第60回 理学療法士国家試験 午後 第1問
理学療法評価学第60回午後
第60回 理学療法士国家試験 午後 第1問(理学療法評価学)の正答は 3 です。中殿筋のMMTで最も重要なのは骨盤の固定である。
問題
80歳の女性。右変形性股関節症に対し人工関節全置換術を施行。1週間が経過し、歩行器での移動が可能となった。本症例にDanielsらの徒手筋力テストに基づき、左中殿筋の段階4の評価を行う。適切な測定はどれか。
- 1. 側臥位を計測姿勢とする。
- 2. 右側の股関節は屈曲させる。
- 3. 骨盤が回旋しないように固定する。 ✓
- 4. 左下肢は外旋位とする。
- 5. 最大の抵抗を足関節から加え、姿勢を保持できる。
正答:3番
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この問題の正答率(PTカコモン利用者の実データ)
初回正答率 54.5%参考値
11人の初回解答から算出(2026年7月28日時点)。母数が少ないため参考値です
同じ利用者の2回目以降の解答は除外しています(再挑戦を含めると正答率は実力より高く出るため)。国家試験の公式発表値ではなく、PTカコモンで実際に解かれた記録にもとづく数値です。
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解説
👥 読者の報告をもとに修正済み(2026-08-07)— ご指摘ありがとうございました
■ 正答:3番 — 骨盤が回旋しないように固定する。
中殿筋のMMTで最も重要なのは骨盤の固定である。骨盤の回旋・挙上を許すと大腿筋膜張筋の動員や体幹側屈による代償が入り、純粋な股関節外転筋力を評価できない。これは計測姿勢によらず必須の条件であり、本症例のように術側を下にした側臥位が取りにくい状況でも変わらない。
※ 以前の解説は選択肢1も「正しい」としていました。読者の指摘を受け、症例条件(右THA術後1週)を踏まえて全面的に書き直しています。
【各選択肢の解説】
1. 側臥位を計測姿勢とする。
❌ 本症例では適切でない。Daniels法の中殿筋MMTは段階3以上を側臥位(検査側を上)で行うのが原則である。しかし左中殿筋を検査するには術側の右を下にした側臥位になる。右は人工股関節全置換術後1週であり、創部の圧迫・疼痛の面から術側を下にする姿勢は避ける。教科書どおりの肢位がそのまま使えない症例設定になっている。
❌ 本症例では適切でない。Daniels法の中殿筋MMTは段階3以上を側臥位(検査側を上)で行うのが原則である。しかし左中殿筋を検査するには術側の右を下にした側臥位になる。右は人工股関節全置換術後1週であり、創部の圧迫・疼痛の面から術側を下にする姿勢は避ける。教科書どおりの肢位がそのまま使えない症例設定になっている。
2. 右側の股関節は屈曲させる。
❌ 誤り。側臥位で下側の下肢を屈曲させて安定させるのは一般的な手技だが、右は術側である。屈曲+内転+内旋は後方アプローチのTHAにおける脱臼肢位にあたり、術後1週で積極的に屈曲位をとらせる指示は不適切。
❌ 誤り。側臥位で下側の下肢を屈曲させて安定させるのは一般的な手技だが、右は術側である。屈曲+内転+内旋は後方アプローチのTHAにおける脱臼肢位にあたり、術後1週で積極的に屈曲位をとらせる指示は不適切。
3. 骨盤が回旋しないように固定する。
✅ 正しい。骨盤の回旋・挙上を許すと股関節屈曲や体幹側屈による代償が生じ、正確な外転筋力を評価できない。計測姿勢を問わず必須の条件である。
✅ 正しい。骨盤の回旋・挙上を許すと股関節屈曲や体幹側屈による代償が生じ、正確な外転筋力を評価できない。計測姿勢を問わず必須の条件である。
4. 左下肢は外旋位とする。
❌ 誤り。外旋位にすると腸腰筋・大腿筋膜張筋など股関節屈筋群の関与が増え、純粋な外転の評価にならない。回旋中間位・軽度伸展位で行う。
❌ 誤り。外旋位にすると腸腰筋・大腿筋膜張筋など股関節屈筋群の関与が増え、純粋な外転の評価にならない。回旋中間位・軽度伸展位で行う。
5. 最大の抵抗を足関節から加え、姿勢を保持できる。
❌ 誤り。2か所が誤っている。抵抗は大腿遠位(膝の直上)外側に加える(足関節ではテコが長くなり過小評価になる)。また最大抵抗に抗するのは段階5であり、段階4は「中等度の抵抗」に抗して全可動域を保持できる状態を指す。
❌ 誤り。2か所が誤っている。抵抗は大腿遠位(膝の直上)外側に加える(足関節ではテコが長くなり過小評価になる)。また最大抵抗に抗するのは段階5であり、段階4は「中等度の抵抗」に抗して全可動域を保持できる状態を指す。
【試験対策ポイント】
中殿筋MMTの要点:側臥位(検査側が上)・骨盤固定・回旋中間位での外転・抵抗は大腿遠位外側。
| 段階 | 判定 |
|---|---|
| 5 | 最大抵抗に抗して保持できる |
| 4 | 中等度の抵抗に抗して保持できる |
| 3 | 抵抗なしで全可動域を動かせる |
| 2以下 | 背臥位(重力除去位)で評価する |
代償(骨盤挙上・股関節屈曲や外旋による大腿筋膜張筋の動員)を見抜けるかが頻出。THA術後の症例では「術側を下にしない」「脱臼肢位=屈曲+内転+内旋をとらせない」という臨床条件が選択肢の正誤を分ける。手技の原則を覚えるだけでなく、症例文の術側・術後日数を必ず確認すること。
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