第2章|嚥下の評価・検査

対応過去問 28問 / 難易度 ★★★★☆

2-1 嚥下造影検査(VF)と嚥下内視鏡検査(VE)

嚥下造影検査(VF)で評価できるもの・できないもの

✅ VFで評価できる:

  • 鼻咽腔逆流・喉頭挙上障害・嚥下反射惹起不全・食道入口部開大障害
  • 食塊通過時間・口腔残留・咽頭残留・誤嚥の有無
  • 不顕性誤嚥・喉頭の移動距離

❌ VFで評価が困難

  • 嚥下圧(→嚥下圧検査で評価)
  • 下咽頭唾液貯留(造影剤を用いるため、唾液単独の評価は困難)
  • カーテン徴候(→VEで評価)
  • 咽頭・喉頭の感覚(→VEで評価)

「VFではカーテン徴候の評価が難しい」→ カーテン徴候(軟口蓋の非対称的な動き)はVEの方が観察しやすい。
「VFでは不顕性誤嚥の評価ができる」→ VFで評価可能(サイレントアスピレーションをX線で確認)。

嚥下内視鏡検査(VE)で評価できるもの・できないもの

✅ VEで評価できる:

  • 喉頭の知覚・声帯の運動・嚥下反射の惹起性
  • 梨状陥凹の唾液貯留・食物残留・早期咽頭流入
  • 鼻咽腔逆流・咽頭クリアランス・咽頭収縮

❌ VEで評価が困難・不可能

  • 食道入口部開大(の程度)
  • 喉頭挙上の距離
  • 口腔内の食塊形成(鼻から挿入するため口腔は見えない)
  • 胃食道逆流
  • 胸部食道の器質的病変

「VEでは口腔の食塊形成を観察できる」は誤り(口腔は観察不可)。
「VEでは嚥下機能全体を評価できる」は誤り(食道期・口腔準備期は評価困難)。
「VEで誤嚥の検出はできない」は誤り(誤嚥を確認できる)。

VEの正常所見ホワイトアウト(嚥下時に内視鏡が白くなる→正常な嚥下反射)

VEの異常所見:喉頭流入・鼻咽腔逆流・早期咽頭流入

VFとVEの比較

項目VFが有用VEが有用
喉頭挙上障害
食道入口部開大
声門閉鎖
カーテン徴候
梨状陥凹の唾液残留
咽頭・喉頭感覚×

2-2 スクリーニング検査

改訂水飲みテスト(MWST)

  • 冷水3mlを口腔底に注ぐ(舌背・舌根ではない。舌背に注ぐと咽頭へ直接流れ込み危険)
  • 嚥下後の音声・むせ・呼吸状態を評価
  • 評点が4点以上ならさらに最大2回繰り返し(合計最大3試行)、問題なければ5点で終了
  • 最低点を評点とする(最高点ではない)

「冷水30ml」は30ml水飲みテストの量。MWSTは3ml
「水を舌背(または舌根)に注ぐ」は誤り(口腔底に注ぐ)。
「反復嚥下を行わせない」は誤り(追加の嚥下をさせて評価する)。

反復唾液嚥下テスト(RSST)

  • 30秒間に2回以下は異常(3回未満が基準)
  • 嚥下の随意的惹起能力を評価する簡易検査

その他のスクリーニング検査

検査評価内容
頸部聴診法嚥下音・呼吸音の変化で飲食物の動きを推定
食物テスト実際の食物で摂食状況を評価
咳反射テスト不顕性誤嚥リスクの評価

STのみで実施できない検査嚥下造影検査・嚥下内視鏡検査(医師との連携が必要)

2-3 その他の検査

嚥下圧検査

評価できるもの:咽頭内圧・輪状咽頭筋の弛緩

嚥下圧検査では口腔内圧・声門下圧・呼気圧・咬合圧は直接計測しない

睡眠中の唾液誤嚥の検出

シンチグラフィで睡眠中の唾液誤嚥を検出できる

嚥下障害を疑う所見

✅ 嚥下障害を疑う所見:肺炎・体重減少・湿性嗄声・食事時間の延長・咳の増加・喀痰増加・発熱・むせ

❌ 嚥下障害を疑う所見でないもの:

  • 開口時の顎関節痛(顎関節症の所見)
  • 液体摂取量の増加
  • 嚥下痛(誤嚥の所見ではなく器質的病変を示す場合が多い)