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聴力検査の種類と読み方 完全ガイド

聴力検査は複数の種類があり、それぞれ原理・目的・適応が異なります。各検査の特徴と結果の読み方を整理しましょう。

1. 聴力検査の全体像

分類検査名何を測るか
自覚的検査
(被検者の応答が必要)
純音聴力検査各周波数での最小可聴音圧(閾値)
語音聴力検査語音の聴き取り・理解能力
インピーダンスオージオメトリー(ティンパノグラム)中耳の機能(コンプライアンス・耳小骨反射)
他覚的検査
(被検者の応答不要)
ABR(聴性脳幹反応)脳幹レベルの聴覚神経活動
ASSR(聴性定常反応)周波数別の閾値推定(乳幼児に有用)
OAE(耳音響放射)内耳(外有毛細胞)の機能

2. 純音聴力検査(PTA)

最も基本的な聴力検査。ヘッドフォンで音を聞かせ、聞こえたらボタンを押す。

→ 詳細なオージオグラムの読み方はこちら

3. 語音聴力検査

言葉(語音)の聞き取り能力を評価。純音聴力が正常でも語音弁別能が低下することがある(聴覚処理障害など)。

検査内容算出指標
語音明瞭度検査語音表(57-S式など)を聞いてリピート。各音節の正解率明瞭度(%)
語音了解度検査単語・文を理解できるか評価了解度(%)
最高語音明瞭度(SDS)最も聞こえやすい音圧での明瞭度感音性vs後迷路性の鑑別に有用
語音明瞭度の低下パターン 感音性難聴:音圧を上げても明瞭度が一定以上上がらない(rollover現象)。後迷路性障害(聴神経腫瘍等):音圧を上げると逆に明瞭度が下がることがある(rollover)。

4. ABR(聴性脳幹反応)

クリック音や純音刺激に対して脳幹から生じる電位を頭皮上から記録。他覚的検査のため乳幼児・仮病(詐聴)の検査に有用。

発生源(推定)
Ⅰ波蝸牛神経(聴神経末梢)
Ⅱ波蝸牛神経核
Ⅲ波上オリーブ核
Ⅳ波外側毛帯
Ⅴ波下丘(最も安定して記録できる)

ABRでは主にⅤ波の閾値(反応が消失する最小音圧)を用いて聴力を推定します。正確には高音域(2000〜4000Hz)の閾値を反映。

5. ASSR(聴性定常反応)

周波数変調音に対する脳の定常的応答を記録。ABRより周波数特異性が高く、乳幼児の聴力評価に有用。250〜8000Hzまで各周波数で閾値推定が可能。

6. OAE(耳音響放射)

内耳の外有毛細胞が音刺激に対して発する音(耳音響放射)を外耳道で測定。外有毛細胞の機能を反映。感音性難聴(内耳障害)のスクリーニングに有用。

種類特徴
TEOAE(クリック誘発OAE)クリック音刺激で誘発。新生児聴覚スクリーニングに使用。
DPOAE(歪成分OAE)2つの純音刺激から生じる歪成分を測定。周波数特異的。
SOAE(自発OAE)刺激なしで自発的に放射される。正常耳の約70%に存在。

7. 新生児聴覚スクリーニング

先天性難聴の早期発見のため、生後数日以内に実施するスクリーニング検査。

検査特徴
AABR(自動聴性脳幹反応)脳幹レベルの反応を自動判定。後迷路性障害も検出可能。
TEOAE(自動OAE)外有毛細胞機能のスクリーニング。感音性難聴検出。聴神経障害(ANSD)は検出不可。
ANSD(聴神経スペクトラム障害)の注意点 ANSDはOAEが正常でもABRが異常という「逆パターン」を示す。外有毛細胞は正常だが神経伝導に問題がある。OAEのみでスクリーニングするとANSDを見逃すため、AABRと組み合わせる必要がある。

聴力検査の問題を実際に解いてみよう

STカコモンには聴力検査・オージオグラムに関する過去問が豊富に収録されています。

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