第7章|消化器・泌尿器・内分泌・感覚器

解剖学 第7章

7-1 消化管の区分と胃の解剖

消化管の連続

口腔→咽頭→食道→胃→十二指腸→空腸→回腸→盲腸→上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸→直腸→肛門。区分の「取りこぼし」を突く出題が定番。

区分構成要点
食道頸部・胸部・腹部気管の後方を下行(前方ではない)
小腸十二指腸・空腸・回腸(3つ)栄養吸収の主役。輪状ヒダ(Kerckringひだ)は空腸で最も発達し、十二指腸は比較的乏しい
大腸盲腸・結腸・直腸(3つ)水分吸収と便形成。回腸は回盲弁で盲腸に連なる
結腸の曲がり右結腸曲(肝彎曲)・左結腸曲(脾彎曲)横行結腸の右端=上行結腸、左端=下行結腸

「小腸は十二指腸と回腸からなる」は誤り → 空腸が抜けている。「大腸は結腸と直腸からなる」は誤り → 盲腸が抜けている。「横行結腸右端は下行結腸に連なる」は誤り → 右端は上行結腸

胃の区分と付着する膜

噴門→胃底→胃体→幽門前庭(幽門部)→幽門の順。噴門=食道側の入口(第11胸椎の左)、幽門=十二指腸側の出口(第1腰椎の右)。

部位・構造位置備考
噴門食道と胃の境下部食道括約筋があり逆流を防ぐ
幽門胃と十二指腸の境幽門括約筋(幽門弁)があり、内容物を少量ずつ送り出す。噴門・幽門とも括約筋をもつ
胃底噴門より上方のドーム状の膨隆「胃の下端部」ではない
角切痕(胃切痕)小弯側の屈曲点ここより遠位(幽門側)が幽門前庭
小弯胃の右縁小網(肝胃間膜)が付着し肝臓と結合
大弯胃の左縁大網が垂れ下がり横行結腸と結合。胃脾間膜で脾臓とも連絡

胃腺の分布

  • 胃底腺=胃底部から胃体部にかけて広く分布し、胃体部に最も多い。壁細胞(塩酸・内因子)・主細胞(ペプシノゲン)・副細胞(粘液)を含む
  • 幽門腺(幽門前庭)=粘液細胞が優位。G細胞がガストリンを分泌

「胃酸を分泌する腺は胃底部に多い」「幽門前庭に多い」はいずれも誤り → 壁細胞を含む胃底腺は胃体部に最も多い。「胃の左縁を小弯という」は誤り → 左縁は大弯。「大弯は肝胃間膜で肝臓と結合」は誤り → 肝胃間膜がつくのは小弯。「幽門は食道に連なる」は誤り → 食道に連なるのは噴門

7-2 肝・胆・膵と腹膜のつくり

胆汁の産生と経路

  • 産生は肝臓(肝細胞)胆嚢は貯蔵・濃縮するだけで産生しない
  • 性状=弱アルカリ性(重炭酸イオンを含む)。消化酵素は含まない。胆汁酸が脂肪を乳化してリパーゼの作用を助ける
  • 経路=肝細胞→毛細胆管→肝管→(胆嚢管・胆嚢で濃縮)→総胆管→大十二指腸乳頭(Vater乳頭)→十二指腸下行部
  • 胆汁を分泌するのは肝細胞。毛細胆管(胆細管)・肝管・胆嚢はいずれも通り道か貯蔵庫であって分泌の主体ではない(胆嚢は水分を吸収して濃縮するだけ)。「胆細管から分泌される」は誤り。
  • 胆汁酸は回腸末端(小腸)で再吸収され肝へ戻る=腸肝循環。大腸ではない
  • 胆汁色素ビリルビンはヘモグロビン由来

「胆汁は酸性」「消化酵素を含む」「大腸で再吸収される」はすべて誤り。それぞれ弱アルカリ性・酵素なし・回腸で再吸収が正しい。

膵臓

  • 後腹膜器官胃の後方(背側)を左右に横走し、横行結腸の後方を通る(前面ではない)
  • 膵頭=右・十二指腸に囲まれる膵尾=左・脾臓に達する
  • 主膵管は総胆管と合流して大十二指腸乳頭に開口。出口にOddi括約筋
  • 外分泌=消化酵素、内分泌=Langerhans島(膵全体に散在するが膵尾に多い

