第1章|介護保険と地域包括ケア

保健医療福祉 第1章

1-1 介護保険のしくみ(被保険者・財源・要介護認定)

項目内容よく出る誤りの形
保険者市町村(特別区を含む)「都道府県」「国」は誤り
第1号被保険者65歳以上「75歳以上」は誤り(75歳は後期高齢者医療制度の区切り)
第2号被保険者40〜64歳の医療保険加入者。給付は特定疾病が原因で要介護・要支援になったときに限る(1-2)「第2号は65歳以上」「加入は45歳以上」は誤り
保険料40歳以上が納める
財源公費(税)50%+保険料50%「全て公費」は誤り
申請先住所地の市町村(地域包括支援センターなどが申請を代行できる)「都道府県の窓口」「都道府県の介護保険係」は誤り
要介護状態区分要支援1・2+要介護1〜5=7段階「合わせて6段階」は誤り
区分支給限度基準額要介護度ごとに異なる(重いほど高い)「どの区分も同じ」は誤り
サービスの利用利用者が自分で事業者を選んで契約する(措置制度から契約制度へ)
ケアプラン(居宅サービス計画)介護支援専門員(ケアマネジャー)が作るのが一般的だが、本人・家族が自分で作成することもできる(セルフケアプラン)「作成できるのはケアマネジャーのみ」は誤り

要介護認定の流れ

  1. 市町村へ申請
  2. 認定調査(訪問調査)+主治医意見書(主治医がいなければ市町村が指定する医師が診察して作成)
  3. 一次判定:調査結果をもとにコンピュータで判定
  4. 二次判定:介護認定審査会(市町村に置かれる保健・医療・福祉の専門家の合議体)が、一次判定・主治医意見書・特記事項から要介護度を判定
  5. 市町村が認定し通知(原則として申請から30日以内)

「要介護度は一次判定で決まる」は誤り。決めるのは介護認定審査会の二次判定で、最終的に認定するのは市町村。主治医意見書は必須の書類。認定結果に不服があれば都道府県の介護保険審査会に審査請求できる(「不服申立てはできない」は誤り)。

リハビリテーション系サービスの対象

  • 訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションは要介護1以上が対象。要支援1・2の人は「介護予防訪問リハビリテーション」「介護予防通所リハビリテーション」を使う。
  • 体位変換器は貸与品目で、特定福祉用具販売(購入)ではない(1-3)。

介護保険の数字は「40歳から払う・65歳から第1号・40〜64歳は特定疾病のみ・7段階・公費と保険料が半分ずつ」。窓口と保険者は一貫して市町村、要介護度を決めるのは介護認定審査会。

1-2 特定疾病(第2号被保険者が給付を受けられる16疾病)

40〜64歳の第2号被保険者は、加齢と関係の深い次の16の特定疾病が原因の場合にだけ要介護認定の対象になる(政令で定められた閉じた一覧)。

分野特定疾病
神経筋萎縮性側索硬化症(ALS)/進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症およびParkinson病(パーキンソン病関連疾患)/脊髄小脳変性症/多系統萎縮症/初老期における認知症/脳血管疾患
骨・関節関節リウマチ/後縦靱帯骨化症/骨折を伴う骨粗鬆症/脊柱管狭窄症/両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
内科慢性閉塞性肺疾患(COPD)/閉塞性動脈硬化症/糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症・糖尿病性網膜症
その他がん(医師が回復の見込みがない状態と判断したもの=いわゆる末期がん)/早老症
特定疾病に含まれない代表例考え方
筋ジストロフィー・多発性硬化症・多発性筋炎・Guillain-Barré症候群・ポリオ後症候群(ポストポリオ症候群)神経・筋疾患でも一覧に無い(難病は障害者総合支援法などで対応)
脳性麻痺・外傷性頸髄損傷加齢に伴う疾病ではない(障害者手帳・障害者総合支援法の対象)
慢性心不全・拡張型心筋症・慢性腎不全・間質性肺炎内科疾患で入っているのはCOPD・閉塞性動脈硬化症・糖尿病の三大合併症
変形性肘関節症変形性関節症は両側の膝または股関節で著しい変形を伴うものに限る

「COPDは特定疾病ではない」は誤り(含まれる)。呼吸器で入るのはCOPDだけで、間質性肺炎は入らない。循環器で入るのは閉塞性動脈硬化症で、心不全・心筋症は入らない。脳血管疾患は入るが、外傷による脊髄損傷は入らない。

1-3 福祉用具:貸与と購入(特定福祉用具販売)

判断の軸は「肌に直接触れる・使い回しに向かない物は購入、繰り返し使える物は貸与(レンタル)」。入浴と排泄に使う物はほぼ購入。

福祉用具貸与(レンタル)の主な品目特定福祉用具販売(購入)の主な品目
  • 車いす・車いす付属品
  • 特殊寝台・特殊寝台付属品
  • 床ずれ防止用具・体位変換器
  • 手すり(取付工事が不要なもの。据置型トイレ用手すりなど)
  • スロープ(取付工事が不要なもの)
  • 歩行器・歩行補助つえ
  • 認知症老人徘徊感知機器
  • 移動用リフト(本体。つり具の部分を除く)
  • 自動排泄処理装置(本体)
  • トランスファーボード(移乗用)
  • 腰掛便座(ポータブルトイレ・補高便座など)
  • 自動排泄処理装置の交換可能部品
  • 入浴補助用具(シャワーチェア=入浴用いす、浴槽台、浴槽内いす、入浴用介助ベルト、バスボードなど)
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのつり具(スリング)
  • 排泄予測支援機器(膀胱内の尿のたまり具合を測って排尿のタイミングを知らせる機器。2022年4月に購入の対象に追加)

