第3章|情報処理工学

医用電気電子工学 第3章
収録 102問(第31〜39回)基数変換・論理式とベン図・AD変換・データ量と伝送時間・記憶装置・フローチャート・クラウド・プロトコル・ファイアウォール・CIA・DICOM/HL7

コンピュータの中身(数の表し方・ハードウェア・ソフトウェア)、ネットワークとセキュリティ、医療情報システムまでを扱う章。計算は16進数の四則演算・AD変換の分解能・データ量と伝送時間の3型、用語は記憶装置・プロトコル・ファイアウォールとマルウェア・DICOMとHL7が毎年のように出る。同じ趣旨の問題が言い回しを変えて繰り返されるので、各節の表で「何が何の役割か」を対応させれば取り切れる。

3-1 2進数・16進数と文字コード

基数の対応と変換

2進数は0と1だけ、16進数は0〜9とA〜Fを使う。16進数のA〜Fは10〜15を表す。2⁴=16なので、2進数の4桁が16進数の1桁にちょうど対応する。だから2進数を16進数に直すときは、最下位桁から4桁ずつ区切る(3桁ずつは8進数)。

10進2進16進10進2進16進
810008121100C
910019131101D
101010A141110E
111011B151111F

2のべき乗は暗記しておく:2⁸=256、2⁹=512、2¹⁰=1024、2¹²=4096。8ビット(1バイト)で表せるのは0〜255の256通り。

10進数から2進数・16進数への直し方

手順:10進数を基数(2または16)で割り続け、余りを下から順に並べる。2進数なら「2のべき乗の和に分ける」方が速い。

例割り算(余り)答え
126 → 16進126÷16=7 余り14(E)7E
211 → 2進211=128+64+16+2+111010011
340 → 16進340÷16=21 余り4、21÷16=1 余り5154
2進 10110111 → 16進下位から4桁ずつ:1011|0111B7

逆に16進数を2進数にするときは、16進の1桁を2進の4桁に置き換えて並べる(7E=0111 1110)。上の桁に余った2進数の端数は、左に0を補って4桁にする。8進数は3桁ずつで、16進数と取り違えた肢が出る。

16進数・2進数の計算は「10進に直して計算→戻す」

手順:①16進数の各桁を「上の桁×16+下の桁」で10進に直す ②10進で計算 ③答えを16で割って商と余りを求め、16進に戻す(2進にするなら2のべき乗に分ける)。答えの選択肢に10進の値をそのまま16進のように並べた肢が混ざるので、最後の変換を省かない。

問題の型10進に直す答え
C8 − 4A(16進で答える)200 − 74 = 126 = 7×16+147E
4A − 25(10進で答える)74 − 3737
B8 + 9C(16進で答える)184 + 156 = 340 = 1×256+5×16+4154(「340」は10進のまま)
A8 + 2B(2進で答える)168 + 43 = 211 = 128+64+16+2+111010011
2進 01010101 × 385 × 3 = 25511111111
2進 101 × 10115 × 11 = 55 = 32+16+4+2+1110111
2進のかけ算・シフトの見分け

2進数を1桁左にずらす(左シフト)と値は2倍になる。01010101(85)を左シフトした10101010(170)は「2倍」で、3倍ではない。3倍=2倍+1倍なので 10101010+01010101=11111111。

文字コード

文字コード中身
ASCII(アスキーコード)英数字・記号を7ビットで表す。日本語は扱えない
JISコード/シフトJIS/EUC-JP日本語用の文字コード(世界中の文字は網羅しない)
Unicode(ユニコード)日本語を含む世界中の文字を一つの文字集合に収めた。UTF-8などで符号化する

ASCIIではアルファベットが順に並ぶ。A=41(16進)なら、10文字目のJはAに9を足して 41+9=4A(16進で数える:41,42,…,49,4A)。「50」を選ぶのは10進の足し算をした誤り。

ASCIIとUnicodeは文字コードであって画像フォーマットではない(静止画の形式を選ぶ問題で、切る肢として並ぶ)。

3-2 論理演算・ベン図・タイムチャート

基本の論理演算

演算記号1になる条件
AND(論理積)A・B両方が1のときだけ1
OR(論理和)A+Bどちらか一方でも1なら1
NOT(否定)Ā、¬A0と1を入れ替える
NAND¬(A・B)両方が1のときだけ0(それ以外は1)
NOR¬(A+B)両方が0のときだけ1
XOR(排他的論理和)A⊕B = A・B̄+Ā・B入力が異なるときだけ1

式を変形する法則

  • ド・モルガンの法則:¬(A・B)=Ā+B̄、¬(A+B)=Ā・B̄。「否定を中に入れると・と+が入れ替わる」
  • 分配則:A・(B+C)=A・B+A・C。論理演算ではもう一つ、A+(B・C)=(A+B)・(A+C)も成り立つ(普通の数の計算には無い形なので狙われる)
  • 補元:A+Ā=1、A・Ā=0。だから「X+¬X」はいつも1、「X・¬X」はいつも0になり、その項は消える
式の同値は「反例を1つ代入」で切る

