内部障害 国試対策ガイド
この記事の執筆者: 現役の理学療法士が、臨床経験と国家試験の出題傾向をもとに執筆・監修しています。
内部障害分野は理学療法士の活躍の場として拡大が続く領域。心疾患・呼吸器疾患・代謝疾患それぞれの病態生理を理解した上で、安全な運動療法の根拠を押さえることが求められます。
1. 心疾患の理学療法
心大血管疾患後の理学療法は段階的な負荷漸増が原則。心臓リハビリテーションの適応・禁忌・中止基準を確実に覚えること。
| 時期 | 目標 | 主な内容 |
|---|
| 急性期(CCU/病棟) | 合併症予防・早期離床 | ベッドサイドでの関節可動域・体位変換・座位・立位 |
| 回復期(外来) | 運動耐容能改善 | 監視下運動療法(エルゴメーター・トレッドミル) |
| 維持期(在宅) | 再発予防・生活習慣改善 | 自主トレーニング・歩行・服薬管理 |
運動療法の中止基準(Jonasの基準) ①自覚症状(胸痛・強い呼吸困難)②心拍数:安静時比較で30bpm以上の増加または目標心拍数超過③血圧:収縮期220mmHg以上または10mmHg以上の低下④SpO2:90%以下。これらが出現したら直ちに中止し医師に報告。
2. 呼吸器疾患の理学療法
- COPD(慢性閉塞性肺疾患):FEV1/FVC<70%が診断基準。口すぼめ呼吸で気道内圧を保持。pursed-lip breathing・横隔膜呼吸訓練。腹式呼吸指導。
- 気管支喘息:可逆性の気流制限・気道炎症。急性発作時のポジショニング(前傾座位)。発作の誘因除去指導。
- 肺炎後のリハ:廃用症候群予防・離床促進・排痰援助(体位ドレナージ・スクイージング)。
💡 臨床メモ: COPDの患者さんは息切れを恐れて活動を避けがち。「少し息苦しくても止まれば回復する」という成功体験を繰り返して活動恐怖を軽減することが、長期的な運動継続につながります。
3. 糖尿病の理学療法
| 合併症 | 理学療法上の注意 |
|---|
| 末梢神経障害 | 足の保護(靴・フットケア)・バランス障害への対応 |
| 網膜症 | 眼圧上昇を避ける動作指導(息こらえ禁止・無酸素運動制限) |
| 腎症 | 蛋白尿増加を避けるため高強度運動を制限 |
| 低血糖リスク | 運動前後のBGチェック・補食の指導・インスリン投与タイミング |
運動療法の血糖降下効果 有酸素運動はインスリン感受性を改善し、運動後24〜48時間は血糖が低下しやすい。食後1〜2時間の血糖ピーク時に軽い有酸素運動(歩行など)を行うと効果的。
4. 腎疾患・透析患者の理学療法
- 血液透析患者は透析日と非透析日で体調が変動。非透析日の運動が推奨。
- 透析中の運動療法(intradialytic exercise)は有効で、透析効率向上にも貢献するとされる。
- シャント(内シュント)のある腕への血圧測定・静脈採血は禁忌。
⚠️ よくある誤解
- 「心臓病なら安静が一番」→ 適切な段階的運動療法は再入院率・死亡率を低下させる。早期リハが推奨される。
- 「SpO2が下がったら即中止」→ COPDでは安静時から低下していることもある。ベースラインからの変化量と症状で判断する。
- 「糖尿病の運動はいつでもOK」→ インスリン投与直後・空腹時の運動は低血糖リスクがある。タイミングの指導が必須。
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※ 本記事は現役の理学療法士が執筆・監修しています。
最終更新: 2026年5月