第1章|耳の解剖と構造

対応過去問 約70問 / 難易度 ★★★★☆

外耳の解剖

外耳道の構造

  • 外耳道は軟骨部(外側)と骨部(内側)で構成
  • 外耳道の長さは15〜20mm程度
  • 耳垢腺・皮脂腺は軟骨部に存在(骨部ではない)
  • 外耳道には共鳴作用がある(2,000〜3,000Hz付近を増幅)
  • 外耳道には自浄作用がある(耳垢を外側に排出)
  • 迷走神経は外耳道の知覚に関与
  • 骨部外耳道は外耳道の内側(深部)1/2
「骨部外耳道は外側二分の一」は誤り。骨部は内側(深部)二分の一。
「耳垢は骨部で形成される」は誤り。軟骨部で産生。

乳児の外耳の特徴

  • 乳児の外耳道は軟骨部が主体
  • 外耳道の長さは成人と大差なし(15〜20mm程度)
  • 耳甲介腔の大きさは成人より小さい
  • 裸耳利得のピーク周波数は成人より低周波数にある
  • 鼓膜は月齢が小さいほど外耳道に対してより傾斜している

中耳の解剖

中耳の構造と内容物

  • 中耳に含まれるもの:ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨・鼓膜張筋・アブミ骨筋
  • 中耳に含まれないもの:鼓室階・ラセン器・聴神経・外有毛細胞(これらは内耳
  • 鼓室は咽頭と耳管を介して交通する

耳小骨

耳小骨接続先
ツチ骨(槌骨)鼓膜に接する(鼓膜側)
キヌタ骨(砧骨)ツチ骨とアブミ骨の中間
アブミ骨(鐙骨)前庭窓(卵円窓)に接する(内耳側)
「キヌタ骨は鼓膜に接する」は誤り。鼓膜に接するのはツチ骨。

耳小骨筋

付着部位支配神経
鼓膜張筋ツチ骨三叉神経(下顎神経)
アブミ骨筋アブミ骨顔面神経
アブミ骨筋が収縮すると音の伝達は抑制(減弱)される。
「アブミ骨筋の支配神経は蝸牛神経」は誤り。顔面神経が正しい。

耳管

  • 耳管は中耳腔と外気圧の均衡(換気機能)を担う
  • 内耳圧の調整を行うのではない
「耳管は内耳圧の調整をしている」は誤り。中耳腔の圧と外気圧の調整が正しい。

鼓膜

  • 鼓膜は上皮層・固有層・粘膜層の3層構造(2層ではない)
  • 慢性中耳炎の鼓膜穿孔は緊張部に多い
  • 鼓膜全穿孔による聴力低下は最大約35〜40dB程度(60dBではない)

内耳の解剖

蝸牛の構造

蝸牛は2回転半のラセン構造(3回転半は誤り)

区分内容液備考
前庭階外リンパ前庭窓(卵円窓)側
中央階(蝸牛管)内リンパ血管条が外側壁に存在
鼓室階外リンパ正円窓(蝸牛窓)側
  • ライスネル膜(前庭膜)は前庭階と中央階の境
  • 基底板(基底膜)は中央階と鼓室階の境
  • 正円窓(蝸牛窓)は鼓室階と中耳を境する
「前庭階と中耳は正円窓によって境される」は誤り。正円窓は鼓室階と中耳の境。
「中央階と鼓室階はライスネル膜を介して接する」は誤り。ライスネル膜は前庭階と中央階の境。

蝸牛の内リンパと外リンパ

体液イオン濃度
内リンパ(中央階)K+が最も高い
外リンパ(前庭階・鼓室階)Na+が高い
  • 蝸牛内リンパ電位は+80mV程度(中央階は鼓室階より高い)
  • 血管条(stria vascularis)は内リンパを産生(中央階の外側壁)
「中央階は鼓室階より電位が低い」は誤り。中央階は+80mVと高い。
「血管条は鼓室階外側にある」は誤り。中央階外側壁。

有毛細胞の構造と機能

種類主な機能神経支配
内有毛細胞少ない(1列)音情報の中枢への伝達(求心性)求心性神経線維の大部分
外有毛細胞多い(3列)蝸牛の周波数同調・増幅機能遠心性神経が直接終末
  • 外有毛細胞の不動毛は蓋膜(蓋板)に接している
  • 音刺激によりK+チャネルが開き脱分極する(Na+チャネルではない)
  • 外有毛細胞に遠心性神経(オリーブ蝸牛束)が直接終末を作る
  • ラセン神経節細胞の樹状突起は内有毛細胞にシナプス結合する
「内有毛細胞は外有毛細胞より多い」は誤り。外有毛細胞の方が多い(3:1)。
「内耳の感度の調整は内有毛細胞が行う」は誤り。外有毛細胞が担う。
「音刺激でNa+チャネルが開く」は誤り。K+チャネルが正しい。

蝸牛の周波数局在性(場所説)

  • 基底回転(底部)→ 高音域に反応
  • 頂回転(先端)→ 低音域に反応
  • 基底板は頂回転の方が幅が広い
「頂回転は高音域の知覚に関与する」は誤り。低音域が正しい。
「基底回転は低音域に関与する」は誤り。高音域が正しい。

補充現象(リクルートメント)

  • 外有毛細胞の障害によって生じる内耳性難聴の特徴
  • ダイナミックレンジが縮小する(拡大ではない)
  • 不快閾値が低下する
  • ラウドネスの上昇が急峻になる
補充現象は中耳機能の障害では生じない(内耳性難聴の特徴)。
「ダイナミックレンジが拡大する」は誤り。縮小が正しい。

耳音響放射(OAE)

  • 外有毛細胞の能動的運動に由来する(内有毛細胞由来ではない)
  • 外有毛細胞が障害されると消失・低下する
  • 後迷路性難聴では耳音響放射は障害されない(外有毛細胞は正常なため)

平衡覚器官の解剖

受容器構造感知する刺激
半規管(膨大部稜)3つの半規管(水平・前・後)角加速度(回転運動)
球形嚢(saccule)耳石器の1つ上下方向の直線加速度
卵形嚢(utricle)耳石器の1つ前後方向(水平)の直線加速度
  • 半規管は角加速度(回転加速度)を感知(直線加速度ではない)
  • 耳石器は直線加速度・重力を感知(角加速度ではない)
  • 耳石器は強大な音響刺激にも反応する(VEMPの原理)
  • 前庭には左右それぞれに2個の耳石器(球形嚢・卵形嚢)がある(3個ではない)
「耳石器は頭部の回転運動を感知する」は誤り。直線加速度・重力の感知。
「前庭には左右それぞれに3個の耳石器がある」は誤り。2個。
「卵形嚢は角加速度を感知する」は誤り。直線加速度(水平方向)の感知。

前庭神経の区分

神経支配部位備考
上前庭神経水平半規管・前半規管・卵形嚢温度眼振反応に関与
下前庭神経後半規管・球形嚢
「下前庭神経が温度眼振反応に関与する」は誤り。上前庭神経が正しい。

内リンパ嚢は内リンパの吸収を担う(産生ではない)。前庭水管の中を通る。