| 目的 | 主な手技 |
|---|---|
| 関節可動域の維持・改善 | ROM運動(他動・自動介助・自動)、ストレッチング、CPM、連続ギプス・動的装具 |
| 筋力の維持・増強 | 抵抗運動(等尺性・等張性・等速性)、漸増抵抗運動 |
| 全身持久力の改善 | 有酸素運動(自転車エルゴメーター・トレッドミル・歩行) |
| 協調性・随意性の再獲得 | PNF・神経筋再教育・Frenkel体操・バイオフィードバック |
| 気道クリアランス | 体位排痰、squeezing(呼気介助)、胸郭ストレッチ |
| バランス | 支持面の広い課題から。両脚→片脚、開眼→閉眼と段階づける |
| 種類 | 定義 | 特徴・適応 |
|---|---|---|
| 他動運動 | 外力のみで動かす。筋収縮を伴わない | 意識障害・重度麻痺でも実施できる。循環・呼吸への負荷が小さく、全身状態が不安定な時期の第一選択 |
| 自動介助運動 | 不足する筋力を他者・器具・健側が補助する | MMT2程度の弱い筋でも、過負荷を与えられれば筋力向上は得られる |
| 自動運動 | 外力を加えず患者自身の筋収縮で動かす | 重力に抗するか否かは定義に含まれない |
| 抵抗運動 | 外部から加わる抵抗に抗して行う | 筋力増強の主手段。徒手・重錘・ゴムバンド・機器 |
「自動運動=重力に抗して行う運動」「自動介助運動=最小重力肢位で行う運動」はどちらも誤り → 自動運動は外力を加えず自身の筋収縮で動かす運動、自動介助運動は不足する筋力を介助で補う運動。肢位や重力の向きで定義されるものではない。
運動療法の位置づけ=三次予防
効果を検証した研究の読み方
| 様式 | 一定なもの | 関節運動 | 器具 | 代表例 |
|---|---|---|---|---|
| 等尺性(isometric) | 筋長・関節角度 | 伴わない | 不要 | 大腿四頭筋セッティング、壁押し、姿勢の保持、握力計 |
| 等張性(isotonic) | 張力=負荷 | 伴う | 不要(重錘・ダンベル・ゴムバンド) | ダンベルカール、レッグエクステンション |
| 等速性(等運動性・isokinetic) | 角速度 | 伴う | 専用機器が必須 | 等速性運動機器による測定・訓練 |
機器がなければ実施できないのは等速性(等運動性)運動だけ。徒手では一定の角速度を保てないため徒手では行えない。重錘ベルトは等張性運動の道具であり、等速性運動には使えない。等速性では関節角度に応じて抵抗が変化し、全可動域で最大負荷が得られるため筋力増強効率が最も高い。
どちらも機器なしで実施できる。「等張性収縮には求心性収縮と遠心性収縮がある」は正しい記述として頻出。
| 項目 | 等尺性 | 等張性 |
|---|---|---|
| 血圧 | 上昇しやすい(筋内圧上昇+息こらえ=Valsalva) | 上昇しにくい |
| 収縮時の筋血流 | 減少(持続収縮で血管が圧迫される) | 増加しやすい(収縮弛緩の反復=筋ポンプ) |
| 心拍数 | 運動強度に応じて上昇する(様式としての特徴は昇圧反応のほう) | 運動強度に応じて上昇する |
| 筋持久力の増強 | 劣る | 優れる(反復を伴う動的運動) |
| 負荷の一定性 | — | 重錘ではモーメントアームが角度で変わり、全可動域で負荷は一定でない |
| 姿勢の保持 | 負荷に抗して姿勢を維持する収縮はこれ | — |
「等尺性運動は等張性運動よりも筋持久力の増強効果が大きい」は誤り → 筋持久力の向上には反復を伴う動的な等張性運動のほうが有利。等尺性が優れるのは、関節を動かさずに特定角度の筋力を維持・増強できる点である。
「等張性運動は等尺性運動に比べ心拍数が増加しやすい」は両者を区別する記述にならない → 心拍数はどちらの様式でも運動強度に応じて上昇するため、様式の識別点にはならない。等尺性と等張性を分ける軸は血圧(等尺性で上昇しやすい=昇圧反応)と収縮時の筋血流(等張性で増加しやすい=筋ポンプ)の2つで、「等張性運動について正しいのはどれか」ではこの2軸のうち筋血流の増加が正答になる。