腹膜と後腹膜臓器

区分臓器
後腹膜臓器腎臓・副腎・尿管・膵臓・十二指腸(球部を除く)・上行結腸/下行結腸・腹大動脈・下大静脈
腹腔内臓器(腸間膜あり)胃・空腸・回腸・横行結腸S状結腸・脾臓・肝臓

結腸の振り分けが最頻出。上行・下行=後腹膜/横行・S状=腹腔内。腎は結腸より後方(背側)にある。語呂は「SAD PUCKER」(副腎・大血管・十二指腸・膵・尿管・結腸・腎・食道・直腸)。

小網と大網

  • 小網=肝臓と胃小弯・十二指腸上部をつなぐ腹膜ヒダ。肝胃間膜+肝十二指腸間膜からなる
  • 肝十二指腸間膜の遊離縁を門脈・固有肝動脈・総胆管が走り、その背側が網嚢孔(Winslow孔)
  • 大網=大弯から垂れるエプロン状の膜で横行結腸に達する
  • 腎臓・膵臓は後腹膜臓器なので小網とは無関係

7-3 腎臓の構造とネフロン

腎の位置と左右差

  • 後腹膜腔に左右1対。右腎は上方の肝臓に押されて低位
  • 大動脈は正中よりやや左寄りのため、右腎動脈のほうが長い(下大静脈の後方を走る)
  • 実質は外側の皮質と内側の髄質に分かれる

ネフロン=腎小体+尿細管

  • ネフロン(腎単位)=腎小体(糸球体+Bowman嚢)+尿細管。尿生成の機能単位
  • 腎小体には血管が出入りする血管極と、尿細管が始まる尿管極がある
  • 糸球体・腎小体は皮質Henle係蹄・集合管は髄質
  • Bowman嚢が包むのは糸球体。腎乳頭は集合管が開口する髄質の尖端で、腎杯に突出する
系統順路
尿路糸球体で濾過→Bowman嚢→近位尿細管→Henle係蹄→遠位尿細管→集合管→腎乳頭→小腎杯→大腎杯→腎盂(腎盤)→尿管→膀胱→尿道
血管路腎動脈→葉間・弓状・小葉間動脈→輸入細動脈糸球体輸出細動脈→尿細管周囲毛細血管・直血管→小葉間静脈→腎静脈

尿路と血管路を混ぜる選択肢が繰り返し出る。「Henle係蹄は小葉間静脈につながる」は誤り → Henle係蹄は尿細管であり上行脚が遠位尿細管へ続く。「輸出細動脈は集合管につながる」は誤り → つながるのは尿細管周囲毛細血管「輸入細動脈はHenle係蹄につながる」は誤り → 入るのは糸球体「腎乳頭はBowman嚢に覆われる」は誤り → Bowman嚢が覆うのは糸球体。「糸球体は髄質にある」は誤り皮質

腎が出すホルモン

  • レニン=傍糸球体細胞(血管極)。RAA系の起点
  • エリスロポエチン=腎で産生され骨髄の赤血球産生を促す(骨髄で作られるのではない)
  • 活性型ビタミンDの最終活性化も腎で行われる

7-4 尿路・膀胱・尿道と尿量の調節

膀胱と尿道

構造位置・特徴
尿管口膀胱底(膀胱三角の後上角)に左右1対。膀胱尖(前上端)ではない
逆流防止解剖学的な弁はなく、尿管が膀胱壁を斜めに貫くことで機能的に逆流を防ぐ
膀胱三角左右の尿管口(後上2角)+内尿道口(前下1角)がつくる三角
男性尿道約16〜20cm。前立腺部・隔膜部・海綿体部の3部で、起始部が前立腺を貫く
女性尿道約3〜4cmと短い

長さの臨床的意味。男性は尿道が長く前立腺を貫くため前立腺肥大で排尿障害、女性は短いため尿路感染が起こりやすい

尿の濃縮に働くホルモン

ホルモン作用部位作用
バソプレシン(ADH)集合管水チャネル(アクアポリン)を増やし水を再吸収→尿を濃縮
アルドステロン遠位尿細管・集合管Na⁺再吸収・K⁺排泄→水を保持し循環血液量を増やす

選択肢にADHがなく「集合管で尿の濃縮に関わるホルモン」を問われたらアルドステロンを選ぶ。グルカゴン・メラトニン・オキシトシン・パラトルモンはいずれも尿濃縮に関与しない。

