第1章|評価総論・関節可動域(ROM)

理学療法学(評価・治療) 第1章

1-1 理学療法評価の流れ・統合と解釈・記録

理学療法は評価に始まり評価に終わる。流れは情報収集→検査・測定→統合と解釈→問題点抽出→目標設定→治療プログラム立案→再評価。ICF(心身機能・身体構造/活動/参加)の枠組みで整理する。

統合と解釈

  • 各検査結果の意味を考える
  • 検査項目間の関係性を結びつけて全体像を描く
  • 症候障害学的に捉える(症状・障害を病態に基づいて意味づける)
  • 問題点の順序性(原因と結果・優先順位)を考慮する
考察=検査結果の羅列ではない。羅列は統合・解釈といえない → 正しくは、結果を関連づけ意味づけて問題点を導く過程。

SOAP=問題志向型診療記録(POMR)の記載様式

記号意味書く内容
SSubjective(主観的情報)患者の訴え・自覚症状
OObjective(客観的情報)検査・測定値・観察所見
AAssessment(評価)結果の解釈・統合
PPlan(計画)治療プログラム・目標・方針
SOAPのPはPlan。Problemではない。「Sに検査データ」「Oに患者の訴え」「Aにプログラム」「Pに解釈」はすべて入れ替えの誤り。

診療記録の取り扱い

  • 保存期間は5年(1年ではない)
  • 改ざん防止のため鉛筆など消せる筆記具は不可。ボールペン等で記載
  • 診療の都度・遅滞なく記載する(後日まとめて記載は不可)
  • 患者本人は自分の診療記録の開示を請求できる

1-2 ROM測定の基本原則と角度表記

  • 基準は日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会基準(1995年)
  • ゴニオメーター(角度計)を用い、5度きざみで記録
  • 基本肢位を0度とし、自動(AROM)他動(PROM)を区別して記載
  • 正誤は基本軸・移動軸・測定肢位の3点で決まる。基本軸=固定する近位側、移動軸=動く遠位側が原則
自動では出ないが他動で出る → 筋力低下・神経の問題。他動でも出ない → 関節・軟部組織の問題(拘縮・強直)

マイナス表記の読み方

ある運動方向の角度が0度に届かず手前で止まれば、その方向にマイナス。同じ状態でも屈曲側から書くか伸展側から書くかで符号が反転する。

状態屈曲側の表記伸展側の表記
肘が伸びきらない=屈曲拘縮屈曲10°伸展−10°
0°を越えて反る=過伸展(反張肘)屈曲−10°伸展10°
完全に伸びきる=正常屈曲0°伸展0°
「屈曲−10°」は過伸展であって屈曲拘縮ではない。「伸展0°」は基本肢位まで伸びきった正常で拘縮なし。

最終域感(end feel)

  • 前腕回外の最終域感は軟部組織性・靱帯性(結合組織性)骨性ではない
  • 骨性は肘伸展のように骨同士が当たって止まるもの

1-3 参考可動域角度〈全一覧〉

部位運動方向と参考可動域角度
肩甲帯屈曲20°/伸展20°/挙上20°/引き下げ(下制)10°
屈曲180°伸展50°/外転180°/内転0°/外旋60°内旋80°/水平屈曲135°/水平伸展30°
屈曲145°/伸展5°
前腕回内90°/回外90°
屈曲(掌屈)90°/伸展(背屈)70°/橈屈25°/尺屈55°
母指橈側外転60°/尺側内転0°/掌側外転90°/掌側内転0°/MCP屈曲60°・伸展10°/IP屈曲80°・伸展10°
MCP屈曲90°・伸展45°/PIP屈曲100°・伸展0°/DIP屈曲80°・伸展0°
頸部屈曲(前屈)60°/伸展(後屈)50°/回旋 左右各60°/側屈 左右各50°
胸腰部屈曲(前屈)45°/伸展(後屈)30°/回旋 左右各40°/側屈 左右各50°
屈曲125°/伸展15°/外転45°内転20°/外旋45°/内旋45°
屈曲130°/伸展0°
足関節背屈(伸展)20°底屈(屈曲)45°
足部内がえし30°/外がえし20°/外転10°/内転20°
母趾・足趾母趾MTP屈曲35°・伸展60°/母趾IP屈曲60°/足趾MTP屈曲35°・伸展40°/PIP屈曲35°/DIP屈曲50°
数値の比較で問われやすい所。肩内旋80°>肩外旋60°母指橈側外転60°/肩甲帯屈曲20°/股内旋45°。足・足部で30°は内がえしだけ(外がえし20°・外転10°・内転20°・背屈20°)。
よくある誤り → 正しくは。頸部屈曲80°→60°/肩伸展30°→50°/股外転25°→45°/足底屈60°→45°/股屈曲150°や60°→125°/肩外転135°→180°(135°は水平屈曲)/肩水平屈曲150°→135°