選択肢の式が元の式と等しいかは、A・B・Cに0/1を入れて比べる。A+(B・C)なら A=1, B=C=0 で元の式は1。A・(B+C)はこのとき0なので違う。8通り全部を調べなくても、食い違う組を1つ見つければその肢は切れる。

ベン図の読み方

円の内側が1、外側が0。・は重なり(共通部分)、+は合わせた範囲、否定は円の外側と読む。網掛けの範囲を言葉にしてから式に直すと迷わない。

網掛けの範囲(言葉)論理式
Aのうち、BにもCにも入らない部分(Aだけの部分)A・¬(B+C)=A・B̄・C̄
Aの内側で、BとCのどちらか一方だけに入る部分A・(B・C̄+B̄・C)
Cの外側で、AとBのどちらか一方だけに入る部分(A+B)・(Ā+B̄)・C̄=(A⊕B)・C̄
Aの外側で、BかCに入る部分Ā・(B+C)

(A+B)・(Ā+B̄)は「AかBに入り、かつ両方には入らない」=XOR。この形がXORの言い換えとして出る。

真理値表で確かめる

ベン図・式・タイムチャートのどれで出ても、迷ったら真理値表を作るのが確実。2入力なら4行、3入力なら8行。

ABANDORNANDNORXOR
0000110
0101101
1001101
1111000

NANDとANDは全行で0と1が逆、NORとORも全行で逆。XORとORの違いは、両方1の行だけ(XORは0、ORは1)。選択肢の波形はこの対で作られることが多い。

タイムチャート

入力X・Yの波形を区間ごとに区切り、各区間で(X, Y)の組を論理式に入れる。¬(X・Y)(NAND)なら、出力が0になるのはX=1かつY=1の区間だけで、残りの区間はすべて1。ANDと取り違えると0と1が全部逆の波形を選んでしまう。

3-3 AD変換・DA変換とディジタル信号処理

★ この節が正本:横断知識「AD変換・DA変換とディジタル信号処理」。他のノートの同じ話題はここへ寄せてある(リサーチ書「横断知識の正本一覧」)

AD変換の流れ

アナログ信号は標本化(サンプリング)→量子化→符号化の順でディジタル値になる。標本化は時間を区切る操作、量子化は振幅を段階に丸める操作。DA変換はその逆で、ディジタル値をアナログの電圧に戻す。

標本化定理(サンプリング定理)

標本化周波数 fs は、信号に含まれる最高周波数 fmax の2倍以上にする(fs ≧ 2fmax)。これより低いと折り返し雑音(エイリアシング)が生じ、元の信号を復元できない。
サンプリング間隔は周波数の逆数。帯域1〜100 Hzの信号なら fs ≧ 200 Hz、サンプリング間隔の最大値は 1/200 s = 5 ms。10 kHzの信号を20 kHzより低く標本化すると復元できない。

量子化:分解能と量子化誤差

nビットのAD変換器は振幅を2ⁿ段階に分ける。分解能(1段=LSBあたりの電圧)≒ 入力範囲 ÷ 2ⁿ。

条件計算分解能
−1〜+1 V を10ビット2000 mV ÷ 1024約2.0 mV(範囲は2 V。1 Vとすると1 mVの誤答)
0〜8 mV を12ビット8000 μV ÷ 4096約2 μV

例題:0.0〜1.5 Vを4ビットで変換し、0000が0.0 Vに対応する。1.0 Vは何か。→ 4ビットのコードは0000〜1111(0〜15)。1段は約0.1 V(1.5÷15)なので、1.0 Vは10段目=1010。(1.5÷16≒0.094 Vで計算しても1.0÷0.094≒10.7で、切り捨てると同じく10段目。)

  • 量子化ビット数を増やすと、1段が細かくなり量子化誤差(量子化雑音)は小さくなる
  • LSBに対応する電圧が大きい=分解能が粗い=量子化誤差は大きい
  • 量子化雑音を減らすのはビット数であって、標本化周波数を上げても量子化雑音は減らない(「標本化周波数を高くする」は誤りの肢)
  • 1ビット増やすごとに段数は2倍、SN比は約6 dB改善する

AD変換器の方式と周辺回路

フラッシュ型(並列比較型)AD変換器は、比較器を並べて一度に変換するので最も高速(「高速変換に不向き」は誤り)。逐次比較型は中速、二重積分型は低速だが雑音に強い。多チャンネルを同時刻で変換するには、標本化保持回路(サンプルホールド回路)で各チャンネルの値を同時に保持してから順に変換する。

AD変換器の方式速さ特徴
フラッシュ型(並列比較型)最も高速比較器を2ⁿ−1個並べる。ビット数を増やすと回路が大きくなる
逐次比較型中速上位ビットから順に1ビットずつ決める。汎用
二重積分型低速積分するので雑音に強く精度が高い(ディジタルテスタなど)

記録に要る容量(標本化と組み合わせた計算)

例題:帯域1〜100 Hzの信号を8ビットでAD変換し、5秒記録する最小の容量は? → fs=2×100=200 Hz、標本数=200×5=1000個、1個=8ビット=1バイト → 1000バイト。fsを100 Hzにすると500(標本化定理を満たさない)、ビットのまま数えると8000になる。