7-5 内分泌総論 ― どこから何が出るか

器官ホルモン主作用
視床下部GnRH・TRH・CRH・GHRH・ソマトスタチン/ADH・オキシトシンの産生下垂体の制御。ソマトスタチンはGH分泌を抑制
下垂体前葉GH・プロラクチン・ACTH・TSH・LH・FSH(6種)自前で産生。各内分泌腺を刺激
下垂体後葉オキシトシン・バソプレシン(2種のみ)視床下部(室傍核・視索上核)で産生されたものを貯蔵・放出するだけ
松果体メラトニン概日リズム(睡眠覚醒)の調節
甲状腺T3・T4(濾胞上皮)/カルシトニン(傍濾胞細胞=C細胞)代謝亢進/血中Ca低下
副甲状腺(上皮小体)パラトルモン(PTH)=主細胞血中Ca上昇
副腎皮質球状帯アルドステロン・束状帯コルチゾール・網状帯アンドロゲン電解質・糖・性ステロイド
副腎髄質アドレナリン・ノルアドレナリン交感神経様作用
膵Langerhans島A(α)=グルカゴン/B(β)=インスリン/D=ソマトスタチン血糖調節
腎臓レニン・エリスロポエチン血圧・赤血球産生
ガストリン(G細胞)・グレリン胃酸分泌・摂食促進
卵巣/精巣エストロゲン(顆粒膜細胞)・プロゲステロン(黄体)/テストステロン(Leydig細胞)性成熟・妊娠維持

「同一臓器から出るペア」の暗記

同一臓器(○)別臓器(×)
アルドステロン+コルチゾール=副腎皮質カルシトニン(甲状腺)+パラトルモン(副甲状腺)
インスリン+グルカゴン=膵Langerhans島アルドステロン(副腎皮質)+エリスロポエチン(腎)
レニン+エリスロポエチン=腎臓グルカゴン(膵)+ガストリン(胃)
バソプレシン+オキシトシン=下垂体後葉レニン(腎)+コルチゾール(副腎皮質)

「松果体 ── カルシトニン」は誤りの組合せ → 松果体はメラトニン、カルシトニンは甲状腺C細胞。「グルカゴンはB細胞で産生」は誤り → A細胞(B細胞はインスリン)。「ソマトスタチンは黄体で産生」は誤り → 膵D細胞・視床下部(黄体はプロゲステロン)。「T3は上皮小体で産生」は誤り → 甲状腺。「エリスロポエチンは骨髄で産生」は誤り → 腎臓

下垂体前葉と後葉の識別が最頻出。プロラクチン・成長ホルモンは前葉オキシトシン・バソプレシンは後葉メラトニンは松果体アルドステロンは副腎皮質テストステロンは精巣。「下垂体前葉はどれか」で並ぶ誤答肢はほぼこの4つ。

7-6 甲状腺・副甲状腺とカルシウム・骨代謝

甲状腺・副甲状腺の解剖

  • 甲状腺は甲状軟骨の下方、気管上部の前面〜側面。重量は約15〜20g(100gは過大)
  • 血管は上甲状腺動脈=外頸動脈の枝、下甲状腺動脈=甲状頸動脈(鎖骨下動脈)の枝。内頸動脈は枝を出さない
  • 副甲状腺(上皮小体)は通常4個(上下左右)で甲状腺背面にある

カルシウム調節ホルモンの対比

パラトルモン(PTH)カルシトニン
出所副甲状腺の主細胞甲状腺の傍濾胞細胞(C細胞)
血中Ca上昇低下(下げる唯一のホルモン)
血中リン低下(腎での再吸収を抑制=排泄促進)低下
破骨細胞を活性化→骨吸収を促進破骨細胞を抑制→骨吸収を抑制
遠位尿細管でCa再吸収を促進/重炭酸イオンの再吸収は抑制Ca排泄を促進
活性型ビタミンD産生を促し腸管Ca吸収を増やす

PTHについて「リンの再吸収を促進する」「重炭酸イオンの再吸収を促進する」「遠位尿細管でのCa再吸収を抑制する」はすべて。正しくはリンは排泄促進・重炭酸は再吸収抑制・Caは再吸収促進。「PTHは好酸性細胞で分泌」も誤りで、正しくは主細胞。「PTHは骨形成を促進する」も誤り → 骨吸収を促進する。

