第4章 保護者支援・多職種連携・制度

言語発達障害学 第4章|対応過去問 12問

4-1 保護者への初回面接(カウンセリングマインド)

適切な態度

適切:

  • 相手の言ったことを繰り返す(受容・反映)
  • 話しているときにうなずく
  • 沈黙の時間を大切にする

不適切:

  • 内容が違うときにすぐ修正する(→まず受容)
  • 冗長でも中断する(→傾聴が基本)
  • 「私の言う通りにしていれば大丈夫」(→指示的・権威的)
  • 「障害受容を待って言語訓練を開始する」(→訓練開始を待つ必要はない)
  • 黙っている時間を作らない(→沈黙も重要)

4-2 ペアレントトレーニング(PT)

  • 保護者が子どもの行動特徴を理解し対応する
  • 講義(行動特徴の理解)+ロールプレイ(実践)
  • 子どもの好ましい行動をほめて強化する
  • 子育てストレスの軽減につながる
  • 行動目標を設定(態度目標ではない)
  • ペアレントメンター(先輩保護者)との連携は有用だが、PTはST等専門家が実施

4-3 特別支援教育における言語聴覚士の役割

役割可否
巡回相談員なれる
外部専門家として委嘱なれる
特別支援教育コーディネーターなれない(教員が担う役割)
言語障害通級指導教室の教員なれない(教員免許が必要)
教員への支援(コンサルテーション)行える
「個別の指導計画」の作成なれない(教員が作成。STは協力・助言は可能)

巡回相談員の職務

巡回相談員は外部から学校を訪問し、観察や助言を行う専門家。言語聴覚士も巡回相談員になることができる。職務は次のとおり。

  • 学校を訪問して授業場面の観察を行う——実際の場面を見て助言する
  • 校内における支援体制づくりへの助言を行う——体制整備を外部の立場から支える
  • 個別の指導計画の作成への協力を行う——作成するのは教員で、巡回相談員は協力・助言の立場
  • 担任へのコンサルテーションを行う

巡回相談員は特別支援教育コーディネーターとは別の役割であり、「巡回相談員は特別支援教育コーディネーターとも呼ばれる」は誤り特別支援教育コーディネーター=校内の連絡調整役で、校内の教員が指名される巡回相談員=外部から訪問して観察・助言する専門家。「外部か校内か」「専門家か教員か」で区別すると混同しない。

4-4 合理的配慮・インクルーシブ教育

  • 障害者差別解消法によって規定
  • インクルーシブ教育の実現のために必要
  • 当事者から援助を求める意思表示があった場合に対応
  • 社会的障壁を取り除き社会参加しやすくする

「学校の負担に関わらず必要な便宜を図る」は誤り。過重な負担でない範囲で提供する。

4-5 多職種連携・チームアプローチ

  • 日常的なコミュニケーションを確保する
  • 他職種の基本的な立場を理解する
  • 対象者や周囲の状況について情報を共有する
  • チーム全体の目標を確認する

「専門用語を用いて情報交換する」は原則ではない。わかりやすい言葉で共有する。

4-6 発達障害者支援法・制度

発達障害者支援法に定める「発達障害」の共通特徴

生得的あるいは低年齢に発現することが共通特徴

  • 知的障害がない場合もある・言語遅滞があるとは限らない
  • 社会性発達の遅れがあるとは限らない
  • 有病率に民族差がある(民族差なしは誤り)

ジョブコーチ(職場適応援助者)

  • 主な業務の場:企業・職業センター
  • 児童相談所・発達支援センター・特別支援学校高等部は主たる業務の場ではない

発達障害支援の原則

  • 科学的根拠(EBP)が求められる
  • 環境に働きかける(家庭・園・学校の調整も支援の柱)
  • 障害の特徴に合わせて支援方法を選ぶ(特性に応じた個別化)
  • 養育者からインフォームド・コンセントを得る
  • 指導・支援は子どもの発達段階(発達年齢)に合わせる生活年齢に合わせるのは誤り
  • 開始時期が早すぎる弊害はない(早期支援は有効)
  • 支援開始時に予定期間を保護者に伝える
  • 成人期以降も支援は継続しうる(成人期までに完了する必要はない)

言語発達障害の指導・支援で「子どもの生活年齢に合わせる」は誤り——合わせるべきは言語発達段階(発達年齢)。暦の年齢だけに合わせると、実際の理解・表出の力と課題が乖離する。課題は「少し頑張れば届く」水準(発達の最近接領域)に設定する。科学的根拠・環境への働きかけ・障害特徴に応じた方法選択・養育者からのインフォームド・コンセントはいずれも正しい原則。