力‐速度関係:筋の短縮速度が速いほど発揮できる張力(トルク)は低下する。したがって等速性運動では低速のほうが大きな筋力を発揮できる。「角速度の高速域で筋出力効果が増大する」は誤り。
| 種類 | 定義 |
|---|---|
| 自動運動 | 患者自身の筋収縮で動かす。重力に抗するかどうかは問わない(重力を除いた面で動かしても自動運動) |
| 自動介助運動 | 自分の筋収縮で動かし、足りない分だけを療法士・器具・滑車などで介助する |
| 他動運動 | 筋収縮を伴わず、外力だけで動かす |
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 筋力の維持 | 最大筋力の20〜30%程度 |
| 筋力の増強 | 最大筋力の約2/3(60〜70%)以上 |
| 等尺性運動の1回の収縮時間 | 5〜6秒程度(20〜30秒は長すぎる) |
| 頻度 | 週2〜3回程度(最大抵抗でも月1回では刺激不足で効果は得られない) |
| 高齢者 | 高負荷低頻度ではなく、低〜中負荷で反復回数を確保するほうが関節・心血管に安全 |
数値の取り違えが定番。維持=20〜30%/増強=約2/3以上。「維持には40〜50%以上が必要」「維持には70〜80%以上が必要」はいずれも過大な記述で誤り。
| 項目 | 開放性運動連鎖〈OKC〉 | 閉鎖性運動連鎖〈CKC〉 |
|---|---|---|
| 四肢末端 | 自由 | 床・壁などに固定・接地 |
| 動員 | 単関節的・目的筋を選択的に鍛える | 多関節・複数筋を同時動員=協調的な筋力増強に適する |
| 例 | 座位での膝伸展運動、ダンベルカール | スクワット、ブリッジ、腕立て伏せ |
| 注意 | 膝伸展のOKCは脛骨に前方剪断力が加わり、前十字靱帯再建後には不利 | 荷重を伴うため術後急性期には時期尚早 |
「開放性連鎖運動は四肢末端が地面に接した状態で行う」は誤り → 末端が接地・固定されるのは閉鎖性連鎖運動(CKC)。OKCとCKCの用語入れ替えは頻出の引っかけ。あわせて「等運動性運動は徒手で行う」「等尺性運動は関節運動を伴う」「等張性運動では関節運動の速度を調整する」もすべて誤り。
漸増抵抗運動は重錘・ダンベル・徒手抵抗で負荷を段階的に増やす方法で、専用機器は必須ではない。
| 項目 | 徒手抵抗 | 機器(重錘・マシン) |
|---|---|---|
| 抵抗量の調整 | 全可動域で・痛みに合わせてその場で変えられる | 設定した負荷で一定になりやすい |
| 抵抗をかける部位・方向 | 変えやすい。斜め・回旋など多方向(PNFのパターン)も可 | 機器の構造で決まる |
| 定量性・再現性 | 低い | 高い |
| 筋力の強い人 | 療法士の力が上限になり不向き | 大きな負荷をかけられる |
| 人手 | 療法士が常に必要 | 自主練習にできる |
| 種類 | 方法 | 要点 |
|---|---|---|
| スタティック | 反動をつけずゆっくり持続的に伸張 | 20〜30秒持続。息を止めない。強い痛みが出るまで伸ばさない |
| バリスティック | 反動をつけて素早く伸張 | 筋紡錘を刺激し伸張反射を誘発するため疼痛緩和目的には不適 |
| ホールド・リラックス/コントラクト・リラックス | 収縮後の弛緩を利用(PNF) | 可動域の拡大が目的 |
スタティック・ストレッチングで「素早く伸張する」「強い痛みが生じるまで伸張する」「伸張時間は5秒以内」「高頻度に伸張する」はいずれも誤り。呼吸を止めると血圧上昇・筋緊張増大を招くため、自然な呼吸を続けながら心地よい伸張感の範囲で20〜30秒持続する。
対象は骨運動(屈曲・伸展など)ではなく、関節面どうしの副運動=関節包内運動(滑り・転がり・軸回旋)。関節包・靱帯の短縮で副運動が制限され可動域が落ちている例が適応となる。
