作業療法の問題でも、画像や病巣から「どんな症状が出るか」を先に読ませる形が多い。原則は大脳・内包の病変は反対側、小脳の病変は同じ側。
| 病型 | 要点 | 画像 |
|---|---|---|
| 脳出血(高血圧性) | 危険因子は高血圧。好発部位は被殻が最多、次いで視床 | CTで高吸収域(白)が発症直後から見える |
| 脳梗塞(ラクナ・アテローム血栓性・心原性脳塞栓) | 日本の脳血管障害で発症数が最多。心房細動→心内血栓→心原性脳塞栓症(再発予防は抗凝固薬) | 超急性期のCTは変化が乏しい。MRI拡散強調像(DWI)で高信号。陳旧性梗塞はT2強調像・FLAIR像 |
| くも膜下出血 | 主因は脳動脈瘤破裂。女性に多い。治療はクリッピング術・コイル塞栓術 | 急性期の診断は頭部単純CTが第一選択 |
「発症数時間の梗塞を確認するのはCT」は誤り。数時間の梗塞はCTでは写りにくく、拡散強調像で見る。逆に出血・くも膜下出血の早期診断はCT。
| 病巣 | 出やすい症状 |
|---|---|
| 被殻(内包に及ぶ) | 対側の片麻痺・感覚障害。左(優位半球)なら失語症、右なら半側空間無視・運動維持困難 |
| 視床 | 対側の感覚障害(表在・深部とも)、視床痛、注意障害・意識障害・記憶障害 |
| 内包後脚・放線冠 | 錐体路が通る→対側上下肢の運動麻痺 |
| 右頭頂葉(側頭頭頂接合部) | 左半側空間無視 |
| 小脳半球 | 同側上下肢の運動失調、構音障害(失調性)。片麻痺・感覚障害は通常出ない |
| 脳幹(橋)・両側の病変 | 構音障害・嚥下障害・眼球運動障害、重症なら意識障害 |
| 延髄外側(Wallenberg症候群:椎骨動脈・後下小脳動脈〈PICA〉) | 同側の顔面温痛覚障害・Horner症候群(眼瞼下垂)・小脳性運動失調、対側の体幹・上下肢の温痛覚障害、嚥下障害。錐体路は延髄錐体を通るので片麻痺は出ない |
左小脳半球梗塞→失調は左(同側)。「右上下肢の失調」は誤り。小脳と脳幹は構音障害が出やすい部位として覚える。
| タイプ | 流暢性 | 聴理解 | 復唱 |
|---|---|---|---|
| Broca失語(運動性失語) | 非流暢 | 比較的良好(軽〜中等度の障害) | 障害 |
| Wernicke失語(感覚性失語) | 流暢 | 重度に障害 | 障害 |
| 伝導失語 | 流暢 | 良好 | 障害が目立つ |
| 健忘失語(失名詞失語) | 流暢 | 良好 | 保たれる(喚語困難が主体) |
| 超皮質性運動失語 | 非流暢 | 比較的良好 | 保たれる |
| 超皮質性感覚失語 | 流暢 | 障害 | 保たれる |
伝導失語では書字で仮名(平仮名)のほうが漢字より書きにくい傾向がある。「理解は良いのに復唱だけ悪い」が伝導失語の決め手。失語症・失行・半側空間無視の詳しい評価と訓練は高次脳機能障害のノートで扱う。
片麻痺の回復を弛緩→共同運動→分離運動の順で6段階に分ける。上肢・手指・下肢を別々に判定する。各段階のテスト動作の組合せは繰り返し問われる。
| ステージ | 状態・テスト動作 |
|---|---|
| Ⅰ | 弛緩性麻痺。随意運動なし |
| Ⅱ | 共同運動(またはその要素)がわずかに出現、連合反応。痙縮の出現期 |
| Ⅲ | 屈筋・伸筋共同運動を随意的に起こせる。痙縮が最も強い |
| Ⅳ | 共同運動から逸脱した運動が出現:①手を腰の後ろへ回す、②肘伸展位で上肢を前方水平位へ挙上、③肘90°屈曲位で前腕の回内・回外 |
| Ⅴ | 分離運動が可能:①肘伸展位で側方水平位へ挙上(外転)、②肘伸展位で前方から頭上へ挙上、③肘伸展位・肩前方挙上位で前腕の回内・回外 |
| Ⅵ | 分離運動が自由にでき、協調性もほぼ正常 |
前腕回内・回外は肘の位置で段階が変わる。肘90°屈曲位→Ⅳ、肘伸展位・肩屈曲位→Ⅴ。挙上も同じで、前方水平まで→Ⅳ、側方水平・頭上→Ⅴ。「側方水平位への挙上はⅢ」「前方水平挙上はⅤ」はどちらも誤り。
| ステージ | 状態・テスト動作 |
|---|---|
| Ⅰ | 弛緩 |
| Ⅱ | 集団屈曲がわずかに可能 |
| Ⅲ | 集団屈曲(握り)・鉤形握りは可能だが、随意的な指伸展はできない |
| Ⅳ | 横つまみ(側腹つまみ)と母指を離して放す動作、指のわずかな(一部の)伸展 |
| Ⅴ | 対向つまみ、円柱握り・球握り、集団伸展が可能(範囲は一定しない) |
| Ⅵ | すべての握りが可能、全可動域の指伸展、指の個別運動 |
手指は「つまみの種類」で決める。横つまみ=Ⅳ、対向つまみ・集団伸展=Ⅴ、全可動域の伸展・あらゆる握り=Ⅵ。
| ステージ | テスト動作 |
|---|---|
| Ⅲ | 座位・立位で股・膝・足の同時屈曲(共同運動) |
| Ⅳ | 座位で膝を90°以上屈曲して足を床上で後方へ滑らせる、座位で踵を床につけたまま足関節背屈 |
| Ⅴ | 立位で股関節伸展位のまま膝関節屈曲、立位で踵を床につけたまま足関節背屈 |