骨をつくる細胞・壊す細胞

細胞由来場所と働き
骨芽細胞間葉系幹細胞骨表面で骨基質(コラーゲン・プロテオグリカン)を合成。自らつくった基質に埋まって骨細胞へ分化
骨細胞骨芽細胞から骨小腔に存在。力学的センサーとして骨を維持
破骨細胞造血幹細胞(単球・マクロファージ系)骨表面のHowship窩にある多核巨細胞。酸と酵素で骨基質を分解する(骨芽細胞を壊すのではない)
  • 適度な機械的負荷は骨形成を促進(Wolffの法則)。不動・臥床・無重力では骨吸収が亢進して骨萎縮に至る
  • 骨吸収が優位になり骨量が減った状態が骨粗鬆症。閉経後はエストロゲン低下により骨吸収抑制が外れて起こりやすい
  • 低Ca血症では神経筋の興奮性が高まりテタニー(手足のしびれ・筋けいれん)を生じる

「破骨細胞は間葉系幹細胞に由来する」は誤り → 造血幹細胞由来。「破骨細胞は骨小腔に存在する」は誤り → 骨小腔は骨細胞。「不動で破骨細胞の活性が低下する」は誤り → 亢進する。「骨形成が優位になると骨粗鬆症になる」は誤り → 骨吸収優位。

7-7 副腎と膵島 ― 血糖・血圧を動かすホルモン

副腎は皮質と髄質で別物

ホルモン化学的性質・作用
皮質・球状帯(外)アルドステロン鉱質コルチコイド。Na再吸収・K排泄→体液量増→昇圧
皮質・束状帯(中)コルチゾール糖質コルチコイド。糖新生→血糖↑、抗炎症、許容作用で血管のカテコールアミン感受性を高め昇圧
皮質・網状帯(内)アンドロゲン副腎性の性ステロイド
髄質アドレナリン・ノルアドレナリンクロム親和性細胞(交感神経節後ニューロン相当)。チロシン由来のカテコールアミン
  • 皮質ホルモンはすべてコレステロールを原料とするステロイド。ペプチドではなく、アドレナリンから合成されるのでもない
  • コルチゾールは早朝(起床前後)に分泌最大・深夜に最小という明瞭な日内変動をもつ。血中濃度の測定は採血時刻に注意する
  • ストレス時はACTHが増えコルチゾール分泌が著明に増加する
  • 覚え方は外側から「球・束・網=塩・糖・性」、内側の髄質はカテコールアミン

副腎皮質ホルモンについて「血糖値に影響しない」「ストレス時に変動しない」「ペプチドホルモンである」「アドレナリンから生合成される」はすべて誤り。正しくは血糖を上げる・ストレスで増える・ステロイドである・コレステロールから合成される

作用でまとめ直す

作用該当ホルモン
血糖を下げるインスリンのみ
血糖を上げるグルカゴン・アドレナリン・コルチゾール・成長ホルモン
昇圧に働くアドレナリン・ノルアドレナリン・アルドステロン・コルチゾール・バソプレシン・アンジオテンシンII
昇圧に働かないインスリン・カルシトニン・ソマトスタチン

「下げるのは1つ、上げるのは複数」。低血糖は生命に直結するため、身体は上げる仕組みを何重にも持っている。RAA系(レニン→アンジオテンシンII→アルドステロン)とコルチゾールの許容作用を押さえると、Cushing症候群で高血圧になる理由まで一続きで説明できる。

7-8 内分泌疾患・性腺軸・発生

過剰か低下かで決まる病態

ホルモン過剰低下
成長ホルモン先端巨大症(小児では巨人症)下垂体性小人症
コルチゾールCushing症候群=中心性肥満・満月様顔貌・水牛様脂肪・高血圧Addison病
抗利尿ホルモンSIADH(低Na血症)尿崩症(多尿)
甲状腺ホルモンBasedow病=頻脈・体重減少・発汗粘液水腫=徐脈・寒がり
パラトルモン高Ca血症=筋力低下テタニー(低Ca血症)

「先端巨大症 ── 下垂体前葉ホルモン欠損」は誤り → GH過剰。「中心性肥満 ── 副腎皮質機能低下」は誤り → 過剰(Cushing)。「尿崩症 ── ADH分泌亢進」は誤り → 低下・作用不全。「頻脈 ── 甲状腺機能低下」は誤り → 亢進。「Basedow病 ── 甲状腺機能低下」も同様に誤り。組合せ問題は必ず亢進/低下の向きを先に確認する。

