第1章|定義・分類(LD/限局性学習症SLD・DSM-5)

対応過去問 4問/難易度 ★★★☆☆
📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:学習障害(LD)は「定義を消去法で覚える」のが最速です。国試は「LDでないもの(知的遅れ・環境要因が直接原因・薬で治る)」を選ばせるひっかけが定番だからです。ここでは①教育の定義(文科省)②医学の定義(DSM-5の限局性学習症)③LDの本質・原因・除外基準 ④3つのタイプ(読字・書字・算数)を整理します。中核のディスレクシアの病態・症状は第2章、検査と支援は第3章へ。

1-1 学習障害(LD)とは — 教育の定義(文部科学省)

教育領域でよく使われるのが文部科学省の定義です。「全般的な知的発達に遅れはないが、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示すさまざまな状態」を指します。原因として中枢神経系の何らかの機能障害が推定され、視覚・聴覚障害、知的障害、情緒障害、環境的要因が直接の原因となるものは含まないとされます。

文部科学省の定義に含まれないのは(25-129):定義に含まれないのは「記憶する」。文科省の定義に挙がる6領域は聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する。「記憶する」はこの列挙に入っていない——LDは記憶障害そのものではなく、学習の特定領域の困難ととらえる。
6領域の覚え方:「聞く・話す」=話しことば/「読む・書く」=書きことば/「計算する・推論する」=算数・数学。この3ペア×2=6が文科省定義の柱。「記憶する」「注意する」は入らない(注意はADHD側の概念)。

1-2 医学の定義 — DSM-5の限局性学習症(SLD)

医学診断ではDSM-5の「限局性学習症/限局性学習障害(Specific Learning Disorder:SLD)」を用います。読字・書字表出・算数の学習技能に、年齢や知能から期待される水準より明らかに低い困難が6か月以上持続し、学業・職業・日常生活に支障をきたす状態です。知的能力障害・視力/聴力の問題・他の精神/神経疾患・不適切な教育では説明できないことが条件です。

DSM-5の限局性学習症で誤っているのは(26-67):誤りは「知的能力の低さが原因である」。限局性学習症は全般的な知的能力の低さでは説明できないのが要件(知的障害とは区別)。正しい=学業成績が不振である/読字・書字表出に困難さがある/高等教育(大学など)でも支援が必要/(就労後の)職業遂行能力に影響しうる。=知能は保たれているのに特定技能だけ困難、が限局性学習症
「知的障害」と混同しない:LD/限局性学習症は全般的な知的発達は正常範囲「知的能力の低さが原因」「全般的な知的発達の遅れがある」と書かれた選択肢は誤り——これは知的障害の説明であり、LDでは除外条件になる(1-3も参照)。

1-3 LDの本質・原因・除外基準(何がLDでないか)

LDの正体は「中枢神経系の機能障害が推定される、生得的・神経学的な特性」です。ここから、国試で問われる「LDでないもの」がはっきりします。

LDについての正しい理解ひっかけ(=誤り)
中枢神経系の機能障害が推定される環境的要因が直接的な原因である
全般的な知的発達の遅れはない全般的な知的発達の遅れがある
特定領域(読む・書く・計算する等)の習得と使用が困難薬物療法で症状が治癒する
教育的支援・環境調整・代償で対応する本人の努力不足・怠けが原因
学習障害(LD)の説明で誤っているのは(24-129):誤りは「薬物療法によって症状が治癒する」「全般的な知的発達の遅れがある」「環境的な要因が直接的な原因となる」の3つ。正しい説明=聞く・話す・読む・書く・計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に困難を示す/中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるLDは薬で治る病気ではなく、知的遅れが原因でもなく、環境が直接の原因でもない——この3点が消去のカギ。
ADHDとの違いに注意:ADHD(注意欠如・多動症)では薬物療法(中枢刺激薬など)が用いられるが、LDそのものは薬物療法で治癒しない。併存はしうる(LDとADHD・ASDは重複しやすい)が、「LDを薬で治す」は誤り

1-4 3つのタイプ — 読字・書字・算数の障害

LD(限局性学習症)は、困難のある領域で3タイプに分けられます。STが最も関わるのは読字・書字の障害(発達性ディスレクシア)です。

タイプ別称中心的な困難
読字の障害ディスレクシア(発達性読み書き障害)正確・流暢な単語認識/音読・読解。音韻処理障害が中核(第2章)
書字表出の障害ディスグラフィア綴り・書字の正確さ・文章表出。読み障害に伴うことが多いが単独でも生じる
算数の障害ディスカリキュリア数概念・計算・数的推論
発達性読み書き障害について誤っているのは(18-169):誤りは「何度も書いて覚える方法が学習の成果が上がりやすい」。ディスレクシアでは反復書字(視写の繰り返し)だけでは成果が上がりにくく、音韻や意味に沿った方法・多感覚的な方法が有効(支援は第3章)。正しい=読み障害が認められれば書字障害もみられる(併存が多い)/書字障害は単独でも出現する/RAN(自動化された命名の速さ)の成績は読み書き能力と関連する/母語(言語の表記の透明性)によって発症率に差がある
「読みと書きの関係」を整理:読み障害があれば書字障害を伴いやすいが、書字障害は読みが保たれていても単独で出現しうる。「読み障害がなければ書字障害は起きない」は誤り。また英語のようにつづりと音の対応が不規則な言語ほど発症率が高く、仮名のように規則的(透明性が高い)な表記では読みの習得は比較的進みやすい(母語による差)。