第1章|基礎解剖・生理

対応過去問 20問 / 難易度 ★★★☆☆

1-1 嚥下に関わる筋と神経

舌骨上筋群と舌骨下筋群

分類筋名機能
舌骨上筋群顎舌骨筋・顎二腹筋・茎突舌骨筋・オトガイ舌骨筋舌骨を前上方に引き上げ、喉頭挙上を助ける
舌骨下筋群胸骨舌骨筋・甲状舌骨筋・肩甲舌骨筋・胸骨甲状筋舌骨・喉頭を下方に引く

胸骨舌骨筋は舌骨下筋群(舌骨上筋群ではない)。舌骨上筋群に含まれないのは「胸骨舌骨筋」。

喉頭挙上に関与する筋・関与しない筋

✅ 喉頭挙上に関与する筋:オトガイ舌骨筋・顎二腹筋・甲状舌骨筋(舌骨上筋・甲状舌骨筋)

❌ 喉頭挙上に関与しない筋:

  • 胸骨舌骨筋(舌骨を下制する)
  • 甲状咽頭筋(咽頭収縮筋の一部)

嚥下関連筋と機能の組み合わせ

筋名機能
茎突咽頭筋咽頭の挙上・拡大
オトガイ舌骨筋舌骨の前上方移動(挺舌ではない)
外側輪状披裂筋声門閉鎖
口蓋帆挙筋軟口蓋挙上
輪状咽頭筋食道入口部の収縮(嚥下時は弛緩して開大)
舌骨舌筋舌の後退
オトガイ舌筋舌の突出
口蓋舌筋軟口蓋の下制(軟口蓋挙上ではない)

「オトガイ舌骨筋→挺舌」は誤り(挺舌はオトガイ舌筋)。
「口蓋舌筋→軟口蓋の挙上」は誤り(口蓋舌筋は軟口蓋を下制・舌根を挙上する)。
「輪状咽頭筋→嚥下時に収縮」は誤り(嚥下時は弛緩して食道入口部が開大する)。

嚥下の神経支配

咽頭期の反射運動に関わる知覚神経:迷走神経・舌咽神経

咽頭神経叢支配の筋(嚥下障害に関与):口蓋舌筋・口蓋咽頭筋・輪状咽頭筋・上咽頭収縮筋

口蓋帆張筋は咽頭神経叢支配ではなく、三叉神経(下顎神経)支配

表在知覚と支配神経:

部位支配神経
前額三叉神経(眼神経)(顔面神経ではない)
口唇三叉神経
喉頭迷走神経
軟口蓋舌咽神経
舌後方舌咽神経(舌下神経ではない)

咽頭期に収縮する筋

嚥下咽頭期に収縮する筋:甲状咽頭筋(下咽頭収縮筋の一部)・咽頭収縮筋群

嚥下時に収縮:咽頭収縮筋(甲状咽頭筋含む)・外側輪状披裂筋(声門閉鎖)。
嚥下時に弛緩するのは輪状咽頭筋(食道入口部が開く)。
後輪状披裂筋は声門開大筋(嚥下時は声門を閉じるため収縮しない)。

1-2 嚥下の生理・発達

嚥下の5期モデル

内容
先行期(認知期)食物の認知・食欲・食環境への対応
口腔準備期咀嚼・食塊形成(食物の取り込みも含む)
口腔期食塊の咽頭への移送(舌による)
咽頭期嚥下反射による咽頭通過
食道期蠕動運動による胃への移送

口腔準備期の機能咀嚼・食物の取り込み

  • 食物の認知は先行期
  • 喉頭の閉鎖・食塊の咽頭への移送は咽頭期

嚥下機能の発達

発達段階特徴的な運動
経口摂取準備期吸啜反射
嚥下機能獲得期下口唇の内転
捕食機能獲得期口唇閉鎖(舌の突出ではない)
押しつぶし機能獲得期左右口唇の水平運動
すりつぶし機能獲得期下顎の上下左右運動

「捕食機能獲得期→舌の突出」は誤り(捕食は口唇閉鎖が特徴)。
吸啜反射は3か月ごろから減弱し始める。
嚥下機能は1歳ごろまでに完成するとは言えない(哺乳嚥下から成人型への移行は数年かかる)。

喉頭の移動方向

嚥下反射において喉頭が移動する方向:前上方

加齢による嚥下機能変化

加齢に伴う嚥下機能の変化:

  • 咽頭収縮力が低下する
  • 安静時の喉頭の位置が低くなる(高くなるは誤り)
  • 食道入口部が開きにくくなる
  • 喉頭挙上のタイミングが遅れる(早くなるは誤り)
  • 咽頭・喉頭粘膜の感覚が低下する(過敏になるは誤り)
  • 唾液分泌が減少する

「喉頭挙上のタイミングが早くなる」は誤り(遅れる)。
「食道入口部括約筋が緩んでいる」は誤り(硬くなりやすい)。
「安静時の喉頭の位置が高くなる」は誤り(下垂する)。
骨粗鬆症は加齢による嚥下障害の直接的原因ではない

加齢による嚥下障害の原因:フレイル・サルコペニア・口腔乾燥症・知覚閾値の上昇

口腔・嚥下の加齢変化

  • 頬部の皮膚や口角が下垂する
  • 唾液分泌量が減少する
  • 口腔内の温度感覚が低下する
  • 食塊形成能力が低下する
  • 味覚閾値は上昇する(低下は誤り)