ディジタル信号処理の手法と目的

手法目的(正しい対応)誤りとして出る対応
移動平均変動を軽減して平滑化する(低域通過フィルタとして働く)周期信号の検出/スペクトル解析/波形パターンの認識
FFT(高速フーリエ変換)・フーリエ変換周波数成分を求める(周波数分析)エイリアシングの除去
自己相関関数周期的な信号の抽出・検出
加算平均刺激に同期して加算し、雑音に埋もれた微小な信号(聴覚誘発電位など)を検出する平滑化
微分変化(傾き)を強調する=高周波成分を強調する高周波成分の除去/基線動揺の除去
積分特定区間の面積を求める
ウェーブレット変換時間と周波数を同時に見る解析SN比の改善

基線動揺(ゆっくりした低周波の揺れ)を除くのは高域通過フィルタ。エイリアシングは標本化の前に低域通過フィルタ(アンチエイリアシングフィルタ)を入れて防ぐ。

3-4 画像表現・データ量・圧縮と伝送時間

データ量の単位

1バイト(byte, B)=8ビット(bit)。伝送速度の単位bpsは「1秒あたりのビット数」なので、バイトで与えられたデータ量は8倍してビットに直してから割る。k・M・Gはそれぞれ10³・10⁶・10⁹(1 Gbps=1000 Mbps)。

量求め方
階調とビット数2ⁿ階調=nビット:256階調=8ビット=1バイト、1024階調=10ビット
画像1枚のデータ量画素数 × 1画素のビット数(カラーはRGBの3色分)
動画のデータ量(1秒あたり)1フレームのデータ量 × フレーム数/秒
伝送時間データ量〔bit〕÷ 実効の伝送速度〔bps〕
必要な圧縮率生データの速度 ÷ 伝送路の速度の逆数

例題で手順を固める

例1(カラー画像):RGB各256階調、1024×1024画素の画像1枚は? → 1画素=3色×1バイト=3バイト。1024×1024≒1M画素 → 約3 MB。1 MBは1色分だけ、24はビットのまま数えた誤り。

例2(伝送時間):8ビット、10,000×10,000画素の画像10枚を1 Gbpsで送る最短時間は? → 8ビット×10⁸画素×10枚=8×10⁹ビット。÷10⁹ bps = 8 s。

例3(伝送効率):最大100 Mbpsの回線(効率50%)で10 MBをダウンロードすると? → 10 MB=80 Mbit。実効速度=100×0.5=50 Mbps。80÷50=1.6 s。効率を忘れると0.8 s。

例4(必要な伝送速度):1枚1 MB(または10 MB)の画像を1秒に100枚(10枚)送るには? → どちらも 8 Mbit×100 = 800 Mbps(80 Mbit×10 = 800 Mbps)。これを満たす最小の選択肢である1 Gbpsを選ぶ。

例5(圧縮率):1024階調(10ビット)、4000×2000画素、50フレーム/秒の動画を40 Mbpsで送る → 8×10⁶画素×10ビット×50=4×10⁹ bps。4000 Mbps÷40 Mbps=100 → 1/100に圧縮する。

単位でつまずく3か所

①バイト(B)とビット(b)は8倍違う:伝送速度bpsはビット。②画素数は縦×横:1024×1024は約100万(1 M)画素。③伝送効率や実効速度が与えられたら、最大速度にかけてから割る。答えの選択肢はこの3つの取り違えで作られる(8倍・1/8・2倍の値が並ぶ)。

可逆圧縮と非可逆圧縮

可逆圧縮(ロスレス)非可逆圧縮(不可逆圧縮)
復元元のデータに完全に戻せる完全には戻らない(圧縮率を上げるほど劣化する)
しくみデータの冗長性(偏り・繰り返し)を利用する人間の視覚・聴覚が気づきにくい情報を捨てる
圧縮率低い非可逆圧縮の方が圧縮率は高い(「可逆の方が高い」は誤り)
使う対象テキスト・プログラム(機械語)・数値データ、ZIP、PNG、GIF音声・静止画・動画:MP3、JPEG、MPEG

静止画のフォーマットはJPEG・PNG(GIF・BMPなども代表例)。MPEGは動画、ASCII・Unicodeは文字コード。1ビットも失えないデータ(プログラム・テキスト)は可逆圧縮と判断する。

3-5 ハードウェア:CPU・記憶装置・入出力装置

コンピュータの五大装置とCPU

五大装置=入力装置・出力装置・記憶装置・演算装置・制御装置。CPUは演算装置と制御装置(と一時記憶のレジスタ)からなる。CPUは主記憶装置から命令を読み込み、解読して実行する。

装置代表例
入力装置キーボード・マウス・スキャナ・OCR(光学文字読取装置)・タッチパネル(入出力兼用)
出力装置ディスプレイ・プリンタ
記憶装置RAM・ROM・HDD・SSD・USBフラッシュメモリ・RAID
演算・制御CPU(演算はALU)
  • マルチコアCPUは複数の処理を並列に実行できる
  • 64ビットCPUは一度に処理するデータ長が64ビット
  • 構造が同じなら、クロック周波数が高いほど処理は速い(「低いほど速い」は誤り)
  • GPU=画像処理に特化した演算装置(並列計算が得意でAIの学習にも使う)。ALU=算術論理演算装置、MMU=メモリ管理装置、VGA=映像出力の規格、GUI=操作方式

