| 分類 | 方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| 漸増負荷 | Bruce法 | トレッドミルで3分ごとに速度と傾斜を上げる多段階漸増負荷。「負荷を段階的に増やす評価法」の代表 |
| 漸増負荷 | ramp(ランプ)負荷法 | 自転車エルゴメーターなどで一定の割合で連続的に負荷を増す |
| 漸増負荷 | 多段階漸増負荷 | 一定時間ごとに段階的に負荷を上げる |
| 漸増負荷 | (漸増)シャトルウォーキングテスト | 発信音に合わせて歩行速度を段階的に上げる |
| 固定負荷 | マスターシングル(ダブル)テスト・踏み台昇降テスト | 規定の高さ・回数で昇降し、負荷は漸増しない。心電図を併用して虚血の評価に用いる |
| 一定時間の歩行 | 6分間・12分間歩行テスト | 一定時間に歩ける距離。負荷は本人のペース次第で、漸増しない |
| 等尺性負荷 | ハンドグリップテスト | 握力による等尺性負荷で循環応答をみる |
マスターテストは2段階(ダブル)があっても負荷を連続的に漸増する方法ではない。「固定負荷=マスター」「段階的に増やす=Bruce」と対で覚える。
| 評価 | 目的 |
|---|---|
| 6分間歩行テスト(6MWT) | 運動耐容能(持久力)。簡便・安全で、心不全の予後や日常生活の活動能力を反映する。退院時の運動機能評価に適する |
| 心肺運動負荷試験(CPX) | 最高酸素摂取量・AT(嫌気性代謝閾値)を測り、運動処方の強度を決める |
| マスターテスト | 運動負荷心電図による虚血の評価 |
| NYHA心機能分類 | 身体活動で出る症状の程度による重症度(Ⅰ:制限なし〜Ⅳ:安静時にも症状) |
| Nohria-Stevenson分類 | うっ血・低灌流の有無による急性心不全の病態分類 |
| クリニカルシナリオ(CS)分類 | 来院時の収縮期血圧などによる急性心不全の初期治療方針の分類 |
選択肢を「病態分類か、運動耐容能か、虚血評価か」で仕分ける。急性期の病態分類(Nohria-Stevenson・クリニカルシナリオ)は運動機能の評価ではない。
| 指標 | 運動療法の目安 |
|---|---|
| Borg指数(自覚的運動強度) | 11〜13(楽である〜ややきつい)。15(きつい)は心疾患には強すぎる |
| AT(嫌気性代謝閾値) | AT強度で運動する。Borg 11〜13にほぼ相当 |
| 最高酸素摂取量 | 40〜60%程度。10〜20%では低すぎる |
| Karvonen法の係数k | 心疾患では0.4〜0.6程度。低心機能例・心筋梗塞後は低め(0.3〜0.5) |
| 頻度・時間 | 週3〜5回、1回20〜60分程度。週2回以内・1回10分以下では効果が乏しい |
目標心拍数=安静時心拍数+k×(最大心拍数−安静時心拍数)、最大心拍数=220−年齢。(最大心拍数−安静時心拍数)が予備心拍数。
例:70歳・安静時心拍数70/分・k=0.5 → 最大心拍数150 → 70+0.5×(150−70)=70+40=110/分。予備心拍数の引き算を飛ばしたり、最大心拍数を誤ったりすると別の選択肢に誘導される。
β遮断薬の服用中は心拍数が上がりにくいため、心拍数を使う指標(Karvonen法など)が使いにくい。Borg指数など自覚的運動強度を優先する。
二重積=心拍数×収縮期血圧。心筋酸素消費量の非侵襲的な指標。
二重積に呼吸数・一回拍出量・動静脈酸素較差・拡張期血圧は入らない。拡張期血圧は運動中あまり変化せず、心筋負荷量を決める指標には向かない。
1 MET=3.5 mL/kg/分(安静座位の酸素摂取量)。METs=酸素摂取量(mL/kg/分)÷3.5。
例:最大酸素摂取量2.10 L/分・体重50kg → 2100÷50=42 mL/kg/分 → 42÷3.5=12 METs。AT 17.5 mL/kg/分なら17.5÷3.5=5 METs。
消費エネルギー(kcal)≒METs×体重(kg)×時間(h)。より正確には×1.05を掛ける。
