第1章|分類・病変部位・疾患

対応過去問 27問 / 難易度 ★★★☆☆

運動障害性構音障害の分類と病変部位

6分類と病変部位・代表疾患

分類病変部位代表疾患
弛緩性下位運動ニューロン(脳神経・末梢神経・神経筋接合部・筋)球麻痺・重症筋無力症・ギラン・バレー症候群・筋ジストロフィー
痙性上位運動ニューロン(両側)偽性球麻痺・両側大脳皮質損傷
失調性小脳系脊髄小脳変性症・多系統萎縮症
運動低下性錐体外路(大脳基底核)パーキンソン病
運動過多性大脳基底核ハンチントン病・口部顔面ジスキネジア・ジストニア
一側性上位運動ニューロン性(UUMN)一側大脳皮質・皮質延髄路一側大脳半球の脳卒中
混合性複数部位筋萎縮性側索硬化症(弛緩性+痙性)・多系統萎縮症

「運動低下性=錐体外路(大脳基底核)」「運動過多性=大脳基底核」は同じ部位だが症状が逆。「パーキンソン病=運動過多性」は誤り——運動低下性。「ギラン・バレー=運動過多性」は誤り——弛緩性。「筋萎縮性側索硬化症=混合性」が正しい(弛緩性+痙性の両方を合併)。「運動低下性構音障害=錐体路系」は誤り——錐体外路系。

疾患別の構音障害タイプ早見表

疾患構音障害タイプ
パーキンソン病運動低下性
脊髄小脳変性症失調性
筋萎縮性側索硬化症(ALS)混合性(弛緩性+痙性)
重症筋無力症弛緩性
ギラン・バレー症候群弛緩性
筋ジストロフィー弛緩性
進行性球麻痺弛緩性
偽性球麻痺痙性
口部顔面ジスキネジア運動過多性
ハンチントン病運動過多性
多系統萎縮症混合性(失調性+運動低下性など)

各タイプの発話特徴

弛緩性構音障害

  • 開鼻声(鼻咽腔閉鎖不全)
  • 気息性嗄声(声門閉鎖不全)
  • 発話速度の低下
  • 筋力低下・萎縮

「線維束性収縮(攣縮)」は下位運動ニューロン病変(弛緩性)の身体所見。痙性構音障害ではみられない。

痙性構音障害

  • 努力性嗄声(strained-strangled voice)
  • 発話速度の低下
  • 強勢の過剰
  • 粗糙性嗄声
  • 開鼻声(合併することあり)
  • 不規則な交互運動

「声のふるえ(声の振戦)」は痙性構音障害の特徴ではない——失調性の特徴。「加速現象(発話の加速)」は痙性ではなく運動低下性(パーキンソン病)の特徴。

失調性構音障害

  • 断綴性発話(スキャニング・スピーチ)
  • 声の振戦(声のふるえ)
  • リズム障害
  • 発話速度の変動
  • 爆発的な起声(子音の過剰強調)
  • 音節間の等間隔化

「開鼻声」は失調性の主症状ではない(弛緩性・重症筋無力症の特徴)。「気息性嗄声」も失調性の主症状ではない。

運動低下性構音障害(パーキンソン病)

  • 声量低下(小声)
  • 発話の加速傾向(加速現象)
  • 単調な話し方(抑揚の低下)
  • 発話開始困難
  • 声のかすれ
  • 音の繰り返し(すくみ現象)

「高い声」はパーキンソン病の発話特徴ではない。「スラー様発話」も運動低下性ではなく失調性・弛緩性の特徴。「声が徐々に大きくなる」はパーキンソン病と逆——小声になる。

運動過多性構音障害

  • 発話速度の変動
  • 不随意運動による構音の乱れ
  • 不自然・急激な発話の変動
  • 声の高さ・大きさの変動

「筋緊張亢進」は運動過多性の主病態ではない(運動過多性は不随意運動が主体)。「気息性嗄声」は弛緩性の特徴。

一側性上位運動ニューロン性(UUMN)構音障害

  • スラー様発話
  • 比較的軽症
  • 自然回復しやすい

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の発話特徴

  • 発話速度が遅い(混合性のため)
  • 閉鼻声はみられない(開鼻声が出ることがある)
  • 同語の反復はみられない

「発話速度の亢進=ALS」は誤り——ALSは発話速度が遅くなる。「発話速度の亢進」はパーキンソン病(運動低下性)の特徴。

交互運動(DDK)と各タイプ

タイプDDKの特徴
運動低下性加速現象(口腔交互運動で速くなる)
失調性不規則・速度の変動
痙性遅い・不規則