記憶装置:揮発性と階層

記憶装置揮発/不揮発用途・特徴
DRAM揮発性メインメモリ(主記憶)に使う。安価・大容量、リフレッシュが要る
SRAM揮発性キャッシュメモリに使う。高速、書き換えできるRAM(読出し専用ではない)
キャッシュメモリ揮発性CPUとメインメモリの間で、データや命令を高速に取り込むための一時記憶
ROM(マスクROM・EEPROMなど)不揮発性電源を切っても情報を保持する。マスクROMは製造時に内容が決まる、EEPROMは電気的に書き換え可
フラッシュメモリ不揮発性SSD・USBメモリ・SDカード(「揮発性の一種」は誤り)
SSD不揮発性フラッシュメモリを使った補助記憶装置
HDD不揮発性磁気的に記録する補助記憶装置
CD-ROM・DVD-RW・DVD-RAM不揮発性光ディスク(補助記憶)

電源を切ると情報が消えるのはメインメモリ(DRAM)。速さの順はレジスタ>キャッシュ>メインメモリ>SSD>HDDで、速いものほど容量が小さい。RAMは記憶内容を書き換えられ、主記憶装置として使われる。

RAID

RAIDは複数のハードディスクをまとめて1台のように扱い、読み書きの高速化や耐障害性を持たせる仕組み。代表例:RAID0(ストライピング=分散して高速化・冗長性なし)、RAID1(ミラーリング=同じ内容を2台に書く)、RAID5(パリティを分散して1台の故障に耐える)。RAIDは記憶装置の技術で、演算装置でもメモリ(EEPROM)でもない。

周辺装置とIoT

IoTデバイスは、センサや通信機能を持ち、インターネットにつながってデータを送受信する機器(ウェアラブル端末・見守りセンサなど)。通信装置にはモデム・ルータ・無線LANアダプタなどがある(ネットワークの機器は3-8・3-9)。医療機器もネットワークにつながるようになり、つながる機器が増えるほど、不正アクセスの入口も増える(3-10)。

入出力インタフェース

インタフェース中身
USB(Universal Serial Bus)データをシリアル方式で転送する(パラレル転送ではない)。RS-232Cより速い。接続した機器に電力を供給できる(バスパワー)。電源を入れたまま抜き差しできる(ホットプラグ)。ハブでポートを増やせる
USB Type-C上下対称の角の丸い小判形で、表裏どちら向きでも挿せる(Type-Aは長方形)
RS-232C低速のシリアル通信
IEEE1394有線のシリアルインタフェース(無線LANの規格ではない)
シリアルATA(SATA)ハードディスクやSSDをつなぐ(コンピュータ間の通信ではない)
HDMI映像・音声の出力(ハードディスク接続ではない。形状もUSBとは別)

3-6 アルゴリズムとフローチャート

用語

用語意味
アルゴリズム問題を解くための手順
フローチャート(流れ図)アルゴリズムを記号で図にしたもの(処理=長方形、判断=ひし形、入出力=平行四辺形)
コーディングプログラムを書く作業
コンパイルソースコードを機械語に翻訳すること
デバッグ誤り(バグ)を見つけて直す作業
モデリング対象をモデル・数式で表すこと

フローチャートの解き方

手順:①変数の初期値を書く ②ループ本体の処理(代入「←」)と終了条件を確認する ③変数の値を1周ずつ表にして追う ④最後に出力する変数を読む。「a mod i」はaをiで割った余りで、0なら割り切れる(a mod 2=0は偶数の判定)。終了条件が「>0」か「≧0」かでループの回数が1回ずれるので、ここを必ず確認する。

よく出る型処理の要点例
約数の個数iを1〜aまで動かし、a mod i=0のときc←c+1a=6 → 約数1,2,3,6で 4
べき乗p←1から、p←p×2をn回n=10 → 2¹⁰=1024
階乗f←f×n、n←n−1を繰り返すn=5 → 5!=120(総和15は誤答)
条件つき総和a mod 2=0のときだけS←S+a、a←a−1a=20 → 2+4+…+20=110(全部足すと210)
平均入力ごとにn←n+1(個数)とs←s+x(合計)、最後にs÷n
最小値X←aとし、「b<Xなら X←b」「c<Xなら X←c」不等号が「<」で小さい方に更新=最小値(「>」なら最大値)
並べ替え(バブルソート)隣どうしを比べ、前が大きければ入れ替える。1回通すと最大値だけが末尾に確定する49,17,38,55,26 → 1回通すと 17,38,49,26,55
バブルソート1回分の追い方

49と17 → 入れ替え(17,49,…)/49と38 → 入れ替え(17,38,49,…)/49と55 → そのまま/55と26 → 入れ替え。結果 17,38,49,26,55。完全に昇順に並んだ肢(17,26,38,49,55)は、何回も通した後の結果で、手順を1回だけ通したときの答えではない。