| 項目 | 原則 |
|---|---|
| 評価 | 関節包内運動の制限は関節の遊び(joint play)の大きさで評価する |
| 適応 | 関節包内運動が制限されている場合(関節包・靱帯性の制限、疼痛)。制限の原因が筋だけならストレッチングが先 |
| 開始肢位 | 関節包・靱帯が最も緩む関節の遊びが大きい位置=緩みの肢位(loose packed position、安静肢位)から始め、徐々に制限方向へ進める |
| 手技 | 牽引と滑りを緩やかな振幅運動(oscillation)で加える。Maitlandのグレード分けでは疼痛が強い時期ほど小さい振幅から |
| 対象関節 | 1関節ずつ。近位を固定し、遠位の関節面を目的の方向へ限局して動かす |
「複数の関節を同時に治療する」は誤り → 同時に扱うとどの関節にどれだけ力がかかったか制御できない。正しくは一関節を選択し、固定側と可動側を明確にして行う。
凹凸の法則:凸面が動くときは関節面の滑りは骨運動と反対方向、凹面が動くときは同方向。例=肩関節外転では凸面の上腕骨頭が下方へ滑る。禁忌の代表例は悪性腫瘍・感染性関節炎・関節の不安定性・骨折部や偽関節・著明な骨粗鬆症・関節リウマチの急性期。
| PNFの手技 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| ホールド・リラックス | 等尺性収縮の後の弛緩を利用する | 可動域の拡大 |
| コントラクト・リラックス | 等張性に収縮させた後に弛緩させる | 可動域の拡大 |
| リズミック・スタビリゼーション | 多方向から交互に等尺性抵抗を加え、動かさずに保持させる(同時収縮) | 姿勢・体幹の安定性向上 |
| スローリバーサル | 拮抗する運動方向へ交互に抵抗を加え能動的に動かす | 協調性・筋力 |
| リピーテッド・コントラクション | 弱い筋に反復収縮を行わせる | 筋力増強 |
運動失調例で体幹回旋筋の同時収縮により座位の安定性を高める手技=リズミック・スタビリゼーション。識別点は「動かさずに多方向から抵抗を加える」こと。可動域拡大系(ホールド/コントラクト・リラックス)や筋力増強系(リピーテッドコントラクション)と混同しない。
| 方法 | 原理 |
|---|---|
| Frenkel体操 | 目で四肢の動きを確認しながら反復=視覚による代償(深部感覚障害による失調) |
| 重錘負荷法 | 四肢に重りを付け固有受容入力を増強して動揺を抑える |
| 弾性緊縛帯(緊縛帯法) | 弾性帯を巻いて固有受容入力を増強する |
| 不安定板を用いた練習 | バランス反応・固有受容感覚の訓練 |
| リズミック・スタビリゼーション | 同時収縮による体幹・姿勢の安定化 |
「視覚の代償=Frenkel体操」「固有受容感覚の増強=重錘負荷・弾性緊縛帯」。深部感覚障害では視覚を遮断すると動揺が増す(Romberg徴候陽性)ことと結びつけて覚える。
| 手技 | 適応 |
|---|---|
| rhythmic stabilization | 小脳性協調運動障害。周期的に方向を変えた抵抗を加え、安定性と協調性を同時に高める |
| Frenkel体操 | 脊髄性(後索性)運動失調。視覚による代償を利用した反復学習 |
| Epley法 | 良性発作性頭位めまい症(耳石置換)。失調の治療ではない |
| 持続的伸張 | 短縮・拘縮への対応。協調性改善に寄与しない |
| エルゴメーターのペダリング | 持久力・全身調整。協調性改善に特異的でない |
小脳性失調にFrenkel体操を当てるのは誤り → Frenkel体操は脊髄性(深部感覚障害)向け。眼振・構音障害・鼻指鼻試験異常があり関節位置覚障害なし・Romberg陰性なら小脳性であり、選ぶのはrhythmic stabilization。