整形外科疾患 国試対策ガイド
この記事の執筆者: 現役の理学療法士が、臨床経験と国家試験の出題傾向をもとに執筆・監修しています。
整形外科疾患は国家試験で毎年20問前後出題される重要分野。骨折の分類・治癒過程から各疾患の評価・治療まで体系的に整理しましょう。
1. 骨折の基礎知識
骨折は外力の種類・骨折線の方向・軟部組織損傷の有無によって分類される。国試では骨折の種類と合併症が頻出。
| 分類 | 種類 | 特徴 |
|---|
| 骨折線 | 横骨折・斜骨折・螺旋骨折・縦骨折・粉砕骨折 | 外力の方向で決まる |
| 皮膚 | 閉鎖骨折・開放骨折 | 開放は感染リスク高 |
| 特殊骨折 | 疲労骨折・病的骨折・圧迫骨折 | 原因・機序が異なる |
骨折合併症の頻出ポイント Volkmann拘縮(前腕コンパートメント症候群の後遺症)・反射性交感神経性ジストロフィー(CRPS I型)・偽関節・骨化性筋炎が頻出。特にVolkmann拘縮は肘周囲骨折後の早期発見が重要。
2. 変形性関節症(OA)
| 疾患 | 好発 | 主な症状 | 理学療法 |
|---|
| 変形性膝関節症 | 中高年女性 | 内反変形・内側関節裂隙狭小化・大腿四頭筋萎縮 | 筋力強化・荷重管理・ADL指導 |
| 変形性股関節症 | 先天性股関節脱臼後遺症 | トレンデレンブルグ徴候・跛行・鼠径部痛 | 股関節外転筋強化・杖使用 |
| 変形性脊椎症 | 頸椎・腰椎 | 椎間板高の低下・骨棘形成 | 頸椎・腰椎安定化運動 |
💡 臨床メモ: 変形性膝関節症の患者さんは「痛みで動けない」→「筋力低下」→「さらに痛み」の悪循環に陥りやすい。水中歩行や自転車エルゴメーターは荷重を軽減しながら筋力維持できるため有効。
3. 腰椎疾患
- 腰椎椎間板ヘルニア:髄核が後方に突出してL4-5・L5-S1レベルで坐骨神経痛。SLRテスト陽性(下肢伸展挙上で疼痛)。急性期は安静・牽引、回復期は体幹安定化。
- 腰部脊柱管狭窄症:間欠跛行(歩行で悪化・前屈で軽減)が特徴。神経性間欠跛行と血管性間欠跛行の鑑別が重要。前傾位で症状緩和。
- 腰椎分離すべり症:若年スポーツ選手の疲労骨折が起因。腰椎前弯増大・体幹伸展で悪化。安定化運動・腰椎中間位保持を指導。
SLRテストの解釈 股関節屈曲0度から下肢を挙上し、70度以下で同側の殿部〜下肢に放散痛が出れば陽性。感度は高いが特異度は低い。Bragardテスト(さらに足関節背屈)で陽性の確認。
4. 肩関節疾患
| 疾患 | 特徴的所見 | 理学療法アプローチ |
|---|
| 腱板断裂 | 棘上筋が最多・ペインフルアーク(60〜120度で疼痛)・Emptycan test陽性 | 残存腱板強化・肩甲帯安定化 |
| 肩関節周囲炎 | 凍結肩・拘縮期→解凍期・夜間痛 | 急性期は安静、慢性期に関節可動域訓練 |
| 反復性肩関節脱臼 | 前方脱臼が90%・Bankart損傷・不安定性 | 腱板・肩甲骨周囲筋強化 |
5. 骨粗鬆症と脆弱性骨折
- 大腿骨頸部骨折:Garden分類(Ⅰ〜Ⅳ型)でⅢ・Ⅳは骨頭壊死リスク高→人工骨頭置換術が選択されることが多い。
- 橈骨遠位端骨折(Colles骨折):転倒時の手掌接地で発生。フォーク状変形。
- 脊椎圧迫骨折:骨粗鬆症による胸腰椎移行部に好発。後弯変形・身長低下。
⚠️ よくある誤解
- 「腰椎椎間板ヘルニアは必ず手術が必要」→ 8〜9割は保存療法で改善する。手術適応は膀胱直腸障害・麻痺の進行など。
- 「腱板断裂は断裂したら修復しない」→ 保存療法で残存腱板の強化で機能回復が見込める。ただし大断裂は手術考慮。
- 「SLRテストで腰痛出ればヘルニア」→ 腰部の痛みだけでは陰性。下肢(殿部以下)への放散痛が必要。
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※ 本記事は現役の理学療法士が執筆・監修しています。
最終更新: 2026年5月