考え方・感じ方・対人関係・衝動のコントロールのかたよりが青年期以降に持続し、本人または周囲が苦しむ状態。DSMでは3つのクラスターに分ける。
| クラスター | 類型 | 特徴(キーワード) |
|---|---|---|
| A群(奇妙・風変わり) | 猜疑性〈妄想性〉 | 他者への不信・疑い深さ |
| A群 | シゾイド〈スキゾイド・統合失調質〉 | 親密な関係を求めず一人でいることを好む、感情表出が乏しい |
| A群 | 統合失調型 | 風変わりな思考・魔術的思考、奇妙な外見・行動 |
| B群(演技的・感情的・移り気) | 反社会性〈非社会性〉 | 他者の権利の無視、規範違反、良心の呵責の欠如 |
| B群 | 境界性 | 見捨てられ不安、対人関係・自己像・感情の不安定、衝動性(4-2) |
| B群 | 演技性 | 注目を求める、芝居がかった感情表現、被暗示性が高い |
| B群 | 自己愛性 | 誇大性、賞賛を求める、共感の欠如 |
| C群(不安・恐怖) | 回避性〈不安性〉 | 劣等感、批判・拒絶への過敏さから対人場面を避ける |
| C群 | 依存性 | 自分で決められず助言や保証を過度に求める |
| C群 | 強迫性 | 細部・規則・秩序へのとらわれ、完璧主義、柔軟性の欠如 |
字面の似た2つ:統合失調質=シゾイド(孤立を好む・感情表出が乏しい)/統合失調型(風変わり・魔術的思考)。
性差の目安:男性に多い=反社会性・強迫性/女性に多い(臨床で多く診断される)=境界性・演技性・依存性。
強迫性パーソナリティ障害(性格のかたより)と強迫症(強迫観念・強迫行為、1-4)は別物。回避性パーソナリティ障害と社交不安症は似るが、前者は対人関係全般の持続的なパターン。
| 治療法 | 位置づけ |
|---|---|
| 弁証法的行動療法(DBT) | 感情調節・苦痛耐性・対人関係スキル・マインドフルネスを学ぶ。境界性の代表的治療 |
| メンタライゼーションに基づく治療 | 自他の心の状態を推し量る力を育てる |
| 認知行動療法、精神力動的精神療法(転移焦点化精神療法など) | 用いられる |
| 薬物療法 | 衝動性・気分の不安定などの標的症状への補助。治療の中心ではない |
| 入院 | 危機介入として短期。長期入院は退行・依存を強めるので避ける |
TEACCHは自閉スペクトラム症への構造化された支援であり、境界性パーソナリティ障害の治療ではない。
中心は「治療構造(枠組み)を明確にし、一貫して守る」こと。枠組みが揺れると、試し行動・操作・退行が強まる。
| 適切 | 不適切 |
|---|---|
| 治療の枠組み(時間・場所・頻度・役割)を明確に示す。患者と作業療法士の双方が守るルールを決める | 要求に応じて回数・時間・担当を変える、特別扱いをする |
| 目標と治療契約を繰り返し確認する | 要求を受け入れ続ける、退行を許容する、依存を促す |
| 自力で達成できる作業(構成が明確で成功しやすい)を用いる | メンバーの入れ替わりが多い集団、話し合い中心のプログラム。他の患者との交流を禁じる・対人交流をスタッフと家族に限定する(孤立を強める) |
| 安心できる居場所をつくり感情の安定を図る | 転移を治療に利用する(作業療法の場で扱わない) |
| 衝動を適応的に発散できる活動(身体を使う作業・創作など) | 逸脱行動を無視する |
| 主観的な苦痛に共感しつつ、行動には限界を設ける | 攻撃的な言動があったら担当者を交代する(見捨てられ体験・操作の強化) |
覚え方=「共感はする、枠は動かさない」。気持ちは受け止めるが、時間・頻度・ルールは要求で変えない。
| 適切 | 不適切 |
|---|---|
| 作業療法以外の治療の内容を把握する | 担当者が一人で抱え込む・個人的に対応する |
| 自分の中に起こる逆転移(怒り・救済願望など)を自覚する | スタッフごとに対応を変える(スプリッティングに巻き込まれる) |
| 多職種で対応を統一する | 患者の評価をスタッフ間で共有しない |
| 適切な助言 | 不適切な助言 |
|---|---|
| 家族会・家族教室の情報を伝える | 本人を常に監視する |
| 家族が自分のための時間をもつ | 本人の要求にすべて応じる |
| 本人の感情の揺れにいちいち反応しない | 感情的に言い返す |
| 暴力がおさまらないときはその場を離れる(安全確保) | その場にとどまり説得し続ける |
| 類型 | 導入期の関わり | 避けること |
|---|---|---|
| 回避性 | 工程が明確に構造化された作業で、失敗の不安を減らし成功体験を積む。安心できる関係から | 他者との共同作業、作業選択を本人に任せる(決められない・失敗を恐れる)、誤りを指摘して修正させる(批判への過敏さ) |
| 依存性 | 小さな決定を本人にさせ、自己決定の経験を積む | 何でも代わりに決める |
| 強迫性 | 完成度より過程を重視、時間の区切り | 精密さを競う作業 |
| 演技性 | 枠組みを示し、注目を得る手段を適応的なものへ | 過度な賞賛・特別扱い |
どの類型でも共通=「特性を変えようとせず、特性が出にくい構造の中で成功体験」。導入期は個別・構造化が基本。