流れ図を表で追う例(約数の個数)

i123456
6 mod i000210
c(数え上げ)123334

このようにループ1回ごとの変数を表に書き込めば、暗算で回数を数え間違えることがない。平均を求める流れ図の空欄は、個数を数える変数(n)と合計の変数(s)のどちらに何を足すかで選ぶ。n←n+xやs←s+1は役割を入れ替えた誤答。

3-7 ソフトウェアの種類とシステム構成(クラウド)

ソフトウェアの階層

種類役割代表例
OS(オペレーティングシステム)ハードウェアを管理・制御し、アプリケーションに土台を提供するWindows・Linux・Android・iOS
ミドルウェアOSと応用ソフトウェアの間で、共通の機能を提供する(仲介する)DBMSなど
応用ソフトウェア(アプリケーション)利用者の目的の処理をするワープロ・メールソフト・Webブラウザ(Safari)
DBMS(データベース管理システム)データベースを管理する(入出力機器の制御ではない)MySQL
組込みソフトウェア電気機器(家電・医療機器)に内蔵され、その機器を制御するファームウェア
OSの役割(代表例)

プロセスの制御・メモリの管理・ファイルシステムの管理・入出力装置の管理・ユーザインタフェースの提供。メールの管理はアプリケーション(メールソフト)の役割で、OSの役割ではない。ハードウェアの管理はOS、データベースの管理はDBMSと、主語を入れ替えた肢が誤りになる。

プログラミング言語の代表例=Java・Python・C・JavaScript。AndroidとLinuxはOS、DICOMは医用画像の規格、GUIはユーザインタフェースの方式(Graphical User Interface=画面のアイコンやボタンで操作する。文字で操作するのはCUI)。

集中処理・分散処理とクライアントサーバ

集中処理は1台の大きなコンピュータでまとめて処理する形、分散処理は複数のコンピュータで分担する形。クライアントサーバシステムは分散処理の代表で、サービスを提供する側がサーバ、受ける側がクライアント。

  • Webブラウザはクライアントソフト、電子メールの配送はメールサーバが行う
  • サーバの障害はシステム全体に影響する
  • クライアントが増えるとサーバの負荷は増える(「軽減させる」は誤り)
集中処理分散処理(クライアントサーバなど)
形1台のホストコンピュータに端末をつなぐ複数のコンピュータで処理を分担する
長所管理・保守が一か所で済む。セキュリティを保ちやすい負荷を分けられる。一部が止まっても全体は動きやすい。拡張しやすい
短所ホストが止まると全体が止まる管理が複雑になる。サーバが止まるとそのサービスは使えない

クラウドとSaaS

クラウドは、ネットワーク(インターネット)の向こうにある事業者のサーバ資源を、必要な分だけ使う形態。提供する範囲でSaaS(Software as a Service:ソフトウェアまで提供)・PaaS(開発・実行の基盤)・IaaS(サーバやストレージなどの基盤)に分かれる。

SaaSについて正しいSaaSについて誤り(切る)
ネットワーク経由でソフトウェアを遠隔利用するハードウェアの保守管理は利用者が行う
ハードウェア・ソフトウェアの保守や更新は事業者が行う(院内の保守負担が減る)導入時の費用だけで済む(実際は利用料が継続してかかる)
利用量の増大に対応しやすいカスタマイズの自由度が増える(共通の仕組みなのでむしろ低い)
入力したデータはクラウドのサーバに保存できるネットワーク障害に強くなる(回線に依存するのでむしろ弱い)
電子カルテシステムにも使われている

SaaS型のME機器管理システムを使い始めるとき、施設側に必須なのはクライアント端末とインターネットに接続できる環境。専用サーバの設置、サーバアプリケーションのインストール、バックアップ用記憶装置の設置は事業者側の仕事で、施設には要らない。

3-8 ネットワークの基礎:IPアドレス・TCP/IP・変調と多重化

LAN・WANとトポロジー

LANは施設内など限られたエリアのネットワーク、WANは離れた拠点を結ぶ広域のネットワーク。IoT(Internet of Things)はモノ(デバイス)をインターネットに接続すること。

トポロジー(接続形態)形
スター型ハブやスイッチなどの集線装置を中心に放射状につなぐ(今のLANの主流)
バス型1本の基幹ケーブルに各機器をつなぐ
リング型機器を環状につなぐ
メッシュ型機器を網目状に相互につなぐ

ピアツーピアは接続の形ではなく、機器どうしが対等に通信する方式(クライアントサーバと対になる語)。

TCP/IPとIPアドレス

TCP/IPはインターネットの標準プロトコル(群)で、データをパケットに分けて送受信する。IPは宛先のアドレスで経路を決め、TCPはデータの欠落や誤りを確かめて確実に届ける。HTTPS・SMTP・POP3・FTPはTCP/IPの上で動く応用層のプロトコル。

