神経疾患 国試対策ガイド
この記事の執筆者: 現役の理学療法士が、臨床経験と国家試験の出題傾向をもとに執筆・監修しています。
神経疾患は理学療法の核心分野。脳卒中・パーキンソン病・脊髄損傷はいずれも毎年出題されており、病態の理解から機能評価・治療まで一貫した知識が求められます。
1. 脳卒中の理学療法
脳卒中後遺症の理学療法は時期(急性期・回復期・生活期)によってアプローチが異なる。片麻痺の評価としてBrunnstrom Recovery Stage(BRS)が最重要。
| BRSステージ | 上肢 | 下肢 | 手指 |
|---|
| Ⅰ | 弛緩性麻痺 | 弛緩性麻痺 | 弛緩性麻痺 |
| Ⅱ | 共同運動の出現 | 共同運動の出現 | わずかな屈曲 |
| Ⅲ | 屈曲共同運動 | 屈曲共同運動 | 屈曲 |
| Ⅳ | 部分的分離運動 | 座位での膝屈曲 | わずかな伸展 |
| Ⅴ | 分離運動 | 立位での膝屈曲 | 手指集団伸展 |
| Ⅵ | ほぼ正常 | ほぼ正常 | ほぼ正常 |
共同運動パターンの重要ポイント 上肢屈曲共同運動:肩甲骨後退・肩関節外転・外旋・肘屈曲・前腕回外。上肢伸展共同運動:肩甲骨前突・肩関節内転・内旋・肘伸展・前腕回内。下肢伸展共同運動が歩行時に問題となることが多い(痙性歩行)。
2. パーキンソン病
- 四大症状:安静時振戦(ピルローリング)・筋強剛(鉛管様・歯車様)・無動・姿勢反射障害
- Hoehn&Yahr重症度分類:Ⅰ(片側性)→Ⅱ(両側性・体幹障害なし)→Ⅲ(姿勢反射障害・日常生活自立)→Ⅳ(高度障害・一部介助)→Ⅴ(車椅子・寝たきり)
- 歩行障害:小刻み歩行・すくみ足・加速歩行・突進現象。視覚的・聴覚的キュー(床のラインを踏む・メトロノーム)が有効。
💡 臨床メモ: パーキンソン病のすくみ足には「床のテープを踏む」「大きな声でカウントする」などキュー戦略が有効。レボドパの効果が切れるwearing-off時間帯を把握して訓練時間を設定することも重要です。
3. 脊髄損傷
| 項目 | 内容 |
|---|
| 完全損傷vs不全損傷 | ASIA機能分類:A(完全)B(感覚のみ)C(筋力3未満)D(筋力3以上)E(正常) |
| 頸髄損傷(C6) | 手関節背屈可能・テノデーシスアクション利用した把持が可能 |
| 胸髄損傷(Th6以上) | 自律神経過反射のリスク(膀胱充満・腸管刺激で血圧急上昇) |
| 腰髄損傷(L3-4) | 股関節屈曲・膝伸展可能→短下肢装具+杖での歩行が目標 |
自律神経過反射(Autonomic Dysreflexia) Th6以上の脊髄損傷で生じる緊急事態。誘因(膀胱充満・褥瘡・嵌入爪など)を除去し座位にして血圧低下を図る。血圧が200mmHg以上になることがある。
4. その他の神経疾患
- 多発性硬化症(MS):再発寛解型が多い。疲労が強く「ウートフ現象」(体温上昇で症状悪化)に注意。クールダウンが重要。
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS):上位・下位運動ニューロン障害の混在。進行性・治癒不可。呼吸筋麻痺への対応(人工呼吸管理)が重要。
- ギラン・バレー症候群:急性炎症性多発神経炎。上行性麻痺・呼吸管理・急性期安静後の積極的リハ。
⚠️ よくある誤解
- 「BRS Ⅲなら歩ける」→ BRSは筋緊張・共同運動の指標であり、歩行能力とは直接対応しない。
- 「パーキンソンは高齢者だけの病気」→ 40歳以下の若年性パーキンソンも存在する。遺伝子異常(PINK1・LRRK2等)が関与。
- 「脊髄損傷の完全損傷は回復しない」→ 急性期の完全損傷でも不全損傷が明らかになるケースがある。早期評価が重要。
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※ 本記事は現役の理学療法士が執筆・監修しています。
最終更新: 2026年5月