第1章|構音発達の基礎

対応過去問 7問 / 難易度 ★★★☆☆

構音音の発達順序

子音の獲得順序(早い→遅い)

獲得時期
早期(2〜3歳)[m][p][b][n][d][t][k][g][h]
中期(3〜4歳)[ŋ][j][w][ɾ(r)の一部]
遅い(4〜6歳)[s][z][ts][dz][tʃ][ɾ(r)]

幼児期に最も遅く獲得される子音:[s](サ行)

「[r]が最も遅い」と思いがちだが、国家試験では[s]が選択肢として最遅のポジションに置かれることが多い。[r]と[s]はどちらも遅いが、設問の選択肢構成に注意。

3歳児で自然治癒が期待できる構音

自然治癒が期待できる(未熟構音):

  • [h]の省略
  • [s]の[t]への置換(サ→タ)
  • [s]の口蓋化(まだ発達途上)

自然治癒が期待できない(異常構音):

  • [b]の鼻音化(鼻咽腔の問題の可能性)
  • [i]の側音化(側音化構音は習慣化しやすく自然治癒しない)

未熟構音と異常構音の鑑別

未熟構音(発達過程で自然に見られる誤り):

  • 後続母音による影響(「タワン(茶碗)」)
  • 音節の簡略化・省略
  • [s]→[t]への置換(サ行の未獲得)
  • [ts]→[tʃ](ツ→チュ)

異常構音(習慣化した特殊な誤り):

  • 側音化構音・口蓋化構音・鼻咽腔構音・声門破裂音・咽頭摩擦音

未熟構音の可能性が最も低いもの:

  • [s]→[ʃ](シカク→ヒカク)=異常構音(側音化または口蓋化に近い)

口腔顔面領域の随意運動獲得順序

最初に獲得:舌の突出

順序(早い→遅い):

  1. 舌の突出
  2. 頬を膨らませる
  3. 口唇をとがらせる
  4. 舌を左右口角につける
  5. 舌で上口唇をなめる

構音音の位置と特徴

構音位置の分類

構音位置
両唇[p][b][m]
歯茎[t][d][n][s][z][ts][dz][ɾ]
硬口蓋[tʃ(cha)][dʒ][ʃ][ʒ][j]
軟口蓋[k][g][ŋ]
声門[h]

[dz]の構音位置は「歯茎」(硬口蓋ではない)。[s][z][ts][dz]はすべて歯茎音。

発声発語器官の運動に関与する神経

関与する神経:

  • 舌下神経(舌の運動)
  • 反回神経(声帯の運動)

関与しない神経:

  • 嗅神経(嗅覚)
  • 舌神経(舌の感覚——三叉神経第3枝)
  • 大錐体神経(涙腺・鼻腺)