| 名称 | 部位・受傷機転 | 要点・合併症 |
|---|---|---|
| Colles骨折(コーレス骨折) | 橈骨遠位端。手をついて転倒。高齢者(特に閉経後女性)に多い | 遠位骨片が背側・橈側へ転位、側面でフォーク状変形。合併症:正中神経障害、長母指伸筋腱断裂、CRPS、変形癒合による尺骨突き上げ症候群(橈骨が短縮し尺屈で尺骨頭部痛・クリック、手指機能は保たれる) |
| Smith骨折 | 橈骨遠位端 | 遠位骨片が掌側へ転位(Collesの逆) |
| Barton骨折 | 橈骨遠位端の関節面の背側縁・掌側縁 | 手根骨を伴って転位する関節内骨折 |
| Bennett骨折 | 第1中手骨基部 | 脱臼骨折(母指CM関節) |
| Roland骨折 | 第1中手骨基部 | 粉砕骨折(T字・Y字) |
| ボクサー骨折(Boxer's骨折) | 第4・5中手骨頸部 | 拳で殴って受傷 |
| 舟状骨骨折 | 手をついて転倒 | 血行が乏しく偽関節・無腐性壊死を生じやすい代表 |
| 上腕骨骨幹部骨折 | 腕相撲・転倒など(らせん骨折も) | 橈骨神経麻痺(下垂手)を合併しやすい。保存療法でFunctional brace(機能的装具)の代表的適応 |
| 上腕骨顆上骨折 | 小児。肘伸展位で手をついて受傷が多い | 保存療法(整復・固定)が原則、転位が大きければ手術。前腕の循環障害→Volkmann拘縮に注意。変形は内反肘 |
| 肘頭骨折 | 肘頭 | 引き寄せ締結法(tension band wiring)で術直後から肘の運動が可能 |
| 橈骨頭骨折 | 橈骨頭 | 橈骨輪状靱帯の損傷を伴いやすい |
| 尺骨骨幹部骨折 | 前腕 | 肘関節から手関節まで(近位・遠位橈尺関節を含めて)固定 |
上腕骨顆上骨折は老年期でなく小児、外反肘でなく内反肘、屈曲位でなく伸展位の受傷が多い。高齢者の転倒で多い上肢骨折は橈骨遠位端・上腕骨近位部。
| 名称 | 病態 | 所見 |
|---|---|---|
| 槌指(マレット指・mallet finger) | 球技などで指先に外力→伸筋腱の終止部の断裂、または末節骨基部背側の剥離骨折 | DIP関節が屈曲位で自動伸展できない |
| ばね指 | 指屈筋腱の腱鞘炎(MP関節掌側) | 屈伸時の引っかかり(弾発) |
| Heberden結節 | DIP関節の変形性関節症 | 中高年女性に多い慢性の変形(外傷ではない) |
| de Quervain病(ドケルバン病) | 第1背側区画の長母指外転筋腱・短母指伸筋腱の腱鞘炎 | 橈骨茎状突起部痛、Finkelsteinテスト陽性 |
| 上腕骨外側上顆炎(テニス肘) | 外側上顆に付く手関節伸筋(主に短橈側手根伸筋)の付着部炎 | 外側上顆の圧痛・物をつかむときの痛み |
| Dupuytren拘縮 | 手掌腱膜の線維性肥厚 | 指の屈曲拘縮 |
腱損傷(特に屈筋腱)後の指の運動機能はTAM(total active motion:総自動運動域)で評価する。
TAM=(MP・PIP・DIP関節の自動屈曲角度の合計)−(各関節の自動伸展不足角度の合計)。1本の指の総合的な動きを1つの数値で表す。他動で同様に計算したものはTPM(total passive motion)。
| 評価 | 対象・内容 |
|---|---|
| TAM | 手の腱損傷後の指の運動機能 |
| DAS28 | 関節リウマチの疾患活動性 |
| Lansburyの活動性指数 | 関節リウマチの活動性 |
| MFT(manual function test) | 上肢全体の動作能力(主に脳卒中など) |
| MODAPTS | 作業の時間分析(作業時間の測定法) |
評価法の選択問題は「何の疾患のための尺度か」で切る。DAS28・Lansburyはリウマチ、MODAPTSは作業分析で、腱損傷の運動機能評価ではない。
手背の熱傷は瘢痕が縮んでMP関節過伸展・IP関節屈曲・母指内転(第1指間の短縮)へ引かれる。急性期スプリントはその逆向きに保つ。
| 関節 | 保持する肢位 | 避ける肢位 |
|---|---|---|
| 手関節 | 背屈位(軽度伸展) | 屈曲位 |
| Ⅱ〜Ⅴ指MP関節 | 屈曲位 | 伸展位(側副靱帯がゆるみ拘縮しやすい) |
| PIP・DIP関節 | 伸展位 | 屈曲位 |
| 母指 | 掌側外転(第1指間を広げる) | 内転位、MP関節伸展を目的とした肢位 |
覚え方:「手首は反らす・MPは曲げる・IPは伸ばす・母指は掌側へ開く」。角度の選択肢では、この向きに合うものを選ぶ(MP屈曲の角度が選択肢に出たら屈曲側を選ぶ。PIP・DIPの屈曲や手関節屈曲は誤り)。
母指は掌側外転。橈側外転(手掌と同じ平面での外転)と取り違えない。
| 時期 | 行う | 行わない |
|---|---|---|
| 植皮術後早期(術後数日)=生着を最優先 | 安静時の挙上(浮腫軽減)、安静・肢位保持(静的スプリント) | 他動関節可動域訓練・抵抗運動(移植片のずれ・剪断力)、動的スプリント、弾性包帯による圧迫・巻き上げ |
| 生着後〜瘢痕期 | 関節可動域訓練、圧迫療法(肥厚性瘢痕の予防)、必要なら動的スプリント | — |
植皮直後は「動かさない・こすらない・圧迫しない」。挙上で浮腫を管理する。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 中核症状 | 外傷・疾病の程度に不釣り合いな持続性の疼痛、アロディニア |
| 随伴症状 | 浮腫、皮膚の色・温度・発汗の変化、皮膚の萎縮、骨萎縮、関節拘縮 |
| 疫学 | 女性に多い。骨折後の発症は数%程度(大多数に起こるものではない)。特定の定型的な変形をきたすわけではない |
| type Ⅰ | 明らかな神経損傷がない。旧称の反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)。肩手症候群・Sudeck骨萎縮が代表 |
| type Ⅱ | 神経損傷を伴う(カウザルギー) |
幻肢痛・視床痛・帯状疱疹後神経痛はCRPSに分類しない。Volkmann拘縮(阻血)、Dupuytren拘縮(手掌腱膜)、異所性骨化もCRPSとは別。
「痛みを完全になくしてから使う」は誤り。使いながら痛みと付き合うのがCRPSの作業療法。
| 先天性欠損 | 後天性切断 | |
|---|---|---|
| 幻肢・幻肢痛 | ほとんど生じない | 生じる |
| 神経腫・断端浮腫 | 問題になりにくい | 切断端の問題として生じる |
| 2次性障害で目立つもの | 体幹・肩甲帯を左右非対称に使い続けることによる側弯症 | — |
先天性欠損は「切断端の問題(幻肢痛・神経腫・断端浮腫)が無い代わりに、体の左右差の問題(側弯)が出る」。