IPv4IPv6
長さ32ビット(8ビット×4)128ビット(16ビット×8)
表せる数2³²2¹²⁸
表記192.168.100.1 のように8ビットごとに10進で区切る2026:0301:abcd:… のように16ビットごとに16進で区切る
  • IPアドレスはネットワークアドレス部とホストアドレス部からなる
  • LAN内だけで使えるのがプライベートIPアドレス(192.168.x.x など)、インターネットで一意なのがグローバルIPアドレス
  • グローバルIPアドレスはICANNと地域・国のレジストリが管理する(「各国の政府機関が管理」は誤り)
  • IPv4の枯渇に対応して、128ビットのIPv6への移行が進められている

階層モデルと機器の対応

層(OSI参照モデル)主なプロトコル・機器(代表例)
アプリケーション層HTTP・HTTPS・SMTP・POP3・FTP・DNS
トランスポート層TCP(確実に届ける)・UDP(確認を省いて速く送る)
ネットワーク層IP・ルータ
データリンク層イーサネット・スイッチ(スイッチングハブ)・MACアドレス
物理層ケーブル・リピータ・ハブ・光回線終端装置

機器の役割は、どの層の情報を見て動くかで決まる。IPアドレスを見て経路を選ぶのはルータ、MACアドレスを見て転送先を選ぶのはスイッチ、信号をそのまま増幅して流すのはリピータ・ハブ。

変調方式と多重化

通信の変調方式は略語の対応で問われる。先頭のPは「パルス」、最後のMは「変調(Modulation)」、K(Keying)は「偏移変調」。

略語名称信号に応じて変えるもの
PAMパルス振幅変調パルスの振幅(高さ)
PWMパルス幅変調パルスの幅(デューティ比)
PPMパルス位置変調パルスの位置(時刻)
PFMパルス周波数変調パルスの繰り返し周波数
PNMパルス数変調パルスの数
PCMパルス符号変調標本化・量子化した値を符号(0と1)にして送る
ASK/FSK/PSK振幅/周波数/位相偏移変調ディジタル信号で搬送波の振幅/周波数/位相を切り替える

多重化:FDM(周波数分割多重)は周波数で分ける、TDM(時分割多重)は1本の伝送路を時間で区切って複数チャネルに割り当てる。FSKは周波数偏移変調で、周波数分割多重ではない。

例題:19200 bpsの伝送路をTDMで分け、各チャネルに300 byte/s以上を確保する最大チャネル数は? → 300 byte/s=300×8=2400 bps。19200÷2400=8チャネル(×8を忘れると64、または16など)。

3-9 インターネットアプリケーション・通信機器・無線LAN

プロトコルとサーバの役割

プロトコル/サーバ役割
SMTP電子メールの送信(ネットワーク管理・ファイル転送・Webアプリの提供ではない)
POP(POP3)・IMAP電子メールをサーバから取得する(受信)
FTPファイル転送
HTTP/HTTPSWebの通信/通信内容を暗号化したHTTP(SSL/TLSを使う)
DNSサーバドメイン名をIPアドレスに変換する(名前解決)
DHCP端末にIPアドレスを自動で割り当てる
SNMPネットワーク管理
WebサーバHTMLファイルを公開する
DBサーバデータベースを一元管理する
SMTPがいちばん狙われる

「SMTP ― ネットワーク管理」「SMTP ― ファイル転送」「SMTPサーバ ― Webアプリケーションの提供」はいずれも誤り。SMTPは送信、POPは受信。ネットワーク管理はSNMP(一文字違い)、ファイル転送はFTP。

通信機器(有線LAN)

機器役割
リピータ・ハブ信号を増幅・再生して中継する(物理層)。ネットワークを分離する機能はない
スイッチ(スイッチングハブ)MACアドレスを見て宛先の機器だけに送る(データリンク層)。LAN内の中継で、防御の仕組みではない
ルータ異なるネットワーク間のデータ転送を中継し、IPアドレスに基づいて経路を選ぶ(ネットワーク層)
ゲートウェイ異なる通信プロトコルを変換してつなぐ
光回線終端装置(ONU)光信号と電気信号を相互に変換する
アクセスポイント無線の端末をネットワークにつなぐ

ルータの基本機能は「異なるネットワークの中継」と「IPアドレスによる経路選択」の2つ。ユーザ認証・データの誤り検査(TCPなどの役割)・暗号化(VPNなどの付加機能)は基本機能ではない。ネットワークを論理的に分ける仮想的なLANはVLANで、リピータの機能ではない。有線LANの代表規格はイーサネット。

無線LANとBluetooth

無線LAN(Wi-Fi)Bluetooth
規格IEEE 802.11シリーズ(a/b/g/n/ac/ax)近距離無線通信の規格
周波数帯2.4 GHz帯・5 GHz帯など2.4 GHz帯
距離・速度Bluetoothより高速到達は数m〜100 m程度で、1 km以上は届かない。Wi-Fiより転送速度は遅い
その他暗号化方式にWPA(WPA2・WPA3)がある。1つのアクセスポイントに複数台の端末がつながる。チャネルごとに中心周波数は異なる接続前にペアリングが必要。低消費電力でウェアラブルデバイスに使われる

2.4 GHz帯は電子レンジやBluetoothなど同じ周波数帯を使う機器があり、干渉しうる。

アンテナの長さの計算:波長λ=光速 c ÷ 周波数 f(c=3×10⁸ m/s)。5 GHzなら λ=3×10⁸÷5×10⁹=0.06 m=6 cm、半波長アンテナは3 cm。6 cmは1波長のまま答えた誤り。