例:5METs・体重80kg・30分(=0.5時間)→ 5×80×0.5=200、×1.05で約210kcal。30分を0.5時間に直し忘れるのが典型的な誤り。
活動ごとのMETsの目安は1-5の表を参照(室内歩行1.5〜2、平地歩行・シャワー浴約3、入浴・階段昇降4〜5)。
| 様式 | 内容 | 心疾患での扱い |
|---|---|---|
| 持続的な有酸素運動 | 歩行・自転車エルゴメーターなど一定強度で続ける | 中心となる運動。散歩は時間と速度を決めて行うと強度を一定に保て自己管理しやすい |
| インターバルトレーニング | 高強度と低強度(回復)を交互に繰り返す(例:高強度45秒+低強度90秒) | 連続負荷で下肢疲労・血圧上昇が顕著になる高齢・低体力・高リスク例(TAVI後など)。循環負担を分散しつつ運動量を確保できる |
| サーキットトレーニング | 複数の異なる種目(ステーション)を順に巡る | 単一種目の強弱の繰り返しはサーキットではない |
| Ramp負荷・多段階漸増負荷 | 負荷を連続的・段階的に上げる | 運動負荷試験の負荷方法 |
| コンディショニング | 運動療法導入前の柔軟性・呼吸・リラクセーションなどの準備的調整 | 負荷様式の名称ではない |
| レジスタンストレーニング | 下肢などの筋力増強 | 適切な負荷で有酸素運動に併用する。動的(等張性)運動・低負荷高反復が主体 |
強い等尺性(静的)収縮・息こらえ(Valsalva)は血圧を急上昇させ後負荷を増やすため避ける。下肢の筋力強化で「静的収縮の多い種目を選ぶ」は誤り。
心臓リハの効果は「同じ負荷でのコストが下がり、天井(最大能力)が上がる」。そして予後(再入院・死亡)が良くなる。向きが逆の選択肢を切る。
| 指標 | 運動療法後の変化 |
|---|---|
| 安静時心拍数 | 低下 |
| 同一負荷時の心拍数・血圧・二重積 | 低下 |
| 同一負荷時のBorg指数(自覚的強度) | 低下 |
| 最大心拍数 | ほぼ不変(年齢で決まる) |
| 最大(最高)酸素摂取量・運動耐容能 | 増加 |
| 一回拍出量 | 増加 |
| AT | 上昇 |
| 安静時血圧 | 低下(降圧効果) |
| 安静時の交感神経活動・同一強度でのカテコラミン分泌 | 低下(抑制) |
| HDLコレステロール | 増加 |
| 中性脂肪・LDLコレステロール | 低下 |
| 血小板凝集能 | 低下(血栓形成の抑制) |
| 冠循環の側副血行・血管内皮機能 | 改善(側副血行の増大) |
| 冠動脈硬化 | 進展抑制(退縮も期待される) |
| 再入院・心事故・死亡率 | 低下 |
| QOL | 向上 |
壊死した心筋は再生しない(線維化して瘢痕になる)。「運動療法で壊死部の心筋が再生する」は常に誤り。
ひっかけの定番:「最大運動時の心拍数が低下する」「交感神経活動の亢進」「血小板凝集能の増加」「HDLの低下」「収縮期血圧の上昇」はすべて誤り。乳酸の蓄積は嫌気性運動の現象で、有酸素運動を勧める理由ではない。除脂肪体重(筋量)の増加は主にレジスタンス運動の効果。
| 場面 | 正しい指導 | 誤りの例 |
|---|---|---|
| 活動量 | 適切な強度の運動を継続する | 安静時間を長くする(廃用・運動耐容能低下) |
| 強度 | Borg 11〜13 | Borg 15程度(きつい) |
| 体重 | 毎日測る。短期間(数日で2〜3kg)の増加は体液貯留=増悪のサインで受診 | 体重増加を栄養改善の指標とみる |
| 疲労 | 疲労感が残っているときは運動を休む(翌日まで残る疲労は過負荷のサイン) | 疲労があっても予定どおり続ける |
| 服薬 | 症状が安定していても医師の指示どおり続ける | 症状に変化がなければ自己判断で中止する |
心不全の在宅管理のキーワード=「体重・症状のセルフモニタリング」。体重の急増・下腿浮腫・息切れの増悪は受診のサイン。
脊椎MRIは腰部脊柱管狭窄症(神経性の間欠性跛行)との鑑別には役立つが、動脈の虚血の程度は分からない。筋電図・単純エックス線・胸部CTも下肢の血流評価には使えない。