運動学 国試対策ガイド
この記事の執筆者: 現役の理学療法士が、臨床経験と国家試験の出題傾向をもとに執筆・監修しています。
運動学はPT国試の基盤科目。毎年15〜20問出題される。バイオメカニクスから歩行分析まで、試験頻出テーマを整理する。
1. 関節の分類と運動
| 関節 | 形状 | 軸数 | 主な運動 |
|---|
| 肩関節(球関節) | 球-窩 | 3軸 | 屈曲・伸展・外転・内転・外旋・内旋 |
| 股関節(球関節) | 球-窩(寛骨臼) | 3軸 | 屈曲・伸展・外転・内転・外旋・内旋 |
| 膝関節(蝶番関節) | 大腿-脛骨顆 | 1軸(+回旋あり) | 屈曲・伸展(終末伸展位で外旋) |
| 足関節(蝶番関節) | 距骨滑車-脛腓 | 1軸 | 底屈・背屈 |
| 橈尺関節 | 車軸関節 | 1軸 | 回外・回内 |
| 拇指CM関節 | 鞍関節 | 2軸 | 掌側外転・対立 |
国試頻出 「膝関節の終末伸展時には大腿骨が内旋(または脛骨が外旋)する」——スクリューホームメカニズム。毎回確実に出る。屈曲時はロック解除(unlocking)が起こる。
2. 筋のバイオメカニクス
- トルク = 筋力 × モーメントアーム(支点からの垂直距離)
- モーメントアームが大きいほど同じ筋力でも大きなトルクを生み出せる
- 大腿四頭筋:膝伸展の主動筋。膝蓋腱経由でモーメントアームを稼ぐ
- ハムストリングス:股関節伸展+膝関節屈曲の二関節筋
- 腸腰筋:股関節屈曲の最大主動筋。腰椎前弯に関与
3. 歩行周期
| 相 | 割合 | 主な筋活動 |
|---|
| 初期接地(IC) | 0% | 前脛骨筋(底屈制動) |
| 荷重応答期(LR) | 0-12% | 大殿筋・大腿四頭筋 |
| 立脚中期(MSt) | 12-31% | 下腿三頭筋(重心前方移動制御) |
| 立脚後期(TSt) | 31-50% | 下腿三頭筋(推進力) |
| 前遊脚期(PSw) | 50-62% | 腸腰筋 |
| 遊脚初期(ISw) | 62-75% | 腸腰筋・前脛骨筋 |
| 遊脚中期(MSw) | 75-87% | 前脛骨筋(足のクリアランス) |
| 遊脚終期(TSw) | 87-100% | ハムストリングス(遊脚制動) |
4. 重心・支持基底面と安定性
- 重心(COG):第2仙骨前方付近(身長の約55〜56%の高さ)
- 支持基底面が広いほど・重心が低いほど安定性は高い
- 片脚立位では重心線が支持基底面の中心より外側にある
- 安定限界(LOS):転倒せず重心を移動できる最大範囲
💡 臨床メモ: 歩行分析は動画で覚えるのが最速。「正常歩行 スロー」で検索し、ICからTSwまでの流れを動画で確認すると、国試問題の「どの相での異常か」が判断できるようになる。
よくある誤解
- 「膝関節は完全に1軸」→ 屈曲に伴い大腿骨の回旋も起きる。純粋な1軸蝶番ではない。
- 「大腿四頭筋は膝を伸ばすだけ」→ 内側広筋斜頭(VMO)はパテラトラッキングに重要で、膝OAのリハビリで特に注目される。
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※ 本記事は現役の理学療法士が執筆・監修しています。
最終更新: 2026年5月