4-1 日本語のアクセント
基本特徴
- 高低アクセント(ピッチアクセント)
- 単語ごとにアクセントが決まっている(語彙的アクセント)
- アクセント核:高から低に下がる境界の位置
- ダウンステップ:句内でピッチが段階的に低下する
アクセント型(○=低拍・●=高拍)
| 型 | 特徴 | 例 |
| 平板型 | 最初が低く以降高い(核なし) | でんわ ○●●● |
| 頭高型 | 最初が高く以降低い | おんな ●○○ |
| 中高型 | 中間の拍が高い | くるま ○●●○ |
| 尾高型 | 最後の拍が高い(助詞は低) | さくら ○●● |
「電話」は平板型(○●●●)。アクセント核なし。
「女」は頭高型(●○○)。
「桜」は尾高型(○●●+助詞低)。
「水泳」は中高型(○●●○)。
アクセント型の種類数
- nモーラ語のアクセント型:n+1種類
- 動詞のアクセントは2種類(平板型・起伏型)
- 形容詞のアクセントは2種類(平板型・起伏型)
「形容詞のアクセントは3種類」は誤り。2種類。
2モーラ語のアクセント
| 語 | アクセント | 型 |
| 雨 | ●○ | 頭高型 |
| 飴 | ○● | 尾高型 |
| 橋 | ●○ | 頭高型 |
| 箸 | ○● | 尾高型 |
| 花 | ○● | 尾高型 |
| 鼻 | ●○ | 頭高型 |
「花が」と「鼻が」の違いはアクセントのみ(音素は同じ)。
アクセントの機能
- 語を弁別する(雨・飴の区別)
- 語の結合を示す(複合語の境界)
アクセントの機能は「語の弁別」と「語の結合を示す」(第17回正答:c,d)。「和語と漢語の区別」「語幹と語尾の区別」は主要な機能ではない。
4-2 アクセントの変化・複合語
近年の変化
平板式(平板型)が増加傾向(第24回問137:名詞アクセントで増えているのは「平板式」)
複合語のアクセント
- 原則として後ろから3拍目にアクセント核が来る
- 例:「トルコ石」→ ○●●○○(前部要素のアクセントは消える)
4-3 イントネーション
日本語のイントネーションの特徴
- 統語構造が反映される(文の境界でピッチが変化)
- ダウンステップが生じる(句内でピッチが段階的に下降)
- 文末で上昇すると疑問を表すことができる
- 単語ごとに決まっているのはアクセント(イントネーションではない)
第15回問39:「統語構造が反映される」「ダウンステップが生じる」が正しい(a,e)。
「たまねぎ」のピッチ
「たまねぎ」のアクセント:○●●●(平板型に近い)
「たまねぎでは2モーラ目の母音のピッチが下がる」は誤り(正しくは上がる)。(第19回問39)
4-4 超分節的特徴(韻律)
超分節的特徴の種類
個々の分節音を超えた特徴:
- リズム・アクセント・イントネーション・テンポ・ポーズ
「音素」「形態素」は超分節的特徴ではない。(第23回出題)
アクセント核の音響特徴
アクセント核の主要な音響特徴量:基本周波数(F0)の下降
アクセント核は「母音の継続時間長の伸長」「子音の強さの増大」「フォルマントの変化」ではなく、F0の急激な下降によって知覚される。(第23回出題)
4-5 引っかけポイント整理
頻出引っかけ(アクセント・韻律)
- 「電話」は平板型(頭高型ではない)
- 「女」は頭高型(尾高型ではない)
- 形容詞のアクセントは2種類(3種類ではない)
- 平板式が増加傾向
- アクセント核の特徴量はF0の下降
- 超分節的特徴に音素・形態素は含まれない
- 「たまねぎ」2モーラ目のピッチは上がる
確認問題
Q1. 「電話(でんわ)」のアクセント型はどれか。①頭高型 ②中高型 ③尾高型 ④平板型
Q2. 日本語アクセントの機能として正しいのはどれか(2つ)。a.語の弁別 b.和語と漢語の区別 c.語幹と語尾の区別 d.語の結合を示す
Q3. アクセント核の主要な音響特徴量はどれか。①母音の継続時間長の伸長 ②基本周波数(F0)の下降 ③フォルマント周波数の上昇 ④子音の強さの増大
Q4. 超分節的特徴(韻律)に含まれないのはどれか。①リズム ②アクセント ③音素 ④イントネーション
Q5. 近年、日本語の名詞アクセントで増えている型はどれか。①頭高型 ②中高型 ③尾高型 ④平板型
解答:Q1=④ Q2=a,d Q3=② Q4=③ Q5=④
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