作業療法は離脱症状が落ち着いてから開始する(離脱期は医学的管理が優先)。開始後は段階に応じて目標を変える。国試は「この時期に最も優先するのは何か」を問う。
| 段階 | 状態 | 作業療法の目標・内容 |
|---|---|---|
| 離脱期 | 振戦・発汗・けいれん・振戦せん妄 | 医学的管理。作業療法はまだ始めない |
| 離脱直後(離脱症状の消退直後・振戦せん妄の消失後) | 長期飲酒による栄養障害・筋力低下・全身の消耗 | 基礎体力の回復・維持、身体状態の安定、生活リズムの立て直し。軽い運動・軽作業から |
| 回復初期(身体が落ち着いた後) | 否認・両価性が残る | 酒害についての心理教育(酒害教育と並行)、治療への動機づけ、支持的な関係づくり、集団の中での仲間意識 |
| 回復中期〜退院準備 | 断酒の意思が固まりつつある | ストレス対処技能、対人技能(SST)、家族関係の調整、自助グループへのつなぎ、退院後の生活の助言 |
| 地域・維持期 | 断酒の継続 | 自助グループ(AA・断酒会)、依存症専門デイケア、就労・生活の再建 |
離脱直後に「最も優先」と問われたら基礎体力の回復(体力づくり)。内省・動機づけ・仲間づくり・家族関係・対人技能・ストレス対処・復職・生活設計は、いずれも身体が安定した後の課題。
「最も優先」ではなく「適切か」を問う問題では、心理教育・仲間意識を育てる・自助グループへの参加を促す・家族同伴の心理教育・退院後の生活の助言は、離脱が落ち着いた後の時期としていずれも適切。設問が「最優先」か「適切/適切でない」かを読み分ける。
| 時期・目的 | 最も重視する評価 | 後回しになる評価 |
|---|---|---|
| 離脱後初期(亜急性期):アルコール・薬物とも | 身体症状(離脱症状の残存・遷延、自律神経症状)と基礎体力。安全に活動できる身体かを確かめる | 作業能力・生活リズム・対処能力・対人関係・断酒の意志・復職意欲・問題解決能力 |
| 回復を目的とした評価(自ら治療を求めている人など) | 自己評価(自己認識・自己効力感)。依存症者は自己評価が低く、回復の核になる | 見当識(Wernicke脳症などがなければ優先しない)・金銭管理 |
事例が「離脱直後」「離脱症状が落ち着いた後」「離脱後初期」で、「最も重要」「最も優先」を問われたら、評価なら基礎体力・身体症状(57B014・59B040)、作業療法の目標・目的・優先することなら基礎体力の回復(体力づくり)(52A044・53B044・58A017)。評価でも支援でも答えは同じ側にある。一方、同じ時期でも「適切なのはどれか/適切でないのはどれか」の形で関わり方を問う問題では、酒害の心理教育(51A017)や、家族同伴の心理教育・集団内で仲間意識を育てる・自助グループへの参加を促す(50B015)も適切な側に入り、不適切なのはプログラムでの頑張りを促すこと(50B015)。分かれ目は評価か支援かではなく、「最も優先」か「適切か」の問い方(2-1)。
評価の問題で時期が書かれず「回復を目的とした評価」と問われ、本人がすでに自分の問題を認めて受診しているなら自己評価。時期の記述で答えが変わる。
回復初期に否認へ正面から直面化しない。「病気ではない」と言う人に、飲酒をやめるよう繰り返し指導する・問題を受け入れるよう迫る・意志の弱さを指摘する、は抵抗を強め治療関係を壊す。
| 本人の状態 | 適切な関わり | 不適切な関わり(例) |
|---|---|---|
| 否認がある(「自分は病気ではない」) | 心理教育で依存症の理解を促す。受容的・共感的に関わる | 飲酒しないよう繰り返し指導、問題を認めさせる、初期からAAを勧める、高強度の運動 |
| 両価性がある(やめたいが飲みたい・迷っている) | 断酒について迷っている気持ちそのものを面接で取り上げる(動機づけ面接) | 作業療法の必要性を説く、身体の害を突きつける、家族関係から話を始める、飲酒の必要性を認める |
| 表面上は順調だが「もう大丈夫」と言う(否認・過信の可能性) | 支持的に接し、不安が出てきたら受け止める | 運動プログラムを増やす、さらに頑張るよう伝える、過去の飲酒問題に一切触れない |
動機づけは本人の内側から。「離婚されないため」のような外からの圧力・恐怖を動機づけに使わない(脆く、断酒の維持につながりにくい)。
「よく参加し、休まず運動している」事例は順調に見えるが、頑張りすぎ・否認の裏返しのことがある。正解は量を増やすことではなく、支持的に関わり不安を受け止めること。
入院して間もない導入初期は症状の安定と治療関係づくりが目標。疾病についての学習・生活技能訓練・ピアサポーターとの交流・軽運動は導入期から行える。グループリーダーなど責任と負荷の大きい役割は導入初期には不適切(再燃のリスク)。
| 項目 | 要点 |
|---|---|
| 治療原則 | 節酒ではなく断酒。「少しなら飲んでよい」は誤った助言 |
| 自助グループ | AA(Alcoholics Anonymous)・断酒会:当事者同士のグループ。再飲酒予防・断酒継続に有効。退院後に「少しなら大丈夫」と考えている人には参加を勧める |
| 依存症専門デイケア | 退院後の断酒継続と生活の立て直しの場 |
| 再発予防の技能 | 飲酒の引き金への気づき・ストレス対処(認知行動療法) |
自助グループは「有効」で頻出。ただし離脱直後に「最も優先」と問われたら体力の回復が先(2-1)。否認が強い段階ではまず心理教育で、AAはある程度の動機づけができてから。