第2章|語彙・意味の発達

対応過去問 約20問/難易度 ★★★☆☆

語彙獲得の基礎

語彙の発達経過

時期目安内容
初語1歳前後意味のある最初の語
語彙50語1歳6か月ごろ
ボキャブラリー・スパート(語彙爆発)1歳半〜2歳語彙が急激に増加。名詞が多い
語彙の継続増加2〜6歳1日平均約9語(学童期は約20語)増加

語彙の急増期に最も増加するのは動詞ではなく名詞
「1歳ころからほぼ一定の速さで語彙が増加する」は誤り(急増期・スパートがある)。

初期に獲得されやすい語彙の特徴

  • ✅ 養育者が頻繁に使う
  • ✅ 子どもの興味・関心が高い対象
  • 有用性が高い(要求・叙述に使いやすい)
  • 発音が容易な語

上位概念語(「乗り物」「果物」など)は初期語彙には獲得されにくい。具体的な個物名称(「車」「りんご」)が先に獲得される。

即時マッピング(fast mapping)

  • 少ない出会いで語の意味をおおまかに把握する能力
  • 語彙の急増(ボキャブラリー・スパート)と関係が深い
  • 1歳半〜2歳ごろに出現

語の過大汎用(overextension)

子どもが語の適用範囲を大人より広く使う現象

例:チワワもシェパードも「ワンワン」と呼ぶ、みかんを「りんご」と言う

  • 大人の適用範囲より広く語を使用する
  • カテゴリにラベルがついている(カテゴリ内での過剰汎用)

「ありますか→ないますか」のような語形変化の過剰汎用は過大汎用ではなく過剰規則化
過大汎用はカテゴリの範囲の誤りであり、語形変化の誤りではない。

語彙習得理論

理論の立場概要
生得論言語獲得装置(LAD)説:言語知識は生得的
環境論反応形成説:強化・条件付けによる学習
制約論制約説:子どもは語の意味習得に制約を用いる(全体性制約・相互排他性制約など)
社会語用論社会プラグマティック説:他者の意図を読むことで語を学ぶ
言語習得支援システム養育者との相互作用による支援環境

「制約論説」は生得論ではなく認知・語用論的立場に近い。生得論の代表は言語獲得装置(LAD)説。

幼児前期の語彙の特徴

  • 内容語(名詞・動詞・形容詞)の比率が機能語より高い
  • 和語の比率が漢語より高い
  • 語彙は一定の割合で増加するのではなく急増期がある
  • 品詞ごとの割合は動詞より名詞が高い
  • 語の範列的意味ネットワーク(反義語・類義語などの関係)は幼児前期にはまだ形成されていない

疑問詞・形容詞の発達

疑問詞の獲得順序

早い → 遅い:

なに → どこ → だれ → どれ → いつ

  • 「いつ」は時間概念が必要なため最も遅く習得される

形容詞の獲得

  • 形容詞の獲得には順序性がある(大小→長短→高低→厚薄の順)
  • 自立語と付属語は同時に獲得されるわけではない(自立語が先)
  • 挨拶語は早期に表出される(遅くない)