第2章|外科学

臨床医学総論 第2章
収録 12問(第31〜39回)創傷治癒・滅菌消毒・侵襲反応・周術期管理

外科総論が中心で、創傷治癒の過程と阻害因子滅菌/消毒の使い分け手術侵襲への生体反応周術期合併症の予防が繰り返し出る。臨床工学技士の手術室・滅菌業務と直結する。

創傷治癒の3相と阻害因子

治癒の3相

炎症相(〜数日・止血・好中球/マクロファージ)→増殖相(肉芽形成・血管新生・上皮化)→成熟相(数週〜・コラーゲン再構築・瘢痕)。
コラーゲンを作るのは線維芽細胞創面を覆う(上皮化)のは上皮細胞。この担当の取り違えが定番のひっかけ。

治癒を遅らせる因子=糖尿病・低栄養(低タンパク・ビタミンC欠乏)・副腎皮質ステロイド・放射線・感染・血流障害・低体温・高齢・腎不全。高血圧・正常妊娠・脂質異常症は直接の阻害因子ではない。

滅菌・消毒の使い分け

対象方法
耐熱器材(鋼製小物)高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)
非耐熱・内視鏡・腹腔鏡EOG(酸化エチレン)・過酸化水素低温プラズマ
皮膚・粘膜・創部ポビドンヨード(万能)
粘膜(低水準)ベンザルコニウム塩化物(逆性石けん)
健常皮膚・器具消毒用エタノール(粘膜・損傷部は不適)

高水準消毒薬(過酢酸・グルタラール・フタラール)は器具専用で生体には使えない。次亜塩素酸ナトリウムは環境・器具用(金属腐食・粘膜に不適)。

手術侵襲への反応・周術期合併症

外科的侵襲への反応=異化亢進・高血糖・水Na貯留。カテコラミン・コルチゾール・ADH・アルドステロン・サイトカイン(IL-6)が上昇し、グリコーゲンは合成でなく分解が進む(ムーアの回復相)。

  • 術後無気肺=浅い呼吸・気道分泌貯留で肺胞虚脱→低酸素血症・頻呼吸・頻脈・発熱(低体温ではない)。予防=深呼吸・早期離床・喀痰。上腹部手術後に多い
  • 肺血栓塞栓症(VTE)予防=早期離床・弾性ストッキング・間欠的空気圧迫(IPC)+抗凝固療法。静脈血栓は抗凝固、動脈血栓は抗血小板の使い分けがひっかけ
  • 頭蓋底骨折=パンダの目徴候・バトル徴候・髄液鼻漏/耳漏・鼻/耳出血(失語などの巣症状は脳実質障害で別)
  • 腹腔鏡下手術=小切開・低侵襲・入院短い。ただし出血時対応が難しく、気腹CO₂によるガス塞栓リスクはむしろ高い