発達障害は生まれもった脳機能の特性であり、育て方やしつけが原因ではない。発達早期に特性が現れ、環境調整と療育が支援の基本となる。
| 障害 | 中核症状 | 支援の要点 |
|---|---|---|
| 自閉スペクトラム症〈ASD〉 | 社会的コミュニケーションの障害+限定的・反復的な行動(こだわり)/感覚過敏・鈍麻 | 構造化(TEACCH)・視覚支援・見通しを与える |
| 注意欠如・多動症〈ADHD〉 | 不注意・多動性・衝動性 | 刺激を減らす環境調整・即時の正の強化 |
| 限局性学習症〈LD〉 | 読み・書き・計算など特定領域だけの習得困難(全般的知能は保たれる) | 代替手段(タブレット・読み上げ)の許容 |
| 知的障害 | 知的機能と適応行動の両方の制約が発達期に発現 | 生活年齢に合わせた課題設定 |
「学童期に発症」「精神遅滞を伴うことは稀」「大部分でてんかんを認める」はいずれも誤り。正しくは発達早期に発現・知的障害の合併は稀でない・てんかんは一部のみ。
| 適切な対応 | 理由 |
|---|---|
| 指示は1つずつ出す | 一度に複数だと混乱し実行できない |
| 指示を視覚化する(絵カード・スケジュール表) | 聴覚のみの指示は流れてしまう |
| 好ましい行動をしたらすぐにほめる | 即時の正の強化が定着に有効 |
| 軽微な症状は許容する | 完璧を求めず自己肯定感を守る |
| 気の散る刺激を減らす環境調整 | 注意の持続を助ける |
雑談しながら作業をさせるのは適切でない。注意がそれて課題遂行を妨げる。ADHD支援は「刺激を増やす」方向ではなく減らす・整理する方向。叱責中心・一度に多くの指示も逆効果。
| 病型 | 責任病巣 | 特徴・合併 |
|---|---|---|
| 痙直型(最多) | 錐体路(大脳皮質) | 痙縮。てんかん・知的障害の合併が多い |
| アテトーゼ型 | 大脳基底核(核黄疸など) | 不随意運動が主症状・原始反射が残存しやすい |
| 失調型 | 小脳 | 協調運動障害・動揺性 |
| 混合型 | 複合 | 安静時は筋緊張低下、動作時に亢進する例など |
「不随意運動=大脳基底核=アテトーゼ型」が鉄則。視覚障害・歩行障害は両型に共通しうるのでアテトーゼ型に特徴的とはいえず、知的障害・てんかんはむしろ痙直型で多い。
痙直型の下肢は股関節屈曲・内転・内旋、膝屈曲、足関節底屈(尖足)のパターンにはまりやすい。両麻痺の背景は早産・低出生体重児の脳室周囲白質軟化症(PVL)で、側脳室の近くを通る下肢の錐体路線維が障害されるため下肢優位の麻痺になる。
| 歩行の特徴として出る言い回し | 正誤 | 理由 |
|---|---|---|
| 股関節は内転位・内旋位になりやすい | ○ | 内転筋・内旋筋の痙縮(+大腿骨前捻の残存)で両膝が擦れ合うはさみ肢位(scissors gait) |
| 膝関節は伸展位になりやすい | × | ハムストリングスの痙縮で膝屈曲位=かがみ歩行(クラウチング歩行・crouch gait) |
| 肩関節は内転位になりやすい | × | バランスをとるため上肢を挙げるハイガード(肩外転・肘屈曲) |
| 肘関節は伸展位になりやすい | × | 上肢も屈曲位をとりやすい |
| 体幹の動揺は少ない | × | 骨盤・体幹が不安定で、体幹を振って代償する=動揺は大きい |
| 重心の上下動が小さい | × | 尖足と膝の屈伸コントロール不良で上下動は大きい |
| 骨盤の回旋が大きい | × | 体幹・骨盤帯を同時収縮で固めるため、生理的な回旋は減る |
