症状問題は「事例の訴え → 症状名」を当てる形と、「この患者にみられない症状」を選ぶ形が多い。後者は躁状態・うつ状態の症状が紛れ込んでいるのを見抜けば解ける。
| 分類 | 症状 | 訴え・様子の典型 |
|---|---|---|
| 幻覚 | 幻聴(対話性幻聴・命令性幻聴) | 誰もいないのに悪口が聞こえる。独りで誰かに応答している(独語・空笑)。「薬を飲むな」と命じる声 |
| 体感幻覚 | 「脳が溶けて流れ出す」「体の中を虫がはう」など身体内部の異様な感覚 | |
| 幻味・幻嗅 | 「変な味がする」→被毒妄想と結びつき食事を拒む | |
| 妄想 | 被害妄想・注察妄想・関係妄想 | 「隣人が見張っている」「誰かに監視されている」「同僚が嫌がらせをする」 |
| 被毒妄想 | 食事に毒を入れられている | |
| 妄想気分 | 「不気味な何かが起こりそうだ」=内容の定まらない不安・緊迫感 | |
| 妄想知覚 | 実際の知覚に、突然特別な意味づけをする | |
| 妄想着想(+誇大妄想) | 「人類を救う薬を開発すると突然わかった」=突然の確信が着想、内容の大きさが誇大 | |
| 自我障害 | 思考伝播(考想伝播) | 「自分の考えが周囲に知れ渡っている」「自分しか知らないことを皆が知っている」 |
| 思考奪取 | 考えを抜き取られる | |
| 作為体験(させられ体験) | 自分の考え・行動が外から操られている | |
| 思考障害(形式) | 連合弛緩(→ひどくなると滅裂思考) | 話のつながりが緩み、脈絡がなくなる |
| 思考途絶 | 思考の流れが突然遮断され、会話が止まる | |
| 陰性症状 | 意欲低下(無為)・感情の平板化(感情鈍麻)・思考の貧困・会話の貧困・快感消失・自閉(ひきこもり) | 自室に閉じこもり入浴もしない=無為自閉 |
| その他 | 病識欠如 | 「自分はどこも悪くない」と受診を拒む |
統合失調症の事例にない症状として選ばせる代表=観念奔逸・行為心迫(躁状態)、思考制止(うつ病)、迂遠(まわりくどいが目標には着く。てんかん・強迫傾向など)、意識変容(せん妄など)、強迫観念(強迫性障害)。ひきこもり・活動低下の事例に「行為心迫」は逆向き。
| 病型(従来分類) | 主な特徴 |
|---|---|
| 妄想型 | 幻覚・妄想が中心。発症は比較的遅い |
| 破瓜型 | 思春期〜青年期に潜行性に発症。陰性症状・思考障害が目立つ |
| 緊張型 | 興奮・昏迷など意志発動(精神運動)の異常 |
| 単純型 | 陽性症状に乏しく、陰性症状が緩徐に進む |
| 残遺型 | 慢性期に陰性症状が残る |
ICFで分けると、認知機能・思考機能=心身機能、社会生活技能(対人技能・生活技能)=活動、社会からの隔離=参加の制約。生物学的なストレス脆弱性はストレス脆弱性モデルの概念で、「活動」ではない。SSTが働きかけるのは「活動」。
| 項目 | 押さえる事実 |
|---|---|
| 性差・発症年齢 | 男女ほぼ同頻度(男性は発症がやや早い)。思春期〜青年期の発症が多い。多くは前駆症状を経て潜行性に発症 |
| 予後良好の因子 | 急性発症、明らかな発症誘因がある、発症年齢が遅い、女性、病前の社会機能が良い、陽性症状優位、病識がある、発病から治療開始までの期間(精神病未治療期間:DUP)が短い |
| 予後不良の因子 | 潜行性の発症、若年発症、陰性症状が強い、男性、DUPが長い |
| 再発 | 高EE(感情表出の高い)家族のもとで再発率が高い。家族心理教育で再発率が下がる(3-3) |
「若年発症は予後が良い」「急性発症は予後が悪い」「DUPと予後は無関係」はすべて逆。寛解後も抗精神病薬は維持が原則で、「寛解したら中止」は誤り。
| 副作用 | 内容 |
|---|---|
| 錐体外路症状 | パーキンソニズム・急性ジストニア・アカシジア・遅発性ジスキネジア(評価=AIMS) |
| 高プロラクチン血症 | 無月経・乳汁分泌 |
| 代謝系 | 体重増加・脂質異常・高血糖(メタボリックシンドローム) |
| 自律神経系 | 起立性低血圧・便秘・口渇 |
| 悪性症候群 | 高熱・筋強剛・発汗など自律神経症状・意識障害・CK上昇。「筋弛緩」「徐脈」ではない |
統合失調症の人の肥満・脂質異常(メタボリックシンドローム)では、評価で最優先するのは服薬内容(薬剤性の可能性)。ただし作業療法士が薬の変更を主治医に「提案」するのは職域外で、作業療法士の支援は生活の中で実行できる散歩・ストレッチなどの運動を取り入れること。自炊訓練・入院・買い物の代行は現実的でない/過剰。
評価尺度の問題は「何を測る尺度か」で選ぶ。統合失調症に固有の頻出はBACS(BACS-J)=認知機能とLASMI=社会生活(1-4)。
| 測るもの | 尺度 | 要点 |
|---|---|---|
