歩行+会話など)

2-3. 記憶障害

新しいことが覚えられない(前向性健忘)が典型。エピソード記憶の障害が最も多い。手続き記憶(体で覚える記憶)は比較的保たれることが多く、OTの訓練で活用できる。

2-4. 遂行機能障害

目標を立て、計画し、実行・監視・修正するプロセスの障害。料理・家事など複数手順が必要な活動で顕著に現れる。

評価法内容
BADS(遂行機能障害症候群の行動評価)実際的な課題(ゾーンボード・計画立案課題等)で遂行機能を評価する。
WCST(ウィスコンシンカード分類テスト)フィードバックをもとにルールを切り替えながらカードを分類する。前頭葉機能の評価に使用。
料理テスト(FPT)実際の料理場面を観察して遂行機能の問題を評価する。

3. OTの主な介入アプローチ

💡 臨床メモ: 「なぜ何度言っても覚えられないのか」と家族が困惑するケースをよく経験する。「記憶障害は意欲の問題ではなく脳の損傷によるもの」と伝えることから始め、代償手段の使い方を家族と一緒に練習することが、在宅生活を支える上で最も重要な仕事の一つだと思っている。

⚠️ よくある誤解

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※ 本記事は現役の作業療法士が執筆・監修しています。
最終更新: 2026年5月