1-4 基本軸・移動軸① 肩甲帯・肩・肘・前腕

運動基本軸移動軸肢位・注意
肩甲帯 屈曲・伸展両側の肩峰を結ぶ線頭頂と肩峰を結ぶ線背臥位。頭頂から見る
肩甲帯 挙上・引き下げ両側の肩峰を結ぶ線肩峰と胸骨上縁を結ぶ線背面から測定
肩 屈曲・伸展肩峰を通る床への垂直線上腕骨前腕は中間位。体幹が動かないよう固定
肩 外転・内転肩峰を通る床への垂直線上腕骨体幹側屈を防ぐ。90°以上は前腕を回外
肩 外旋・内旋肘を通る前額面への垂直線尺骨上腕を体側につけ肘90°屈曲、前腕中間位
肩 水平屈曲・水平伸展肩峰を通る矢状面への垂直線上腕骨座位・肩90°外転位
肘 屈曲・伸展上腕骨橈骨前腕回外位
前腕 回内・回外上腕骨手指を伸展した手掌面肘90°屈曲・前腕中間位から。肩の回旋を入れない
肩甲帯の基本軸は屈伸も挙上・引き下げも両側の肩峰を結ぶ線。「肩峰と胸骨上縁を結ぶ線」は挙上・引き下げの移動軸であって基本軸ではない。
前腕回内・回外の基本軸は上腕骨。橈骨・尺骨とするのは誤り。移動軸は手掌面(手指を伸展した手の面)で、手掌面が水平になる肢位を基本肢位とするのも誤り(基本肢位は前腕中間位=母指が上)。

基本軸または移動軸に橈骨を使うのは、肘屈曲・伸展(移動軸=橈骨)手屈曲・伸展(橈骨と第2中手骨の組合せ)の2つ。肩の運動は体幹・肩峰と上腕骨の組合せなので橈骨は出てこない。

肩外転測定の要点。基本軸は肩峰を通る床への垂直線で、「体幹」そのものではない/90°以上では大結節と肩峰の衝突を避けるため前腕を回外させる/肩甲上腕リズムに伴う肩甲骨の動きは許容し肩甲骨は固定しない/亜脱臼があっても牽引は加えない/肘は伸展位が基本。

肩水平屈曲は参考可動域135°・座位・肩90°外転位で、代償の肩甲骨の前方突出(外転)に注意する。基本軸は肩峰であって烏口突起ではない。水平伸展は30°。

1-5 基本軸・移動軸② 手・手指・母指

運動基本軸移動軸肢位・注意
手 屈曲(掌屈)・伸展(背屈)橈骨第2中手骨前腕回内位
手 橈屈・尺屈前腕の中央線第3中手骨前腕回内位
母指 橈側外転・尺側内転示指(橈骨の延長上)母指手掌面と同一平面で母指を開く
母指 掌側外転・掌側内転示指(橈骨の延長上)母指手掌面に直角な面で母指を立てる
母指 MCP/IP第1中手骨/第1基節骨第1基節骨/第1末節骨
指 MCP・PIP・DIP 屈曲伸展第2〜5中手骨/基節骨/中節骨第2〜5基節骨/中節骨/末節骨側面から測定
指 外転・内転第3中手骨延長線第2・4・5指軸手背側から測定
母指 対立角度では表さず、母指先端と小指基部(またはMP関節橈側)との距離(cm)で表示
母指の外転は2方向の区別が必須。掌側外転=手掌面に直角(母指を天井へ立てる)橈側外転=手掌面と同一平面で橈側へ開く。図で母指が手掌と同じ平面上を動いていれば橈側外転であり、これを掌側外転として示した図は誤り。

