WAB失語症検査の読み方・完全ガイド
WAB(Western Aphasia Battery)は失語症の標準的評価バッテリーです。失語指数(AQ)の計算方法と失語タイプの判定をマスターしましょう。
1. WABの構成
WABは大きく「言語機能」と「非言語機能」に分かれています。国試で問われるのは主に言語機能部分です。
| 領域 | 課題 | 満点 |
| 自発話 | 情報量(10点)・流暢性(10点)の2項目 | 20点 |
| 聴覚的理解 | yes/no質問・聴覚的単語認知・連続命令 | 200点 → 換算10点 |
| 復唱 | 単語・文の復唱 | 100点 → 換算10点 |
| 呼称 | 物品呼称・語想起・文補完・文レスポンス | 100点 → 換算10点 |
AQ(失語指数)の計算式
AQ = (自発話 + 聴覚的理解換算 + 復唱換算 + 呼称換算) × 2
※ 各領域を10点満点に揃えてから合計(40点満点)→ ×2 = 80点満点
AQ 93.8以上 → 正常(失語なし)
2. 失語タイプの判定フロー
WABでは自発話の「流暢性(10点中)」と各課題のスコアを組み合わせて失語タイプを判定します。
ステップ1:流暢性で大別する
| 流暢性スコア | タイプ |
| 0〜4点(非流暢) | ブローカ失語 / 超皮質性運動失語 / 全失語 / 失名詞失語(一部) |
| 5〜10点(流暢) | ウェルニッケ失語 / 超皮質性感覚失語 / 伝導失語 / 失名詞失語 |
ステップ2:復唱スコアで鑑別する
| 失語タイプ | 流暢性 | 聴覚的理解 | 復唱 | 呼称 |
| ブローカ失語 | 非流暢(0〜4) | 比較的良好 | 障害 | 障害 |
| ウェルニッケ失語 | 流暢(5〜10) | 著明に障害 | 障害 | 障害 |
| 伝導失語 | 流暢 | 比較的良好 | 著明に障害 | 障害 |
| 全失語 | 非流暢(0〜4) | 著明に障害 | 著明に障害 | 著明に障害 |
| 超皮質性運動失語 | 非流暢 | 比較的良好 | 良好(保たれる) | 障害 |
| 超皮質性感覚失語 | 流暢 | 著明に障害 | 良好(保たれる) | 障害 |
| 混合型超皮質性失語 | 非流暢 | 著明に障害 | 良好(保たれる) | 著明に障害 |
| 失名詞失語 | 流暢 | 良好 | 良好 | 障害(主症状) |
国試頻出:超皮質性失語の特徴
超皮質性失語(運動性・感覚性・混合型)に共通するのは「復唱が保たれる」こと。これは言語野の孤立によって生じるため。復唱が良好という特徴から「孤立性言語野症候群」とも呼ばれる。
3. 非言語機能の評価
| 検査 | 内容 | 算出指数 |
| 動作性知能(Praxis) | 失行の評価 | PI(失行指数) |
| 構成(Construction) | 描画・積み木 | 構成指数に含む |
| 読み(Reading) | 読解の評価 | 読み指数 |
| 書き(Writing) | 書字の評価 | 書き指数 |
これらを組み合わせて「皮質指数(CQ)」を算出します。CQ = (AQ + LQ + CQ構成要素) / 3 ではなく、各指数を独立して解釈します。
4. STABとの違い
| WAB | STAB(標準失語症検査補助テスト) |
| 目的 | 失語の診断・タイプ分類 | 読み書き・数概念の詳細評価 |
| 特徴 | AQによる重症度定量化 | WABの補助として使用 |
| 対象 | 失語症全般 | 識字・数処理に問題がある例 |
注意:SLTAとWABの違いを混同しない
SLTA(標準失語症検査)は日本独自の検査で、26課題を6段階評価。プロフィールで失語タイプを類推する。WABはAQという数値指標でタイプ判定できる点が大きな違い。
5. WABスコアの臨床的解釈例
実際の症例に近い形でスコアを読む練習が国試では求められます。
| 項目 | スコア例 | 解釈 |
| 自発話(情報量) | 5/10 | 情報の少ない発話 |
| 自発話(流暢性) | 2/10 | 非流暢(ブローカ系) |
| 聴覚的理解 | 8.2/10 | 理解は比較的良好 |
| 復唱 | 4.2/10 | 復唱に障害あり |
| 呼称 | 4.8/10 | 呼称に障害あり |
| AQ | (5+2+8.2+4.2+4.8)×2 = 48.4 | 中等度のブローカ失語 |
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STカコモンにはWABのスコア解釈・失語タイプ判定に関する過去問が収録されています。
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