第1章|前言語期の発達

対応過去問 約30問/難易度 ★★★☆☆

音声・発声の発達

発声の発達段階

段階時期特徴
反射的発声・叫喚発声0〜2か月生理的な反射。子音様の動きは含まない
クーイング2〜4か月柔らかい喉音的な発声。子音構音動作の始まりではない
始まりの喃語(非規準喃語)3〜6か月子音+母音の組み合わせが始まるが音節構造は不安定
規準喃語生後6〜8か月子音+母音が繰り返される安定した音節構造を持つ
反復喃語(CV音節の繰り返し)6〜10か月同じ音節を繰り返す(「ばばば」など)
ジャルゴン9〜12か月発話のイントネーションは大人に似るが有意味語ではない

喃語は模倣的発声として始まるのではなく、自発的に出現する。出現直後から安定した音節構造があるわけでもなく、構音動作の上達は喃語出現「後」に起こる。

叫喚発声(クライング)は子音様の発声ではない。クーイングは子音構音動作の始まりではない。ジャルゴンは有意味発声ではない。

  • 生後1年ころまでに、音韻知覚は母語の制約を受けるようになる(母語最適化)
  • 新生児期から音声弁別能力は存在する(ゼロではない)
  • 初語が出現しても非言語音による伝達は消失しない
  • 初期の発声にはリズミカルな身体運動が同期している

対幼児発話(CDS / マザリーズ)の特徴

養育者が乳幼児に向ける特徴的な話し方。

  • ピッチ(声の高さ)が高い
  • ✅ 抑揚が誇張される(高低差が大きい)
  • ✅ 発話速度が遅い(ゆっくり)
  • ✅ 発話が短い
  • ✅ 反復が多い
  • ✅ 意味的な制約がある(今ここの話題が中心)
  • ✅ 文法的簡単化をする

「抑揚が平板」「ピッチが低い」「声の高さが高いままで変化しない」はいずれも誤り。CDSはピッチが高く抑揚が誇張される(高低差が大きい)。

  • CDSは大人に向けられた子どもの発声ではなく、大人が子どもに向けて話す発声スタイル
  • 「今、ここ」の話題が中心となるのは正しい特徴

前言語期のコミュニケーション発達

二項関係・三項関係の発達

段階時期内容
二項関係(自己↔他者)〜6か月人と人のやりとり(原会話など)
二項関係(自己↔物)〜8か月物の探索・操作
三項関係9〜12か月自己・他者・物の三者をつなぐ

三項関係の成立に関連する行動:

  • 指差し(要求・叙述・応答・質問)
  • showing(物を見せる・大人へ物を提示する)
  • giving(物を手渡す)
  • 参照視(referential looking)(他者の表情・行動をモニターする)
  • 共同注意

reaching(物に手を伸ばす)は二項関係の行動。三項関係には含まれない。
共鳴動作(相手と同じ動作を無意識に行う)も三項関係の成立とは関連しない。

共同注意

  • 自己と他者と対象物をつなぐ三項関係の理解が基盤
  • 定型発達では12か月ころに出現
  • 語彙獲得・会話の成立・心の理論の獲得の基盤となる
  • 成長に伴い消失するものではない

「自己と他者の二項関係の理解」だけでは共同注意成立の十分条件ではない(三項関係の理解が必要)。
「社会的参照が出現した後に出現する」は誤り(共同注意が先)。
共同注意は喃語の出現とは関連しない

社会的参照・その他の前言語期行動

概念内容出現時期
社会的参照不確かな場面で他者の情動反応をモニターする1歳前後
指さし要求・叙述・質問・応答の機能を持つ(否定は含まない)1歳前後
原会話発声・視線のターンテーキング。記号的認識の前段階乳児期
  • 「あやすと笑う」「後追い行動」「バイバイする」は前言語期コミュニケーション発達の評価対象
  • 指しゃぶりは前言語期コミュニケーション発達の評価対象ではない
  • 指さしの機能:要求・叙述・質問・応答の4機能。否定は含まれない

原会話は「記号的認識」が基礎ではなく、その前段階として位置づけられる。
「間主観性」は「伝染」とは異なり、「相互主観性・共有された主観的状態」を指す。

前言語期の認知発達

発達項目内容
物の永続性隠れた物が存在し続けることの理解
事物の機能的操作道具の機能に合った使い方(太鼓をバチで叩くなど)
因果関係の理解自分の行為が結果を引き起こすことの理解
リーチング物に手を伸ばす行動

見立て遊び(象徴機能)は前言語期の認知発達ではなく、1歳半〜2歳以降の象徴機能獲得後に出現する。前言語期にはまだ含まれない。

モーラ単位でリズムを刻む遊びは前言語期の発達ではない(音韻意識の発達は言語獲得後)。

象徴機能・認知発達

象徴機能とは

シンボル(記号)によって指示対象を代表する働き

象徴機能の例:

  • 延滞模倣(昨日見た友だちの動作を再現する)← 象徴機能の代表例
  • ふり遊び・見立て遊び(積み木を車に見立てる)
  • 言語(語は対象を代表する記号)

以下は象徴機能を示す行動ではない:
・布で隠したおもちゃを取り出す(物の永続性)
・クレヨンでなぐり書きをする(描画)
・帽子をかぶると外出することがわかる(条件的関連付け・スクリプト)
・太鼓をバチで叩く(事物の機能的操作)

象徴(シンボル)の例:身振り・見立て・ピクトグラム・オノマトペ

  • 叫喚音(泣き声など)はシンボルではない(非意図的な反射的発声)

幼児期の認知の特徴

前操作期(2〜7歳)の思考特徴:

特徴内容
自己中心性他者の視点に立てない
アニミズム無生物に生命・意識があると考える
実在論思考・夢などを実体があると考える
転導論理個別の事例から個別の事例を結びつける推論

可逆的思考は前操作期の特徴ではなく、具体的操作期(7〜11歳)に獲得される。