1-6 基本軸・移動軸③ 頸部・胸腰部

運動基本軸移動軸肢位・可動域
頸部 屈曲・伸展肩峰を通る床への垂直線外耳孔と頭頂を結ぶ線座位・頭部体幹の側面/60°・50°
頸部 回旋両側の肩峰を結ぶ線への垂直線鼻梁と後頭結節を結ぶ線腰かけ座位/左右各60°
頸部 側屈第7頸椎棘突起と第1仙椎棘突起を結ぶ線頭頂と第7頸椎棘突起を結ぶ線体幹の背面から/左右各50°
胸腰部 屈曲・伸展仙骨後面第1胸椎棘突起と第5腰椎棘突起を結ぶ線立位・座位・側臥位。股関節の運動を入れない/45°・30°
胸腰部 回旋両側の上後腸骨棘(PSIS)を結ぶ線両側の肩峰を結ぶ線座位で骨盤を固定/左右各40°
胸腰部 側屈ヤコビー線の中点に立てた垂直線第1胸椎棘突起と第5腰椎棘突起を結ぶ線座位または立位・体幹背面/左右各50°
胸腰部は運動方向ごとに基本軸が3通りに分かれる。屈伸=仙骨後面/回旋=両PSISを結ぶ線/側屈=ヤコビー線中点の垂直線。ヤコビー線は両腸骨稜上縁を結ぶ線(第4腰椎棘突起の高さの目安)。
胸腰部回旋の基本軸を「ヤコビー線中点の垂直線」「C7とS1の棘突起を結ぶ線」「仙骨後面」「肩峰を通る床への垂直線」とするのはいずれも誤り → 正しくは両側の上後腸骨棘を結ぶ線

1-7 基本軸・移動軸④ 股・膝・足関節・足部

運動基本軸移動軸肢位・注意
股 屈曲・伸展体幹と平行な線大腿骨(大転子と大腿骨外顆の中心を結ぶ線)屈曲=背臥位・膝屈曲位/伸展=腹臥位・膝伸展位。骨盤を固定
股 外転・内転両側の上前腸骨棘(ASIS)を結ぶ線への垂直線大腿中央線(上前腸骨棘と膝蓋骨中心を結ぶ線)背臥位・股関節伸展位(中間位)。下肢を外旋させない。内転は反対側下肢を挙上しその下を通す
股 外旋・内旋膝蓋骨より下ろした垂直線下腿中央線(膝蓋骨中心と足関節内外果中央を結ぶ線)股・膝とも90°屈曲位
膝 屈曲・伸展大腿骨腓骨(腓骨頭と外果を結ぶ線)屈曲は股関節屈曲位で行う
足関節 背屈・底屈腓骨への垂直線第5中足骨膝屈曲位
足部 内がえし・外がえし下腿軸への垂直線足底面膝屈曲位・足関節0度
足部 外転・内転第1中足骨と第2中足骨の間の中央線(基本軸・移動軸とも)足底から見る・足関節0度
内転・外転の基本軸は「両ASISを結ぶ線への垂直線」。「両ASISを結ぶ線そのもの」とする選択肢は頻出のひっかけ。移動軸も大腿中央線であって下腿中央線でも「ASISと第2中足骨を結ぶ線」でもない。

【設問の欠陥/膝屈曲の移動軸】「運動方向と移動軸の組合せで正しいのはどれか(1つ選べ)」の型は、正答が一意にならないことがある。58回の出題では「股屈曲・伸展 ── 大腿骨」(公式正答)「膝屈曲・伸展 ── 腓骨」2肢が同時に成立している。上の表のとおり膝屈曲・伸展の移動軸は腓骨(腓骨頭と外果を結ぶ線)で、これは日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会の基準そのままの記載であり誤りではない。57回でも同じ形(公式正答「股外転 ── 大腿中央線」に対し「膝屈曲 ── 腓骨」が併存)が出ている。試験では公式正答(58回=股屈曲・伸展 ── 大腿骨)を採る。