| 歩幅が大きい | × | 振り出しが制限され歩幅は小さい |
| 歩行率が小さい | × | 歩幅の小ささを歩数で補うため歩行率(ケイデンス)は大きい。それでも速度は遅い |
下肢の左右分離運動困難も両麻痺の中心的な問題。両下肢が左右同じパターンでしか動かず、立ち上がりや四つ這いから片脚ずつ足を体の下へ引き込む非対称な動きができない。図の問題で、両下肢が左右対称にそろったまま伸びて動作が止まっていれば、まずこれを疑う。
図を反射で説明できるかは上肢と下肢それぞれの屈伸で確かめる。緊張性対称性頸反射(STNR)=頸部屈曲で上肢屈曲・下肢伸展/頸部伸展で上肢伸展・下肢屈曲。緊張性迷路反射(TLR)=背臥位で伸展優位・腹臥位で屈曲優位。上肢が伸展して体を支えているのに頸部が屈曲している、などパターンと合わなければ反射の残存ではない。
| 部位 | 起こりやすい | 誤りで出る逆向き |
|---|---|---|
| 前腕 | 回内拘縮(上肢は肩内転内旋・肘屈曲・手関節掌屈のパターン) | 回外拘縮 |
| 手指 | 握り込んだ屈曲位(母指内転=thumb-in-palm)→MP関節は屈曲拘縮 | MP(中手指節間)関節の伸展拘縮 |
| 股関節 | 屈曲・内転・内旋拘縮(はさみ肢位。股関節脱臼の主因) | 外転拘縮 |
| 膝関節 | 屈曲拘縮(ハムストリングス痙縮+長時間の座位) | — |
| 体幹 | 脊柱側弯(非対称な筋緊張と姿勢の固定化) | — |
重度例で警戒する二次障害の代表=股関節脱臼・脊柱側弯・呼吸障害・胃食道逆流。いずれもポジショニング・シーティングが予防の柱。
| 時期 | 代表的な危険因子(代表例) |
|---|---|
| 出生前 | 脳形成異常・子宮内感染(TORCH)・胎盤機能不全・多胎 |
| 周産期 | 新生児仮死(低酸素性虚血性脳症)・早産/低出生体重・脳室周囲白質軟化症・頭蓋内出血・核黄疸(高ビリルビン血症)・新生児低血糖。緊急帝王切開になる背景(胎児機能不全・常位胎盤早期剝離・臍帯脱出)も低酸素のリスクを示す |
| 出生後(生後4週以内) | 髄膜炎・脳炎・頭部外傷 |
低カリウム血症は脳性麻痺の危険因子に挙がらない。筋力低下・不整脈の原因になるが、中枢神経に不可逆的な損傷を残しにくい。脳障害につながる代謝の異常として問われるのは低血糖・高ビリルビン血症(核黄疸)など。
脳性麻痺児の粗大運動をレベルⅠ〜Ⅴの5段階に分類する。数字が大きいほど重度。年齢帯ごとに基準が記述され、12〜18歳帯を加えた拡張改訂版がGMFCS-E&R。判定の決め手は「何で移動するか」と「座位の自立度」の2つ。
| レベル | 移動(6〜12歳の像) | 階段・座位 |
|---|---|---|
| Ⅰ | 制限なく歩行。走行・跳躍も可能(速度・バランスに制限) | 階段は手すりなしで昇降 |
| Ⅱ | 装具・歩行補助具なしで歩行。長距離・不整地・狭所・人混みで制限や介助 | 階段は手すりを使用。走行・跳躍は困難 |
| Ⅲ | 手に持つ移動器具(杖・ロフストランド杖・歩行器)で歩行。長距離・屋外は車椅子を自走 | 不整地・階段は介助か車椅子。座位は自立 |
| Ⅳ | 自力歩行は実用的でない。移動は介助または電動車椅子(自立操作可)。歩行器歩行は介助下で短距離のみ | 座位保持に体幹支持が必要(通常の椅子では保持できない) |
| Ⅴ | 手動車椅子で移送される。自力移動が著しく制限 | 頭部・体幹の抗重力保持が困難。寝返り・四つ這いも難しい |
境界の見分け Ⅰ/Ⅱ=階段で手すりが要るか(走行・跳躍の可否)/Ⅱ/Ⅲ=手に持つ移動器具が要るか/Ⅲ/Ⅳ=座位が自立しているか・移動が車椅子主体か/Ⅳ/Ⅴ=電動車椅子を自立操作できるか。
