第2章|語彙・意味の発達

語彙習得理論・ボキャブラリースパート・過大汎用・初期語彙 / 難易度 ★★★☆☆

2-1 語彙習得の理論

理論提唱者内容
反応形成説Skinner, B.F.行動主義・強化による語彙学習
言語獲得装置(LAD)説Chomsky, N.生得的な言語能力(文法の生得性)
言語獲得支援システム(LASS)説Bruner, J.S.養育者との相互作用
制約論説Markman, E.M.語彙制約(全体対象制約・相互排他性制約など)
社会プラグマティック説Tomasello, M.他者の意図の理解に基づく語彙学習
語彙習得における生得論的な考え方制約論説(Markman)(第18回)
※Chomsky説も生得論だが「言語獲得装置」は文法の生得性

2-2 ボキャブラリースパート(語彙急増)

特徴
  • 1歳半〜2歳ころに急速に語彙が増加
  • このとき増加するのは主に名詞(動詞ではない)
  • 即時マッピング(fast mapping)と関連
  • 「語彙スパートのとき動詞が多く増加する」→ 誤り(名詞が多い)(第23回)
  • 「即時マッピングと関係が深い」→ 語彙の急増(第20回)

2-3 過大汎用(overextension)

  • 語の適用範囲を大人より広く使う
  • 例:チワワもシェパードも「ワンワン」
  • 語彙が増えると減少する
  • 「過大汎用の例」→ チワワもシェパードも「ワンワン」(第26回)
  • 「大人の適用範囲より広く語を使用する」が定義(第22回)

語の過規則化(overregularization)

語形変化規則を広く適用する

例:「ありますか、ないますか」と言う

2-4 初期語彙の特徴

初期に獲得されやすい語彙:

  • 養育者が頻繁に使う語
  • 興味・関心が高い語
  • 有用性が高い語
  • 発音が容易な語
「初期に獲得されやすい語彙の特徴でない」→ 上位概念を表す(初期語彙は具体的・基本レベルの語)(第28回)

幼児前期の語彙の特徴

  • 機能語より内容語の比率が高い
  • 和語の比率が高い(漢語より)
  • 動詞より名詞の比率が高い
「幼児前期の語彙で正しい」→ 機能語より内容語の比率が高い(第27回)

引っかけ対策まとめ

語彙習得の理論 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 生得論的な語彙習得 → 制約論説(Markman) 養育者との相互作用 → LASS説(Bruner) 他者の意図の理解 → 社会プラグマティック説 ボキャブラリースパート ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 時期:1歳半〜2歳ころ 増加するのは:名詞(動詞ではない) 関連:即時マッピング(fast mapping) 過大汎用 vs 過小汎用 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 過大汎用:適用範囲を広く使う 過小汎用:適用範囲を狭く使う

fast mapping(即時マッピング)

  • 少ない曝露で語の意味を素早く学習する能力
  • 語彙の急増(ボキャブラリースパート)と関係

Vygotsky の外言・内言

  • 外言が先に発達し、内言(思考のための言語)に移行
  • 過渡期に独語(独り言)が出現
「外言が内言に移行する過渡期に独語が出現する」→ 正しい(第20回)

確認問題

Q1. 語彙習得における生得論的な考え方に最も近い理論はどれか。
Q2. ボキャブラリースパートで増加するのは主に何詞か。
Q3. 過大汎用の例として正しいものはどれか:①「ワンワン」をチワワにのみ使う ②「ワンワン」をチワワにもシェパードにも使う ③「ワンワン」を鳥にも使う(意味の混乱)
Q4. 幼児前期の語彙の特徴として正しいものはどれか:①機能語の比率が高い ②内容語の比率が高い ③漢語の比率が高い ④上位概念語が多い
Q5. 外言が内言に移行する過渡期に出現するものは何か。
解答を見る
A1. 制約論説(Markman)
A2. 名詞
A3. ② チワワにもシェパードにも「ワンワン」を使う
A4. ② 内容語の比率が高い
A5. 独語(独り言)
言語発達障害学の過去問を解く →