本番での手順
① まず軸の名前が別の運動のものにすり替わっている肢を全部消す(大腿骨↔大腿中央線↔下腿中央線、第1中足骨↔第5中足骨、第2・第3中足骨間↔第1・第2中足骨間)。ここまでで大半は1つに絞れる。
② それでも2肢残ったら股関節の肢を採る。この型の主題は股関節の3方向(屈曲伸展/外転内転/外旋内旋)の軸の区別で、膝の肢は消去用に置かれているだけで正答にはされない。
膝の肢は「基本軸か移動軸か」を読み直す基本軸を問う問題なら「膝屈曲 ── 大腿骨」が正答(50回で実際に正答)、移動軸なら腓骨。どちらも事実として正しいので、設問がどちらを聞いているかだけが分かれ目。
④ 2つ成立すると気づいても悩まない。これは出題側の不備で知識不足ではない。想定解にマークして次へ進む。

股関節は運動方向ごとに基本軸が3通りに分かれる。屈曲・伸展=体幹と平行な線/外転・内転=両ASISを結ぶ線への垂直線/外旋・内旋=膝蓋骨より下ろした垂直線。図で運動方向を示す設問では先に運動方向を確定してから軸を選ぶ。背臥位で股・膝を90°屈曲させ下腿を左右に振っていれば外旋・内旋で、このとき「基本軸は体幹との平行線」は誤り → それは屈曲・伸展の基本軸。「移動軸は腓骨」も誤り → 腓骨は屈曲・伸展の移動軸で、股外旋・内旋の移動軸は下腿中央線。参考可動域は外旋・内旋とも45°なので「60度」も誤り。

足の3つの軸は取り違えが最頻出。「第5中足骨」が出たら背屈・底屈「足底面」が出たら内がえし・外がえし「第1・第2中足骨間の中央線」が出たら足部外転・内転。第2中足骨単独・第2と第3の間・第1中足骨単独はいずれも誤り。

足部の用語ルール

  • 足関節は背屈(伸展)・底屈(屈曲)と呼ぶ。「足底への動き=伸展」は誤り → 正しくは底屈
  • 内がえし=回外+内転+底屈の複合/外がえし=回内+外転+背屈の複合
  • 外反・内反は変形を意味する用語なので可動域測定には使わない(測定用語は外がえし・内がえし)
  • 足指の測定では背側に角度計を当てる(底側ではない)
  • 足部の外がえしは膝関節屈曲位で行う(伸展位ではない)

1-8 測定肢位と代償運動

運動測定肢位理由・注意
肩 屈曲前腕中間位前腕回外位は誤り
肩 外転・内転座位または立位(体幹を垂直に保つ)背臥位で測定する」は誤り → 背臥位を用いるのは肩の屈曲や内旋・外旋など。体幹側屈の代償を見るには体幹を起こす必要がある。外転=側方挙上/屈曲=前方挙上で運動面が違う
肩 外旋・内旋上腕を体側・肘90°屈曲前腕は中間位
股 外転・内転股関節伸展位(中間位)・背臥位骨盤を固定する
股 屈曲背臥位・膝屈曲位骨盤が動き出す手前を終点にする
股 伸展腹臥位・膝伸展位背臥位で下肢を挙げるのは屈曲の肢位
股 外旋・内旋背臥位で股・膝とも90°屈曲位(下腿を左右に振る)膝伸展位では測らない。固定するのは骨盤で、「固定部位は脊柱」は誤り → 脊柱を押さえても骨盤が代償して回ってしまう
膝 屈曲股関節屈曲位二関節筋の大腿直筋を緩めるため
足 背屈・底屈膝屈曲位二関節筋の腓腹筋を緩めるため
手 屈曲・伸展/橈屈・尺屈前腕回内位
測定肢位は二関節筋を緩めるように決められている。膝屈曲は股屈曲位、足背屈・底屈は膝屈曲位。「膝屈曲—股伸展位」「足底屈—膝伸展位」は誤りの組合せ。

代償運動(見かけの角度を稼ぐ動き)

運動方向典型的な代償運動
肩 屈曲体幹伸展(後方へ反る)
肩 外転体幹側屈(対側へ傾く)
肩 水平屈曲肩甲骨の前方突出(外転)
股 屈曲骨盤後傾(対側下肢の浮き上がり)
股 伸展骨盤前傾(腰椎前弯の増強)
「肩外転—体幹回旋」「股伸展—骨盤側方傾斜」「肩外旋—体幹側屈」はいずれも誤りの組合せ → 正しくは肩外転は体幹側屈、股伸展は骨盤前傾、肩外旋は体幹の対側回旋。