性腺軸と乳汁分泌

  • 軸の流れ=視床下部GnRH →下垂体前葉FSH・LH →卵巣(エストロゲン・プロゲステロン)。「〜放出ホルモン(RH)」は視床下部、「〜刺激ホルモン」は下垂体前葉
  • FSH=卵胞発育LH=排卵の誘発(LHサージ)と黄体形成→プロゲステロン分泌促進
  • エストロゲンは原則として下垂体を抑制する負のフィードバック(排卵直前のみ正のフィードバック)
  • プロラクチン=下垂体前葉から分泌され、乳腺に作用して乳汁産生を促す唯一のホルモン。乳腺から出るのではない。ドパミンがプロラクチン分泌の抑制因子で、吸啜刺激で抑制が外れる
  • オキシトシン=子宮収縮と射乳。エストロゲン・プロゲステロンは妊娠中に乳腺を発達させるが、乳汁分泌そのものは促さない

「黄体ホルモン上昇により排卵が誘発される」は誤り → 排卵を誘発するのは黄体形成ホルモン(LH)のサージ。黄体形成ホルモン(LH・下垂体前葉)と黄体ホルモン(=プロゲステロン・卵巣黄体・排卵後に子宮内膜を維持)は別物。

卵巣と卵細胞

  • 卵胞は胎生期につくられ、新生児にはすでに原始卵胞が存在する。成熟が始まるのは思春期から
  • 卵細胞は胎生初期の始原生殖細胞に由来する。成人の卵巣は約6g

三胚葉と器官の由来

胚葉由来する器官
外胚葉表皮と皮膚付属器(乳腺=アポクリン汗腺の変形)・中枢/末梢神経・・網膜・内耳・松果体・下垂体後葉・副腎髄質(神経堤)
中胚葉骨・軟骨・骨格筋・心臓・血管・リンパ管・腎臓・卵巣・子宮などの生殖器
内胚葉消化管上皮・肝臓・膵臓・甲状腺上皮小体(副甲状腺)・呼吸器上皮・膀胱上皮

内分泌腺は由来が分かれるので個別に覚える。松果体・下垂体後葉=外胚葉甲状腺・上皮小体=内胚葉(咽頭底・第3第4咽頭嚢から発生)。乳腺は皮膚付属器なので外胚葉、膀胱は内胚葉

7-9 視覚器

光の通り道

角膜→前眼房→瞳孔→水晶体→硝子体→網膜の一本道。前後関係を入れ替えた選択肢が定番。

構造役割
角膜光の屈折。無血管だが三叉神経の知覚線維が豊富で体内で最も鋭敏な組織のひとつ
虹彩瞳孔の大きさ=光量を調節。縮瞳は副交感(動眼神経)、散瞳は交感
毛様体水晶体の厚みを変えて遠近調節+眼房水の産生。瞳孔径は調節しない
水晶体厚みを変えて屈折力を変える。角膜とともに屈折を担う
硝子体眼球の形を保つ透明なゲル。調節も光量調節もしない
網膜視細胞が光を電気信号に変換

眼房水と眼圧

  • 前眼房=角膜と虹彩の間後眼房=虹彩と水晶体の間。いずれも眼房水で満たされる
  • 眼房水は毛様体上皮で産生→後眼房→瞳孔→前眼房→隅角→強膜静脈洞(Schlemm管)へ吸収
  • 眼内圧は房水の産生と排出のバランスで保たれる(網膜が保つのではない)。涙液は涙腺が産生

「虹彩と水晶体の間を前眼房という」は誤り → そこは後眼房「毛様体は瞳孔の大きさを調節する」は誤り → 瞳孔径は虹彩、毛様体は水晶体の厚み

遠近調節のしくみ

近くを見る=毛様体筋が収縮→毛様体小帯(Zinn小帯・チン小帯)が弛緩→水晶体が厚くなる→屈折力が増す。副交感神経(動眼神経)支配。遠くを見るときはこの逆。

視細胞と網膜の部位

錐体杆体
担当色覚・明所視明暗・暗所視(薄明視)
分布黄斑・中心窩に密集網膜周辺に多い
視力空間分解能が最も高い分解能は低い
  • 中心窩=最も視力が高い部位盲点=視神経乳頭(視神経円板)で視細胞がない。視神経乳頭は黄斑より鼻側(内側)にある
  • 空間分解能は全視野で均一ではなく、中心窩で最高・周辺ほど低下する
  • 一次視覚野は後頭葉(鳥距溝周囲)。側頭葉ではない
  • 暗順応は数十分かかり、明順応(数分)より遅い

