第3章|音節・モーラ・音韻論

対応過去問 約25問/難易度 ★★★★☆

3-1 音節とモーラ

基本定義

単位内容
モーラ(拍)日本語のリズムの基本単位。1モーラ=1拍
音節母音を核とする音の集まり
フット強弱・長短の単位。複数の音節から成る
大きさの順序:モーラ ≦ 音節 ≦ フット(第28回正答)

日本語の音節構造

  • 日本語は開音節が基本(母音で終わる音節)
  • 1音節中に含まれるモーラの最大数:3(第18回出題)
  • 特殊モーラ(/N/・/Q/・長音)は単独で1モーラだが音節核にはなれない

モーラ数の数え方

特殊モーラはそれぞれ1モーラ
  • 撥音(ん):1モーラ
  • 促音(っ):1モーラ
  • 長音(ー):1モーラ
  • 拗音(きゅ):2文字だが1モーラ1音節
例:「かんぜんちょうあく(勧善懲悪)」

音節:か/ん/ぜ/ん/ちょ/う/あ/く → 5音節

モーラ:か・ん・ぜ・ん・ちょ・う・あ・く → 8モーラ

例:「けんきゅうしえんせんたー」

音節:6音節 モーラ:け・ん・きゅ・う・し・え・ん・せ・ん・た・ー → 11モーラ

開音節・閉音節

  • 開音節:母音で終わる(例:[ka][sa])
  • 閉音節:子音で終わる(例:英語の「cat」[kæt])
  • 音韻の最小単位は音素(分節音)

3-2 音素・異音・ミニマルペア

音素と異音の定義

概念内容
音素(phoneme)語の意味を区別する最小の音韻単位
異音(allophone)同一音素の音声的バリエーション
相補分布異音同士は同じ環境に出現しない
自由変異同じ環境で置き換え可能(意味変化なし)
「音素と別の音素は相補分布する」は誤り。相補分布するのは異音同士。「音素は語の区別をする機能を持つ」が正しい。(第28回出題)

ミニマルペア(最小対立)

1つの音素だけが異なり意味が違う語の対

ミニマルペアの例
  • 「浜[hama]」―「花[hana]」→ /m/と/n/の対立 ✓
ミニマルペアでないもの
  • 同音異義語(意思・医師)→ 音が同じ
  • 「赤」「青」→ 複数の音素が異なる

3-3 音韻対立と条件異音

相補分布 vs. 音韻的対立

関係内容
相補分布(異音)同じ環境には現れない
音韻的対立同じ環境に現れて意味が変わる

日本語で音韻論的に対立しない例

  • [ta]と[tha]:帯気の有無は日本語では音韻的対立でない
  • [sa]と[ɕa]:[ɕ]は/s/がイ前に現れる異音
  • [za]と[dza]:語頭・語中の条件異音
  • [ɡa]と[ŋa]:語頭と語中(語中は鼻濁音)の条件異音
日本語で音韻論的に対立する例:[ka]―[kja](カ vs キャ)→ /k/の後に[a]か[ja]かで意味が変わる。

3-4 弁別素性

音素間の対立を記述するための特徴:

  • /t/ と /d/:[±声]のみで区別できる
  • /k/ と /d/:どちらも破裂音なので[±破裂音]では区別不可

確認問題

Q1. 音韻単位の大きさとして正しい順序はどれか。①音節<モーラ<フット ②モーラ≦音節≦フット ③フット<音節<モーラ ④モーラ=音節=フット

Q2. 日本語の「かんぜんちょうあく(勧善懲悪)」のモーラ数はいくつか。①5 ②6 ③7 ④8

Q3. 音素と異音の関係について正しいのはどれか。①音素と別の音素は相補分布する ②異音同士は相補分布する ③音素に意味はない ④異音は意味を区別する

Q4. ミニマルペア(最小対立)はどれか。①意思・医師 ②赤・青 ③浜・花 ④花・鼻

Q5. 1音節中に含まれるモーラの最大数はいくつか。①1 ②2 ③3 ④4

解答:Q1=② Q2=④ Q3=② Q4=③④(③は[m/n]、④は「花[hana]/鼻[hana]」でアクセントのみ違う同音なので③が正答) Q5=③

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