1-9 可動域制限の評価・身体計測・SIAS

Thomasテスト(股関節屈曲拘縮)

背臥位で非検査側の股・膝を最大屈曲させて腰椎前弯を消す。検査側の大腿が床から浮けば陽性=その側の股関節屈曲拘縮(腸腰筋の短縮)。一側の股関節を屈曲したときに対側下肢が浮いた場合は、浮いた側の腸腰筋短縮を疑う。

テスト対象
Thomas股関節屈曲拘縮(腸腰筋短縮)
Adson胸郭出口症候群
Jackson頸椎神経根の圧迫
Lachman膝前十字靱帯(ACL)損傷
Neer肩インピンジメント症候群
腸骨大腿靱帯(Y靱帯)は股関節の伸展を制限する靱帯。「屈曲の制限因子」とするのは誤り。

可動域改善を目的とする運動療法

名称目的
Codman体操(振り子・アイロン体操)肩関節のROM改善・疼痛軽減
McKenzie体操腰椎伸展主体。椎間板性腰痛の軽減とROM改善
Böhler体操体幹筋(腹筋・背筋)の筋力強化
Buerger-Allen体操末梢循環の改善(閉塞性動脈疾患)
Frenkel体操協調性の改善(運動失調)

手背の熱傷後瘢痕拘縮は伸展拘縮となるため、慢性期は手指屈曲方向のROM練習+圧迫療法(ガーメント)で対応する。手関節背屈位に保持するコックアップ・スプリントは拘縮を助長するため不適。拘縮と逆方向へ伸張するのが原則。

身体計測・周径

  • 体重=早朝空腹時・排尿後/身長=両踵をつけ、つま先を約30〜40度開く/胸囲=安静呼吸の呼気の終わり
  • 棘果長(SMD)=上前腸骨棘→内果転子果長(TMD)=大転子→外果。「棘果長は外果まで」は誤り
  • 手長=手関節横紋の中点(橈骨茎状突起と尺骨茎状突起を結ぶ線の中点)→中指(第3指)先端。「尺骨茎状突起から第3指先端まで」は誤り → 起点は片側の茎状突起ではなく横紋の中点
  • 周径は0.1cm(mm)単位で記録(1cm単位は誤り)
  • メジャーは皮膚に密着させ、締めすぎず緩めすぎない。着衣の上からは測らない
  • 大腿周径は膝伸展位で膝蓋骨上縁から一定距離(5cm・10cmなど)/下腿周径は下腿後面をベッドに密着させない(下腿三頭筋が圧迫変形する)
  • 左右・経時比較のため毎回同じ部位・同じ条件で測る

SIAS(脳卒中機能評価法)

  • 上肢触覚は手掌で評価(手背ではない)
  • 上肢の関節可動域は肩関節外転で評価(屈曲ではない)
  • 股屈曲テストでは座位保持を介助してよい
  • 膝・口テストは麻痺側手部を反対側(健側)の膝から口元へ運ぶ
  • 構成=運動機能(上肢:膝・口テスト/手指テスト、下肢:股屈曲・膝伸展・足パットテスト)・筋緊張・感覚・関節可動域・疼痛・体幹・視空間認知・言語

運動機能項目は0〜5の6段階で採点し、1点だけが1A・1B・1Cに細分される。何をもって1A/1B/1Cとするかはテストごとに中身が違うので、テスト名とセットで覚える。

段階膝・口テスト(上肢近位)手指テスト(上肢遠位)
0全く動かない
1A肩のわずかな動きはあるが手が乳頭部に届かないわずかな動き、または集団屈曲が可能
1B手が乳頭部に届く集団伸展が可能
1C手が下顎に届く(課題は完遂できない)分離運動が可能だが不十分(全指ではできない)
2課題は遂行できるが著しくぎこちない
3中等度のぎこちなさ
4軽度のぎこちなさ
5健側と同等
手指テストで「集団伸展が可能なら1C」は誤り → 正しくは1B1Cは分離運動が一部できる段階で、集団屈曲どまりは1A。「集団」で動くうちは1A・1B、「分離」が出て初めて1Cと押さえる。