| 記述 | レベル |
|---|---|
| ロフストランド杖など手に持つ移動器具で歩行可能 | Ⅲ |
| 歩行補助具なしで屋外歩行可能。階段昇降で手すりが必要 | Ⅱ |
| 階段で手すりを要し、長距離歩行や狭所で介助が必要 | Ⅱ |
| 床上座位は体幹が崩れて保持できず、立位・移乗は介助。屋内は歩行器で介助下に10m。屋外は手動車椅子で移送か電動車椅子を自立操作 | Ⅳ |
組合せ問題の定番誤答。「Ⅰ―階段で手すり使用」は誤り→手すり使用はⅡ。「Ⅲ―不整地の歩行」は誤り→Ⅲは不整地・階段が制限され介助か車椅子。「Ⅳ―通常の椅子で座位保持」は誤り→Ⅳは座位に支持が要る。「Ⅴ―寝返り可能/四つ這い移動可能」は誤り→Ⅴは抗重力保持そのものが困難。正しい組合せはⅡ―装具なしで歩行。
| 状態 | 優先する介入 | 不適切な介入とその理由 |
|---|---|---|
| 痙直型・レベルⅡ | 歩行補助具なしでの歩行練習(今ある能力を伸ばす) | 車椅子駆動練習・スタンディングボードはⅣ〜Ⅴ向けで過剰/割り座(W座り)は股関節内旋・内転を助長し痙直型では避ける/バニーホッピングは異常パターンを助長 |
| 痙直型両麻痺・レベルⅢで立位が体幹前傾+上肢もたれ | 体幹筋の同時収縮を促す(近位・体幹の安定が先、遠位の運動は後) | 上肢支持能力の強化は依存姿勢を固定化/介助量を減らすのは基盤不足で転倒・代償を助長/長下肢装具は過剰制動/選択的後根切断術は重度痙縮への最終手段 |
| レベルⅢで車椅子駆動が自立 | 駆動を妨げない設定。フットサポートはスイングアウト式で足元を開放し移乗を容易にする | ヘッドサポート・リクライニングは過剰サポート/背もたれを肩まで上げると上肢駆動を妨げる(低めが適切)/座面を高くすると足が床に届かず駆動・移乗が困難 |
| 2歳台・全身の筋緊張低下、両上肢支持で座位1分、移動はずり這い、ADL全介助 | 座位保持装置(体幹を支えて座位を安定させ、上肢の使用とADLにつなぐ) | 歩行器・靴型装具は歩行獲得の見通しが立たない段階で早すぎる/電動車椅子・普通型車椅子は座位が不安定な段階では支持不足 |
小児の補装具選択は発達段階を最優先。座位・体幹の安定が確立してから移動手段を検討する順序。自立度が高いほど装備は減らし、重度になるほど座位保持装置・ヘッドサポート・ティルトを足していく。
| 型 | 強く出るパターン | とらせる姿勢 |
|---|---|---|
| 痙直型両麻痺・四肢麻痺 | 下肢の伸展・内転・内旋・尖足(抱っこで両脚が突っ張って交差する) | 股・膝を屈曲、股を外転、足底を接地 |
| 痙直型片麻痺 | 上肢屈曲・下肢伸展 | 患側の肩甲帯を前に出し肘を伸ばす |
| アテトーゼ型 | 不随意運動・非対称 | 正中位で、支持面を広くとって安定させる |
座位保持の基本は股・膝・足関節をそれぞれおおむね90°(90度ルール)。三本柱は足底の接地・骨盤ベルト・体幹の側方支持。足底が浮くと上肢の操作性も落ちる。
| 用具 | 使い方 | ねらい | 誤りで出る組合せ |
|---|---|---|---|
| ツイスター | 骨盤帯と靴・短下肢装具をケーブルやゴムでつなぐ | 股関節(下肢)の回旋コントロール=内旋歩行の矯正 | — |
| クローラー | 腹臥位で腹部を支え、上肢で床をこいで進む | 頭頸部・体幹伸筋の抗重力活動。四つ這い移動の準備 | — |
| 三角マット(ウェッジ) | 腹臥位で胸の下に入れる | 頭部挙上・上肢支持・体幹伸展 | 「下肢の支持性改善」× |