| Ⅵ | 立位で骨盤挙上の範囲を超えた股関節外転、座位で下腿の内旋・外旋 |
下肢の足関節背屈は座位ならⅣ、立位ならⅤ。「立位・股伸展位での膝屈曲はⅥ」は誤りでⅤ。
事例問題では、記述された動作を表に当てはめ、いちばん高い段階のテスト動作が可能かで判定する。たとえば上肢で頭上挙上と100°の外転ができ、手指で対向つまみと集団伸展ができれば、上肢Ⅴ・手指Ⅴ。
| 評価 | 内容 |
|---|---|
| SIAS(Stroke Impairment Assessment Set) | 機能障害の総合評価。麻痺側運動機能、筋緊張(腱反射)、感覚、関節可動域・疼痛、体幹機能、視空間認知、言語、非麻痺側機能(握力など)。器具は握力計・打腱器など |
| NIHSS | 急性期の神経学的重症度(意識・視野・麻痺・失語・無視など) |
| JSS(日本脳卒中学会スケール) | 脳卒中の重症度 |
| mRS(modified Rankin Scale) | 障害度・生活の自立度の大まかな分類 |
| FMA(Fugl-Meyer Assessment) | 運動機能・バランス・感覚・可動域の定量評価 |
| MFT(Manual Function Test) | 上肢機能検査。32点満点で、標準回復プロフィールがある |
| STEF(簡易上肢機能検査) | 物品の移動にかかる時間で上肢の動作能力を評価 |
| MAL(Motor Activity Log) | 生活の中での麻痺手の使用頻度と質(CI療法の効果判定に使う) |
SIASの器具に音叉・秒針付き時計は入らない。GMFCS(脳性麻痺)・UPDRS(パーキンソン病)・MMPI(人格検査)は脳卒中の身体機能評価ではない。
| 点 | 水準 | 目安 |
|---|---|---|
| 7 | 完全自立 | 補助具なし・安全・通常の時間 |
| 6 | 修正自立 | 補助具使用、時間がかかる、安全への配慮が要る(人の手は不要) |
| 5 | 監視・準備 | 見守り・声かけ・準備のみ。体に触れない |
| 4 | 最小介助 | 本人が75%以上を行う。触れる程度の介助 |
| 3 | 中等度介助 | 本人が50〜74% |
| 2 | 最大介助 | 本人が25〜49% |
| 1 | 全介助 | 本人が25%未満 |
移乗のように方向によってできる度合いが違うときは、低いほう(より介助が多いほう)で採点する。「触れる程度の介助」が出たら4点、「そばで見守る」なら5点。
| 項目 | 配点 |
|---|---|
| 食事 | 自立(自助具を使っても自力なら自立)10/部分介助5/全介助0 |
| 車椅子からベッドへの移乗 | 15/10/5/0 |
| 整容 | 自立5/介助0(最高5点) |
| トイレ動作 | 10/5/0 |
| 入浴 | 自立5/介助0(一部介助でも0点) |
| 歩行(移動) | 45m以上歩行自立15/介助歩行10/車椅子操作自立5/0 |
| 階段昇降・更衣・排便・排尿 | 各10/5/0 |
合計100点。BIは「できるADL」の評価で段階が粗く、FIMは「しているADL」を7段階で細かく見る。
COPMで重要度の高い作業(例:ペットの世話)を「家族に任せる」と切り捨てるのは、本人中心の考え方に反する。重度麻痺の人に麻痺手での調理をいきなり課すのも不適切。
初回面接で本人から具体的な希望や困りごとが出てこない場合、次の一手は生活行為への関心を把握すること。興味・関心チェックシート(生活行為向上マネジメント〈MTDLP〉で使う)などで、していること・してみたいこと・興味があることを具体的に引き出す。言語に問題がない人に言語検査を先に行う、アンケートに切り替える、他職種を同席させる、は優先されない。
| 欄 | 書く内容 | 例 |
|---|---|---|
| S(Subjective:主観的情報) | 患者・家族の発言・訴えそのもの | 「今日は調子が良くない」「退院までにトイレに行けるようになってほしい」(家族) |
| O(Objective:客観的情報) | 観察・測定値・検査結果・実施した内容 | 血圧、Brunnstromステージ、FIMの点数、表情の観察 |
| A(Assessment:評価・考察) | 情報の解釈・判断、問題点、目標の設定 | 「動作能力に変化なしと考えられる」「短期目標はズボンの上げ下げの遂行」 |
| P(Plan:計画) | 今後の治療計画・訓練内容 | 「ズボンの着脱訓練を3回実施する」(これから行う) |
目標設定はA。P欄に目標を書くのは不適切。「〜であった」と過去の測定値ならO、「〜する」と予定ならP。患者の言葉をPに書くのも誤り。
「右片麻痺・左片麻痺」の2群で「使いやすい・使いにくい」の人数を比べるような名義尺度の度数(分割表)はχ²検定。t検定は平均値の差(間隔・比率尺度)、Mann-Whitney検定は対応のない2群の順序尺度、符号検定・Wilcoxon符号付順位検定は対応のある2群。