第3章|脳神経(12対)

神経系 第3章 / 対応過去問 37問

脳神経の概要と分類

12対の脳神経

番号名称種類核の位置
I嗅神経感覚大脳(終脳)
II視神経感覚間脳(網膜)
III動眼神経運動(+副交感)中脳
IV滑車神経運動中脳
V三叉神経混合
VI外転神経運動
VII顔面神経混合
VIII内耳神経感覚
IX舌咽神経混合延髄
X迷走神経混合延髄
XI副神経運動延髄・頸髄
XII舌下神経運動延髄

副神経(第XI)は感覚神経線維を含まない(純運動神経)。滑車神経・外転神経・舌下神経も純運動神経。

三叉神経(第V脳神経)

三叉神経の3枝と支配領域

支配領域
眼神経(V1)額・眼球・鼻上部の知覚
上顎神経(V2)上顎・上唇・頬部の知覚
下顎神経(V3)下顎・口唇・舌前方の知覚+咀嚼筋の運動
  • 口唇の知覚に関わる神経:三叉神経(顔面神経ではない)

三叉神経支配の筋(咀嚼筋)

三叉神経(下顎神経)が支配する筋:

  • 咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋・口蓋帆張筋

「前頭筋・眼輪筋・口輪筋・広頚筋」は顔面神経支配。三叉神経支配ではない。

  • 口蓋帆挙筋:迷走神経支配(三叉神経ではない)
  • 口蓋帆張筋三叉神経支配(口蓋帆挙筋と混同注意)

顔面神経(第VII脳神経)

顔面神経の機能

顔面神経は以下の機能をもつ混合神経:

  1. 表情筋(顔面筋)の運動
  2. 舌前方2/3の味覚(鼓索神経を介して)
  3. 涙腺・唾液腺(顎下腺・舌下腺)の分泌(副交感)
  4. 外耳の一部の知覚

「側頭筋」は三叉神経支配(咀嚼筋)であり、顔面神経支配ではない。

顔面神経麻痺の症状

症状あり/なし
閉眼困難(閉瞼不全)あり
鼻唇溝の消失あり
口角下垂・口笛不能あり
味覚低下(舌前方2/3)あり
咀嚼筋の運動障害なし(三叉神経障害の症状)
痛覚低下なし(顔面の感覚は三叉神経)

顔面神経が通過する頭蓋骨の孔:内耳孔(茎乳突孔も通る)

舌の神経支配

舌の神経支配まとめ

領域・機能神経
舌前方2/3の触覚・痛覚(一般感覚)舌神経(三叉神経の枝)
舌前方2/3の味覚顔面神経(鼓索神経を介して舌神経と走行)
舌後方1/3の感覚・味覚舌咽神経
舌筋の運動舌下神経
軟口蓋・咽頭の感覚舌咽神経・迷走神経
  • 舌下神経が障害されると、舌を前方に出すと障害側に偏位する
  • 舌を前方に出す主要筋:オトガイ舌筋
  • 甲状舌骨筋:舌下神経支配

舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経

迷走神経

  • 咽頭収縮筋の主たる支配:迷走神経(咽頭神経叢を介して)
  • 輪状咽頭筋(上部食道括約筋):迷走神経支配
  • 発声・声帯運動:反回神経(迷走神経の枝)

反回神経の走行

  • 右側:鎖骨下動脈の下を回る
  • 左側:大動脈弓の下を回る
  • 卵円孔は関係しない(卵円孔は三叉神経下顎枝が通る)

副神経・嚥下関連ニューロン

  • 副神経(第XI)支配筋:僧帽筋・胸鎖乳突筋
  • 嚥下関連ニューロンの存在部位:疑核・孤束核・網様体

動眼神経・滑車神経・外転神経

神経支配筋眼球運動
動眼神経(III)上直筋・下直筋・内直筋・下斜筋・上眼瞼挙筋内転・上転・下転
滑車神経(IV)上斜筋下内方向
外転神経(VI)外直筋外転
  • 動眼神経は瞳孔括約筋(縮瞳・副交感)も支配する

味覚・外耳・口蓋・構音に関わる神経

味覚に関与する神経

部位担当神経
舌前方2/3顔面神経(鼓索神経)
舌後方1/3舌咽神経
喉頭蓋周囲迷走神経

味覚に関与しない神経:三叉神経・舌下神経

口蓋筋の神経支配

支配神経
口蓋帆挙筋迷走神経(咽頭神経叢)
口蓋帆張筋三叉神経(下顎神経)
口蓋舌筋・口蓋咽頭筋・口蓋垂筋迷走神経(咽頭神経叢)

内喉頭筋の支配

内喉頭筋(声帯を動かす筋)を支配するのは:迷走神経(反回神経)

唯一の例外:輪状甲状筋のみ上喉頭神経外枝(迷走神経の別の枝)支配

「輪状甲状筋は反回神経支配」は誤り。輪状甲状筋は上喉頭神経外枝支配(反回神経ではない)。