| スタビライザー(起立保持具)・プローンボード | 立位を保持させる | 下肢の支持性・抗重力伸展、臼蓋形成の促進、骨萎縮の予防 | 「上肢伸筋群の強化」× |
| ターンバックル | ねじで長さを変え持続的な矯正力をかける部品 | 膝・肘の屈曲拘縮の矯正 | 「前足部の変形改善」×(内反足にはDenis Browne装具など) |
すでにできている課題(座位保持練習・立ち上がり練習)や、体幹がもともと軽度な児への体幹伸展練習、壁に殿部をもたれた両脚立位での遊びは、片脚支持の要素がなく歩き出しの問題に届かない。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 主に脳性麻痺。二分脊椎のための尺度ではない。年齢で対象を限定せず運動機能レベルで評価する |
| 構成 | 5領域88項目=A臥位と寝返り/B座位/C四つ這いと膝立ち/D立位/E歩行・走行・ジャンプ |
| 採点 | 各項目0〜3の4段階(0:着手なし 1:開始 2:部分的達成 3:完全達成) |
| 基準 | 健常5歳児なら全項目を達成できるように構成 |
| 性格 | 粗大運動「能力」の評価尺度。定型発達と照合する発達検査ではない。経時的変化への反応性が高い |
| 評価しないもの | セルフケアは含まない(セルフケアはPEDI・WeeFIMが扱う)/認知機能も評価しない |
| GMFM-88 | GMFM-66 | |
|---|---|---|
| 項目数 | 88項目 | 66項目 |
| 尺度水準 | 順序尺度的(%で表す) | Rasch分析で重みづけした間隔尺度 |
| Item Map | ― | 作成できる。項目を難易度順に配列し、次に獲得すべき能力を予測・検討できる |
頻出の誤り。「各項目は0〜4の5段階」→ 正しくは0〜3の4段階。「4領域88項目」→ 正しくは5領域88項目。「健常3歳児で達成可能」→ 正しくは5歳児。「標準化された発達評価である」→ 発達評価ではなく運動能力の評価。「GMFM-88は間隔尺度」→ 間隔尺度はGMFM-66。「Item Mapで認知機能を判定できる」→ 認知機能は判定できない。
GMFMとGMFCSの区別が最頻出 GMFM=粗大運動能力を点数化する評価尺度/GMFCS=重症度をレベルⅠ〜Ⅴに分類する分類システム。「重症度をⅠ〜Ⅴに分類する」という記述をGMFMの説明として出す引っかけが繰り返し出題される。
| 略称 | 正式名・内容 | 対象 |
|---|---|---|
| GMFCS | 粗大運動能力分類システム(Ⅰ〜Ⅴ) | 脳性麻痺児 |
| GMFM | 粗大運動能力尺度(88項目・点数化) | 脳性麻痺児 |
| PEDI/WeeFIM | セルフケア・ADLの評価 | 小児全般 |
| NIHSS | 急性期の神経学的欠損度(0〜42点) | 脳卒中 |
| SIAS | 運動・感覚など身体機能の総合評価 | 脳卒中(回復期以降) |
| UPDRS | 統一パーキンソン病評価尺度 | パーキンソン病 |
| MMPI | ミネソタ多面人格目録(心理検査) | 人格・精神状態(身体機能ではない) |
脳卒中の身体機能評価として選ぶのはNIHSSとSIAS。GMFCSは脳性麻痺児用、UPDRSはパーキンソン病用、MMPIは心理検査で身体機能評価ではない。発達検査はデンバーⅡ・遠城寺式・新版K式で、これらもGMFM/GMFCSとは別物。
「学級編成人数は10名以上である」は誤り。正しくは最大10名以下(知的障害対象は6名以下)。少人数編成できめ細かい指導を行うのが原則。