用語と説明の組合せ問題で「正しい側」に出る定義(正本は3-8)

TCP/IP=インターネットで用いられる標準的な通信プロトコル(群)。LAN=限られたエリア内で構築されたネットワーク(広域はWAN)。IoT(Internet of Things)=デバイス(モノ)のインターネット接続。これらはいずれも正しい組合せで、誤りとして狙われるのはSMTP(正しくは電子メールの送信)を「ネットワーク管理(SNMP)」や「ファイル転送(FTP)」と組ませた形。

3-10 情報セキュリティ:脅威・CIA・ファイアウォール・認証

情報セキュリティの3要素(CIA)

要素意味高める対策(代表例)
機密性(Confidentiality)許可された者だけが情報にアクセスできる暗号化・認証(2段階認証)・アクセス制御・持ち出し禁止・廃棄メディアの細断
完全性(Integrity)情報が正確で改ざんされていない電子署名・変更履歴の保存・改ざん検知
可用性(Availability)必要なときに情報にアクセスできる(止まらない)ハードウェアの二重化(冗長化)・UPSによる電源確保・バックアップ

覚え方は機密性=見せない、完全性=変えさせない、可用性=止めない。バックアップは消失に備える(可用性)ための対策で、情報漏洩の防止には役立たない。3要素に加えて、真正性は利用者や作成者が本人であることを保証する、責任追跡性はアクセスログを記録し後から追跡できる、も並べて出る。

脅威の種類

脅威中身
マルウェアシステムに侵入し悪意ある活動をするソフトウェアの総称(malicious software)。ウイルス対策ソフト・ファイアウォール・ログ記録ソフトの説明は誤り
ランサムウェアコンピュータのロックやファイルの暗号化をして、復元と引き換えに金銭(身代金)を要求する
ワーム自己複製してネットワーク経由で自ら広がる
ボット感染した端末を外部から遠隔操作し、攻撃の踏み台にする
トロイの木馬正規のソフトを装って侵入し、裏で不正な動作をする
スパイウェア利用者の情報をひそかに集めて外部へ送る
DoS攻撃短時間に大量のアクセスで過負荷を与え、サービスを停止させる(多数の端末から行うのがDDoS)
フィッシング偽のメールや偽サイトに誘導し、認証情報やカード番号をだまし取る
インジェクション攻撃入力欄から不正な命令(SQL文など)を注入してデータを操作する
標的型攻撃(標的型攻撃メール)特定の組織(官公庁・企業・医療機関)の機密情報を狙う。件名・本文・添付ファイル名を業務に関係するものに偽装する。リンク先や添付にウイルスを仕込む。よく使うWebサイトを改ざんする手口(水飲み場型)と組み合わせる

大量のスパムメールを不特定多数に送るのは「ばらまき型」の特徴で、標的型攻撃メールの特徴ではない。

似た語の対比見分け
標的型攻撃 ↔ ばらまき型特定の組織を狙い業務を装う ↔ 不特定多数に大量送信(スパム)
ランサムウェア ↔ スパイウェア暗号化・ロックして身代金を要求 ↔ ひそかに情報を盗んで送る
DoS攻撃 ↔ 不正アクセス大量アクセスでサービスを止める ↔ 権限のない者が侵入する
フィッシング ↔ 標的型メール偽サイトで認証情報を入力させる ↔ 添付やリンクでマルウェアに感染させる
ファイアウォール ↔ ウイルス対策ソフト通信の出入口で通す・止めるを決める ↔ ファイルや端末の中のマルウェアを検出・駆除する

ランサムウェア対策と媒体の管理

ランサムウェア対策の代表例:不審な添付ファイルのついたメールは開かずに削除する/ウイルス対策ソフトの定義ファイルを更新する/OSを更新して脆弱性を解消する/重要なファイルを定期的にバックアップする(被害後に復旧できる)。ファイルを全部暗号化して保存しても、ランサムウェアにさらに暗号化されるのは防げない(暗号化は漏洩対策)。

施設内でUSBメモリを使うリスク:紛失・情報の不正持ち出し・故障による情報消失・不正ソフトウェア(マルウェア)の持ち込み。フィッシングはメールやWeb経由のリスクで、USBメモリのリスクには当たらない。

ファイアウォールとセキュリティソフト

ファイアウォールの機能

ファイアウォールはインターネットと内部ネットワークの間に置き、通信を監視して特定の通信だけを許可し、不正なアクセスを遮断する(IPアドレス・ポート番号などの規則でふるい分ける)。

ファイアウォールの機能だと誤って出る肢本当の担い手
ウイルスを検出・駆除するウイルス対策ソフト(ウイルスチェッカ・ワクチンソフト)
OSを自動更新する/脆弱性を修正するアップデート(セキュリティパッチ)
通信を暗号化する/暗号化された通信だけを許可するSSL/TLS・VPN
接続時にパスワードを要求する認証の仕組み
標的型メールを遮断するメールのフィルタ
悪意あるソフトウェアの実行を防ぐ端末側の対策ソフト