同じ機器でも部分で分かれる:リフト本体は貸与・つり具は購入/自動排泄処理装置の本体は貸与・交換可能部品は購入。手すりは工事不要の据置型なら貸与、壁に取り付ける工事を伴えば住宅改修の対象。「体位変換器は購入」は誤り。

なお、一部の歩行補助つえ・歩行器・固定用スロープについては貸与と購入を選べるしくみが設けられている。国試の「貸与か購入か」は上の原則で判断する。

病期・重症度に合った用具の選び方(例:脊髄小脳変性症)

用具使える場面
ポータブルスプリングバランサー(PSB)上肢の重さを支えて手を口元へ運ぶ動作などを助ける。上肢の随意運動がある程度残っていることが前提で、上肢の障害が重度で上肢を実用的に使えない段階では適応になりにくい
キーボードカバー付きパソコン運動失調・不随意運動による誤入力(隣のキーの押し間違い)を防ぐ
シャワーチェア・ポータブルトイレ・歩行器バランス障害・歩行の不安定さがある段階で、入浴・排泄・移動を安全にする

1-4 介護保険のリハビリテーションサービスと回復期リハビリテーション病棟

サービス・施設区分ポイント作業療法士の配置
通所リハビリテーション(デイケア)居宅サービス実施できるのは介護老人保健施設・病院・診療所など。対象は要介護1以上(要支援は介護予防通所リハ)。主目的は心身機能・生活機能の維持向上。利用期間の一律の上限はない人員基準に明記(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)
訪問リハビリテーション居宅サービス居宅で行う。対象は要介護1以上明記
介護老人保健施設(老健)施設サービス在宅復帰を目指すリハビリテーションの施設人員基準に明記
通所介護(デイサービス)・地域密着型通所介護居宅サービス/地域密着型サービス入浴・食事・レクリエーションなど生活支援が中心。「主目的が入浴支援」はこちら寄り明記されていない(機能訓練指導員は他職種でもよい)
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)施設サービス生活の場明記されていない(機能訓練指導員)
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)地域密着型サービス認知症の人の共同生活明記されていない

通所リハは施設サービスではなく居宅サービス。「要介護2以上」「利用は6か月まで」「主目的は入浴」はいずれも誤り。

回復期リハビリテーション病棟

  • 2000年(平成12年)の診療報酬改定で創設(「昭和60年」は誤り)。
  • 目的はADLの向上と在宅(家庭)復帰。
  • 病棟の生活場面でのADL訓練、退院後を見据えた環境調整(家屋評価・住宅改修・福祉用具)を行う。「病棟での訓練は行わない」「環境調整は行わない」は誤り。
  • 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の配置基準がある。

在宅復帰支援の進め方

適切不適切
入院早期から家屋評価を行う(改修の手続き・工事に時間がかかる)退院直前になってから家屋を評価する
在宅のケアスタッフへの情報提供は、略語を避け他職種・他機関にも誤解なく伝わる言葉で書く簡潔さを優先して略語を多用する
訪問リハのスタッフには、自宅生活での目標・課題を申し送る病院で行っている訓練内容をそのまま続けるよう申し送る
生活行為向上マネジメント(MTDLP)は、本人が退院後の生活で行いたい生活行為に焦点を当てて使うMTDLPで入院中の病棟環境をアセスメントする
外泊訓練は退院に向けて有用入院中の外泊訓練のために介護保険の福祉用具貸与を使う(介護保険の居宅サービスは在宅生活のためのもの)

1-5 地域包括ケアシステム・地域包括支援センター・認知症施策

地域包括ケアシステム

項目内容
目標時期2025年(団塊の世代が75歳以上になる時期)を目途に構築
構成要素住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供(植木鉢の図では「生活支援・福祉サービス」「介護予防」などと表される)
範囲日常生活圏域(おおむね30分以内に必要なサービスが届く範囲)
つくり方市町村が地域の自主性・主体性に基づき、地域の特性に応じてつくる(全国画一ではない)
担い手行政・専門職に加えNPO・ボランティア・民間企業・住民など多様な主体が参画
中核機関地域包括支援センター

「2020年を目途」「地域差をなくし画一的に」「中核は障害者福祉センター」はいずれも誤り。「社会貢献」は構成要素ではない(医療・介護・予防・生活支援・住まいと比べて見分ける)。

地域包括支援センター

項目内容
設置主体市町村(社会福祉法人などへの委託も可)。国ではない
人員(3職種)保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員(作業療法士は含まれない)
4つの業務①総合相談支援 ②権利擁護(高齢者虐待の防止・成年後見制度の活用・消費者被害の防止) ③包括的・継続的ケアマネジメント支援 ④介護予防ケアマネジメント
しないこと福祉用具の販売・貸与(事業者の仕事)。24時間体制は求められていない

ケアチームの中での作業療法士の動き方

訪問中に家族介護者の疲弊(「介護がつらい」「疲れた」)に気づいたら、まず担当のケアマネジャーに状況を報告し、ケアプランの見直しをチームで検討する。作業療法士が単独で施設の空き情報を伝える・精神科受診を勧める・訪問介護事業所へ利用開始を依頼する、は手順を飛ばしている。患者本人に「妻に甘えすぎないように」と責任を負わせるのも不適切。

認知症施策の方向

  • 基本方向は住み慣れた地域で暮らし続けること(オレンジプラン→新オレンジプラン→認知症施策推進大綱の「共生と予防」)。施設入所の促進は施策ではない。
  • 施策の例:介護者(家族)への支援、若年性認知症施策の強化、認知症に関する知識の普及(認知症サポーターの養成など)、リハビリテーション・介護モデルなどの研究開発、早期診断・早期対応。