| 精神症状 | BPRS(簡易精神症状評価尺度) | 幻覚・妄想・不安・抑うつなど精神症状全般。幻覚の項目を含む |
| PANSS(陽性・陰性症状評価尺度) | 陽性尺度・陰性尺度・総合精神病理尺度。幻覚を含む。急性期の治療効果の判定に最も適する | |
| 陽性症状 | SAPS | 陽性症状の評価(認知機能ではない) |
| 認知機能(神経認知) | BACS/BACS-J(統合失調症認知機能簡易評価尺度) | 統合失調症専用の認知機能バッテリー(下の表) |
| 社会認知 | SCSQ | 社会認知のスクリーニング(ワーキングメモリーは測らない) |
| 遂行機能 | BADS・WCST | 遂行機能・概念の転換。統合失調症の認知機能全般を包括する検査ではない |
| 全体的機能 | GAF | 症状と社会機能をまとめた1〜100の全体評価 |
| 副作用 | AIMS | 異常不随意運動(遅発性ジスキネジア) |
| 気分・疲労 | SMSF | 気分と疲労感のチェックリスト |
| 認知症 | CDR・FAST | 認知症の重症度・病期。幻覚の項目はない |
| 領域 | 課題の例 |
|---|---|
| 言語性記憶 | 単語の記憶と再生 |
| ワーキングメモリー | 数字の順列(聞いた数字を並べ替えて答える) |
| 運動機能 | トークン運動課題(コインを容器に入れる速さ) |
| 言語流暢性 | 「い」で始まる単語をできるだけ多く挙げる・カテゴリーの語を挙げる ⇒ 「言葉が出てこない」は言語流暢性の障害 |
| 注意と情報処理速度 | 符号課題(記号と数字の対応を素早く書く) |
| 遂行機能 | 塔の課題(大小の円盤をルールに従って別の配置へ移す手数を考える)=計画・問題解決 |
事例で「作業の説明が途中から分からなくなる」「会話の途中で何の話か分からなくなる」「ケアレスミスが多い」「作業の手順が分からない」 ⇒ 認知機能障害を疑いBACS(BACS-J)。図版が記号と数字の対応表ならBACS-Jの符号課題、円盤の塔の図なら遂行機能。WAB(失語症)・MMSE(認知症スクリーニング)・WAIS(知能)は統合失調症の認知機能評価の第一選択ではない。
| 尺度 | 対象・中身 | 見分けの鍵 |
|---|---|---|
| LASMI(精神障害者社会生活評価尺度) | 精神障害者の社会生活能力。下位尺度=D 日常生活/I 対人関係/W 労働または課題の遂行/E 持続性・安定性/R 自己認識 | 「持続性・安定性」「自己認識(障害の理解・過大/過小な自己認識・現実離れ)」が出たらLASMI |
| Rehab(精神科リハビリテーション行動評価尺度) | 第1部=逸脱行動、第2部=全般的行動。評価者が1週間以上の直接観察に基づいて記入。全般的行動はVAS様の線上に評価(最重度・中程度・最軽度の目安点つき) | 逸脱行動は病的体験に基づくかどうかを問わず行動そのものを評価。対象は精神障害者全般 |
| SFS(Social Functioning Scale) | 統合失調症の社会機能(ひきこもり・対人行動・社会的活動・余暇・自立生活技能・就労) | 「持続性・安定性」「自己認識」は含まない |
| SF-36 | 健康関連QOL(8下位尺度)。疾患を問わない汎用尺度 | 統合失調症の健康関連QOLにも使える |
| 精神障害者ケアアセスメント(日本作業療法士協会版) | ケアマネジメントのためのアセスメント | 社会機能の下位尺度構成とは別物 |
| その他 | QLS(統合失調症のQOL)、LSP(生活技能)、GHQ(一般的な精神健康のスクリーニング)、NEO-PI-R(性格・5因子)、RDQ(腰痛による障害) | QOL問題でBPRS・SFSを選ばない |
Rehabの第2部のサブカテゴリーを「各3項目」とする記述は誤り。Rehabは観察に基づく行動評価で、本人の自己記入式ではない。
| 項目 | 適切 | 不適切 |
|---|---|---|
| 最初に行うこと | 自己紹介と作業療法の目的・内容の説明 | 作業療法士自身の詳細な個人情報・私生活を話す |
| 聞き取る内容 | 趣味・興味、将来の希望、困っていること、作業療法でやりたい種目 | 発病時の状況(病歴は主治医・診療録から得る。作業療法の初回面接で掘り下げない) |
| 場所 | 面接室など落ち着いて話せる場所 | ベッドサイドが基本、ではない |
| 幻聴がある場合 | 状態を見ながら続ける | 幻聴の有無だけで面接を中止する |
| 緊張が強い場合 | 斜め(90°)に座る・視線を避けられる配置 | 対面同位法(正面で向き合う)は緊張を高める |
緊張が強く症状が不安定な人との面接・作業面接では、患者側に退路(オープンスペース)を確保し、壁際や衝立で囲い込まない。治療者が出入口を塞がない配置を選ぶ。