ファイアウォールがあっても、院内ネットワークに個人のPCを自由につないではいけない(持ち込んだPCから感染・漏洩しうる)。オープンソースソフトウェアは適切に管理すれば使ってよい(一律に禁止ではない)。

暗号化と認証

  • 共通鍵暗号:暗号化と復号に同じ鍵を使う。鍵が漏れれば解読される(「漏れても問題ない」は誤り)
  • 公開鍵暗号:公開鍵で暗号化し、秘密鍵で復号する。電子署名やSSL/TLS(HTTPS)に使う
  • バイオメトリクス認証(生体認証)の代表例=指紋・虹彩・静脈・顔。ワンタイムパスワードは持ち物(所持)による認証、画面の点を一筆書きで結ぶパターンや「秘密の質問」は知識による認証で、生体認証ではない

3-11 医療情報システムと診断・治療支援

医療情報の規格

語種類中身
DICOM規格医用画像とその付帯情報の保存・通信(伝送・蓄積・取得)の国際規格
HL7規格患者管理・検査依頼・検査報告など、医療情報(テキスト)を交換するための標準規約
MFER規格心電図・脳波などの医用波形を記述する規格
ICD-11分類WHOの疾病の国際統計分類(病名コード)
IEC団体国際電気標準会議(規格を作る団体であって規格そのものではない)
PACSシステム医用画像を保管・配信するシステム(DICOMを使うが規格の名前ではない)
HISシステム病院情報システム(病院業務全体)
RISシステム放射線部門情報システム(予約・照射録など)
「規格はどれか」と「システムはどれか」を分ける

画像ならDICOM、文字の医療情報交換ならHL7、波形ならMFER。PACS・HIS・RISはシステムの名前なので、「規格・規約はどれか」と聞かれたら切る。POP3はメール受信のプロトコルで医療とは無関係。

DICOMは画像だけでなく、撮影条件や患者情報などの付帯情報も一緒に扱う点が特徴で、異なるメーカーの装置どうしでも画像をやり取りできる。HL7は検査のオーダや結果、患者の基本情報などをシステム間で受け渡すための約束事。電子カルテとPACSをつなぐときは、オーダはHL7、画像はDICOMで流れると押さえると、規格とシステムを取り違えない。

病院情報システム

病院情報システム(HIS)の中心は電子カルテで、医師の指示(処方・検査・処置)はオーダエントリーシステム(オーダリングシステム)で発生・記録される。透析支援システム・検査・放射線(RIS)・PACSなどは部門システムとして電子カルテと連携する。

  • システムの利用は職種ごとの権限管理(ID・パスワード・アクセス権)で制御する。利用に医師の個別の許可が要るわけではない
  • 電子保存の基準を満たせば電子媒体での保存が認められ、印刷して保存する義務はない
  • ガイドラインを守ることを条件に、クラウド型の電子カルテシステムも認められている
電子保存の三基準(電子カルテの三原則)中身当てはまる記述の例
真正性改ざんを防ぎ、誰がいつ書いたか(責任の所在)を明らかにする入力・修正の履歴を記録する/権限のない操作者のアクセスを管理する
見読性必要なときに直ちに肉眼で読める形にできる必要なときに必要な形で確認できる/紙カルテと同じように時系列で確認できる
保存性法令で定める期間、復元できる状態で保存する法定期間にわたって復元可能な状態で保存する

診療録(カルテ)の保存期間は5年。

地域医療連携と医療情報の安全管理

地域医療連携システムは、病院・診療所・薬局・介護施設などの間で診療情報を共有する仕組み。生涯にわたる個人の健康・医療情報をまとめたものをEHR(電子健康記録)、本人が自分で管理・活用するものをPHR(個人健康記録)と呼ぶ。医療情報の安全管理は厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に沿って行い、可用性は必要な時に情報にアクセスできること、機密性は許可された者だけがアクセスできること、完全性は情報が正確かつ完全な形で閲覧できること、真正性は利用者が本人であることを保証すること、責任追跡性はアクセスログを記録し後から追跡できること、の対応で問われる。医療機関はサイバー攻撃(ランサムウェア)で診療が止まる例があり、オフラインのバックアップと、システムが止まったときの紙運用の手順を備えておく。

診断・治療・手術の支援とAI

小項目代表例押さえる点
診断支援システムCAD(コンピュータ支援診断):画像から病変の候補を示す。心電図の自動解析最終的な診断は医師が行う(コンピュータの結果は「第二の意見」)
治療支援システム放射線治療計画装置、薬剤の投与量計算・相互作用のチェック、透析支援システムオーダエントリーと連携して誤りを減らす
手術支援システム手術支援ロボット(術者が操作卓から遠隔で鉗子を動かすマスタースレーブ型)、手術ナビゲーションシステム(術前画像と器具の位置を重ねて表示)ロボットは術者の操作を手ぶれを抑えて伝える道具で、自律して手術するものではない
AI(人工知能)の利用機械学習・深層学習(ディープラーニング)による画像診断支援など学習に使ったデータの質と偏りで性能が決まる。計算にGPUが使われる。診断・治療に使うソフトウェアは医療機器(プログラム医療機器)として扱われうる