1-10 データ・倫理・安全・法規

統計手法の選択

条件パラメトリック(正規分布する連続変数)ノンパラメトリック
対応のない2群Studentのt検定Mann-WhitneyのU検定
対応のある2群対応のあるt検定Wilcoxonの符号付順位検定
3群以上一元配置分散分析(ANOVA)Kruskal-Wallis検定
  • カテゴリ(質的)データの度数・割合=カイ二乗検定/少数例はFisherの正確確率検定
  • 生存曲線の比較=log-rank検定/2変数の関連=相関分析/複数の説明変数から予測=重回帰分析
  • 等分散が仮定できない2群の平均値の差=Welch検定。Welchも2群専用で、3群以上には使えない
  • 外れ値の影響を受ける=平均値・分散・標準偏差・最大値/最小値。受けにくい=中央値・最頻値
  • 極端に小さい外れ値を除くと、平均値は上がり、分散・標準偏差は下がる。最大値・最頻値は変わらない

3群に分けたグループ間で平均値に差があるか」と来たら分散分析(ANOVA)一択。誤答肢はこう切る → t検定・Welch検定=2群の平均差(3群以上に繰り返し当てると第一種の過誤が増えるので不適)/相関分析=2変数の関連の強さを見るもので差の検定ではない/重回帰分析=複数の説明変数から従属変数を予測・説明するもので、群間の平均差の検定ではない。

インフォームドコンセントと研究倫理

  • 目的は患者が自己決定する機会を保障すること(患者の自律性・自己決定権の保障)。医療者が同意を取り付けるための手続きではない
  • 専門用語ではなく患者が理解できる平易な言葉で説明する
  • 患者の要求を待たず、治療者から積極的に説明する
  • 同意内容は文書で記録・保存する
  • 患者は理由を問わずいつでも同意を撤回できる。判断能力が不十分なら代理人の同意など適切な手続きが必要
  • 終末期の患者も対象。本人の意思尊重がいっそう重要になる場面で、「終末期は対象外」は誤り
  • 医療法(第1条の4第2項)は「適切な説明を行い、理解を得るよう努めなければならない」=努力義務の規定で、医療法による罰則はない。問われるとすれば民事責任(損害賠償)や職業倫理の側面
  • 研究データは匿名化し、共有フォルダでの保管は不適切(アクセス制限・暗号化が必要)。ポスターによる被験者募集や書面+口頭の説明は適切

医療安全・リスク管理

  • Heinrichの法則=1:29:300。1件の重大事故の背後に29件の軽微な事故と300件のヒヤリハットがある。段階が6つあるわけではない。「2割の努力で8割」はパレートの法則で別物
  • 褥瘡予防=30度側臥位/体位変換は2〜4時間ごと(6時間は長すぎる)/円座は禁忌(周囲に圧が集中)/好発部位のマッサージは禁忌/ベッドアップは高角度で剪断力が増すため30度程度
  • 成人BLS=胸骨圧迫の深さ約5cm(6cmを超えない)・テンポ100〜120回/分・圧迫と換気は30:2・人工呼吸は胸が上がる程度を約1秒で送気。呼吸数の測定に時間をかけない
  • 認知症のある患者の訴えは否定・説得・叱責をしない。まず感情を受け止める(受容・共感)。痛みの訴えを我慢させるのも不適切

法規・ガイドライン

  • 理学療法士の守秘義務=理学療法士及び作業療法士法(資格喪失後も継続)。医師・薬剤師は刑法、保健師・看護師は保健師助産師看護師法
  • 医療法=医療提供の理念・医療従事者の責務・病院開設者の資格・都道府県の医療計画など医療提供体制を規定。診療報酬は健康保険法に基づき医療法の規定事項ではない
  • 理学療法診療ガイドライン第1版の推奨グレード=A行うよう強く勧められる/B行うよう勧められる/C1行うことを考慮してもよいが根拠は十分でない/C2科学的根拠がないので勧められない/D行わないよう勧められる(無効・有害の根拠あり)

照射強度の計算(物理療法と共通)。強度は距離の2乗に反比例(逆2乗の法則)し、入射角の余弦(cos)に比例する。距離が半分なら4倍、2倍なら1/4。cos45°≒0.7、皮膚面に対し30°の斜入射=法線から60°でcos60°=0.5。例:距離20cm垂直→距離10cm・45°なら 4×0.7≒2.8倍/距離10cm垂直→距離20cm・皮膚面に30°なら 1/4×1/2=1/8