「杆体は色を感知する/色覚を司る」は最頻出の引っかけで誤り → 色覚は錐体。「中心窩は視野に盲点を生じる」は誤り → 盲点は視神経乳頭。「角膜に神経は分布しない」は誤り → 三叉神経が豊富。「硝子体が焦点距離を調整する」は誤り → 水晶体(毛様体筋)

7-10 平衡聴覚器

外耳・中耳・内耳の振り分け

区分含まれるもの
外耳耳介・外耳道
中耳鼓膜・鼓室・耳小骨(ツチ・キヌタ・アブミ)・耳管・耳小骨筋(鼓膜張筋=三叉神経/アブミ骨筋=顔面神経
内耳骨迷路と膜迷路=蝸牛(聴覚)・前庭(卵形嚢・球形嚢)・半規管(平衡覚)。側頭骨錐体部の中にある
  • 音の伝わり=外耳道→鼓膜→耳小骨(中耳)→前庭窓→蝸牛(内耳)
  • 耳小骨の並びはツチ骨(鼓膜に付着)→キヌタ骨→アブミ骨(前庭窓に接する)
  • 耳管は鼓室と上咽頭をつなぐ。嚥下時に開いて鼓室内圧を外気圧に合わせる。内耳とはつながらず、神経も通さない
  • 骨迷路の中に膜迷路が浮かぶ二重構造。骨迷路内=外リンパ/膜迷路内=内リンパで、両者は交通しない。膜迷路=膜半規管・卵形嚢・球形嚢・蝸牛管
  • 内耳道は蝸牛神経・前庭神経・顔面神経が通る骨性の通路で、髄液で満たされる(内リンパではない)

受容器と感知する刺激

器官受容器刺激神経
蝸牛管コルチ器(ラセン器)音による基底膜の振動蝸牛神経
半規管(3本・直交)膨大部稜+クプラ(耳石を含まないゼラチン状)内リンパの流動=回転(角加速度)前庭神経
前庭=卵形嚢・球形嚢平衡斑+耳石膜(耳石)直線加速度・重力(卵形嚢=水平、球形嚢=垂直)前庭神経

受容器の入れ替えが繰り返し出る。「半規管にコルチ器がある」は誤り → コルチ器は蝸牛管。「蝸牛管に耳石が存在する」は誤り → 耳石は前庭の平衡斑。「半規管は蝸牛神経支配」は誤り → 前庭神経。「蝸牛管は内リンパの流れが刺激となる」は誤り → 蝸牛は基底膜の振動、内リンパの流れが刺激となるのは半規管。「三半規管は重力に反応する」「卵形嚢は角加速度に反応する」も逆で誤り。「クプラは耳石膜で覆われている」は誤り → 耳石膜は平衡斑のもの。

所属を入れ替える誤りも多い。「鼓室は外耳にある」「耳管は内耳にある」「膜迷路は中耳にある」「蝸牛は鼓室にある」「耳石器は鼓室にある」はすべて誤り。正しくは鼓室・耳管=中耳/膜迷路・蝸牛・耳石器=内耳。「鼓膜にキヌタ骨(またはアブミ骨)が接する」は誤り → ツチ骨。「耳小骨は外リンパ液に覆われる」は誤り → 耳小骨は空気で満たされた鼓室内。「骨半規管は2つ」は誤り → 3つ。「アブミ骨筋は前庭神経支配」は誤り → 顔面神経。「前庭は蝸牛と三半規管からなる」は誤り → 内耳が蝸牛・前庭・半規管からなり、前庭は卵形嚢・球形嚢を含む一部にすぎない。「中耳に聴覚と平衡覚の感覚器がある」も誤りで、感覚器はすべて内耳にある。

耳の問題は①どの区分に属するか ②受容器の名前 ③感知する刺激 ④支配神経の4点セットで整理すれば、選択肢の作り方が限られていることが分かる。