変形性関節症(OA)は関節軟骨の摩耗と、それに対する骨の増殖性変化(骨棘・骨硬化)が主体。画像問題では「OAの所見か、別の疾患の所見か」を見分ける。
| 所見 | 意味 |
|---|---|
| 関節裂隙の狭小化 | 軟骨の摩耗。膝OAの重症度判定の中心。末期では裂隙が消失し骨同士が接する |
| 骨棘形成 | 関節縁・顆間隆起などに骨性の突出。軟骨摩耗に対する増殖性変化 |
| 軟骨下骨の硬化 | 荷重部の骨が白く厚く写る |
| 骨囊胞(骨のう胞) | 骨頭・臼蓋・脛骨内の境界明瞭な透亮像 |
| 臼蓋底の肥厚(股関節) | 荷重ストレスに対する反応性の肥厚 |
| 内反変形(膝関節) | 日本人の膝OAは内側型(内反膝・O脚)が多い。内側の裂隙が狭くなる |
骨融解像(骨が虫食い状に抜ける)・骨萎縮・骨びらんは関節リウマチ・骨腫瘍・骨髄炎などの所見で、OAの所見ではない。OAは「減る(裂隙)」と「増える(骨棘・硬化)」が同時に起こる病気と覚える。
| グレード | 所見 |
|---|---|
| I | 骨棘の疑い |
| II | 明らかな骨棘・軽度の裂隙狭小化 |
| III | 中等度の裂隙狭小化・骨硬化 |
| IV | 裂隙の消失・著明な変形 |
| 所見 | 変形性股関節症 | 大腿骨頭壊死症(特発性骨壊死) |
|---|---|---|
| 関節裂隙 | 早期から狭小化 | 進行するまで保たれる |
| 骨頭の形 | 球形が保たれやすい | 圧潰・陥凹 |
| 特徴的な所見 | 骨棘・骨硬化・骨囊胞・臼蓋底の肥厚 | 帯状硬化像(band sclerosis)・crescent sign |
| 背景 | 臼蓋形成不全による二次性が大半・女性に多い | ステロイド・アルコールなど |
膝の特発性骨壊死は大腿骨内顆に限局した透亮像・関節面の陥凹が特徴。裂隙狭小化と骨棘が主体ならOAと読む。
| 名称 | 部位 | 疾患 |
|---|---|---|
| Heberden結節 | DIP関節(遠位指節間関節) | 変形性指関節症(中高年女性に多い) |
| Bouchard結節 | PIP関節(近位指節間関節) | 変形性指関節症 |
| (参考)尺側偏位・スワンネック変形 | MP関節・PIP関節が中心 | 関節リウマチ |
Heberden=端(はし)=DIP、Bouchard=その手前のPIP。MP関節は関節リウマチの好発部位で、OAの結節の部位ではない。
| 名称 | 現れ方 |
|---|---|
| Trendelenburg徴候 | 立脚側の中殿筋が弱く、遊脚側の骨盤が下がる |
| Duchenne歩行 | 立脚期に体幹を立脚側(弱い側)へ傾けて代償する |
Duchenne歩行の原因は中殿筋の筋力低下に加え、疼痛・可動域制限・脚長差。術前評価では筋力・ROM・疼痛・形態計測をそろえる。
内転「−10°」を「内転が10°しか無い」と読むと外れる。マイナスは中間位に届かないという意味。
| 所見 | 内容 |
|---|---|
| 外側スラスト(lateral thrust) | 立脚初期に膝が急に外側へ揺れる。内反型膝OAのキーワード |
| 立脚側への体幹傾斜 | 床反力ベクトルを膝関節中心に近づけて内反モーメントと痛みを減らす代償 |
| 歩行速度の低下 | 疼痛回避で歩幅が減り、股関節伸展角度・骨盤回旋は小さくなる。推進力=床反力前後成分は小さくなる |
| 両脚支持期 | 患側への荷重を避けるため延長する |
膝OAは疼痛と関節液貯留で屈曲拘縮を生じやすく、反張膝は起こりにくい(反張膝は片麻痺や大腿四頭筋麻痺)。分回しは片麻痺、遊脚側骨盤の下制は中殿筋筋力低下(股OAなど)の所見。
床反力垂直分力は二峰性(第1ピーク=荷重応答期付近、第2ピーク=立脚終期付近)。大腿直筋は股関節屈曲+膝伸展の二関節筋で、荷重応答期(膝屈曲を遠心性に制動)と立脚終期〜前遊脚期(股関節屈曲で振り出しの準備)の二相で活動する。立脚中期の谷では主活動相ではない。
荷重関節のOAでは「関節にかかる荷重を減らしながら、筋力・持久力・柔軟性を上げる」。筋力増強の手段を選ぶときは、負荷の大きさより先に荷重下か非荷重下かを見る。
| 適切な例 | 避ける例 |
|---|---|
| 水中歩行(浮力で荷重軽減) 自転車エルゴメーター(座位で荷重が小さい) 背臥位など非荷重位でのストレッチ 杖を用いた歩行練習 中殿筋の強化 減量 | 階段昇降による筋力増強(片脚支持で関節反力が体重の数倍) ジャンプ・ジョギング・荷重下の高負荷運動 長距離歩行 深いしゃがみ込み・正座など和式生活 |
「筋力低下がある→階段昇降で鍛える」は短絡。荷重時痛があり肥満(BMI 25以上)を伴う例では、痛みの増悪と関節破壊の進行を招く。
| 運動 | 判断 |
|---|---|
| 大腿四頭筋の抵抗運動(端座位で重錘を付けた膝伸展など) | 適切:膝OAの中核 |
| パテラセッティング(大腿四頭筋の等尺性収縮) | 適切:痛みの強い時期でも行える |
| 膝伸展方向へのストレッチ | 適切:伸展制限(屈曲拘縮)の残存は内側への荷重集中を助長する |
| ハムストリングスの抵抗運動 | 適切:膝周囲筋のバランス |
| 両膝でボールを挟む股関節内転筋の運動 | 内反膝では避ける:内反モーメントを増やし内側の関節裂隙への圧を高める |
| 変形 | 足底板 | 理屈 |
|---|---|---|
| 内反膝(O脚)・内側型膝OA | 外側ウェッジソール(外側が高い楔状足底板) | 膝を外反方向へ矯正し、内側コンパートメントの荷重を減らす |
| 外反膝(X脚) | 内側ウェッジソール | 膝を内反方向へ矯正 |
内反膝に内側ウェッジは内反を強めて逆効果。また内反を矯正する手術(高位脛骨骨切り術)の後は荷重がすでに外側へ移っており、外側を高くした足底板は適応にならない(2-3)。
| 名称 | 目的 |
|---|---|
| ロッカーバー | 靴底を舟底状にして踏み返しを助ける。中足趾節関節の痛み・前足部の免荷 |
| メタタルザルバー | 中足骨頭部の免荷 |
| トーマスヒール | 踵の内側を前方へ延長。扁平足(回内足)の矯正 |
| 逆トーマスヒール | 踵の外側を延長。凹足・内反足 |
いずれも膝の内反を矯正する働きは無い。トーマスヒールは股関節の装具ではなく、Thomasテスト(股関節屈曲拘縮の検査)とは別物。
杖の持ち手、足底板の向き、避ける運動、生活様式は「痛い関節の荷重を減らす方向か」で判断できるものが多い。これと並ぶもう一つの柱が筋力増強(大腿四頭筋など)・可動域の改善・バランス練習で、荷重を減らさない運動療法も保存療法の中核に入る。